全力絶唱シンフォギア-キキカイカイッ!唄と機械がダイ合体ッ!- 作:メンツコアラ
高校生になった介人は学校、ノイズ退治と大忙しッ! 久々に響ちゃんと出掛けたと思ったらノイズが現れたチュンッ!
あれ? 響ちゃん、その姿はッ……!?
~BGM『撃槍・ガングニール』~
「え…? えッ!? なにッ!? どうなってるのッ!?」
今まで感じたことの無い痛みに襲われ、気がつけば、介人達のように変身していた響。
…とは言っても、介人達のような全身装甲では無く、オレンジと黒をメインにしたインナーに、白を中心とした装甲。腕や足には一回り大きな籠手とグリーブが装着される。そして、不思議なことがもう一つ。
(これって…歌? 胸の奥底から沸き上がってくるような──)
「おねえちゃん、かっこいいッ!」
「──…え? あ、ありがとう(そうだ。今はそんな事を考えている場合じゃないッ!)」
響は胸の奥底から響く歌を歌いながら、女の子に手を伸ばし、その小さな体をしっかりと抱き締める。
(まだ分かんない事だらけだけど、確かなのは私がこの子を助けなきゃいけないッ! 何でか分からないけど、今ならノイズを飛び越えれる気がするッ!)
足に力を込め、一気に駆け出そうとする響。しかし、走り幅跳びの方法で飛び越えるつもりが、予想以上の力でコンクリートの床を蹴った彼女の体は走る事無くノイズを飛び越え、そのまま地面へと落ちていった。
「わわッ!? どうなってるのぉッ!?」
戸惑いながらも何とか空中で体勢を建て直し、着地に成功する響。見上げれば、響を追って、上からノイズの大群が襲ってくる。
響は兎に角、回避に専念した。お世辞にも綺麗な回避とは言えないが、今の彼女にそんな事を考えている余裕は無い。あるのは、自分の腕の中にいる小さな命を助けると言うことだけ。
それが原因の一つだったのだろう。
気がつけば、前方に大型ノイズ、後方に三十体近くのノイズとに囲まれてしまう。
逃げ道は無いか。周りに視線を向けるがそのような道は無い。その隙を突かれ、一体のノイズが飛び込んでくる。
「しま──ッ!?」
せめて女の子だけでも、と庇うように抱き締める。だが、その行動は良い方向で無意味となった。
その理由は上空から撃たれた一発の弾丸にあった。
「──響ッ! て、その格好、どうしたのッ!? それに何で唄ってるのッ!?」
「ゼンカイジャーッ!」
「えっと…私もよく分かってませんッ!」
間一髪でノイズを撃ち抜き、上空から所謂『ヒーロー着地』で登場するゼンカイザー。ヒーローの登場に女の子の顔に希望が写る。
「とりあえず、まずはノイズ達をどうにかしなきゃッ! 響はその子を──」
『守ってあげて』と続けるはずだったゼンカイザーの耳に…いや。その場にいた三人の耳に新たな音…軽快なエンジン音を捕えた。
音源はノイズの群れの向こう側から姿を現す。その正体は一台のバイク。それに乗っている人物にゼンカイザーは思わず目を疑った。
「──翼ちゃん?」
その少女…風鳴 翼はバイクから上へ飛び降り、ゼンカイザーたちの耳が新たな歌を捕えた。
─Imyuteus amenohabakiri tron♪
~BGM『絶刀・アメノハバキリ』~
紡がれる蒼き剣の唄と共に、翼は着地する数秒前に大型ノイズに向け、蒼き斬撃【蒼ノ一閃】を放ち、その巨体を両断した。その手際の鮮やかさに、響や女の子の口からは感嘆の声が上がるが、翼の口からは冷たい対応が放たれた。
「呆けないで。死ぬわよ」
「す、すいません…」
「貴女はその子と一緒にいなさい。介人、その子達を守って」
翼が残りのノイズに向かって駆け出し、一方的な蹂躙を始める。
力の差など関係なく、恐らくは一番近くにいるからという理由で翼に群がって行くノイズ達。対して、翼は恐れる事無く、唄を紡ぎながら次々とノイズを切り刻んで行くのだった。
「す、すげぇ…」
「おーいッ! 介人ぉッ!」
「ジュランッ! ガオーンもッ!」
「急に走り出したから心配したよ…──て、響ちゃんッ!? その姿、どうしたのッ!?」
「わ、私も何がなんだか…」
「響も驚きだけど、群れの中で戦ってるの…まさか、風鳴翼ッ?! ぶっちゃけ、どういう状況ッ!?」
「お、俺もよくわかってなくて…」
そうしている間も翼はノイズを刀の錆びとし、最後には小さな刃を雨の如く降らす技『千ノ落涙』をもって蹂躙して見せた。
舞い散るノイズだった欠片。
その中に佇む彼女の姿は、介人には何処か寂しく見えたのだった。
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翼の武力介入から三十分後。ノイズの被害にあった地域は立ち入り禁止となり、特殊災害対策機動部の隊員達が後始末に動き回っていた。もちろん、介人達がいる場所も。
「お母さんッ!」
「良かったッ…! 離れてごめんねッ……!」
「あのねッ! ゼンカイジャーが助けてくれたんだよッ! あと、カッコいいお姉ちゃんもッ!」
響達が助けた女の子は無事に母親と再会することが出来た。
ありがとうございます、と頭を下げる母親に、介人達は大丈夫、無事で良かったねと言葉を交わし、後は母親を連れてきた軍人に任せることにした。
「良かったね。お母さんが見つかって」
「あの女の子も幸せそう」
「しっかし、響のそれ。一体なんだ?」
「それが私もよく分かってなくて。誰か、説明してくれないかなぁ」
「なら、あたしが説明してやろうか?」
「いいんですか? ありが──て、奏さんッ!?」
「なんだってッ!?」
驚く響達に『よっ』と挨拶するのはリディアンの制服姿の天羽奏だった。その横には先程の青いスーツでは無く、奏と同じ制服を着た翼の姿も。
「奏さんが何でここにッ!? それにこれについても何か知ってるんですかッ!?」
「…おう。説明してやる。その前に、それを解除してみてくれ。元の姿に戻るイメージで戻れる筈だ」
「元の姿に? ……──あ、本当だ」
念じてみれば、響の体が光に包まれ、元の制服姿に戻った。それを見た翼と奏の目の色が少し変化する。
「奏、今のって…」
「間違いなくシンフォギアだな。しかも、あたしが使ってた奴」
「あのぉ…それでわたしが使ってた物って一体…?」
「ああ。その説明の為に──すまねぇ」
──ガチャンッ
「──……え?」
何かが閉まる音と共に響の両手にかかる違和感。見れば、立派な拘束具が両手を縛っていた。
「えっと…これは?」
「悪いな。後ろのゼンカイジャー含め、あんたらを拘束させて貰う」
『拘束ッ!?』
「おい、介人ッ! いつの間にか囲まれているぞッ!?」
「ヤバいッ! 逃走全開──」
いつの間にか、屈強な黒服の男達に囲まれたゼンカイザーたち。直ぐ様、カクレンジャーギアで逃走しようとするのだが、引き金を引こうとした瞬間、ゼンカイザーの体に異変が起こる。
「介人ッ!? どうしたのッ!?」
「か、体が、動かない…」
「超忍法『影縫い』。すいませんが、貴殿方には何がなんでも同行して貰います」
そう言って、黒服達の間から姿を表したのは長身の男。彼の手には一枚の手裏剣が握られており、見れば、照明によって出来たゼンカイザーの影にも同じものが突き刺さっている。
あっという間にギアトリンガーを取り上げられ、変身を解除された介人達はあれよこれよという間に大型車に乗せられてしまい、息をつく暇もなく、車は走り出してしまった。
「おいッ! せめて何処に連れていくかくらい教えろッ!」
「着けば分かるよ、キカイノイドのおっさん」
「ジュランだッ! 後でサイン下さいッ!」
そんな会話をしながら約二十分ほど。車が止まり、介人達が連れてこられた場所が明らかとなった。
「ここって、リディアン?」
「何で、こんな所に?」
「着いて来れば分かるよ」
介人達は奏達の案内の元、私立リディアン音楽院の中央棟へ進み、その中にあるエレベーターに乗り込んだ。一体何階へ向かうのだろうと思えば、かなりの勢いで下へ降りていった。ボタンを見ても、地下があることは示されていない。
この先で何が待ち構えているのか。介人達はいつでも動けるように身構える。
しかし、介人達を待っていたのは予想の斜め上を行くモノだった。
──パンッ! パパンッ!
「ようこそッ! 特異災害対策機動部二課へッ!」
『───……え?』
次は何が見たい?
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ゲキゲキ!戦う意味!
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果て無き好奇心