オトモの枠にウマ娘があるとしたら[凍結]   作:つヴぁるnet

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第17話

「結果発表ォォー!」

 

「いえーい」

 

「これはこれは!素晴らしく物々しいでありますね!」

 

 

火山ツアーからお守りを回収してカムラの里に帰ってきた。

 

それから待ちかねたマチカネフクキタルと共にお守りの鑑定を始める。 採掘したお守りがどんな護石なのかを見極めるための資料や参考書があるのでそれと見比べてレア度を確認できる。 その前にお守りにくっついてる岩や不純物を削って綺麗に取り出さないとならないので、しばらく地味な作業が始まる。

 

茶の間でお団子食べながらゆっくり進めよう。

 

 

 

「いやはや! 歴史が詰まった美しさがありますねぇ! これは楽しみですよ」

 

 

「ご機嫌だな、マチカネフクキタル」

 

 

「そりゃお守りの採掘と聞いてお伺いしない訳には行かないですよ! マカ錬金の運が試される瞬間も良き事ですが、これはまた違う輝きがあります! 灼熱たる危険な地へとその足で赴き、鉄のピッケルを片手にロマンを求め、歴史を掘り当てた鉱物にはどの様な古が秘められているのか! いやいや楽しみで仕方ありませんね! ハッピーカムカムフクヨコーイ!」

 

 

既に俺たちの倍のスピードでお守りを鑑定するマチカネフクキタル。

 

ガリガリと付着する岩石を削ってお守りを掘り出す作業を進めていた。 俺もぼちぼち作業を進めながらお茶を啜り、セイウンスカイはテーブルに突っ伏しながらのんびり鑑定を進めている。

 

たまに足をこちらに伸ばして太ももをツンツンしてくるので足の裏をくすぐって反撃すると耳をピクピク揺らしながら身を捩らせる。

 

時間が経つことにだんだん顔が蕩けている。

 

 

 

「セイウンスカイさんはトレーナーさんと仲が良いですね」

 

「! むふふ〜ん、そうでしょう、そうでしょう? アマグモはわたしだけのトレーナーだからね」

 

「私のトレーナーさんも私の事を良くしてくれるのでお気持ちわかりますとも。 前に護石を集めすぎてほんの少しだけ怒られましたが、私専用のお宝ボックスを用意してもらいましてもう感激大吉福きたる! そんな訳なので、今日はアマグモさんのお零れを預かって私専用のボックスに収めさせていただきますとも!」

 

 

 

今日は討伐クエストも無く静かである。 やはり百竜夜行からしばらくの間は静かになることが多い様だ。 ただし寒冷群島とか別の大陸は変わりなくモンスターの討伐にハンターは駆り出されるようだ。 その分カムラの里から近い大社跡の様なところはクルルヤックやアオアシラ程度のモンスターしか出ないため、そのレベルに合わせて下位ハンターが討伐に向かっている。 そのため上位ハンターが出る幕は今の所なしである。 今日はそれで丁度良かった。

 

 

 

「アマグモ、お守りの詳しい鑑定ってどうやるの?」

 

 

「なんの護石なのかを当ては嵌めるための資料がある。 文字の多いさ、刻まれている画数、あらゆる印、傷跡の数、どれだけ一致して、どれだけ丁寧に施されているのかを見極めるんだ」

 

 

「うへー、長丁場になりそう…」

 

「見極めに関してはこのマチカネフクキタルにお任せを!!」

 

 

「彼女を今日呼んだのはそういう事だ」

 

 

 

ある程度ガリガリと削ったり擦ったりしてお守りを綺麗にする。

 

横に流すようにマチカネフクキタルに渡してどの護石なのか鑑定してもらい、セイウンスカイは日差しを浴びてウトウトする。

 

しかしセイウンスカイは飽きたのか小道具を手放し、モゾモゾとこちらに体を寄せると勝手に足を膝枕して眠りついた。

 

 

「一個も終わって無いじゃないか」

 

「むにゃ…むにゃ……すぅ…」

 

 

 

10分も経たないうちにこれである。

 

昼寝好きは相変わらずというか。

 

……このまま放っておこう。

 

 

 

「そうですアマグモさん、今からわたしの目を見つめ続けてください」

 

「へ?」

 

「今からあなたをハッピーにします」

 

「なにそれ怪しすぎる」

 

「そんなことありません! 至って健全です! (ガン)を飛ばし(がん)を齎す……む、むふふふっ!」

 

「笑って自爆してるようで悪いけど、椎茸の様な眼をしてる事しか分からん」

 

「ガーン!? …あ、今のは(がん)だけにですね!」

 

「わかったから(がん)をガンガン削れ」

 

「ふぁ!? むむ、なかなかにやります…この人」

 

 

 

なかなか面白いなこのウマ娘。

 

シンボリルドルフが気にいるだろう。

 

 

こんな感じに彼女のユーモアに付き合いながら暇もない時間を過ごす。

 

すると…

 

 

 

「あ、これ"女王の護石"クラスか」

 

 

「おお、これはこれは! 良く見せてください! …ふむふむ、たしかに女王の護石ですね! この画数と文字の深さ! 何より淵に使われている鉱石がなかなか無いものです!」

 

 

「それで刻まれてるのは"呼吸"と"持久"の文字か?」

 

 

「ふむふむ、どうやらみたいですね。 この彫り具合は持久で確かです。 呼吸に関してはやや際どいですがそれ以外は見つかりませんね。 あ、この最後の文字は"早める"ための文字ですよ。 そして二つのマークがついてるこれは両立してる意味を示します」

 

 

「スキルが二つと言うことか? わざわざそのマークが付いてるとことのなら確定じゃないか。 こりゃお高いな」

 

 

「なな! それを売るなんてもったいない!」

 

 

「いやいや売らないよ。 現環境だとこのスキルは相当ありがたい」

 

 

 

何かしらの会話を挟みながら次々と護石の種類を暴き出す。

 

マチカネフクキタルも聞き上手なのか俺の話をいつまでも聞いていた。 しばらくしてセイウンスカイが目を覚まし始めるのと同時に全ての鑑定が終了した。

 

膝が軽く痺れたのでポンポンと頭を叩いてセイウンスカイを起こす。

 

 

「むにゃ、終わったんだ…」

 

「気持ちよさそうに寝やがって」

 

「ふへへぇ、日向が気持ちよくてぇぇ…お休み」

 

「蕩けすぎだろ。 てか起きろ」

 

 

 

結局彼女は寝るだけだったがマチカネフクキタルのお陰で作業は無事に終了。

 

鑑定済みの護石の半分はマチカネフクキタルにプレゼントして、実用性の高い護石はアイテムボックスにしまった。

 

あとマチカネフクキタルからお礼とばかりに何かのお守りをくれた。

 

どうやら安産のお守りだった。

 

その意味を知ったセイウンスカイが耳をふにゃふにゃと閉じてモジモジと蹲っていた。

 

それを見て「ある意味大吉ごちそうさまです」と煽ってきたマチカネフクキタルの額をデコピンした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、しばらく時間が経ちケシキとサイレンススズカが帰ってきた。 二人揃ってユクモ村の秘湯はよく効いたと言っていたが心なしかスズカの肌がツルツルだった。 ユクモの温泉の疲労回復効果は凄いけど美容効果はそんなに高かったか? あとなんかすごい幸せそうな表情をしている。

 

それはそうとまた百竜夜行が始まるようだ。 最後に百竜夜行が起きたのは4日前である。 随分と区間が短い。 まだ完全に兵器の配備が終わった訳じゃないのにモンスターは俺たちに安息を与えてくれないらしい。 ギルドマスターやフゲンさんもこの現状に穏やかではないがケシキが来たことで乗り越える見込みが出てきた。 だが兵器がモンスターに対してのインフレに対応できるか心配なところ。

 

ただ開発で連続で放てるバリスタを完成させたりとモンスターの進撃を防ぐ確率を少しでも高めてくれている。 しかしハンターの数が心持たない。 死者はいなくとも離脱者はいるのだ。 ケシキが戻ってきたことでおおよそプラマイゼロになるだろうけど、今回凌げたところで次回が不安である。 それでも今は乗り越えるだけを考えないとならない。

 

 

そしてもう一つ悲報だ。

 

大きなモンスターが現れたらしい。

 

その名が"イブシマキヒコ"ってモンスターだ。

 

どうやらヒノエさんがそのモンスターと共鳴したらしく、そしてこのカムラの里に襲いかかってくると予知した。 話だけではピンと来なかったが、大社跡で一部始終を見ていたサイレンススズカから話を聞いたところどうやらアマツマガツチの様な奴が現れた事を理解した。 そしてあんな厄災が里に襲い掛かって来るのかと俺も顔を顰めた。

 

 

古龍クラスがそう安安と里にくるんじゃねぇよ。

 

 

 

「それでアマグモ、今日から回収班戻るの?」

 

「ああ、討伐班のケシキが戻って来たからな。 役1ヶ月程度の討伐班だったが太刀の勘を取り戻すにちょうど良かった。 しばらくは片手剣に戻るだろうけど」

 

「じゃあのんびりと出来そうだね〜」

 

「ハイテンポじゃなくなったのは確かだけど、変わらず高難易度なクエストばかりだぞ」

 

 

 

そんな事を考えてると茶の間にフクズクが飛んできた。

 

腕の上に乗せて巻物を受け取る。

 

そして中身を開封する。

 

 

とんでもない内容が書かれていた。

 

 

 

「セイウンスカイ、冗談抜きでかなりヤバめのクエストが届いた」

 

 

「どうしたの?」

 

 

「詳しい話はギルドマネージャーのところに向かってからだ」

 

 

「……そのレベル??」

 

 

「ああ。 とりあえず行ってくる。 留守番よろしく」

 

 

家を出て集会所に向かう。 今日もウサ団子屋さんでパクパクしてるオグリキャップは相変わらずのご様子。 二人に軽く挨拶しつつカムラの里のギルドマネージャーの元まで向かった。

 

すると珍しくテツカブラの幼体から降りたギルドマネージャーは俺が来る事をわかっていたかのように待ち構えていた。

 

そして話を伺う。

 

クエストは武器の回収だ。

 

 

回収班としてのクエストである。

 

それだけなら普通なのだが厄介なことが起きていた。

 

 

 

「水没林のピラミッドに"オオナズチ"?」

 

 

「うむ」

 

 

 

オオナズチとは霞龍の異名を持つ古龍である。

 

ただ古龍と言えども厄災を齎すモンスターの中では比較的大人しめな個体であり、オオナズチを知らないハンターがオオナズチと出会ってもそいつが古龍だとは気づかないくらいである。

 

しかし戦闘能力は非常に高く、オオナズチの吐き出すあらゆるブレスは非常に厄介であり、ほんの少し触れるだけで容易く溶けてしまう溶解液などを吐き出す。 そしてオオナズチと言えばステルス状態が有名だ。 簡単に言えば姿が透明になって消える。 そして背後を取られてしまえば…あと言わずもがな。

 

 

 

「ピラミッドの中にある武器を回収して欲しいゲコ。 ただしオオナズチがピラミッドの周りを彷徨いており近づくことが大変困難ゲコ」

 

 

「彷徨う? オオナズチは縄張りを作る生き物とは聞いたこと無いですね。 古龍である事も合わせてステルスの能力を持つ故に外敵から襲われない生き物ですよ? 襲うにも難しい」

 

 

「だがオオナズチはピラミッドに張り付いてるゲコ。 しかし理由は把握してる。 なんとも報告によればピラミッドの中にある武器を狙ってる様じゃの」

 

 

「狙ってる? …それよりもどのようにピラミッドの中に武器が?」

 

 

「まずオオナズチの討伐に向かったハンターが戦って負けたゲコ。 そのハンターはピラミッドの中に撤退したが治療間に合わずそのまま息絶えたこと。 そのハンターのオトモから報告を受けたゲコ。 するとオオナズチはハンターの持っていた武器が気になるのかそれを舌で伸ばして取ろうとしている話まで聞いたゲコ」

 

 

「武器が気になる? もしやレイトウカジキマグロでも抱えていたとかですか?」

 

 

「オオナズチ相手にそんな武器を抱えるハンターはまずいないゲコ。 もちろんそのハンターも古龍を討伐するための武器を抱えていた。 その武器とは大剣"エピタフブレード"と言われる古代の代物ゲコ。 何やらオオナズチはその武器に惹かれているようじゃ」

 

 

「なるほどです。 それで、俺がエピタフプレートを回収するって事ですか? 」

 

 

「ゲコ」

 

 

 

いや、ゲコ(はい)って言われても。

 

 

しかし古龍か…

 

もしこれが討伐に迎えと言うならハンターランクが足りなくてそのクエストを受ける以前の話になるが回収班となるとそこら辺は関係ない。

 

武器回収も採取クエストの様な感覚なのでそこに強力なモンスターが居ようともあまり関係ない。

 

ただし古龍となると流石に腕前の良いハンターを向かわせたい判断だろう。

 

俺がギルドマネージャーならそう考える。

 

そして俺に白羽の矢が立った訳だ。

 

緊急クエストと言う形で。

 

 

 

「アマグモ、行ってくれるか?」

 

 

「わかりました、向かいます」

 

 

「ゲコゲコ! ではアマグモに緊急クエストとして受けてもらうゲコ!」

 

 

 

これ以上オオナズチの討伐などに向かわせて犠牲者を増やすのも不味い。

 

早々に武器を回収してオオナズチを散らさないとならないだろう。

 

 

 

一応太刀も持っていくか。

 

万が一の事も考えて帰宅した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして水没林までやってきた。

 

小型モンスターも含めてあまり気配がない。

 

古龍がいることでよくある現象だ。

 

邪魔者が居ないのは助かるが嫌な緊張感が漂う。

 

 

 

「セイウンスカイあまり無理するなよ。 水没林は足場が悪すぎる」

 

「大丈夫だよ、行こうアマグモ」

 

 

 

ハルウララやエルコンドルパサーなら水没林の様な足場の悪いところでも軽やかに駆けるだろうがセイウンスカイはそうじゃない。 本来の半分程度の力しか発揮できない上に怪我をしやすい。 それでもハンターより早く駆けることは出来るだろうが適正力の低さ故にスタミナの消費は早いはずだ。 それでも彼女は長距離向きの力を持ってため持久戦には強い。 ただし爆発力は無い。 しかもそのお相手がオオナズチとなると油断も隙もない。 慎重に進めないと俺もまとめてお陀仏だ。 オオナズチの胃袋に収まってやるつもりはない。

 

 

エリア8の高台までやってきた。

 

 

 

「隠れろ、居た」

 

 

「え? どこ?……あ、もしかしてあれ?」

 

 

「少し見えるだろ? 半端に姿が消えているが…なるほど、角を折っているな。 これはありがたい」

 

 

「角? どう言うこと?」

 

 

「古龍は自然の災害を意味する。 自然災害すら起こせるほどの莫大な力を持ち合わせ、それをコントロールする部分は主に角だと言われている。 何せコントロールしないと自分も危ういからな。 だがその角を砕かれると力を半分ほど無くすらしい。 討伐に至らずともそれで助かったハンターの報告も出ている。 ちなみに角を持つ奴らを"ドス古龍"と表現する奴が多い。 オオナズチもその中のモンスターだ」

 

 

「だから半端に消えているんだ」

 

 

「それでも良く観察しないと見えないだろ? アレが完全に姿が見えなかったらどうしようもなかった」

 

 

 

それでもオオナズチの討伐に向かったハンターはそこまで追い詰めたと言うことだ。

 

しかし言い方を帰ればそれだけの腕前があっても倒されてしまう辺りやはりオオナズチは強いと言うことだ。 霞龍の異名をもつ古龍は伊達じゃない。 凶暴な印象を受け辛いその見た目に惑わされるな。

 

 

 

「ここからどうするの?」

 

 

「夜になったら行こう」

 

 

「え? それだと更に見えづらいのでは?」

 

 

「いや、奴は昼だからこそ姿を消している。 だが暗くて見えづらい夜なら消える必要が無くなる。 この予想が正しければ昼間は姿を消して、夜になると力を回復するために能力を使わない筈だ。 一度ベースキャンプに戻るぞ」

 

 

「にゃはっ、了解でーす」

 

 

 

エリア8を後にする。

 

この間に環境生物を集めて対策を練った。

 

古龍相手にどこまで足止めになるかわからない。

 

それでも持てる知識を持ってやるしか無い。

 

俺とセイウンスカイはこの湿地で駆け回る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白い稲妻(イナズマ)がこちらに駆けつけている事を、誰も知らない。

 

 

 

 

 

つづく




久しぶりの更新。
他の小説で虐待してました。
楽しかったんじゃ。

お守りはマチカネフクキタルと鑑定してます。
絶対楽しい。 あとこの子普通に可愛い。 目がしいたけ。

さてアップデート来たのでオオナズチの登場です。
ツノは既に折れているので何とかなりそうだが…
古龍相手に油断は出来ませんね。



白いイナズマ…?

「せや、一体何クロスやと思う?」


モンハンタマモクロス。

「ちょちょちょい! そこ答え言うんか!」




ではまた
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