全力絶唱シンフォギア-キキカイカイッ!唄と機械がダイ合体ッ!-   作:メンツコアラ

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 前回のシンフォギアはぁッ!

 響を認められない翼ちゃん。ついには介人も加わって大喧嘩ッ!
 このまま喧嘩が続いたら倒せるものも倒せなくなってしまうかも──てあれ? あの子、何者チュンッ!?





第9カイッ! 絶唱 激闘 その覚悟ッ!

 謎の少女の出現。その情報は別の場所で戦っていたジュラン達にも届いていた。

 

「人間の女の子だとッ!?」

 

「キカイノイドじゃなくてッ!?」

 

『今、奏と共に迎えのヘリを向かわせたッ! それに乗って、すぐ現場に──』

 

「あぁ…それは無理そうだわ」

 

 現在、ジュラン達の周りを囲むのは道路を埋め尽くさんとする程のノイズの群れ。本来のノイズはただ殺戮するだけの兵器と変わらないが、今居るノイズたちはそうに見えない。

 

「前に弦十郎が言ってた奴、マジじゃねぇか?」

 

「誰かの作為的出現? それこそイジルデの奴じゃないか」

 

「そうとは分かんねぇだろ。実際、イジルデは出現したノイズを操作するとしか言ってなかった」

 

「他にする奴なんていないだろッ! 人間ちゃん達の誰かがやってるって言うのかよッ!」

 

「……人間もキカイノイドと同じって話だよ。兎に角、さっさと片付けるぞッ!」

 

 

 

 

 

 一方、ゼンカイザーたちは突如現れた、杖のような謎のアイテムを持つ銀色の鎧を纏った少女に困惑し、動けずにいた。特に翼は酷い……いや。彼女の場合、困惑というよりも驚愕の割合が強いだろう。何せ、少女の纏っている鎧は彼女にとって因縁深い物なのだから。

 

「ネフシュタンの鎧ッ…!? 何故、此処にッ!?」

 

「へぇ? こいつの出自を知ってんだ」

 

「当たり前だッ! 何処でそれを手に入れたッ!」

 

「喋ると思うか?」

 

「──ッ!」

 

 挑発的な…いや。実際に挑発しているのだろう。そんな鎧の少女の態度に剣先を向ける翼だが、ゼンカイザーと響が二人を止める為に立ちふさがった。

 

「ちょ、ちょっとストップッ!」

 

「退きなさい、二人ともッ!」

 

「退きなさいって、相手は人間なんですよッ!?」

 

「「何を戦場で甘ったれた事を──ッ!」」

 

 響の言葉に翼と鎧の少女の言葉が被る。

 

「貴女とは気が合いそうね」

 

「じゃあ、遊んで貰おうかッ!」

 

 鎧に繋がれた鎖鞭が振るわれ、咄嗟に反応したゼンカイザーたちは無事だったが、彼らのいた場所に大きな爪痕を残す。

 上へ回避した翼は落下の途中、蒼ノ一閃を放つが、鎧の少女は鎖鞭を巧みに操ることで斬撃をいなして見せる。

 

(なら、懐に飛び込むまでッ──!)

 

 リーチの長い鞭なら近接は此方が上と考えた翼は一気に肉薄し、アームドギアを振るう。しかし、鎧の少女は鎖鞭を両手で掴み、翼の刃を軽々と受け止めた。

 動揺する翼。更に一閃、ニ閃と刃を振るうが鎧の少女は容易くいなし、そこに出来た隙をついて、翼の腹に蹴りを入れる。

 

「翼さんッ──!?」

 

「……あぁもうッ!」

 

 

「くッ…これが完全聖遺物のポテンシャルなのかッ……!?」

 

「ネフシュタンの力だけだと思うなよッ! あたしの天辺はまだまだこんなもんじゃねえッ!」

 

 咳き込む唾に向けて鎖鞭を振るおうとする鎧の少女。だが、二人の戦いに横槍が入る。

 

 1バーン!

  ゴォォレンジャアァァ!

 

「──ッ!?」

 

 翼とは別方向から飛んできた縄状の物が鎧の少女の腕に巻き付き、その動きを止める。見れば、縄…正確には、ゴレンジャーギアの力で呼び出したアカレンジャーの武器『ニューレッドビュート』はゼンカイジャーが振るった物だった。

 

「介人ッ…!?」

 

「戦わなくても拘束できれば問題ないよねッ!?」

 

「しゃらくせぇッ! 御呼びじゃねぇんだよッ!」

 

 鎧の少女は持っていた杖のようなアイテムを起動する。すると杖から一筋の光が放たれ、あろうことか、その光からノイズが姿を現した。

 

「なんでッ!?」

 

 しかも、現れたのは先程追いかけていた個体と同種のぶどう型ノイズ。出現と同時に粒を落とし、ゼンカイザーは爆発に吹き飛ばされ、ニューレッドビュートを手離してしまう。

 

「介人ッ!?」

 

「心配している場合かッ!」

 

 鎧の少女は更に、頭部に嘴のようなノズルがついた背の高いノイズ…ダチョウ型ノイズを召喚する。未知のノイズに響は後退しようとするが、ダチョウ型ノイズはノズルから粘性の高い液体を吐き出し、響を拘束する。

 

「お前はそこで大人しく「私を無視するなッ!」」

 

「その子にかまけて、私を忘れたかッ!」

 

「ちッ! お高くとまるなッ!」

 

 斬りかかった翼を投げ飛ばし、鎧の少女は一瞬の内に肉薄。翼の整った顔を踏みつける。

 

「逆上せ上がるな人気者ッ! 誰も彼もが構ってくれると思ってんのかッ?! この際だからハッキリ言ってやる。あたしの狙いはハナからあいつ(立花 響)の回収なんだよッ!

 鎧も仲間もあんたには過ぎたモノなんじゃないのかッ!」

 

「翼ちゃんッ!」

 

「だから──テメェは御呼びじゃねぇんだよッ!」

 

 ぶどう型ノイズを倒したゼンカイザーだったが、鎧の少女が更にノイズを追加…かと思いきや、黒い宝石が着いたペンダントを投げつける。すると宝石が目映い光を放ち、そこから黒い宝石で体を構築された恐竜のような怪物が姿を現した。

 

「GRUAAAッ!!」

 

「ちょわッ!?」

 

 咄嗟にニューレッドビュートを棒状のヤリビュートに変形させ、突進してきた宝石の怪物…ジョーキーX(テン)を正面から受け止めるが、ジョーキーXの怪力に押されてしまう。

 

「ジョーキーXッ! ソイツを抑え「いい加減……」あぁ?」

 

「いい加減退けッ!!」

 

 翼がアームドギアの剣先を上に向けると天から無数の小刀『千ノ落涙』が鎧の少女に向かって降り注く。

 回避を選択する鎧の少女。起き上がった翼は追撃を選択。

 大剣と鎖鞭がぶつかる度に火花が飛び散り、二人の争いは小さな爆発さえも引き起こす。

 翼が小刀を投げ、動きを制限。出来た隙を狙って攻撃を仕掛けるが、鎧の少女は片手で簡単に防ぎ、逆に強力な一撃を食らわせる。

 

「まるで出来損ないだなぁ?」

 

「……そうだ。私は出来損ないだ。この身を一振と鍛えてきた筈なのに、出来損ないの剣として恥を晒してきた。だが、それも今日までの事…奪われたネフシュタンを取り返すことで汚名を灌がせて貰うッ……!」

 

「そうかい。脱がせるものなら──ッ!?」

 

 そこで鎧の少女は違和感を覚える。

 体が自由に動けないのだ。例えるなら空間に縫い付けられたかのように。理由は月光で出来た彼女の影に刺さる小刀。その技の名は『影縫い』。緒川直伝の忍術である。

 

「月が覗いている内に決着をつけましょう」

 

「まさか、唄うつもりなのかッ!? 絶唱をッ!」

 

「翼さんッ!」

 

「貴女はそこで居なさいッ! 防人の生き様、その覚悟を見せてあげるッ!」

 

「翼ちゃん「GRAッ!」ちょわッ!?」

 

 その異変は離れた場所に居たゼンカイザーたちも感じたのか。ジョーキーXはゼンカイザーを撥ね飛ばし、翼へと迫る。

 しかし、その唄は既に紡がれていた。

 

Gatrandis babel ziggurat edenal

 

 それは諸刃の刃。

 

Emustolronzen fine el baral zizzl

 

 それは血に濡れた唄。

 

Gatrandis babel ziggurat edenal

 

 嘗て、相方が唄おうとした歌。

 

Emustolronzen fine el zizzl

 

 次の瞬間、その場にいた全員の視界が翼を起点に塗り替えられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「う…い……ッ」

 

「ッた……」

 

 一体、何時まで気絶していたのだろうか。目を開ければ、ゼンカイザーと響は衝撃で抉れた地面の上に倒れていた。丁度其処へ到着した弦十郎、奏、了子の三人。

 

「無事か、つば──ッ!」

 

 翼を心配する弦十郎だったが、その言葉は続かない。何故なら見てしまったから。

 ……彼女の足下に出来た大きな血溜まりを。

 

「……私とて、世界を守る防人──」

 

 振り返った彼女の顔は

 

「──こんな所で折れる剣じゃありません……」

 

 血に濡れていた。

 バタリと糸の切れた操り人形の如く倒れる翼。その光景から翼の命が危うい事は素人の目で見ても明らかだった。

 

「翼さんッ!?」

 

「すぐに医療班を呼べッ!」

 

「それだけじゃダメよ。あの出血量なら応急処置をしないと」

 

「なら早くしてくれよッ!」

 

「してくれって、道具は何も持ってきてな「道具ならある」…介人くん? あるって何処に?」

 

「道具なら俺が()()()ッ! 翼ちゃんを絶対に死なせないッ!」

 

 23バーン!

  ゴーゴーファイブ!

 

 ゼンカイザーが使ったのは23番目のスーパー戦隊『救急戦隊ゴーゴーファイブ』のセンタイギア。これによりゼンカイザーに応急処置に必要な知識と道具が与えられる。

 

「了子さんッ!」

 

「OKッ! これなら此処で簡単なオペくらい出来そうッ!」

 

(翼ちゃん…死んじゃダメだ──)

 

 ゼンカイザーのサポートの元、了子による応急処置が始まり、医療班が到着したのは開始してから8分後だった。

 

 

 

 

●●●●●●●●●

 

 

 

 

 鎧の少女との戦闘から数時間が経過し、空の暗闇が薄くなり始めていた。

 翼は軍病院に無事搬送され、手術を受けている最中だ。弦十郎は二課所属の部隊、また一課の部隊に協力を要請し、鎧の少女の捜索に当たっている。

 残された介人と響、奏はホールの椅子に座っていた。そこに漸く合流したジュランとガオーン。

 

「すまねぇッ! 遅くなったッ!」

 

「風鳴ちゃんはッ!? 大丈夫なのッ!?」

 

「今、手術中だ。オペしてるのがアタシの担当医だから腕は保証する」

 

 それでも皆の顔から不安が消える様子は無い…いや。一人だけに不安とは別の感情を浮かべる者がいた。

 

「翼さん…………」

 

「響。お前が気に病む必要ねぇぞ。あの唄は翼自身が選んだ選択だ」

 

「奏さん。あの唄は一体……?」

 

「…『絶唱』。シンフォギアの力を限界以上に引き出す唄だ。だが、同時に想像を絶する程の負荷がかかる。下手をすれば、命を落とす事だってある」

 

「命をだとッ…!?」

 

「実際、二年前のライブの日……響の胸にアタシのギアの欠片が突き刺さったあの日、アタシは絶唱を歌おうとした。だけど、時限式のアタシは歌い切れず、それでも相当の負荷を負った。結果、アタシの唄にガングニールは答えてくれなくなった」

 

「それは、わたしを救うためですか……?」

 

「さあな。なにせ、あの時は我武者羅だったし……でも、アタシが前線を離れてから翼は一人で戦い続けた。自分を殺してまでな」

 

「…翼ちゃんらしいのかな。昔から不器用な所は変わってない」

 

「あぁ。それが翼の生き方「そんなの」……」

 

「そんなの、悲しすぎます……」

 

 響の瞳からは涙が流れ、彼女の手の甲にポツン…ポツン…と落ちていく。他の皆はそんな彼女にどう声をかけるべきか、言葉を探してはいるのだが見つからない。

 そんな時だった。

 

「──トキメかねぇな」

 

「……へ?」

 

 そこに現れたのは白衣を着た一人の若い男性だった。

 

「仲代先生ッ! 翼はッ!?」

 

「無事だ。お前らがゴーゴーファイブの力を使ったお陰でな」

 

(……ん? なんでコイツ、ゴーゴーファイブパイセンの事知ってんだ?)

 

 ジュランの疑問はさておき、若い男性…仲代壬琴は響の前に立つ。

 

「お前……風鳴翼に対して、『一緒に戦いたい』って言ったんだよな?」

 

「……はい。翼さんの事を何にも知らずに「違うだろ」…へ?」

 

「お前が後悔すべきは『奏の換わりに』て所だ。人間、誰かに成ることなんて出来やしねぇ。コイツらを見てみろ。他のスーパー戦隊の力を使うが、『機界戦隊』として戦っている。

 お前は今すべきなのは、此処で泣く事か?」

 

「………………」

 

「答えが見つかったら此処に来い」

 

 そう言って、仲代はその場を離れていった。

 

 

 

 

 翌日。放課後にカラフルで集まる介人達だったが、響は一人、思い悩んでいた。

 

「…………はぁ」

 

「はい。カラフルサンデー。ため息ばっかりついてると幸せが逃げてくよ?」

 

「……はい」

 

「響、大丈夫?」

 

「……うん」

 

 どうすればいいのか。何をすべきなのか。響の中で自問自答が繰り返される。だが、彼女の中で答えは見つからない。このまま、ただ時間だけが過ぎていくのか、と思われたが、彼女の幼馴染み達は彼女同様にお節介なのだ。

 

「……響のままでいいんじゃないのかな?」

 

「……へ?」

 

「ほら。父ちゃんと母ちゃんが居なくなったとき、励ましてくれたでしょ? あの時、うるさいとか言っちゃったけど」

 

「それよりも酷いこと言ってたよ。わたしも横で聞いてたんだから」

 

「そうだっけ? ……でもさ、本当はスゴく嬉しかったんだ。これってさ、響だから出来た事じゃないのかな?」

 

「わたし、だから……」

 

「うん。響だからこそ、出来ることはいっぱいあると思う。俺も俺だからこそ出来る事、いっぱいあるし」

 

「介人の言う通りだよ」

 

「未来……」

 

「わたしたちは響のままでいて欲しい。だって、わたしたちの響はここにいる響しか居ないもん。何処にも行って欲しくない」

 

「わたし…わたしのままで良いの「良いに決まってんだろ」…ジュランさん」

 

「オレたちにとっても響は大切なマブダチだ」

 

「響は響のままが一番だよねッ!」

 

「ガオーンさん……」

 

「また迷ったらオイラたちを頼ればいいチュン」

 

「響ちゃんが響ちゃんで居るために支えくらいにはなれるからね」

 

「セっちゃん…ヤっちゃん……」

 

 迷いが消えた訳ではない。不安が無くなった訳でもない。

 それでも──

 

「──ありがとう、みんな。わたし、わたしのままで前に進めそう」

 

「うん。じゃあ、次はどうする?」

 

 

 

 

 数十分後。軍病院にいる仲代の元へ一人の少女が訪れる。

 

「……答えは見つからないが、前には進めたみたいだな」

 

「──はい」

 

「いい目をしてる。ときめくじゃねぇか」

 

 その後、仲代は一枚のメモを渡し、響は仲代の指示で屋上のヘリポートへ向かう。その上空では全長数十メートルはありそうな巨大なヘリが飛んでいた。

 

「あ、あれはッ……!」

 

 巨大なヘリ…ハリケンフライヤーからワイヤーロープで降りてくる緒川の姿あり。恐らく、仲代が呼んだのだろう。

 

「待ってましたよ、響さん。何処へ向かいますか?」

 

「お願いします。連れていってください。この場所にッ!」

 

「……分かりました。早速向かいましょう」

 

 緒川はメモを受け取り、二人はハリケンフライヤーに乗り込んで飛び立った。

 

 メモに書かれていたのは場所。ハリケンフライヤーは一時間もしない内に目的地に辿り着く。

 其処は富士の樹海。その中にポツンと建つ、紫の雲と霧に包まれた場所。

 緒川から数日分の荷物(※何故か用意されていた)を背負い、ハリケンフライヤーから降りた響はそこに建つ寺院を見据える。

 

「ここが、修行の場所ッ……!」

 

 決意を固め、寺院の門へ足を進める響。

 その寺院の看板にはその場所とそこに眠る者達を示す文字が刻まれていた。

 

 

 

 『臨獣殿』と。




次回のシンフォギアはぁッ!

マジて到来、氷の世界ッ!?

ヌヌヌマジーヌ……四人目のゼンカイジャーは…占い好きで恥ずかしがりやな──

それってマジーヌじゃない?

ええッ!? ジブンすかッ!?


第10カイッ! 勇気を魔法にッ!~ぬぬぬマジーヌッ!~

次は何が見たい?

  • ゲキゲキ!戦う意味!
  • 果て無き好奇心
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