オトモの枠にウマ娘があるとしたら[凍結]   作:つヴぁるnet

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古龍は自然災害。
人間如きがどうにか出来るはず無いんだヨ??


※7/4 一度消して修正しました。
(なんとか強引に話を繋げれそう)


第18話

月明かりでよく見える闇の中で、雷光虫の群れをエリア8の崖際まで誘導した後、大型の翔蟲を1匹だけ回収して雷光虫を引き寄せるフェロモンを纏わせる。

 

ピラミッドに居座るオオナズチの位置を確認しながら大型の翔蟲を構えて撃ち放った。

 

大型の翔蟲を追いかけるように雷光虫はエリア8からエリア2まで飛び出してオオナズチの方に向かうと。 するとオオナズチは何事かと警戒するがそれが昆虫類だと発覚してからは警戒を解き、寧ろ喜ばしく舌を伸ばす。

 

オオナズチは昆虫類を主食とするため舌が届く範囲に餌が舞い込んできたことに喜んでいた。

 

 

食事を楽しむオオナズチを確認しながら、崖下に身を潜んでいたセイウンスカイが投げナイフを飛ばして雷光虫の群れを刺激する。

 

 

「ギュルルル!?」

 

 

バチバチと激しい閃光がオオナズチの顔を埋め尽くす。

 

そのタイミングで俺は地面に踏ん張らせていた足を解放して、大型の翔蟲から伸ばされる糸に引っ張られて一気にピラミッドへ接近する。

 

目を眩ませるオオナズチの真上を通りピラミッドの入り口まで滑り込んだ。

 

その間にセイウンスカイはエリア1付近まで移動を開始した。 そのエリア1に環境生物である"小泣キジ"を確保しているカゴを茂みから引っ張り出してピラミッドの方に顔を向けると刺激を与える。 すると夜闇の中で「キィー!」と叫び、ピラミッドにいたオオナズチは音を頼りにドシドシと川の中を釣られて進む。

 

セイウンスカイは接近するオオナズチの姿を確認するとすぐに姿を隠して、刃物を構える。

 

オオナズチを攻撃するわけでは無い。

 

エリア2からエリア1に続く道中には、オオナズチの頭上を超える高さに横長く蔦が張られている。 その蔦には生肉が吊るされていた。 その蔦をセイウンスカイはタイミングを測って切り落とした。 オオナズチの周りに蔦ごと生肉がボチャボチャと川の中に沈む。

 

すると川の水面はゴボゴボと激しく波立った。

 

水面は余計に濁り出す。

 

次の瞬間無数の魚たちが牙を剥いて飛び出した。 川の中に落ちた生肉を喰らい尽くそうとするピラニアたちが暴れ出したのだ。 そして近くにいたオオナズチを肉と勘違いしている無数のピラニアたちは恐れ知らずにその胴体へかぶりつく。

 

またたくまにピラニアの宴に巻き込まれて慌てるオオナズチ。 伸ばした舌に運悪く噛みつかれたオオナズチは痛みに暴れ出して泥水の中で転倒した。 その隙にセイウンスカイはエリア2まだ駆け出してピラミッドを目指した。

 

 

「キュルルル…ルゥ??」

 

 

しかし、オオナズチの目はセイウンスカイの行先を捉えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「エピタフプレートは……あった!」

 

 

案外近くにあったようだ。

 

何か文字が刻まれた古代の大剣。

 

太刀よりも重たいソレを背負い急いで入口を目指す。

 

入り口を出ると下にはセイウンスカイがいた。

 

遠くにはオオナズチの姿が……

 

 

 

 

「っ、居ない!?」

 

 

作戦ではピラニアたちに食われていた筈だ。

 

しかし…

 

そのピラニア達も宴が終わったのか水面は静かだ。

 

 

 

 

ぴちぴちぴちぴちぴちぴち

 

 

 

「!!」

 

 

 

中に浮く魚の姿。

 

何かに必死にかぶりつく様に暴れる。

 

ぴちぴちと暴れるピラニアは何もないところで上下に揺れる。

 

すると風圧でピラニアは落とされた。

 

 

 

__背筋が凍る。

 

ヒリヒリと震える頬。

 

そこにいると警告した。

 

 

 

「ギュルルルエエエ!!!」

 

 

「ッッ!!?」

 

 

 

オオナズチは姿を見せると舌を伸ばして攻撃してきた。

 

半端なステルス状態だった事もあり視認してからの回避はなんとか間に合った。

 

セイウンスカイも気づかなかったのか一瞬だけ後方を見る。

 

抜け出していた事に気づかなかった様だ。

 

オオナズチの気味悪い声を聞いて再びこちらを見る。

 

 

 

「甘かった……!」

 

 

このオオナズチ、かなり強い個体だ。

 

恐らく閃光玉に対してもめっぽう強いはず!

 

古くなった傷の数も見てハンターとの戦闘経験が豊富なことが伺える。

 

 

そして罠に対しても当然の様に強い。

 

そして古龍は"罠"を避ける能力が非常に高い。

 

これは昔から言われている。

 

古龍は自然と災害を意味する。

 

なら自然から編み出された害(罠)には強いと言うこと。

 

これが古龍の強さだとばかりに知らしめてくれた。

 

 

 

「!」

 

 

 

オオナズチの喉がグルグルとゴボゴボと音がなり、何が喉から湧き上がる。

 

俺は即座にその場を飛んだ。

 

エピタフプレートを抱えたまま横に回避するもプシャーと吐かれた霧状のブレスが広範囲に巻かれた。

 

 

「ん"ァ…!? 、!?! が…!!?」

 

 

 

やばい。

 

右目も合わせて色々とやられた。

 

ピラミッドの階段横から高く上から落ちるが腰の翔蟲を受け身に使って地面の激突を回避する。

 

エピタフプレートを手放さなかった俺自身を褒めながら地面を転がって受け身を取るが、立ち眩みにて跪いて地面に崩れ落ちる。

 

 

 

「アマグモ!!」

 

 

セイウンスカイが俺の名を呼びながら必死になって駆け寄ってきた。

 

 

「…!、?」

 

 

 

_隠れてろ!!

 

_何故近くに来たんだ!!

 

 

 

 

声は出なかった。

 

霧状のブレスを浴びて声帯が麻痺を起こしていた。

 

何かを発言する力も無い。

 

更に足元がガクガクと震えていた。

 

毒霧の効果で体の糖分が強制的に乳酸へ換えられてしまった。

そのためひどい疲労状態に堕ちいている。

 

 

 

がぁぁ…だめだ。

 

 

呼吸が荒く、筋肉が言う事を聞かない。

 

 

右目の瞼も上がらない。

 

 

しかも目眩がして、感覚がおかしくなる。

 

 

俺は今は右を向いてるのか?

 

 

それとも左を向いてるのか?

 

 

むしろ前を向けているのか?

 

 

体に触れてるのはセイウンスカイ??

 

 

だめだ、わからない。

 

 

そんな俺を必死に起き上がらせようとするセイウンスカイ。

 

 

だが震える視界と共に生存本能が訴える。

 

 

真上を見るとオオナズチが見下ろしていた。

 

 

ゴボゴボと喉を膨らませるオオナズチの姿を見て一気に危機感が膨れ上がる。

 

 

 

 

__まずい。

 

 

 

俺はエピタフ手放すとセイウンスカイを抱き寄せると彼女の目と鼻を覆い隠し、そして耳すらも腕で押さえる。

 

彼女の呼吸器官から少しでも守れる様に覆い隠した。

 

次の瞬間、オオナズチから大量の毒霧が口から噴射されて俺とセイウンスカイを埋め込む。

 

 

「ァァァ…!? ァァァ…ガァァァ、グェぁ、ぁ、ァグぅ、……ギィぃ!!」

 

 

 

喉が掠れるように悲鳴をあげる。

 

セイウンスカイはその様子に見上げてしまいそうになるが、それを強引に押さえて俺は懐から生命の粉塵を取り出した。 歯で砕いてセイウンスカイを中心に2本3本と絶やさず生命の粉塵を振りまいた。 手の感覚は無い。 しっかり振りまけているのか? でも体だけは何をすべきか理解している。

 

そうして毒霧に侵されて意識が飛びそうになりながらも必死に毒霧に耐えた。 消臭玉を踏みつけて俺とセイウンスカイの立っている空間だけの毒霧を払う。

 

セイウンスカイだけは……

 

なんとしてでも…!

 

 

「___」

 

 

 

毒霧が落ち着く。

 

ブレス攻撃は終わったのか?

 

声帯を奪ったり、持ち物を腐食させる程度の毒霧で良かったが…いや、よく無い。 これが本気の猛毒のブレスだったら溶かされていた。 背筋が寒い。 首の皮膚が爛れて血が溢れているみたいだ。

 

ああ…ダメだ、もう無理だ。

 

体は耐えられなくなり肘から崩れ落ちた。

 

 

 

「___」

 

 

「、、!?、、、!!?」

 

 

「__」

 

 

「!!!、!!!? 、!、!!!!!!」

 

 

 

 

膝から崩れ落ちた俺をセイウンスカイが両肩を押さえて声をかける。

 

 

必死な声なんだろう。

 

 

だけどごめん、上手く聞こえ無い。

 

何も声が出ないんだ。

 

 

酷い表情の彼女が、薄らと見える。

 

 

 

「__げ___ろ」

 

 

 

俺は、震える指を伸ばして、伝える。

 

 

 

 

 

 

_逃げろ

 

 

 

 

 

 

彼女はわかる筈だ。

 

俺が何を言っているのかを。

 

何を言ってるのか理解できてるから…

 

そうしない。

 

 

「ッ!」

 

 

セイウンスカイはオオナズチから守るように俺に覆い被さった。

 

これでは一緒に死んでしまう。

 

そんなの許したく無い。

 

けどそんな力は出ない。

 

セイウンスカイは俺と共にする。

 

 

 

「___」

 

 

 

ハンターならいつ死んでもおかしくない。

 

毎日どこかでハンターは死んでいる。

 

それは俺も例外じゃなく皆と同じだ。

 

今日は俺が選ばれたらしい。

 

ああ、それもそうだ。

 

これは緊急クエストの難易度だ。

 

ギルドからそう下された難しいクエスト。

 

わざわざギルドマネージャーから依頼受けた。

 

それほどの難しさの中で、俺は負けた。

 

古龍の強さに討ち砕かれる。

 

 

 

結果として古龍を相手にどうにかは出来なかった。

 

 

 

ああ、それもそうだ。

 

俺はまた"上位ハンター"だ。

 

【 G級ハンター 】ではない。

 

対古龍(G級ハンター)としての能力が足りなかった。

 

何よりオオナズチの理解が足りなかった。

 

甘かったのだ。

 

飛竜程度のレベルで古龍相手に対策を作ってしまった。

 

もっと対策を練り、もっと良い作戦があるなら、そうすればよかった。

 

 

その結果が………これか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうはさせへんで」

 

 

 

 

白いイナズマが水没林に走る。

 

 

 

あれ…

 

なんだろう…

 

懐かしい…

 

これはどこかで…

 

見たことあるような…

 

 

 

 

 

 

 

「大丈夫ですよ、すぐに助けていい子いい子しますから〜」

 

 

 

 

あれ…

 

そういえば…

 

この声も…

 

どこかで聞いたような…

 

あまり聞こえないけど微かに聞こえる声色。

 

…

 

…

 

 

ああ…

 

そうだ…

 

思い出した…

 

この女性の声は…

 

 

 

 

 

「ヒヒーーン!!!」

 

 

 

 

 

更に幻獣の声がピラミッドの頂上で響き渡る。

 

 

すると雷がオオナズチに降り注いだ。

 

 

雷に打たれて苦しむオオナズチ。

 

 

何もかもが急だが……どこか懐かしい。

 

 

その光景を最後に俺は意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♢

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_ねぇ、もし女の子が産まれたら、あなたのイカス名前を付けて良いかしら?

 

 

_え? それは今の名前をですか? それとも、あの名前でしょうか?

 

 

_その名前に決まってるわよ、お腹のベイビーに付けたいですもの!

 

 

_そうですか。 でもそれは辞めておいた方が良いでしょう。 あの名前は今の元凶ですから。

 

 

_いえ、そんな事ないわ。 皆あなたと気持ちは同じだったのよ。

 

 

_ですが、まだウマ娘と言えなかったその名を背負わせるなど…

 

 

_そう……なら代わりにお願いがあるの。 もし私がダメだったら、このお腹の子をお願いして良いかしら? マブダチの頼みと思って。

 

 

_っ、それは…

 

 

_ふふっ、もしもの時よ。 だからその時は、お願い。

 

 

_っ…わかりました。 友達のお願いです。 特別ですからね?

 

 

_ふふっ、ありがとう。 ほらほら、あなたはまだまだキューティクルでファインなんだから、おセンチな顔はノンノンよ、たづな。

 

 

 

 

この光景は、なんだろうか…

 

記憶に無い。

 

だが二人の女性が友達のように喋っている。

 

大事な約束を交えていた。

 

 

…

 

…

 

…

 

 

 

_ふふ、もうすぐ産まれるわね。

 

_男のかしら?

 

_わたしは男の子が良いわ。

 

_イケイケでナウい子供だと嬉しいわ。

 

 

 

女性だ。

 

お腹を膨らませて布団の中だ。

 

 

 

_ああ、それは喜ばしい事だ…が。

 

_出来ればこの役割を引き継がせたくは無い。

 

_産まれる子は無縁を送って欲しかった。

 

 

 

男性だ。

 

隣に座って手を握っている。

 

 

 

_そうね、出来ればそれを望みたい。

 

_使命に囚われずに生きて欲しい…

 

_でも、もし、産まれるこの子が…

 

_私達の" 業 "を終わらせてくれるなら…

 

 

 

女性は複雑そうに悲しく笑う。

 

 

 

_男なら指導者、女なら秘境の長。

 

_どちらも重たい役割を背負わせてしまうな。

 

_だから…わたしにはこんな考えがあるんだ。

 

 

 

男性は提案して、女性は首を傾げる。

 

 

 

_子が産まれたら三人で秘境を出ないか?

 

_秘境の外に出て無縁に生きるんだ。

 

_一族の役目も、種族の役割も捨てるんだ。

 

_そうして遠くで生きていこう。

 

 

 

女性はその言葉を聞いてしばらく考える。

 

しかし女性は笑って、首を横に振った。

 

 

 

_それも一つのターフかもしれない。

 

_でも、誰かが駆け切らないと終わらない。

 

_"馬人族"の…痛みを忘れる事は無い。

 

 

 

よく見たら、その女性は人間じゃない。

 

頭の上に耳を生やしている。 尻尾もある。

 

 

 

_なら、約束してくれ。

 

_産んだ後も最後まで一緒に生きていこうと。

 

_そして三人で終わらせて幸せに暮らそう。

 

 

 

男性は女性の手を握って懇願する。

 

女性は男性の額に口づけして応える。

 

これが種族を超えた愛だろう。

 

なんとも素敵だ。

 

俺もこんなことが出来るかな?

 

青雲のような彼女と共に…

 

 

 

…

 

 

…

 

 

…

 

 

 

それから子は産まれた。

 

あまり産声を上げない男の子だった。

 

夫婦の愛情の結晶だ。

 

 

 

だが…

 

女性は産まれた男の子の顔を見る。

 

頬を撫でて柔らかく笑い…

 

その手は力なく落ちる。

 

女性は力尽きた。

 

 

 

_何故死んだ…?

 

_子を残して何故死んだのだ!!

 

_あなたが生きてなければ意味がないのに!!

 

_三女神はどうしてこんなにも残酷を強いる!?

 

_貴様らが! 貴様らがァァァ!!

 

 

 

男は赤子の代わりに悲しみに泣き叫ぶ。

 

怒りに飲まれた男は幻獣に姿を変えた。

 

大きな雷が落ちて、光が広がった。

 

そして、男…だったその獣は走り去った。

 

泣きもしない赤子を一人残して…

 

 

 

_何故、こんな残酷な事をしたのです?

 

_ノーザンテースト、応えたつもりなのですか?

 

_そう、なら、良いです。

 

_わたしは、友達の約束を果たします。

 

_代わりにこの子を…

 

 

 

 

赤子は泣かない。

 

代わりに空が泣き始める。

 

女性は緑色の帽子を取って耳が飛び出る。

 

その緑色の帽子を赤子に被せて、空を見る。

 

雨雲の流す涙は赤子を濡らさぬよう、守った。

 

 

 

…

 

 

 

…

 

 

 

…

 

 

 

…

 

 

 

…

 

 

 

…

 

 

 

 

 

嗅覚は…正常。

 

 

感覚は……正常。

 

 

痛覚も………正常。

 

 

味覚も、視覚も、聴覚も……正常だ。

 

 

右を見る。

 

左を見る。

 

 

完全に目を覚ました。

 

 

 

「……知らない天井」

 

 

「当たり前や。 兄ちゃんはここは初めてやか…いや、ちと違うか」

 

 

 

声に気づいて横を見ると青い鉢巻の子供…

 

いや、芦毛のウマ娘が一人いた。

 

 

 

「あ、言いたいことはわかるで? やけんウチが色々と説明するわ。 けどいっぺんしか言わんからよく聞いてや?」

 

 

「……え?」

 

 

 

なんとか声を出して反応できた。

 

こちらの応答を無視して語り出す。

 

しかし俺自身は落ち着いているため、ややマシンガントークな彼女の言葉は追いついた。

 

 

まずこの子はタマモクロスという名前らしい。

 

白いイナズマの異名を持つウマ娘だと自慢を受けた。

 

それでタマモクロスを筆頭に俺達はオオナズチから助けられたらしい。 オオナズチは撃退して水没林からとある場所まで移動した。 セイウンスカイも無事で今は外にいるとか。 あとエピタフプレートも回収してくれたようだ。

 

それから俺は治療を受けて2日ほど目を覚さなかった。 本当はもっと眠りついてると思ったらしいがタマモクロスが様子を見に来たタイミングで俺は丁度目覚めたらしい。

 

 

 

「この場所って…?」

 

 

「簡単に言えばウマ娘が住む場所やな」

 

 

「………はい?」

 

 

「なんや? 聞こえんかったんか?」

 

 

「いや、聞こえたが……それ本気か?」

 

 

「本気やで」

 

 

 

俺は体を起こしてベッドから立ち上がる。

 

そんなタマモクロスは静かに見守っていた。

 

 

「…」

 

 

 

外が見える窓に近づき、外を見渡す。

 

日差しが少しだけ眩しいが…

 

だんだんと視界が慣れる。

 

 

 

 

そして、そこには…

 

 

 

ウマ娘がたくさんいた。

 

 

 

 

「………なぁ、ココはもしかして」

 

 

「兄ちゃんの想像通りやで。 本当は三女神がお認めにならん人間を入れることは許されとらんで。 けど兄ちゃんは許されてるから連れて来れてんな」

 

 

「どういうことだ? 三女神? お認め?」

 

 

「あー、なんちゅうか…あれや。 ココのリーダー的なもんでな? 認可されん人間は招いたらあかんねん。 しかし兄ちゃんは三女神から認められてるから連れて来れたんよ。 あれや、VIPってやつやな」

 

 

「わお」

 

 

 

それから歩けることがわかるとタマモクロスから外に出て良いと許可を貰い外に出た。

 

 

 

「空気が綺麗だ」

 

 

 

緑が生い茂る草原。

 

澄んだ空気は肺を元気にする。

 

周りを見渡せば高く聳え立つ山々で囲われていた。

 

決して広いと言えないが百人程度のウマ娘が住むに充分な場所だ。

 

そこまで広い場所じゃないがゆっくりと住まうには不自由ではない。 駆けることが好きなウマ娘からしたら物足りるかわからないが、立地からして少しだけ標高が高いところだろう。 少し肌寒さもあるが慣れればむしろ過ごしやすい。

 

まるで山の中にある"秘境"のようだ。

 

そして…

 

 

 

「あれが三女神か?」

 

「せやで。 湧き出る泉のど真ん中にある三つの女神像がそうや。 あとお水が美味しいで」

 

「みたいだな。 みんな肌が綺麗だからそういうことだろう」

 

「ほー? そういう見方があるんやな。 確かに兄ちゃんは"ソレ"やな。 よく見えとる」

 

「?」

 

「なんでもない。 それで_」

 

 

 

「アマグモー!」

 

 

 

聴きなれた愛しい声が聞こえる。

 

振り返ると星雲の香りがする彼女に抱きしめられた。

 

そのままウマ娘パワーで押し倒される。

 

 

 

「セイウンスカイ、無事だったか」

 

「っ、本当に心配だったんだから!」

 

「そうだな……互いに、危険だったな」

 

「っ、ほんと…う、だよ。 だって…あんなに危険なモンスターだって思わなかった。 あんなに恐ろしいモンスターって考えてなかった。 いつも通りに上手くいって、それで無事に終えてカムラの里に帰れると思ってた……でも、けど…」

 

「…ああ、俺もそう思ってた。 でもさ、あれが古龍なんだよ。 だから考えが甘かった。 その上で足りなかった。 俺の失態だ。 死んでもおかしくなかった。 俺はセイウンスカイと死んでしまいそうになった」

 

「わたし、すごく怖かったんだから。 アマグモが、オオナズチから、吐き出される毒霧こら守ってくれたけど、でもすごく怖かったんだから。 本当に……ぅ、ぅぅ」

 

「…」

 

 

 

耳も尻尾も恐怖に震えるセイウンスカイを抱きしめる。

 

頭を撫でながら「ありがとう」と声をかけて落ち着かせる。

 

しばらくそれを続けた。

 

 

取り残されていたタマモクロスは空気を読む様に離れていた。

 

時折チラチラとこちらを見てタイミングを伺っている。

 

めちゃくちゃ空気読める子だな。

 

 

とりあえず俺はセイウンスカイを抱きしめながら起き上がると……寝息を立てていた。

 

 

 

「え?」

 

 

「兄ちゃんのその子、実はウチが来るまでは近くにいて寝てなかったんやで? ずっと起きて近くにいたんや。 それで飯も食わず水分も取らんから危ない思うて一度追い出したんよ。 一度飲み物でも飲んでこいってな。 そのタイミングで兄ちゃん起きたんや」

 

 

「そうなのか。 セイウンスカイ…」

 

 

 

俺は今一度彼女を抱きしめる。

 

もう一度「ありがとう」と言って頭を撫でた。

 

すると強張っていた表情は完全に緩んで、握りしめいた手は重力にしたがて垂れ下がる。

 

お姫様抱っこで抱えてタマモクロスに「どこかに寝かせれるところはないか?」と尋ねた。

 

とりあえず俺が寝ていたベッドに運ぶことにした。

 

 

 

「随分と好かれ…いや、愛されとるな。 なんならうまぴょいしたんか?」

 

 

「!? ………わかるのか?」

 

 

「わかるで。 どことなく匂いで」

 

 

「もしかして、みんなもそれわかる感じ…?」

 

 

「勘のいいウマ娘はら大体はわかるで」

 

 

 

だからマチカネフクキタルは安産のお守り渡してきたのか。

 

てかアイツ勘が良いウマ娘系なのか?

 

なんか少しイラっとするのは気のせいだとしよう。

 

お守りはありがたく受け取るけど。

 

 

 

「ほんで兄(あん)ちゃん。 本題なんやけどな、ウチらは兄ちゃんを探してここに連れてきたんや」

 

 

「そうなのか?」

 

 

「せやで。 古龍に襲われとったのは驚いたけど"長(おさ)"が冷静なところを見る限りやとどうやら分かって感じやけど…まぁええわ。 とりあえず起きて早々に悪いけど兄ちゃんに頼みがあんねん」

 

 

「頼みか?」

 

 

「せや。 ま、その、前に…」

 

 

「?」

 

 

「なんか食べんか? 2日ほど寝とたんや、腹減っとるやろ? 兄ちゃんはハンターやからな」

 

 

「!」

 

 

「付いてきぃ、丁度クリークが作ってくれとる」

 

 

 

俺はタマモクロスの後ろ歩く。

 

 

周りを見る。

 

 

ウマ娘が風と共に駆けて……それを眺める。

 

 

 

「なぁタマモクロス」

 

 

「なんや?」

 

 

 

俺にとってただの疑問点をぶつけたに過ぎない。

 

 

だがそれを聞くには軽率だったかもしれない。

 

 

 

「ここはウマ娘以外に" 人間 "は居なないのか?」

 

 

「……」

 

 

 

重たい沈黙がタマモクロスの背中に映る。

 

軽率な疑問だったのかと考えたが…

 

 

 

「おらんで。 普通の人間は一人もおらん。 何せここはウマ娘だけの秘境やからな」

 

 

「……」

 

 

 

彼女は応えてくれた。

 

 

秘境には穏やかな風が流れていた。

 

 

いまは重たい空気だけが流れている。

 

 

柔らかく頬を撫でるこの場所は平和だが…

 

 

ザラつくような気味悪さが背筋を撫でた。

 

 

 

「なあ兄ちゃん。 この風景を見て覚えとらんか?」

 

 

「覚え……? いや、俺はここに来るの初めてじゃ無いのか??」

 

 

 

タマモクロスは「そうか」と頷く。

 

彼女は俺に何か隠しているのだろうか?

 

 

 

「どうしたんだ?」

 

 

「ほなら、聞くけど…」

 

 

 

芦毛の彼女はこう言った。

 

 

 

 

 

「兄ちゃんがこの秘境で産まれたこと覚えとらんか??」

 

 

 

 

 

 

目を見開く他なかった。

 

 

 

つづく

 





本音を言えば、必要な設定なのかも怪しい。
ここまで風呂敷を広めるつもりは無かったんだけど、やっちまったものは仕方ないので頑張る。

ではまた
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