全力絶唱シンフォギア-キキカイカイッ!唄と機械がダイ合体ッ!-   作:メンツコアラ

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前回のシンフォギアはッ!

占い大好きなマジーヌが仲間になって、ゼンカイジャーは四人になったチュン。
そう言えば、響は元気にしてるチュンかね?





第12カイッ! ニキニキ修行 ガンバれ撃槍ッ!

 青木ヶ原樹海。かの有名な旧犬鳴トンネルと肩を並べる程のオカルトスポットであり、同時に自○の名所としても有名な場所でもある。

 『二度と生きては出られない』『コンパスが狂う』等の伝説があるこの樹海の奥深く。本来なら誰も足を運ばないような場所に建つのは樹海以上に禍々しい雰囲気を纏う寺院『臨獣殿』。そこで一人の少女が青年相手に組み手をしていた……いや。組み手とは名ばかりの蹂躙に近い暴力だった。

 

「シッ──!」

 

「がはッ!?」

 

「……どうした? その程度か?」

 

「ま、まだ、ヤれます……ッ!」

 

 青年の拳を受け、ダメージが残る体で立ち上がった響はギアの籠手をスライドさせ、エネルギーを右拳に集中させる。アームドギアが使えない響は形成する為のエネルギーをそのままぶつけると言う荒業を短期間で編み出した。その方法に至る程に今の修行が濃密と言えるだろう。身のこなしもたった数日だけ修行したとは思えない程に成長している。

 しかし、相手にとって、その一撃は避ける必要など無かった。

 

「この程度か?」

 

「──ッ!?」

 

「遅いッ! リンギ・剛勇衝打ッ!」

 

 青年の体から禍々しいオーラが溢れだし、それを収束させた拳が響の腹を殴り付ける。これでもかと手加減はされているが、その一撃に籠められた衝撃と威力は彼女の体を軽々と吹き飛ばすには十分だった。響は囲にぶつかり、気を失うと同時に地面へ倒れてしまった。

 

「ここまでか……メレッ!」

 

「はい理央様」

 

「アイツを運んでおけ」

 

「かしこまりました」

 

 青年…理央の呼び声に、何も無かった筈の空間から姿を現した一人の女性…メレ。

 メレは理央が臨獣殿の本殿へ入っていくのを見送ると響を担ぎ上げ、地下にある宿舎へと運んでいった。

 

「あ、ありがとうございます……」

 

「あら? 起きたのね」

 

「今日もコテンパンにヤられました……」

 

「当たり前よ。理央様に勝とうなんて思わないことね」

 

 メレは響を布団の上で寝かせると治療を始める。晒された肌には細かい傷が所々存在し、最後の一撃を食らった腹は腫れ上がっていた…いや。腫れ上がりで済んでいたと言うべきだろう。理央がその気になれば、響を文字通り貫く事が出来たのだから。

 

「それで? 見つかったの?」

 

「……それが、まだ分からなくて。

 何の為に戦うのか。翼さんは防人として、しっかりとした意思を、覚悟を持って戦っていた。介人や未来たちがああ言ってくれたけど、どうすれば良いんだろう……?」

 

「私に聞かないでくれるかしら? 闘う理由なんて人其々。他人と比べてたらキリが無いわ」

 

「メレさんは何の為で「理央様の為よ」そ、即答なんだ」

 

「理央様への愛の為に生き、理央様への愛の為に闘うラブウォリアー。それが私。理央様の為なら私の全てを捧げる覚悟よ」

 

「う、うわぁ……」

 

 情熱過ぎるメレの理央に対する愛情に聞き手の響まで顔を赤くしてしまう。同時にこんな考え方もあるんだと知り、結果的により悩んでしまう。

 

「うぅ~…ウジャウジャのモヘモヘしてきた……」

 

「……ッ。貴女、その言葉──」

 

「はい? どうかしました?」

 

「……いいえ。何でもないわ。とりあえず、難しく考えすぎないことね。貴女は単純だし」

 

 そう言って、治療を終えたメレは部屋を出ていき、一人残された響はまた考えに没頭するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 トジテンドパレス。トジテンドの本拠点でもあり、ボッコワウスの王城でもあるその場所には王の間が存在する。イジルデやバラシタラは基本的にそこでボッコワウスと対面し、命令を受ける。

 今日もバラシタラがボッコワウスに呼ばれ、一人謁見の間へとやって来た。

 

「どうしたのですか、ボッコワウス様?」

 

「お前に調べて欲しいことがある。実はゲゲが見つけたのだが」

 

「ゼンカイジャー達のいる世界で変なエネルギー反応があったんだよね。それを調べてきてよ」

 

「それはイジルデにやらせるべきでは?」

 

「イジルデは今、侵略活動中で手が離せないみたいだよ」

 

「頼んだぞ、バラシタラ」

 

「はッ!」

 

 

 

●●●●●●●●●

 

 

 

 

 突然の爆音。考えに没頭していた響はその音で現実に引き戻される。

 

「今の音、上からッ!?」

 

 まだダメージが抜けていない体にムチ打って宿舎の外へ。真っ先に見えたのはいつも組み手をする境内と所々で炎上している崩壊た正門だった。

 

「こ、これって……ッ!?」

 

「まさか、ここに人間が住んでいるとはな」

 

「バラシタラッ!? クダイターまでッ!?」

 

 まさかのトジテンドに響は目を見開く。バラシタラの頭部の砲口から煙が上がっているため、門を破壊したのはバラシタラなのだろう。

 バラシタラを筆頭に、彼が連れてきたであろうクダイターが二人侵入していた。

 

「ん? 貴様。ゼンカイジャーと一緒にいた女か。と言うことは、ここはゼンカイジャーの本拠地であるか」

 

「それは違います」

 

「言ってみただけである」

 

 その時、本殿から理央がメレと共に姿を現す。

 

「先の攻撃は貴様か」

 

「その出で立ち……貴様がここの主か。何処かで見た顔であるな」

 

「俺は貴様など知らん。何の用でここに来た?」

 

「話すわけ無いのである。どうしても聞きたいというなら……分かるな?」

 

 バラシタラが、穂先がミサイルのような形状の槍『起爆槍 バラスピアー』を構える。安い挑発ではあるが、理央は敢えて乗ってみることにした。

 

「メレ。周りの雑魚は任せたぞ」

 

「ハッ!」

 

「響。お前は好きにしろ」

 

「好きにしろって……?」

 

「言葉通りの意味だ。

 ──臨気凱装(りんきがいそう)

 

 理央はマントを脱ぎ捨てると己のオーラ…臨気を鎧として纏い、漆黒の体に金色の装飾が輝く黒獅子の姿となる。

 

「猛き事 獅子の如く

  強き事 また獅子の如し

 我が名は黒獅子 理央」

 

「トジテンド軍隊長 バラシタラ。

  ──参るッ!」

 

 二人が駆け出し、理央の拳とバラスピアーが火花を散らしながらぶつかる。

 トジテンドの技術が詰まったバラスピアーとバラシタラの腕力が組合わさった時、普段なら分厚い鋼鉄の扉さえ貫けるだろう。しかし、理央が己の臨気で作った鎧は並の金属の強度を遥かに越えていた。

 バラシタラが槍を振るう姿は例えるなら軍神。手数が上回る拳相手を的確に防ぎ、一撃一撃が相手を殺すための必殺の威力を繰り出す。

 対する理央は獅子の衣を纏いし拳神。洗礼された技でバラシタラの槍をいなし、大地をも砕く拳を放つ。

 

「バラシタラ様ッ! 今援護に「させると思うか?」ッ!? 扇子が地面に突き刺さるだとッ!?」

 

「何奴ッ!?」

 

「理央様の愛の為に生き 理央様の愛の為に戦うラブウォリアーッ!

 臨獣カメレオン拳使いのメレ」

「理央様の闘いの邪魔はさせない」

 

「貴様らが来ても足手まといであるッ! その女たちでも相手をしてろッ!」

 

「「はッ!」」

 

 バラシタラの指示で一人はメレに、もう一人は未だに立ち尽くしていた響へ迫った。

 

「ハアアアッ!」

 

「…遅いわね」

 

 初撃を躱したメレはカメレオンを思わせる獣人となり、釵の二刀流で応戦する。

 一方の響はというと、攻撃を躱すだけで自分から仕掛けようとはしていなかった。

 

「小娘がッ! さっきからちょこまかとッ!」

 

「待ってッ! なんで戦わないといけないのッ!? 他のキカイノイドの皆だって、この世界の人たちと仲良くなれたッ! 貴方たちとだって「うるせぇッ!」」

 

「我々は富裕層ッ! 庶民や貴様らのような奴らと仲良くする必要はないッ! 皆全員スクラップだッ! 貴様の家族や仲間も同様になッ!」

 

「───ッ!」

 

 仲間や家族。

 その言葉で脳裏にすぐ浮かんだのは介人と未来(大切な人達)の笑顔。同時に思い返される果たせなかった約束(流星群)

 クダイターが己の武器『プラグランサー』を振り下ろすが、響は動こうとしていなかった。

 

 ──………もか

 

 ──お前も、わたしの大切な人を奪おうとするのか

 

 ──お前も大切な時間を 約束を奪おうとするのか

 

 ──許さない

 

 ──許さない許さない

 

 ──許さない許さない許さない

 

許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイ

 

 

 ユ ル サ ナ イ

 

 

 

 次の瞬間、響の意識は闇へ落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──筈だった。

 

 

 

 

 

 

 

『響のままでいいんじゃないのかな?』

 

(………………え?)

 

『わたしたちは響のままでいて欲しい』

 

(介人? 未来?)

 

『難しく考える必要はないんだって』

 

『響は響のしたいようにすれば良いんだよ』

 

(わたしの、したいように──)

 

『『響は、なんで戦おうと思ったの?』』

 

(それは───)

 

 思い返されるのは、己の原点。理想のヒーロー。

 

『生きるのを諦めるなッ!』

 ──かつて、助けられたから?

 

(──違う)

 

『全力全開ッ! ちょわああああッ!』

 ──友が戦っているから?

 

(──違う)

 

『翼さん。一緒に戦ってくださいッ!』

 ──憧れとも言える人と戦えるから?

 

(──違うッ!)

 

 ──じゃあ、なんで?

 

『わたしの力で、誰かを救うことが出来るんですよね? なら、やりますッ! 全力全開でッ!』

 

 ──救いたかったから。

 ──守りたかったから。

 

 ──ただ、それだけ。

 

(でもッ! だからこそッ!)

 

 響の意識が覚醒する。

 同時に何処からか。猛々しい獣の咆哮が聞こえた。

 

 

 

 

 

●●●●●●●●●

 

 

 

 

 クダイターはプラグランサーを振り下ろした。

 動く様子のない響を見て、勝ちを確信していた。

 

 ──だからこそ、目の前の出来事に驚きを隠せなかった。

 

─Balwisyall Nescell gungnir tron♪

 

「なんだッ!?」

 

~BGM『撃槍・ガングニール』~

 

「この唄…いや。今の咆哮は──」

 

 プラグランサーを片手で受け止め、その身にシンフォギアを纏った響。そんな彼女の体からはギアと同じ黄色のオーラが溢れていた。

 例えるなら気高き猛虎。

 響の纏う気迫にクダイターは思わず後退ってしまう。

 

「わたしは本当ならあなたと戦いたくないです。同じ命だから。あなた達が拒絶してもあなた達と分かり合いたいと思うわたしがいる。

 それでも…あなた達がわたし達から大切な人やその人と過ごす時間を奪うと言うのなら、わたしはそれを守りますッ!

 この拳を争うために握るんじゃない。守るために握るッ!

 それがッ! わたしの理由ですッ!

 取りあえず、今はここを守るために闘いますッ!」

 

「だ…黙って聞いていれば偉そうにッ……! そんなに守りたいなら守って見せろッ!」

 

 プラグランサーが振り下ろされるが、響は落ち着いて最小限の動きで回避。続けて幾度かクダイターの攻撃が迫るが、先程とは違う。相手の攻撃の隙を突いて、掌底、裏拳、回し蹴りを繰り出す。

 

「な、ならばぁッ!」

 

 クダイターがプラグランサーを向けると槍先から電撃が放たれる。遠距離なら響の拳は届かないと判断したのだろう。だが、響に電撃が届くことはなかった。

 

「ハアッ!」

 

 響が強く踏み込んだかと思えば、その衝撃で地面が舞い上がり、響を守る盾となった。

 

(今──ッ!)

 

 響は即席の壁を突き破り、クダイターに肉薄。同時に籠手をスライドさせ、エネルギーを拳に集中させる。偶然にも……いや。必然なのかもしれない。彼女の構えは訓練の時の理央と同様だった。故にその技を放つことが出来た。

 

 

 ──我流 剛勇衝打──

 

 

「なああああッ!!?」

 

 響の拳と共に、彼女のオーラがまるで虎の爪のような形となり、クダイターを殴り飛ばす。クダイターはそのまま塀を破壊して森の中へ消えていった。その光景を見ていた理央やメレ、バラシタラたちは勿論のこと、技を放った本人()も驚きを隠せずにいた。

 

「今の技、なんで……?」

(いや。それよりも…今、唄と一緒に聞こえた鳴き声って──)

「虎……?「その通りだ」ッ!」

 

「今のお前なら己の激気を感じている筈だ。そして、お前が今放った技は我流ではあるが、間違いなく獣拳だった」

 

「じゅう、けん……?」

 

「そう。己の内にいる獣の心を感じ、獣の力を手にする拳法。かつて、獣拳には二つの流派があった。

 一つ。俺やメレの使う邪悪なる獣拳『臨獣拳アクガタ』。

 一つ。対をなす正義の獣拳『激獣拳ビーストアーツ』。

 そして、お前が習得したのはタイガー拳。激獣タイガー拳だ」

 

「激獣拳……あれ? それって、確か並行世界のスーパー戦隊の──」

 

「なるほど。そういう事であるか。貴様…いや。そこの女もか。並行世界からやって来たのであるな」

 

「──ッ!?」

 

「それがどうした?」

 

「こちらの話である。貴様らには関係ない」

 

 そう言って、バラシタラは理央達に背を向ける。すると何もない筈の空間に歯車状のエネルギーゲートが開いた。

 

「バラシタラ様ッ! もう宜しいのですかッ!?」

 

「ボッコワウス様に報告すべき情報は集まった。長居は不要である」

 

「はッ!」

 

 バラシタラ、残りのクダイターはその場から姿を消し、後に残るのは響と理央達。

 

「理央さん。さっきの話──」

 

「貴様に話す必要はない。さっさと出ていけ」

 

「ええッ!? いきなり過ぎませんかッ!?」

 

「貴様が会得したのは激獣拳だ。臨獣拳の俺から教えることはない」

 

「そんな……」

 

「それにもう答えは見つかったのだろう? なら、さっさと元居た場所に戻れ。迎えも来ている」

 

 理央が目線で示す先。そこにはこちらに翔んでくるハリケンフライヤーの姿があった。数刻もしない内に臨獣殿前に到着するだろう。

 

「メレ」「はい。理央様」

 

 いつの間に準備していたのか。メレが響の荷物を持って現れる。

 

「はい。理央様の教えを受けたのだからしっかりやんなさい」

 

「メレさん……」

 

 正直な所、響はまだ臨獣殿に残りたい気持ちがあった。しかし、これ以上は迷惑にもなるだろう。だから、最大の敬意を持って、理央達に感謝と敬意を示すのだった。

 

「理央さん……いや。()()()()()()()ッ! マスター・メレッ! ありがとうございましたッ!」

 

 深くお辞儀をし、臨獣殿を後にする響。

 理央達は去っていく彼女の背中を見つめていた。

 

「よかったですね、理央様」

 

「何の事だ?」

 

「いえ。理央様が笑顔だったので」

 

「……ふん」

 

 理央は踵を返し、メレも彼に続いて本殿の中へ入っていく。

 二人の姿が消えた本殿の扉。並びに門は固く閉ざされ、まるで永い眠りについたかの様に静寂が包んでいくのだった。

 

 

 




次回の全力絶唱シンフォギアはッ!

 次の仲間はトジテンドッ!?

「なぜワタシは追われているのですかッ!?」

「貴殿方は反乱分子ですかッ!?」

「どうしてギアを使っているのですかッ!?」

「好奇心のエンジンがブルンッブルンッですッ!」

「君、五月蝿いよッ!」

第13カイッ! 止まらぬ好奇心ッ! だチュンッ!

次は何が見たい?

  • ゲキゲキ!戦う意味!
  • 果て無き好奇心
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