全力絶唱シンフォギア-キキカイカイッ!唄と機械がダイ合体ッ!- 作:メンツコアラ
【パラレルワールド】。
並行世界、並行時空、並行宇宙とも呼ばれる、私たちの世界と並行して存在すると言われている世界。SFファンタジーの代名詞の一つと言えるこの存在は結局の所、皆の想像の中にしか存在しない………筈だった。
1ヶ月前。我々のいる世界に異変が起こった。なんの変哲も無かったこの世界に突如として体が機械で出来た生命体『キカイノイド』が現れ、日本に新しい土地が生まれた。その土地こそ、キカイノイド達の住む世界『キカイトピア』の一部だったのだ。
最初は世界中の人々がパニックに陥ったのだが、ある科学者が一つの論文を持ってきた。学者曰く、学者仲間である二人の学者『五色田 功』博士と『五色田 美都子』博士が唱えた『並行世界存在説』らしい。過去、この説は単なる空想でしかないと思われたが、今回のキカイトピア融合で証明されたのだ。
そして、現在。キカイトピアと混ざった風景が日常と化したこの世界で、日本のとある街の商店街に三人の男女が走っていた。
「急げ、響ッ!」
「ま、待ってよ…ッ!」
「
走りながら仲良く会話する男子『五色田 介人』と女子たち『立花 響』と『小日向 未来』。三人はそのまま商店街の外れにある駄菓子屋兼喫茶店のお店『駄菓子カフェ カラフル』の前まで駆け、一番に到着した介人が勢い良く扉を店の奥から驚いた様子で店の主人兼介人の祖母『五色田 ヤツデ』が姿を現した。
「なんだい? なんだい? 誰かと思えば介人達じゃないかぃ」
「八津出さん、こんにちわ」
「ご無沙汰です」
「突然だけど、ヤっちゃんッ! 綿菓子ちょうだいッ!」
「本当に突然だね。そこの棚にあるから好きなの持っていきな。ただし、代金はお小遣いから引いておくよ」
「はーいッ! 響、未来、行くよッ!」
「は、はーい…」
「八津出さん。お水、貰えます?」
「はいよ。響ちゃんに飲ませてあげな」
ヤツデから水を貰い、体力を回復した響と未来は先に出ていった介人の後を追うのだった。
「まったく。やんちゃに育っちゃって。あの子たちに似たのかねぇ。ねぇ、セッちゃん」
孫の成長に介人の両親…並行世界存在説を唱えた功博士と美都子博士を重ね、ヤツデは二人が残した発明品の鳥型ロボット『セっちゃん』に声を掛けるのだった。
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介人たちの住む世界と一部融合した世界『キカイトピア』。あらゆるものが機械で出来たこの世界で一際目立つものといえば、『キカイトピア王朝 トジテンド』の城『トジテンドパレス』だろう。
その内部、最も広い空間に彼らは集まっていた。
「イジルデよ。進捗はどうなっている?」
──トジテンドの王 ボッコワウス
「は。偉大なる我らが王ボッコワウス様。現在、全体の内、約90%の世界をトジルギアに閉じ込めました」
──トジテンド技術開発最高技官 イジルデ
「1ヶ月前から何も変わっておらぬではないか。技術開発顧問の貴様の怠慢では無いのか?」
──トジテンド軍隊長 バラシタラ
「けど、なんであの世界だけトジルギアに閉じ込めなかったんだろうねぇ。お蔭であの世界が盾になっているのか、残りの世界も閉じ込めることが出来ない」
──ボッコワウスの愛鳥 ゲゲ
「早くしろ。全ての世界を儂の手中に納めるのだ」
「ねぇ、ボッコワウス。どうせなら、そのまま侵略しちゃえば良いんじゃない? 領地を増やすことだって出来るよ」
「おおッ! いい案ではないか。ありがとう、愛しのゲゲ」
「ではその任務、この小生にお任せをッ!」
「頼むぞ、バラシタラ」
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カラフルを出てから十数分後。介人たちは街中でキカイノイドが営業している出店に来ていた。
「これがキカイトピア名物 キカイたこ焼き…ッ!」
「これが綿菓子…ッ!」
「これ、銀箔かな? たこ焼きに銀箔ってだけで高級感あるかもッ!」
「ところで、何で綿菓子とたこ焼きを交換してるの?」
「この人、こっちのお菓子を食べたこと無いんだって。だから、駄菓子とキカイたこ焼きを交換しようってなったんだ。世界初、綿菓子とたこ焼きを交換してみたッ!」
「そうだね。でも、常識を考えなさい」
「それでは早速食べようよ」
「話を聞きなさい」
介人と響。二人仲良くたこ焼きを口に運び、そんな二人に若干の呆れを見せる未来。しかし、介人たちはキカイたこ焼きの味を知ることは出来なかった。
ドガアアアアアンッ!!!
「なッ!?」「きゃあッ!?」「うわッ!?」
突然の爆発。幸いにも怪我を負うことは無かったが、爆風に三人共に吹き飛ばされる。
「な、なにッ?!」
「せっかくのたこ焼きがッ?!」
「介人ッ! 今それどころじゃないと思うよッ!」
その時だった。ガシャンッ、ガシャンッと重量のある音が爆発のあった方向から聞こえ、見れば、戦車を思わせるキカイノイド『バラシタラ』を先頭に、武装したキカイノイド『クダック』の部隊が隊列を組んで進行していた。
「聞けッ! 今よりここはキカイトピア王朝 トジテンドの物となるッ! 全体進撃せよッ!」
『『『ダックダーッ!!』』』
「きっ、キカイノイドが暴れだしたぞぉッ!」
襲ってくるクダックの部隊。何を勘違いしたのか、それを『暴走』と解釈した一般男性の言葉に人間たちがパニックとなり、さっきまで共にいたキカイノイドにさえ恐怖を抱いて逃げ出す状態に。等しく襲われていると言うのに、誰もが互いを助けようとせず、ただ背を向けて逃げるだけだった。
……いや。一人だけ、バラシタラに掴みかかる者がいた。
「──やめろおおおッ!」
「介人ッ!?」
「何だ? ガキが何の用であるかッ!」
「お前らッ! なんでこんな酷いこと出来るんだよッ! せっかく仲良くなれると思ったのにッ!」
「仲良く、か。下らんな」
「何だ──がッ!?」
非力な中学生の腕力をものともせず、その襟首を掴んで持ち上げるバラシタラ。
首が締まって苦しむ介人に、バラシタラは冷たく言いはなった。
「人間も我らに従わないキカイノイドも皆等しく、スクラップである。
──ふんッ!!」
「な──ッ?!」
「……ふん。人間とは軽いものであるな」
「ど、どうしよう……介人が投げ飛ばされちゃったッ?!」
「響ッ! 私たちも逃げないとッ!」
「で、でも「いいから早くッ!」」
響の手を取り、襲ってくるクダックから逃げ出す未来。
この日を境に、今までの日常が崩れる音が響き渡るのだった。
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ゲキゲキ!戦う意味!
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果て無き好奇心