それにしてもプロローグって1話で終わらないんですね...
女の人が歩いている。
朝早くからの仕事のために仕事場へと向かっているのだ。
ここはフィオーレ王国のマグノリアという町である。いつもは賑やかな街並みが漂う場所もまだ朝が早いため活気があふれているような感じはせず、静かな風景を見せる。それでも朝早くから働いている人がちらほらとうかがえる。
「さあ今日も張り切っていくわよ!」
彼女は仕事先で受付など様々な業務の管理サポートをするまとめ役だ。昔はちょっとやんちゃ盛りだったが今では頼もしく、みんなに元気を与える綺麗な人になったと周りの人たちがいう。
仕事場は魔法ギルドと呼ばれるもので魔法が必須の仕事をあっせんする仕事場だ。
「きのうもみんなでよく飲んでたし、そろそろ在庫が切れそうだったから今日は買い出しに行こうかしら?」
そういながらギルドに入って地下室に降りていく。
「野菜はまだまだあるわね。お肉もまだあるけどみんなならすぐに消費しちゃうからこれは買う必要があるわね。」
そうやって食料の在庫管理をしているたときのことである。
≪ぱちっ≫
「? 何の音かしら?」
音が鳴った。その音はラップ音のような音であった。
≪ぱちぱちぱち≫
急に周囲から雷のような火花が散ったと思ったら倉庫の真ん中に雷のようにな鋭い光りが集まってきた。
「これは...魔力だわ。でも、どうして・・」
(ここからすぐに離れるべき?いえ、危険ではあるけれどもここでなにが起こるのか確認すべきね。この場所は私たちのギルド、家だから今ここで見逃してギルドの名を穢すようなものなら・・・命を懸けてでも止める!)
魔力の光が集まって球状の形になり、さらに形が変化して一つの魔法陣ができた。魔法陣は最初は小さかったがやがてだんだんと大きくなって広がっていく。
女性はその魔法陣を警戒して魔法陣の範囲から飛び退くように離れる。
≪バチバチバチバチ≫
その魔法陣はさっきまでより激しく火花を放ちながらその効力を発動する。
「まぶしい!」
あまりの眩しさに目に手を当てて光を遮る。
しばらくすると光が収まった。何があったのか確認するために腕をどけてゆっくりと目を開ける。
「何が起こったの?」
何が起こったか確認しようにもさっきの光で目がよくきかない。だが鼻は普段どおりに使えた。そのとき、血なまぐさい匂いがした。
(これは血の匂い?)
血の匂いがして荒事関係かとより一層警戒するが何も起こらない。
ようやく目が慣れてきて魔法陣があったところを見ると人が倒れていた。
「大丈夫っ、しっかりして!」
暗がりでよく見えなかったが人は男性だった。ただし、頭から血がでていて腕が一つ無かった。
「たいへん、早く医者を呼ばないと!」
ここでなにが起こったのかいまだよく分かってはいないが今は人命が第一優先だと思い、とりあえず応急手当だけでもしてから誰かに医者を呼んでもらわないと。もうすぐ誰かがくる時間帯だ。だがそれも必ずでは無い。来ない場合は出来るところまで処置してから自分が呼びに行かなければならない。
「うーぃ、どうしたんじゃこんな朝早くから騒いで。」
そんな時に誰かが降りてきた。背は子供並に小さいが、歳は誰よりも取っているのはこのギルドの現在の主。
昨夜飲んでいた影響だろうか、足元がふらついている。
「マスター!重度の怪我人が!」
「なんじゃと!」
それを聞いたマスターは顔を引き締めてどういう状況なのか周りの様子をしっかりと見て女性のそばに大量の血を流している男を見つける。
「こいつは酷いな、分かったすぐに医者を連れてくる」
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
≪ガツーン≫
「がは」
頭を殴った音が聞こえる。自分が悪いとはいえその威力はすさまじい。
「ふーぅ。なんだい朝早くから家にきて寝ていたとこを起こし、急患だと言って返事も聞かずに無理やり連れだし、見させられたのはほぼ死にかけのやつだとわ。
あんた覚悟はできてるだろうね。」
こりゃ相当怒っておるのう。手加減なしで殴ってくるあたりにいつもより怒りが大きく感じるわい。
「くー、痛いのー。いきなり殴るやつのセリフとは思えん。」
「は、それだけで済んで感謝して欲しいぐらいだよ。本来ならそれどころじゃないところをあんたがつれだしたんだ。説明はしてもらうよ、このガキをどこで拾ってきたんだい?
普通のやつじゃないね。治そうと思っても普通の治療じゃ無理だったんだ。バランスが悪すぎて、世界になじめていなかったんだ。こんなやつは初めて見るよ。
ほらキリキリ吐きな。」
わしが連れてきたのはそれなりに歳を取った女性だ。彼女はポーリュシカという医者である。それも結構な凄腕で男の怪我を見たときに生半可な医者では治せないと思って、彼女を連れてきたのだ。それは正解だったらしい。
「それは私から説明させていただきます。」
そういえば今日の朝、地下室でそれなりの魔力の力を感じて地下に降りるとミラが男の怪我を処置していたな。彼女の名前はミラ・ジェーン、わしたちのギルドの依頼の受付などの様々な業務をこなしてくれるやつじゃ。
「今日の朝、私がギルドの在庫確認をしているときに倉庫で魔力が集まって魔法が発動したのです。そしてその魔法の後にはそこの男性が血を流して倒れていたんです。」
「魔法が発動した後にそいつがいたということはおそらく転移の魔法が可能性として高いな」
ポーリュシカはミラが言ったことに少し眉をひそめてミラに質問をした。
「なるほどね。他には?何か変わったことは無いかい?」
「他にといわれたら、食料庫の食料が全部なくなっていることしかありません。」
「何!?全部なくなっておるのか。」
「はい、マスター。
その男の人が原因かもと思いましたが理由が今一つ分からないのでハッキリとは分かりませんが。前後関係からしておそらく。」
「それは魔法が発動する前にもう無くなっていたのかい?」
「いいえ、魔法が発動したあとに確認したら無くなっていました。」
その質問をした後ポーリュシカは考え込んだ。
しかしなんということじゃ、これはとんでもない一大事。まさか食料が無くなるとは。ということはわしの秘蔵の酒や珍味が無くなったのか。内緒で買って後で楽しもうと言っていた者たちの物もすべて・・。
「他にはもうないかい?」
さっきからやけにポーリュシカのやつ男のことについて聞いてきおる。その顔はいつもの嫌そうな顔でしかめっ面でありながらも真剣な表情に見える。これは、何か知っている可能性があるな。
「やけに聞いてくるのう。普段から人間が嫌いだと言っていて関わりを持たないようにしておるお主がなぜそんなことを聞きたがる。」
「それを分かっていて誰が連れ出してきたんだか。
なんだい、私が興味をもって悪いかい。こんな大怪我をしていたんだ。ただ事じゃないことに巻き込まれているのは分かっているんだ。なにか聞いておいて対策でも練るのが普通だろう。」
何かあると思って少し踏み込んだ質問をしたが、特に何もなかったので勘違いかと残念に思った。
「まあそりゃそうか。
と言ってもたいした情報も持ってはいないがな。こいつはわしらのギルドのもんじゃない。誰かの知り合いかもせんが儂はしらん。
ミラ、お前はどうじゃ」
「いえ私も違います」
「まあそうだろうね。」
その返事からさっきのは勘違いではなくやはり何か思い入れ、というよりわしたちより違うものを知っているようなものを感じる。
「なんじゃ何か知っておるのか?」
「・・・。
直しておいて悪いがこいつは殺しておくべきだと思うぞ。」
「「!」」
「なんじゃ急に。こいつはわしらが知らんだけで凶悪なやつだというのか?」
いきなり何を言い出すか思えば、殺すといいおった。もしやさっきからの質問はこいつの何かを知っていてそれの確認のためか?脅威は感じなかったんだが。
「そういうわけじゃないさ。まあもしかしたらそうかもしれんが。
言い方が悪かったね。ただそいつのためにも今のうちに、何も知らないうちに死なせてやるべきだと思っただけさ。
あとはお前たちに任せるよ。私は帰らせてもらう。」
≪カツ カツ≫
そういってギルドから出ていく。
【見世物じゃないよ!どっかに散りな!シッ、シッ】
どうやらだいぶ時間がたっており他のメンバーも集まってきてギルドの前に固まっていたらしい。そういえばもうすぐで昼過ぎか。
「マスター」
ミラの心配そうな声がかかる。そこまで不安がらんでもいいと思うがの。
「まあ大丈夫じゃろ。治療のときに顔を見たがそんな感じはせんかったしの。」
ただ魔力が異様に少ないのは変ではあるがの。
。。。。。。。。。。。。。。。。。
≪ズキッ≫
体に激痛が走り目を覚ます。だが目は開けているのに辺りは暗い。不思議に思い目に手を当てようと思って左手を使おうとするが動かない。右手は動くので右手で目に手を当てると包帯らしきものが巻かれているのが分かった。
記憶には無いが、おそらく事故か何かに巻き込まれて大けがをして病院に運ばれたのだと思う。
「ぐ」
体の痛みを我慢して起きる。
「う゛、痛ぁー。
一体何が起こってどうなってんだ?」
「@;、pk@ふぁtqw。」
「え?」
近くに人がいたらしく話しかけられたが、その言葉がまったく分からなかった。日本語でも無い、英語でも無いが声からして女の人だなと思い、きれいな声の人だなーとそのときはのんきに考えていた。
「km!。$んgw;。」
何か言ったと思ったら急に頭を触られ視界が明るくなった。そして目の前にとてもきれいな女性がいたことに驚いて顔が赤くなるのが分かった。
女の人はその様子を見て微笑んでいた。
だがその視界はいつも見ていた感覚と違った。
「あれ?なんか見えにくくなったような。」
そう思って顔に手を近づけると
「み、見えない。左目が見えていない。」
それだけではなく、
「左手も無くなってる・・・。」
「;@:-3か8klw4。」
女性は落ち込んでいる雰囲気を見ておそらく慰めの言葉をかけてくれている。だが腕を一つ無くし、片目も潰れて見えない状態に茫然自失としていたところに意味の分からない言語で話しかけられて自分が一人で分からない土地にいるということに気づき、気持ちが暗くなった。
「なにが、どうなってんだ。」
読んでいただいてありがとうございます!