全力絶唱シンフォギア-キキカイカイッ!唄と機械がダイ合体ッ!-   作:メンツコアラ

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前回の……シンフォギアはぁッ!
トジテンドが攻めてきて、さあ大変ッ! 町がジオラマにされて、介人も捕まってしまったチュンッ!
でも、翼ちゃんたちの活躍もあって、無事に解決……て、翼ちゃんッ!? なにやってるチュン?


第8カイッ! (さき)もる覚悟とネフシュタンッ!

 それは唐突の出来事だった。

 

「翼さんッ!」

 

「…何かしら?」

 

 爆発するダイジオラマを背景に、響は翼に話し掛ける。

 

「わたし…正直に言って、今は足手まといにしかなりませんけど……それでも頑張りますッ! だから、()()()()()()くださいッ!」

 

「…………そうね」

 

 その言葉に響の表情が少し明るくなるが、翼の次の行動で困惑に染まった。

 

「貴女と私、()()ましょうか」

 

 そう言って、翼が響に差し出したのは握手の手では無く、戦闘の刃。アームドギアの剣先を向けられた響はただ困惑することしか出来なかった。

 

「ち、違いますッ! わたしが言ったのはそういう意味じゃ「分かっているわ、そんな事」…な、なら何で──」

 

「この際だからハッキリと言うわ。私は貴女を受け入れられない」

 

「──え?」

 

「一緒に戦う? 力を合わせて? そんな事、風鳴翼が許せる筈がない」

 

 翼から向けられる明確な敵意。だが、その理由を知らない響からすれば、どうして?と疑問しか残らない。それでも翼は『アームドギアを構えろ』、『覚悟を示せ』としか言わない。

 

「アームドギアとか、覚悟を示せなんて言われても…分かってない事を聞かれても、全然分かりませんッ! でも、一生懸命頑張ります……頑張って、奏さんの替わりに「黙れッ!」」

 

「奏の替わり? それが貴女の答えなら、今ここで切り捨てるッ!!」

 

 翼は露の構え…即ち、柄を顔の右側面で構える方を取り、いつでも斬りかかる準備を整えて見せる。その気迫に響は思わず一歩下がるが、それが合図となり、翼が前へ出た。

 一瞬で詰められる距離。既に間合いに入った響の体は無慈悲にも切り裂かれる。

 ……そう思われた瞬間、白い影が間に割り込んだ。

 そう。今までダイジオラマと戦っていたゼンカイザーである。

 

「ちょわああッ!」

 

「「──ッ!?」」

 

 飛び込んだ勢いはそのままで。咄嗟に響を抱き抱えたゼンカイザーは共に横へ跳んでいったことで刃から逃れることに成功。奇跡的にも両者無事で済んだ。

 

「響、大丈夫ッ!?」

 

「だ、大丈夫……」

 

「邪魔をしないで。介人には関係ない話よ」

 

「関係あるッ! 二人とも、俺の大事な幼馴染みだッ!」

 

「……相変わらずね。なら、押し通るまでッ!」

 

 再度斬りかかってくる翼。

 ゼンカイザーは咄嗟にギアトリンガーで防御し、揉み合いになりながらも響から離して見せる。しかし、近接戦闘では銃のゼンカイザーよりも翼の方に分がある以上、すぐにでもはね除けられるだろう。

 

「こういう時は、シンケンジャーギアだッ!」

 

 33バーン!

  シィンケンジャァー!

 

 33番目のスーパー戦隊『侍戦隊シンケンジャー』のギアを使ったゼンカイザーに侍剣術とシンケンジャーの武器『シンケンマル』が与えられる。

 これで近接はほぼ互角。何度も打ち合いになり、鍔迫り合いになったところでゼンカイザーが問いかける。

 

「なんで響を襲うんだよッ! 仲間なんでしょッ!」

 

「仲間、ね……私は認めないわ」

 

「どうしてッ!?」

 

「ただ遊び半分で戦場に立つ彼女が奏の……天羽奏の何を受け継いでいると言うのッ! 覚悟もない彼女が奏のギアを纏う資格なんてないッ!」

 

「今は奏さん関係ないでしょッ!」

 

「介人には分からないわッ! シンフォギアを纏えなくなり、ずっと悔しい思いをしてきた奏を私は見てきたッ! その気持ちを理解できるものかッ!」

 

「なんだよ、それッ!」 

 

 ガキンッ!、と音を立て、二人の得物が宙に舞う。

 直ぐ様距離を取り、自身の側に落ちてきた武器を手に取る二人。その際、偶然にも互いの武器を交換する形となった。その武器を十二分に使える保証はないが、互いに引くわけにはいかなかった。

 

「押し通るッ!」

 

「行かせないッ!」

 

 三度駆け出し、再び剣を交えようとした二人……が、既の所で二人の間に割り込むように一本の矢が飛んできた。

 

「ええッ!?」「──ッ!?」

 

 辺りを見るが、それらしい影は見当たらない。だが、明らかに意図を持って放たれたその矢は静かに消滅した。

 

「なんだったんだろう……?」

 

 そんな中、元のサイズに戻ったジュランとガオーン。二課から急行した弦十郎と奏がゼンカイザー達の元へ到着する。

 

「何をやっているんだ、お前達はッ!」

 

「介人、大丈夫かッ!?」

 

「響ちゃん、大丈夫ッ!?」

 

 弦十郎は中立の立場として、ジュランとガオーンは親しいゼンカイザーと響の元へ駆け寄る。一方の奏は俯く翼にそっと問いかける。

 

「どうしたんだよ、翼。らしくねぇぞ……て、お前──」

 

 翼の頬に一滴の涙が流れる。だが、奏は翼にどう声をかけるべきか悩んでいた。風鳴翼は防人として、自分自身を剣として鍛え上げた一人の戦士である。そんな彼女に下手な言葉は逆効果となってしまうだろう。それはゼンカイジャーたちも同じ。

 ダイジオラマを倒し、町に平和が訪れたと言うのに、彼らの心情は決して明るいものでは無かった。

 

 

 

●●●●●●●●●

 

 

 

 とあるビルの屋上。介人たちが要る方向を見つめる、一つの白い影があった。その瞳はかなりの距離があると言うのに、彼らの姿を的確に捉えている。

 そんな白い影の腕についていたブレスレットから音声が流れる。

 

『止めて良かったゲラ?』

 

「…別に? 仕事を減らしただけだ」

 

『そうか…』

 

「さて…あいつらが俺をときめかせる程に成長するかどうか。見物だぜ?」

 

 

 

 

 

●●●●●●●●

 

 

 

 

 

 ダイジオラマとの闘いから半月経った。

 あれからもノイズの出現が数件あったが、どれも問題なく片付けている。しかし、響と翼の間の溝はまだ修繕されていなかった……と言うよりも翼が一方的に突き放しているだけ。ジュランやガオーンが仲を取り持とうとするが、上手く行っていない。

 そんなギスギスした状態が続けば、人は簡単に疲弊する。

 

「はぁぁ……」

 

「大丈夫?」

 

「平気へっちゃらじゃないかも……」

 

「なに暗い顔してんだい。はい、カラフルサンデー」

 

 学校終わり、カラフルで響は未来と共にいた。

 幸薄い雰囲気を纏う響に対して、ヤツデはサービスでカラフル名物のカラフルサンデーを出す。

 

「ありがとうございます……」

 

「それにしても…話を聞く限り、翼ちゃん、変わっちゃったね」

 

「そうなんですか?」

 

「昔はね、介人と仲良く手を繋いで『カラフルサンデーください』って。それはもう可愛いかったんだから」

 

「想像出来ないなぁ……」

 

 響はそう言うが、無理もないだろう。今の翼は例えるなら近寄る物を両断する一本の剣。だが、ヤツデの話では普通の女の子にしか思えない。

 

「時間の流れは残酷だよねぇ。人を簡単に変えちゃうんだからさ」

 

「仲良くなれますかね…」

 

「弱音吐くなんて、響らしくないよ?」

 

「そうだけどさぁ……」

 

 普段の響からは想像も出来ない程の弱音。

 どうしようかと考えてた所、買い出しに出ていたジュランとガオーンが帰ってきた。

 

「ただいま~…て、響に未来か」

 

「二人とも、いらっしゃい♪ 今日は泊まって行くんだよね? 美味しい料理、期待して」

 

「泊まり? 何かありましたっけ?」

 

「ほら。今日は流星群の日だよ。前々から計画してたじゃん」

 

「今日くらいは風鳴翼の事は忘れろ。暗いことばっか考えてると人生も暗くなるぞ」

 

 ジュランなりの慰めだろう。彼の言葉に未来達もそうだよと賛同し、響の胸の内も少し軽くなったかに思えたが、

 

「ギャアギャアッ! ノイズノイズッ! ノイズが出たチュンッ! しかも数ヶ所ッ!」

 

「はあッ!? 今かよッ!」

 

「介人はもう向かってるチュンッ!」

 

 丁度、その時。二課から支給された通信機に弦十郎から連絡が入る。間違いなく出撃だろう。だが、この時間帯で出撃すると規模によっては流星群に間に合わない。

 

「……未来、ごめん」

 

「…ううん。頑張って」

 

 

 

 

●●●●●●●●●

 

 

 

 

 18時を過ぎ、空に星々が見え始める中、地下鉄駅内にノイズが蔓延る。

 そこに到着したのは帰宅中で偶然近くに居た介人だった。

 

「さっさと倒して、流星群に間に合わせるッ!

  チェンジ全開ッ!」

 

 ゼンカイザーに変身し、ノイズの群れへ突撃していく。半月の間に戦い慣れたもの。的確にノイズを殴り、蹴り、撃ち抜きと次々に倒していく。だが、ノイズの量が減る様子は無く、逆に少しずつ増えているようにも見えた。

 

「早く倒さないと流星群に間に合わないッ! 何でこんな日に限って多いんだよ──て、え?」

 

 突如、ゴムボールの様に吹き飛ばされるノイズとゼンカイザー。反転する視界の中で彼が見たのは舞い上がる土埃と、

 

「ひび、き……?」

 

 

 

 

 

 ノイズの出現は数ヶ所。響はその内の1つ、介人が向かったエリアと同じ場所に到着した。

 地下鉄の入り口で蔓延るノイズを確認した響は聖詠を唄い、シンフォギアを纏う。

 

『奥に一回り大きな反応がある。介人くんと合流するか、翼が向かうまで無茶はするな』

 

「分かってますッ! わたしはわたしに出来ることをするだけですッ!」

 

 唄を唄いながらノイズを倒していく響。動きは辿々しいが、この半月で響も成長してないわけではない。スピードは遅いが、しっかりと一体ずつ倒していく。

 そんな中で、漸く辿り着いた改札口。向こう側にはノイズの群れ。その中には葡萄を思わせるノイズも居た。恐らく、弦十郎が言っていた大きな反応とは奴の事だろう。

 

「見つけたッ…!」

 

 改札を飛び越え、葡萄似のノイズ…以後、ぶどうノイズと呼称しよう。奴に殴り掛かる響だったが、周りのノイズが壁となって立ちはだかる。

 

「邪魔、しないでッ!」

 

 響の戦い方が少しずつ荒々しくなっていく中、ぶどうノイズが自身のに付いていた粒をばら撒く。バランスボールの様に跳ねる粒は響に接近すると次々に爆発を起こし、彼女とその周囲に爆炎と衝撃が襲い掛かる。

 ガラガラと音を立てて崩れる壁や柱が響を押し潰す。幸いにもシンフォギアのお陰で彼女の柔肌に傷が付くことは無かったが、それでも動きは制限され、その隙にふどうノイズはスタコラサと奥に逃げていった。

 道中、ぶどうノイズの粒が落ち、そこから新たなノイズが産声を上げる。奴が消滅しない限り、ここら一帯のノイズ騒動は収まらないだろう。それは流星群に間に合わない事を意味している。

 

「…………かった」

 

 フツフツと胸の奥底から沸き上がってくる黒い感情が響を染め上げ、彼女の顔が怒りに染め上げられる。

 

「流れ星、みんなで見たかったッ!!」

 

 己の力で瓦礫をはね除けた響は新たに出現したノイズへ殴り掛かる。その動きはもはや獣のそれと対して変わらない。

 

「お前たちが約束を侵し、ナンでもない日常を剥奪すると云うノナラッ!!」

 

 怒りに任せた一撃でノイズを殴り、あるいは掴んで文字通りに引きちぎる。

 もし、ここに一般市民が居れば、彼女の姿は英雄ではなく、化け物として見えるだろう。だが、今の響にそんなことは関係なかった。例えるならば、怒りの化身。怒りの権化とも言える状態になった彼女には周りなんて見えてはいない。このまま、怒りに任せて暴れ続けるのは明白だろう。()()()()()()()()()()

 

「……き…………響ッ! 響ってばッ!」

 

「──はッ!?」

 

 響の手を掴み、彼女の名を呼ぶのは彼女を大切に思い、同時に彼女自身も大切に思う幼馴染みの一人。

 

「かい、と? あれ、何時から居たの?」

 

「何時から居た、じゃなくて、響がこっちに来たんだけど。それより、大丈夫? なんか、スッゴい怖い顔してたよ」

 

「え? そんなに?」

 

「うん。怒った時のやっちゃん位。何かあったの?」

 

「そんなにッ!? …あれ? わたし、何で怒ってたんだろう? 確か、流星群が見えなくて、それで何でもない日常を──あッ! 介人ッ! 葡萄みたいなノイズ、見なかったッ!?」

 

「ぶどう? え~……あぁッ!」

 

 辺りを見渡し、特徴の合うノイズを見つけるが、ぶどうノイズは粒を上に飛ばすことで地下鉄の天井に大きな穴を開け、地上へ逃走してしまう。

 ヤバい、と慌てて追いかけるゼンカイザーたち。今まさに地上に出ようとしたとき、上を見た彼らが見た一筋の光。

 

「流れ、星…?」

 

 ──否。剣である。

 

「はあああッ!!」

 

 防人の……翼が放った蒼ノ一閃が逃走中のぶどうノイズを両断。大爆発の後、爆音と爆炎、爆煙を残して消滅し、ゼンカイザーたちが地上へ上がった時には全てが終わっていた。

 

「ありがとう、翼ちゃんッ! やっぱり凄いなぁ。ねぇ、響」

 

「………………」

 

「……言いたい事があるのならハッキリ言ったらどうなの?」

 

「……わたしだって……わたしだって、護りたいものはありますッ!! だから──」

 

 その時だった。

 

 ──だから? で、どうするよ?

 

『──ッ!?』

 

 この場に居る三人でも、別の場所で戦っているジュランたちでも、二課本部に居る奏たちのものではない第三者の声。見れば、暗闇に何者かが紛れている事がわかった。その何者かが前に出てくるにつれ、月明かりでその姿が露となる。

 

「……ッ!? その鎧はッ!?」

 

 ハッキリと認識した翼は思わず目を見開いた。

 鈍い銀色の鎧に刃の付いた鞭。所々に見える肌や体格から人間の……それこそ、ゼンカイザーや響と同世代の少女だと認識できる。

 

「人、間……?」

 

「貴様、何者だッ!?」

 

「そんな質問に素直に答えると思うか?」

 

 鎧の少女はただ不敵に笑い、明確な敵意を示すのだった。

 

 

 




次回のシンフォギアはぁッ!

「防人の生き様、その覚悟を見せてあげるッ!」
 唄われる絶唱。


「そんなの辛すぎます……」

「ときめかねぇな」
 涙する響が選んだ選択は

「連れていって下さい。この場所にッ!」

第9カイッ! 絶唱 激闘 その覚悟ッ!

次は何が見たい?

  • ゲキゲキ!戦う意味!
  • 果て無き好奇心
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