オトモの枠にウマ娘があるとしたら[凍結] 作:つヴぁるnet
更新速度が戻ってきたァー!(直前加速)
「おお、これは高いですねぇ〜」
「まさに青い空のようにセイウンスカイだな」
「にゃは、これはもう私の世界だね」
「無茶言うなって」
オデッセイブレイドは装備したままエピタフプレートは壁にかけて、適当な樽箱の上に座る。
そして先程テイクアウトしたチーズフォンデュを食べているところだ。
「でもでも! テイクアウトと言えばマヤの十八番だよ!」
「ええ?」
テイクアウトしたチーズフォンデュを食べてると一人のウマ娘が割り込んで来た。
オレンジ色の髪が風にあおられて靡かすウマ娘。
「ありゃ? マヤノの場合テイクオフじゃないのですか?」
「ふっふっふ! セイちゃん、大人の女性になるにはテイクアウトされる女性になる必要もあるから、マヤちん的にはどっちもアリなんだよ! あ、でもでも、もうトレーナーちゃんにテイクアウトされてるから大人の階段は登ったんだよマヤは!」
「ほぉ? 大人の階段ねぇ…? じゃあ、マヤノは君のトレーナーとうまぴょいしたのかな?」
「…ほぇ?」
あ、これはあかんやつや。
「う、うまぴょい…って、あの、うま、ぴょい?」
「うまぴょいと言ったらうまぴょいだねぇ。 オグリさんの美味ぴょいとは別物。 夜食われる奴ですよ」
「う、うま、うまぴょ…い!? ええと! え!? ええ! そ、それって、ト、トレーナーちゃんと!? 私がうまぴょい!? あ、あわわわわ!」
「にゃは、マヤノには刺激が強かったかな?」
余裕面が一気に崩れるマヤノトップガン。
同じ逃げウマ娘でも今回はセイウンスカイに勝てなかったようだ。
「ちなみに私はうまぴょい済みだよ」
「えー!?私と同じ逃げウマなのに!!」
「セイちゃんは一足先に逃げさせて頂きました」
「うわー!
「おいおいおい!待て待て待て! テイクオフうまぴょいってなんだ!? あとマヤノトップガン、うまぴょいするのは勝手だがここでするな!」
「あ、うまぴょいは許すんだ…」
やや呆れながらもそのまま勝手に俺の膝を枕にして寝転び始めたセイウンスカイをよそに、空の上でテンション高いマヤノトップガンの暴走を落ち着かせる。
てか、うまぴょいってやはりそう意味なのかやっぱり? もっと健全かと思ってたんだが…
「…」
さて、一度現状確認だ。
俺たちは今日の早朝に秘境を出た。
早起きしたタマモクロスやスーパークリークに見送られながらキリンの姿になったやよいの背中に乗せてもらい、エピタフプレートはセイウンスカイが背負うと一気にベルナ村まで進んだ。
秘境からベルナ村まで距離はあるが人間が住まう集落自体はベルナ村の方がまだ近いのでそこまで案内してもらった。
あとなんだかんだで秘境の環境ってベルナ村と似ていたように感じたが、山岳とか草原とか地形の関係上でベルナ村がそれに近いらしい。
あとやよいもベルナ村には何度か足を運んだことがあるようだ。 秘境にもあったがシチューやチーズフォンデュはベルナ村からレシピを持ち込んだらしい。 料理の得意タマモクロスとスーパークリークがしっかり再現したとか。
ちなみにベルナ村を選んだ理由は、秘境から近いから向かったのではなく、その村には飛行艇があるからだ。 そこからユクモ村まで飛ぶ予定である。 本当は前までユクモ村に続く空路はなかったらしいが、ユクモ村の環境が落ち着いたのか空路や船便が開通したようだ。 是非活用しようと思ったまでなので、ユクモ村に到着したら荷車なり何なりでカムラの里に戻る流れだ。
さすが最前線を行く龍暦院が集う村だ。
移動手段も豊富である。
それで…だ。
隣で大人の女性を夢見るたウマ娘のマヤノトップガンと偶然この便で出会った感じだ。
正直びっくりした。
ちなみにマヤノのハンターは空酔いして倒れていが「そこがトレーナーちゃんの可愛いところ!」と喜んでいた。
俺はそのハンターに少し哀れむ。
「あと…」
「?」
「良く生きてたね、アマグモちゃん」
「! …まぁな。 やはり1週間近く失踪してたから騒ぎになってるか?」
「うん、フクズクちゃんからも生存が確認されないから、中にはアマグモちゃんが死んだんじゃ無いかと思って人もいたみたいだよ。 でもマヤと仲のいいテイオーちゃんが『そんな事はあり得ないよ!』って言ってたからマヤもそうだなって思ってたよ。 あと上位ハンターになったケシキちゃんもアマグモちゃんを信じてたよ。 古龍が相手だろうがあの人はそう簡単に死なないって」
いや、実際に死にそうになってたけどな?
オオナズチが普通にやばかった。
でも俺がこうして生きてるのは体内に幻獣のツノが混じっている事と、この血筋のおかげなんだろう。
あとユクモ村の温泉に毎日入ってたから代謝機能が高まったりと毒に対する体制が異様に付いていた。
それもあるから2年前の薬物依存性からハンターに復帰して打ち勝てた。
その時だけ一族だったことをありがたく思う。
でもオオナズチの毒霧の直撃は本当にダメ。
普通なら肉が溶けて声を発するもなく死んでる。
今も良くあの攻撃から生きていたと思う。
「とりあえず無事である事は顔を出す事で知らせるよ」
「うん、それが良いと思うよ! …あ、でも、マヤの予想ではアマグモちゃんが里に戻ってからまず最初に__」
「あー、やめとく。 マヤノの予想は当たるから」
帰ったら絶対面倒なことになるだろう。
まあ、クエスト中の相手が相手だ。
死んでてもおかしくないだろうクエストから人が生きて帰ってきたら騒ぎにはなるのは想像に容易い。
カムラの里に帰ったら確実に面倒になるだろう事後処理に遠い目をしながら俺は飛行艇に揺られた。
…
…
さて、無事にユクモ村に到着した。
マヤノは空酔いしたハンターを介抱するために一泊すると言って村の奥に消えた。
次は俺とセイウンスカイだが…
「おお! 久しぶりに見る顔じゃないか!」
「アマグモ!? アマグモじゃないか!」
「あら! おかえりなさい!」
「アマグモにいちゃん!」
「あ、セイウンスカイだ!」
「わー! お嫁さんと一緒だよ!」
相変わらずお出迎えがやかましい。
とても嬉しいけど落ち着いて欲しい。
あと沢山の無垢な子供達から揶揄われてしまったセイウンスカイが尻尾ピーンから「無理ィー!」と逃げそうになったけど首袖を捕まえて逃がさないようにした。 そろそろ慣れろって。
「……」
しかしユクモ村では俺が失踪した話は一切出てこなかった。
こちらから尋ねた話ではないがユクモ村の人達からするとアマグモはいつも通りハンターを頑張っている、そんな認識だった。
なので俺自身も村の人たちには「俺実は失踪中」と明かさず隠すことにした。
本当の意味で騒ぎになるから。
つまりギルドは俺の現状をまだ黙認してることになる。
まだ俺が死んだ事は確定ではないからそう簡単に広め無かったと思う。 心配事が広まるからそれで助かったが、あと数日遅かったら話が広まってたかもしれない。 緊急クエストの相手が相手だからな。 死亡率はバカにならない。
とりあえずユクモ村からでも良いのでギルドに顔を出そう。
なんなら伝書鳩飛ばしてカムラの里にいち早く生存を知らせるのも有りだろう。
「お? 久しいな。 相変わらずジンオウガが二枚爪から解放されたような顔してるな」
「どんな顔だよゴールドシップ」
やはりいるよな、コイツ。
秘境の三女神とは別の方向で疲れる存在だ。
「ゴールドシップ! 待ちなさい!」
「お! やべぇ! 110番だな! そんじゃバイビーなワトソンくん! マンドラゴラに三角攻めができるようになったらゴルゴル星の3丁目に案内してやるよ」
「どこだよそれ」
「中村さんが管理してくれてる魔境」
中村さんって誰だよ。
いや、すげーな中村さん。
ゴルゴル星とか絶対魔境なのにその一角の管理任されるとかすげーな中村さん。
あと相変わらず何かやらかしたのかメジロマックイーンに追いかけられていた。
いつも通りで安心したいけど安心したくない。
でも仕方ない。
それがゴールドシップ。
「村長さんいないね」
「集会所かな? 行ってみるか」
セイウンスカイと集会所に向かう。
そこに続く石階段をは久しぶりだ。
その途中でウマ娘達とすれ違う。
メジロライアン、今日も筋肉を虐めようと逆立ちで石階段を降りて行く姿が見られる。
メジロドーベル、やはり異性が苦手なのか目を合わせると慌てたように目を外した。
メジロパーマ、人当たり良さそうに元気よく振る舞いながらこちらに挨拶してきた。
メジロアルダン、令嬢であることを示すように礼儀良くお辞儀してくれた。
やはりユクモ村はメジロが多い。
__メジロが、目白押し……ふふっ。
何故かわからないが、カムラの里にいるとあるウマ娘のやる気が下がった気がした。
まあ、それはそれとして…
「シュンギク、久しぶりー」
「にゃぁ!? アマグモしゃん!?」
「やっほー」
思わずドリンクを落としそうになった俺の元オトモアイルーに苦笑いする。 ドリンクを抱えながら嬉しそう柵まで近づいてきたので軽く会話を挟む。 シュンギクも俺が失踪してた事は聞いてないようだ。 彼にも心配させたくないので俺が緊急クエストでオオナズチに殺されそうになった事は黙っておくことにした。
後で温泉に向かうことをシュンギクに告げてから、ユクモ村の受付まで向かう。
すると既に俺の姿を捉えていたのか、受付嬢のコノハもササユがひどく驚いていた。
「う、うそ…!」
「ア、アマグモ、さん…!?」
「あー、その感じだと二人は俺のことを聞いてる感じか?」
「「!!!」」
二人は揃ってコクコクと必死に頷いで訴える。
やはりギルドではその話が持ちきりになっていたのか。
あと俺自身がユクモ村の専属ハンターなのでユクモ村ではその話がすぐに舞い込んだのだろう。
随分と心配をかけたようだ。
でもそれを裏切るように俺は秘密を抱えてる。
実のところ失踪中にイビルジョーを狩っている。
でも内緒にしておこう。
心配に心配を重ねたくは無いので。
それから俺は足湯から帰ってきたギルドマスターとコンタクトを取り、付き添っていた村長さんにも会って無事を知らせた。
実は少し涙もろい村長さんなので俺の無事を知って泣きそうになっていた。
周りにいた人たちは何事かと騒ぎ出してたので場所を移すことにした。
ギルドマスターと村長さんには傷を癒すためにセイウンスカイと隠れていたことを伝えた。
半分嘘だけど、半分は本当だ。
申し訳ないがウマ娘のいる秘境の話はできない。
「カムラの里に戻るのですね?」
「はい。 戻って顔を出します。 ですが今日はここに泊まります。 温泉が恋しいのであと1日はバチが当たらないと思ってます」
「そうですか。 でしたら少しでも体を癒やして下さいアマグモさん。 この村はあなたの家なのですから」
「村長さん、ありがとうございます」
村長さんの言葉はすごく嬉しかった。
俺の名前と心はこのユクモ村にある。
育ちも、恵も、空気も、この場所からだ。
それを育てて、見守ってくれた村長さんが言ってくれるから俺は有難い気持ちに包まれる。
アマグモはこのユクモ村で生きているんだと。
「セイウンスカイ、村の外に少し出かけるぞ」
「出かける?」
「特産タケノコとサシミウオを使った黄金の釜飯丼、食べたくないか?」
「!!」
尻尾ピーンの彼女を見て予定が決まった。
まだ時間的にお昼過ぎくらいなので今から渓流に向かってタケノコを収穫すればユクモ村に帰ってくる頃は夕方だろう。
「決まりだな。 ならネコタク探して行こう」
「なんならセイちゃんが背負いますとも!」
帰ってきて早々だが自然の恵みを得るために出かけることにした。
それにしてもユクモ村での採取クエストは何年振りだろうか。
村長さんと受付嬢の二人から見送られて俺とセイウンスカイは渓流に向けて足を運んだ。
♢
特産タケコノ狩りを終えたタイミングでペイントボールの香りがした。
あと仄かに何か混ざったような香り…
この渓流に大型モンスターでもいるようだ。
警戒してエリア2まで進むと…
「グルル…」
「え……なんだ、あの赤いアオアシラは…」
「で、でかいね…」
渓流のエリア3で特産タケノコを採取してエリア2に出たところだ。
姿形はアオアシラなんだが赤色に染まった巨体がノシノシと歩いている。
しかし大地を踏みしめるその足の筋肉は通常種よりも発達しており、運動能力の高さが伺える。
まるでウルクススだ。
巨体を弾丸のように飛脚するモンスターなのだが、あの赤いアオアシラもそれと同等の筋力を持ち合わせているように見える。
あと赤い頭が兜のように見えるのも只者ではない証だろうか?
見た目だけでも並じゃないなあのモンスターは、戦闘は避け__
「やっと見つけたぜェェ!
「ターボも一緒だからな!!」
「ふぁ!?」
「うわ!?」
俺とセイウンスカイがこっそり観察していると一人のハンターと、一人のウマ娘が現れた。
そのハンターは俺が良く知る人物で、お得意のスラッシュアックスを構えて紅兜と言われるアオアシラに叫ぶ。
元相棒の"ユタカ"だ。
そして隣にいるウマ娘は"ツインターボ"だ。
目ん玉ギラギラ出走しそうなコンビがエリア2に現れた。
「グォォォオオオ!!」
「「!!」」
なっ、アオアシラがバインドボイスだと!?
「うるぉぉおあアア!!」
「ターボぉぉぉお!!」
しかし赤いアオアシラと対立するユタカとツインターボは闘争心を奮わせるように叫び、バインドボイスに対抗していた。
そんな荒技あるのか…
いや、よくみたらツインターボの首にかけている護石がキラリと光る。
もしかしたら…
「ターボは耳栓のお守りで怖くないもんね!」
「オレは耳栓は無いが…必要ねェ! 声なら声で相殺すりゃ問題ねぇからなァ!」
いやいやいや、その理論は分かるけどモンスター相手にそれはおかしい。
相手は数倍の肺活量を持ち合わせているんだぞ?
いや…
でも、ユタカだからそれは仕方ないか。
納得するしか無い。
「おい!アマグモ! 再開久しいところだがお前が隠れてんのオレは知ってんだ! 巻き込まれない内に退けェ!」
「おっと、バレてたか!」
紅兜もこちらの存在に気づいたようだ。
どうしようか?
一度エリア3まで退くか?
遠回りが面倒だな…
「ユタカ! だったら少し手伝わせろ!」
「あんだとォ? …ならばお前は右からヤレ!」
セイウンスカイに特産タケノコを預けるとオデッセイブレイドを構えながら鉄蟲を上に放って紅兜の真上を取る。
ユタカもそれに合わせてスラッシュアックスを変形させながら斬り込んだ。
紅兜は大腕を振るって迎撃するが、タマミツネの滑液でコーティングされたオデッセイブレイドの盾で滑らせるように受け流す。
そのままオデッセイブレイドを逆手に持って首に突き刺して固定すると翔蟲で紅兜を絡ませて、ユタカが左足を刻んだ。
「グォォォオオオ!?」
「調味料の香りがするなコイツ!」
「3日前に行商人の荷車が襲われてなァ! 赤いアオアシラと言うから討伐に出たらコイツが出てきなァ!」
「それにしてはまともじゃない熊さんだ!」
「ギルド曰く紅兜と言われるらしいぜェ!」
会話を挟みながらも紅兜を攻撃を回避しながら翔蟲での拘束を試みしつつ、その間にユタカが強烈な一撃を与える。
「腕は硬いから頭だァ!」
「いや! 腕は爆ぜる!」
「ンア? 何する気だァ?」
「お手製の鬼火を付与したらユタカは属性解放をぶちこめ! 愉快なことになるぞ」
「鬼火ィ? …ハッ! そりゃ楽しみだァ!」
「グルル!! グオオ__」
「「やかましいィィ!!!」」
「__ゴ、ァ!?」
紅兜がバインドボイスを放つ瞬間に俺とユタカは同時に音爆弾を紅兜の顔に放り込んでキャンセルさせると、俺は走りながらマガイマガドとタマミツネの素材で作り上げた鬼瓶ンをオデッセイブレイドに付与させて、紅兜に飛びかかる。
ユタカは一歩後方に下がると地面に膝をついて腰から砥石を取り出す。
いや、普通の砥石では無い。
あれはクルペッコ亜種が使う"電気石"と合成された特別な砥石だ。
「この瞬間が心躍るんだよなァ!!」
ジンオウガの素材から作られた"王牙剣斧【裂雷】"に向けて打ちつけるように研ぐと、バチバチと雷を弾けさせながらスラッシュアックスが瞬いた。
「このデカ熊ガァ! くらえヤァァァ!!」
ジンオウガのごとく帯電した剣モードのスラッシュアックスを紅兜に突き刺してトリガーを引いた。
轟音を響かせながら放たれた属性解放、それに反応した鬼火が赤と黄と紫色が混じったような爆発を起こす。
紅兜から砕けるような音が響き渡った。
「よし、上手くいった」
「うおおお! こりゃすげぇぇえェェ!!」
「爆破属性に肉質なんて関係ないからな」
「そりゃそうだァ! アッハッハ!」
紅兜はよろけながらエリア6に逃走する。
しかしまだ残っていた滑液に足が囚われたのか坂道を滑らせながら紅兜はズルズルと雪崩れ落ちる。
しかし道を外れて崖から落ちていってしまった。
方向的にエリア5だが正規ルートじゃないな。
「おうおう、なんとも惨めな落ち方だァ」
「でも逃げちまったな」
「別に良いさァ、今日で最後にしてやるからな。 しかし久しぶりだなアマグモ! 元気してたかァ?」
「いや、それが死にそうになってた。 でも悪運が強いのか生きてたよ」
「そうかそうか、そりゃ何よりだァ。 ま、こんな稼業やってりゃいつかパタリと沈むけどなァ」
「違いない」
「セイウンスカイ! 久しいな!」
「やっほ、セカンドターボ。 久しぶりだね?」
「ツインターボ!! ツ・イ・ン !!」
「にゃはは、って…その腰にあるのって?」
「これか? ユタカを助けるためのターボの大事なモノ!」
「!」
紅兜が逃げ落ちた方向を眺めながらユタカと再会を交わす。
成り行きで共闘したが互いに無傷で退けた。
あとユタカからあの紅兜は二つ名のアオアシラだと説明受けた。
渓流にはあんな個体も現れているのか…と、考えていたら。
「アマツマガツチだっけかァ? そいつを撃退してから渓流の環境が落ち着いたが変な奴が現れるようになってなァ、紅兜もその一つだなァ」
「は!? アマツマガツチ撃退したのか!?」
「強かったぜェ! 倒せなかったがなんとか霊廟さら追い払ったからユクモ村近辺の環境は取り戻したァ! メジロ家の令嬢達の支援があってこそだァ!」
「ターボも頑張ったんだぞ!」
「おうよ! 知ってるぜェ! さすが俺の相棒だァ!」
「ふふん!」
あの古龍を撃退したのか。
なるほど、だからベルナ村からユクモ村の航路が安定したのか。
でも撃退と言うことは安全は一時的か。
また現れる可能性もあるのか…
けどユタカなら問題ないだろう。
「とりあえず悪いな、勝手に手助けして」
「構わねェな。 オレとしては先程の爆発と言い面白いモノが見れたから満足だァ! だが、ここからはオレとツインターボでやる。 このクエストはオレ達のだからな」
「そりゃそうだ。 邪魔したな、ユタカ」
「おう、帰り道は気をつけろよォ」
ユタカは別れを告げると紅兜を追いかけた。
ツインターボもユタカを追いかけて後ろ姿を見せるが…
「え??」
まて、見間違いじゃ無いよな?
ツインターボの腰に装備してるの…
もしかして"武器"か?
見たところ、ネコ・パンチの片手剣だが…
気のせいか?
それとも野良のアイルーから回収した物か?
だがツインターボが使うサイズに調整されているように見えるし、そこそこ使い古されたように見える。
「………」
そうか、そうなのか。
ここでも環境は変わっているのか。
わかってるな、ユタカ?
ウマ娘は 応える生き物 だ。
間違えるなよ…
「セイウンスカイ、行くぞ」
「あ、うん…」
俺はユタカを見送りながらセイウンスカイと共にエリア2を抜けてエリア1まで。
水辺で子魚を捕まえようとするガァーグ達を眺めながらベースキャンプまで足を進めた。
「ツインターボ……」
「?」
「あ、いや、なんでも無いですよ? それにしてもまさかアマグモも戦い始めるなんてセイちゃんは驚きですよ」
「え? ああ、ユタカが居たからな。 倒すべきモンスターだと判断した」
「息ぴったりだったね」
「そりゃ、元とは言え相棒してたからな。 動きは互いに熟知してるよ。 率先して動くのはユタカだけど」
「そこにアマグモが合わせるんだね? 息ぴったりなのは見ていて安心するけどセイちゃん的にはちょっと妬いてしまうかなー、なんて」
「相棒はユタカだけど、愛バはセイウンスカイだから」
「うわー、浮気者ー」
「やめい」
そんな彼女に笑いつつ特産タケノコを入れた籠を揺らしながらベースキャンプに到着。
待機していたネコタクのアイルー達に帰ることを伝えると、台車に特産タケノコと俺を乗せてもらう。
セイウンスカイもネコタクに乗れたが…
「ごめん、少し走らせて…」
何か考えるような表情でネコタクと並走していた。
「…」
君もなんだなセイウンスカイ。
ああ、わかってるよ。
ハンターの愛バにした以上はそうなってしまうよな。
いずれはそうなると思ってたさ…
なら…
♢
さて、採取ツアーから帰ると受付嬢とギルドマスターに紅兜アオアシラの話をした。
出かける前に渓流の環境が不安定な事は知らされていたにせよ交戦したことに驚かれた。
しかしユタカと退けた話をすると感心された。
ちなみにユタカに関しては討伐に出て今日で2日目突入らしい。 そうなるとこの夜で倒せなかったら3日目か? ツインターボも良くユタカについて行くものだ、すごいよあの子。
「よし、作る。 セイウンスカイはサシミウオを釣ってきて」
「はーい、セイちゃんが絶対釣ってきますとも」
調理器具を村の人たちが借りた後、オトモ広場の炭を使って釜飯を作り始める。
特産タケコノを適当なサイズに切り、オトモ広場のアイルーから貰った野菜も同じくらいに切る。 購入した米も味付のついた出汁の中でかき混ぜて、食材を放り込み、火を起こす。
釣り糸を垂らしたセイウンスカイがサシミウオを釣り上げたので焼き魚にして釜飯の中にほぐして放り込む。
しばらく待つ。
きゅ、きゅ、きゅ、にゃー!
きゅ、きゅ、きゅ、にゃー!
「え、何その踊り…」
「なんともポカポカしたアイルーだけが住む村があってだな? こんな踊りがあるらしい」
「振り付けがすごく単純…」
「でもこれを気が済むまでやり続ける踊りだとか」
「恥ずかしさより疲れが勝る踊りだね、これ…」
夜ご飯が完成した。
蓋を開ければ黄金色の釜飯が顔を出す。
夕日は落ちていたが釜飯の中にはまだ綺麗なオレンジ色の景色が残っている。
二人で満足の行く晩飯を堪能した。
…
…
さて、ユクモ村と言えば当然ながら…
「いい湯だなぁ…」
「疲れが抜けるぅ」
人が少なくなった時間帯の集会所まで足を運んで温泉に入ることにした。
湯船を掻き分けながら奥まで進む。
湯に浸かりながらユクモ村一帯を見渡せる場所まで腰掛けた。
今日は満月でお星様がよく見える。
「アマグモお疲れ様、今日まで色々大変だったね」
セイウンスカイが湯を掻き分けて近寄ると横に座り、こちらの肩に彼女の頭が乗せられる。
湯によって上がった体温は頬を赤く染めて、むふふ〜ん、と満足そうに声を漏らす。
そのまま耳がてしてしと後頭部に触れるが労っているつもりだろうか? 変に悪戯好きなところがあるから対して意味なく耳で叩いているのだろう。
あとは彼女なりの愛情表現…
またはウマ娘特有の独占欲なのか。
彼女の湿った耳が首筋にピタピタと触れてほんのくすぐったい。
「濃い5日間だった。 色んなことを知り過ぎた。 知らなくても良かったことも含めて」
「わたしにはアマグモの抱える苦労は測れない。 でもアマグモにはあまり使命感とかとらわれないで欲しいと思ってるよ」
「セイウンスカイ?」
「アマグモ、秘境に滞在してる間よく長と話していたでしょ? アマグモのルーツが秘境だと聞いた上に、長と同じ一族だとか言い出した。 長はイビルジョーの討伐だけアマグモに頼ったけど、でもアマグモがそれ以上に、その…変に色々と背負うんじゃないかなって、セイちゃんは思うと言うか何というか…」
「別にそんなつもりは無いよ? 俺は俺であり、ユクモ村のハンターとして振る舞うまで。 一族だとかは関係ない。 けれどやよいの理想は賛同してるし、手伝えるならそうしてあげようとも考えてる」
「長の理想?」
「ウマ娘が人間社会に出て、人々の営みの中で生きていけるようにすること…と、言っても俺がやれる事は百竜夜行を終わらせるだけだ。 俺はハンターだからそれしかやれない。 そこから先はやよいの采配次第だな」
「そっか、安心した」
「ユクモ村からアマグモの名を貰ったこの身はモンスターハンターとして始まった。 そこに全霊を注ぐまで。 だから安心しろ、俺は変わらずだよ」
「うん」
彼女は安心したように声を出しながら頷く。
肩に乗せてきたその頭に手を伸ばして彼女を撫でることで応えた。
湯船で乱れた彼女の髪の毛を指で掬い上げて耳にかけあげればその表情が良く伺える。
まだどことなく幼い顔つきだ。
目の奥は落ち着いてどこかしら達観したよくな眼差しだが、案外負けず嫌いな性格であることを俺は知っている。
「…」
でも俺はセイウンスカイのそれ以上を知った。
そうなった理由をゴールドシチーから聞いた。
彼女は"ハズレ"を引かされた。
原因は俺の父親だが三女神の中に蓄えられた因子が減ってしまったので、三女神はその尻拭いのためにセイウンスカイを選び取り、彼女には充分な因子継承を行わず弱いウマ娘を作り上げた。
誰よりも劣るウマ娘のまま秘境の外に出て百竜夜行に立ち向かわされた。 そうやって死地に向かわされた被害者。
不安で仕方なかった筈だ。
それに俺は覚えている。
初めて会った時の彼女の目を。
諦めを抱いていた…
つもりだった。
諦めきれない自分に苦しんでいた。
虚栄を張って飄々と振る舞う彼女を見た。
でも俺は彼女の強さとか関係なくて、彼女を選びたかった。
あ、この子なんだと。 ただそれだけ。
一目惚れに近いのかもしれない。
でも彼女とならと鼓動はどのウマ娘を選ぶよりも早かったからその手をとって、その脚を頼りにした。
それでもタネを明かせば俺が選んだ中で一番弱いウマ娘だと言うこと。
でも今はどうだ??
彼女は俺の立派な愛バだ。
つい前日までイビルジョーを討伐に漕ぎつけた優秀なウマ娘だ。
弱かったなんて思えない程にその脚は立派だ。
でも彼女をそこまで育てることが出来たのは俺が一族の血筋を引く者だから出来たとでも言うのから。
否、断じて違う。
全力で否定させてもらう。
血筋だとか関係ない。
俺は彼女と二人三脚で踏み締めてきだけだ。
特別なことは何一つ無い。
「セイウンスカイ、のぼせてないか?」
「んん……だぃ、ひょう、ぶ…」
「お眠だな。 そろそろ上がろうか」
「ん…」
本当はもっと湯に浸かっていたいところだが、彼女の事を考えて上がることにした。
本当は彼女だけ先に上がらせたらいいのかもだけどこの時の彼女はなかなか上がらない。
変に聞き分けが悪いというか、子供というか。
甘えん坊と言うにも違うか。
なので俺が上がると言えば彼女もついてくついてくする。
まぁ温泉に関してはユクモ村にまた来ればいいだけの話だ。
彼女を支えながら湯船から立ち上がり、湯をかき分けてその場を後にした。
明日はカムラの里に帰る日だ。
そして
地獄の宴は終幕へと進む。
つづく
さりげない温泉回でしたが、この後マヤノトップガンの予想通りカムラの里に帰ってきたアマグモは大変でした。 でもエピタフプレートはしっかり持ち帰ったので、上位クラスの回収ハンターとしての意地は皆に見せれました。
ユクモ村ハンターのユタカはメジロ家の支援と共にアマツマガツチを撃退して霊峰から追い出しました。 倒せてないのでまた現れますが、この人なら大丈夫でしょう。 セカンドターボ師匠も隣にいるので怖い物なしだ。
メジロマックイーン「かっ飛ばせ! ユタカー!」
ユタカ「とっとと消し飛べやァァァ!!」
アマツマガツチ「ギャース!」
ではまた
ところで【モンハンストーリーズ2】はどうですか?
-
購入した(逃げ)
-
購入予定(先行)
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買わない(差し)
-
お金ない(追い)