オトモの枠にウマ娘があるとしたら[凍結] 作:つヴぁるnet
それでも噛み締めるべきだろう。
《2/1》
あとがきに大事な報告があります。
翡葉の砦ではイブシマキヒコを撃退。
関門前ではヌシ・ジンオウガを討伐。
それぞれ激闘を超えたカムラの里には平穏が訪れた。
しかしあらゆる損傷や損失、また怪我人や死人もゼロではない。
失ったものもある。
取り返せないモノもある。
けれど乗り越えてきた。
だから今あるこの時間を大切にする。
カムラの里は活気を取り戻そうと動き出す。
のちに現れる【雷神】が天から地を見下ろすまで…
あの百竜夜行から2週間が経過した。
「すぅ……すぅ……」
「むにゃ……んんぅ……すぅ…」
一人分の敷布団に二人分…
普段夜寝るときは二人分だが、お昼寝のときは大体一枚だけしか敷くことは無い…と、言うより彼女が一枚しか敷こうとしない。
そもそもお昼寝の際は大体彼女が率先してその時間を作り上げて、俺がそこを一緒にする流れなのだが、これも独占欲と言うべきなのかとても密だ。
拒む気は無い。
まあ、最初の頃からこんな感か。
当時は敷布団じゃなくて座布団を2枚並べて俺は寝ていた。
実のところ俺も昼寝とか好きで、日差しが鬱陶しく無い時間帯に良く昼寝をしていた。 暇なときは体を休める目的も持ち合わせて眠ることは多い。 そこにセイウンスカイが『
俺からなのか、セイウンスカイからなのか、もう覚えてないがごく自然と彼女との時間がグッと増えて、お昼寝こそが彼女との大事なコミニュケーションになっていた。
いつしか百竜夜行が予測された日なんかには、夜に向けて一眠りすることによって心を澄ませ、程よく緊張感を保たせるためにそうしてたが、いつのまにかセイウンスカイが俺と密着する様に眠りつく流れが出来ていた。
ちなみに何故、大事な一戦の前に悠々と一眠りするのか?
これは昂めるためだ。
原理?
これは俺がユクモ村のハンターだからそうしてる。
ユクモ村で育ち、出来上がった体質の関係上そうすることで狩に向けて集中力が高まる。
なんというか精神統一に似たようなモノだ。
この後に握る太刀はまるで"心眼"のように洗礼された太刀筋を作り上げれるようになる。
なんというか、ユクモ村のハンターはユクモ温泉に入ってから狩に向かうことを普通としている。 湯に浸かることで、紅葉のごとく心を落ち着かせ、体の代謝を高めて、呼吸が深くできる体を作り上げる。 これがユクモ村のハンターの特徴だろう。
とある地方ではアイルーキッチンで爆食いする事で体内のエネルギーを満タン以上にしてから狩に向かうハンターもいる。 あのあたりはかなり過酷だからな。 特に雪山や砂漠。 あんな激戦区で戦うためにそれだけのエネルギーを欲するのだろう。
あとベルナ村ではチーズフォンデュを食べることで体内を活性化させて、あらゆる出来事に対して
そしてユクモ村も、ユクモ村のやり方がある。
それは自然の中でエネルギーを得る事。
昼寝でも良い。
入浴でも良い。
食事でも良い。
そうやって狩に向けてコンディションを整える。
俺はユクモ村のハンターだから昼寝でコンディションを整えて、狩に向けて己の戦力を昂めるのだ。
そして、それはセイウンスカイも似たようなもので、彼女も一眠り挟むことで昂める…と、言うのは少しだけちがう。
ただ単に緊張し過ぎないようリラックスするため彼女は一眠り挟む。
これは自分がどうしたら最高の状態にできるかを、自分を理解してるから出来ることだ。
これはセイウンスカイならではだろう。
大したものだと思う。
まあ、そんなわけで俺もセイウンスカイも『一眠り』する事で力を蓄えれるので共に眠る現状が出来上がった…のだが、いつのまにか引っ付いて寝ているようになった。
でもそうなった理由は俺もわかる。
__共にする。
これだけ言葉で色んな意味が含まれている。
とても安心するのだ。 俺も彼女も。
互いに預け合える者がいると言うのはありがたい話。
この戦いは一人じゃ無い。
どんなに不安でも互いがそこ居る。
許し合える程に、心強くて落ち着く。
これを想いながら、俺はセイウンスカイを後ろから抱きしめて、彼女は俺の腕を両腕で抱きしめて、百竜夜行の時が訪れるまで一眠りの中でそうしている。
距離感が近すぎる?
セイウンスカイはあまり気にしなかったし、俺も気にしなかった。
いや、流石にそうして良い相手になるまでの間はもちろんあったけど、遠回しに…まぁ、好き合っていたのかもしれない。 それが百竜夜行に向けて一眠りすることで誤魔化すように触れ合っていただけかもしれない。 互いにそれを言葉に出さないで、良かれと考えて、でも居心地の良さが優ったからその感情は第二になってた。 そうだったかのかもしれない。
その後、ユクモ村の温泉で彼女が独白してからは一気に距離感が縮まって、ユクモ村の宿で過ごす時も並べた敷布団は近くて、カムラの里に帰ってから2回部屋で寝ていた俺の敷布団を、彼女が夜寝る時に使っている茶の間へ勝手に運んで、流されるままにそれから俺はセイウンスカイと夜を過ごすようになった。
あと………うまぴょいもした。
一回以上は。
「むにゃ…むにゃ……ふへへ」
「……」
目が覚めた。
まだ……少し気怠いか。
あ、別に寝過ぎた訳じゃ無い。
あの百竜夜行からしばらくこんな感じだ。
もちろんオン、オフで切り替えれる。 狩に出るときは真剣である。 大自然と言う死にやすい世界だから狩人として慢心は無い。
…とは言うもの、最近の狩猟環境は本当に落ち着いている。
それを証拠に俺よりも狩に出ていたはずのケシキとサイレンススズカの姿をカムラの里でよく見るからだ。 それでこの二人は実のところあまりカムラの里でゆっくりしてこなかったので、最近は里の隅々まで歩いてはゆっくりしてる。
それを見たセイウンスカイはまるで新婚夫婦のような二人だと揶揄う。 新婚夫婦の意味に首をかしげたケシキと、その意味を理解したサイレンススズカは赤面しながら左回りで落ち着かない様子。 どうやら掛かっているようです。 一息つけると良いですが。
そんな平和の一時なのだが、俺のこの気怠さはどうしようもない。
だがこうなった原因は理解している。
それは百竜夜行の時に飲んだ"鬼人薬"と"硬化薬"だ。
そもそもアレは
今考えると翔蟲も使わず、閃光玉も引き出さない、己の腕と太刀一本で戦っていた姿は相当狂っていたと思う。 だがその代償または反動なのか百竜夜行が終えてからはこのだらしない状態。 あの状態から克服したので嘔吐するようなことはもう無いが、体に力が出ない。 必要な時はしっかり働くのだが何も無い日は本当にこの状態が続いている。 それも2週間経った今もまだ続く。
ちなみに最後に狩に出たのは5日前で、それもカムラの里に近づき過ぎたオサイズチの討伐。 下位クラスがやるようなクエストだった。 それでもその時はしっかり体が動いてたが、ギルドに報告してから家に帰ると玄関前で力が一気に抜け落ちてしまう。 気怠さと同時に襲いかかる眠気と立ち向かいながら風呂場に入り、無気力状態な俺のあたまゴシゴシしてくれるセイウンスカイ。 気持ちよくてそのまま寝てしまいそうになる。
湯船の中では彼女専用の背もたれにされていて、俺は白目剥くようになすがまま。 もうこの時点で半分ほど寝てる。 ただ湯船で寝てしまうのは自殺行為なのでセイウンスカイが耳でテシテシと頬を叩いて眠ってしまわないようにしてくれる。 こちらの指にしゃぶりついたり、ペロペロと舐めて起こそうとしたりする。
普通に起こしてくれ…
頑張って目を覚ましながら湯から上がるとそのまま彼女は率先して夜ご飯を作ってくれる。 すごく助かってる。 出される料理は普通に美味しい。 ただし淹れるお茶はかなり渋い。 卒なくこなす彼女もこれだけは不器用だ。 そんなところはかわいいと思う。
それから軽く一眠り。
一枚だけの敷布団に転ばされると真正面から抱きしめられ、あたまを撫で撫でされながら彼女の胸の中で泥のように眠る。
当時はこのくらいひどかった。
今はなんとかマシになったが、この気怠さはしばらく取り除かれないだろう。
出来ればグレートは飲みたく無い。
ヌシ・ジンオウガと一騎打ちのような現状下に落とされるまではそれ以外でなんとかする。
そう決めた2週間目。
カムラの里はとても平和です。
「……? ………まだ夕方前か…」
「すぅ……すぅ……」
俺の愛バは気持ちよく眠っている。
そろそろお茶の時間にしようと思い、ウサ団子を買いに向かおうと軽く支度する。
セイウンスカイに「少し行ってくる」と一声だけ残す。 すると彼女は眠ったまま片耳をピン伸ばしてフニャフニャと横に動いて、また沈む。
彼女なりの「いってらっしゃい」である。
掛け布団をかけ直してあげてから外に出て、活気の良い道に出る。
周りを見渡す。
元気な里人達、そしてウマ娘で沢山だ。
たらら場前の長椅子に腰を落としたヒノエとスペシャルウィーク、セイハクくんとコツミちゃんの四人がお団子を食べている。 特に前者二人の食べる量はおかしいがアレでデフォルトなのでなんとも言えない。 あと食べているのはにんじんのウサ団子。 ウマ娘達の要望で真っ先にヨモギが開発したのを思い出した。 もちろんセイウンスカイも好物であり、いまからそれを買ってくるところ。
道に出ればアイルーと共に米俵を運ぶお手伝いをしているニシノフラワーとサクラバクシンオーの姿が横切る。 2週間前の百竜夜行であれだけ走ったサクラバクシンオーなのだが元気すぎる。 いまも「安全に気を遣ってバクシン!」と言っていたが、驀進したら安全じゃ無いと思うのだが? それとは正反対にお淑やかなニシノフラワーなのだが、あの小柄で軽々と米俵を持ち上げるからやはりウマ娘パワーには勝てないと再確認する。 彼女達が温厚な種族で良かった。
広場では子供達と一緒に遊ぶウマ娘は気合い充分良い顔してますウイニングチケットと、計算の元で誰よりも長くコマを回すビワハヤヒデと、やれやれ気味に遊んであげるナリタタイシンの三人。 関門前の内周コースで長距離の適正あるこの三人には大変助けられた。
あと鬼ごっこで遊んであげるマチカネタンホイザーとナイスネイチャにライスシャワーは手加減していると思うが元気溢れる子供の足に結構苦戦している。 ただしトウカイテイオーとエルコンドルパサーは本気で大人気ない。 見守っているグラスワンダーだが、その二人に対する視線がほんの少し怖いデース。
さらにその近くでは今日も演劇をお披露目するテイエムオペラオーとスマートファルコンの二人、ハルウララは子供達と一緒に座って楽しそうに眺めている。 木の役割でボーとしているミホノブルボンと、心を無にして木笛で演奏を挟むアドマイヤベガに「救いは無いんですか?」とか弱い村人の役割をするメイショウドトウ。 ここは他とは違う不思議な空間が広がっていた。 楽しそうでなにより。
定食屋では遠目にその演劇を眺めながらケシキとサイレンススズカがお茶をしていた。 こっそりとケシキの腰に尻尾が絡みついてる辺りスズカはもう間違いないだろう。 お似合いだと思う。 あとどこからか「おひょ!尊いッ!」と喉と胸を押さえて苦しんでいる。 どのウマ娘とは言わないが一人百竜夜行状態していた。 知らない人が見たら恐怖だよアレは。
あと他にもラフな格好をしたハンター達と、そこに随従するウマ娘が多く、それぞれ会話を弾ませていた。 やはり俺と同じで他のハンター達もクエストが無いみたいだ。 今は花札で賭け事をしながら遊んでおり、ウマ娘もそこに混じっている。 今のところナカヤマフェスタとマヤノトップガンが優勢らしい。 やはり運や勘を絡ませると強いなこの二人。 なのにマチカネフクキタルは弱い。 再び負けた辺りで「7枠7番7人目に座らせてください!」と必死になってる。 それ変わるのか現状?
ちなみにクエストはゼロという訳でもない。
例えば納品クエストが存在する。
砂漠では三つ星サボテン、寒冷群島ではセンテイカキなど、素材や資材を集めれる探索ツアーと言う形でクエストは受けることができる。
もちろんあの辺りは普通にモンスターが彷徨いてるので素材を売るために狩に出たりもできる。
モルモットとアグネスタキオンがイソネミクニの討伐ついでに「ウミウシの光を再確認する」とか言ってまた寒冷群島に向かっていたのを思い出した。
クエストじゃないけれど、武器を握って狩に出ている者はもちろんいると言う事だ。
まあ、それでも比較的平和である。
それらが、そこら中に訪れている話。
そろそろ抜け落ちてもいいだろうこの気怠さを引きずりながらも、この時間を噛み締めるのも良いが、そろそろセイウンスカイが小腹すかせて起きてくるだろう。
ウサ団子を持ち帰らないとならない。
もちろん向かった先のウサ団子屋さんには…
「オグリ、相変わらずだな」
「アマグモか。 ウサ団子が美味しいのが悪い」
「むっふふ! 当然美味しく作ってるからね!」
満足そうなオグリキャップとお盆を持ちながらドヤ顔のヨモギちゃん。 この二人が一緒にいるところはもう見慣れたレベルだ。 別にオグリキャップはヨモギちゃんのお供でいる訳でもなく、トレーナーとして慕うわけでも無く、ただ単にウサ団子が好きでオグリキャップは毎日のようにここにいる。
ちなみにオグリキャップのトレーナーはいない。 彼女は基本的に一人だけであり、百竜夜行の際はバサルモス装備の狩猟笛ハンターに同行している。 そんな狩猟笛ハンターはオトモを雇わない気分屋であり、他のグループに一時的に加入したり転々としている。 ならオグリキャップはどうなのかと言うと、彼女自身あまりクエストに出ない。 里の中でいろんな手伝いをしている珍しいウマ娘だ。
まあそもそも、ウマ娘全員が自分のトレーナーとなる者を見つけてる訳でもなく、単独で動くウマ娘も少数ながら存在する。 オグリキャップがその一人だ。 しかし彼女程の力があるならベテランハンターのお供として助けにはなれるだろうにそうしないのは不思議だった。 特に誰とも上手くいかないとかそんなことなく、彼女自身とても素直なウマ娘だ。 腹ペコ属性とやや世間知らずな部分が愛嬌だとしたら特に問題なく一緒に行動しやすいウマ娘だと思うのだが、頑なにそうしないのは恐らく…
「アマグモさん! お茶です! あとごめんね! いまおもち叩いてるところだから完成まで少しだけ待っててね!」
「大丈夫だよ、ありがとう。 出来立てとして頂きます」
ヨモギちゃんは持ち場に戻るとお餅を作り始める。 多分お団子が足りなくなる原因はオグリキャップだと思うけど、ヨモギちゃんは特に気にすることなくウサ団子を作っている。 むしろ色んなお団子を食べてもらい、感想を貰えるのでありがたいとか。 上手くやっているのだろう。
まあ、露骨に距離が近い気がする。
それは…俺の中で浮かぶ答えが、もしかしたらかもしれない。
「アマグモ」
「んん?」
珍しい。
オグリキャップから話しかけてきた。
彼女はあまり自分から喋らないタイプなのだが…
「君は、秘境に来たことがあるのか?」
「!」
「そうか。 やはり、その感じだと"どの秘境"なのかわかってるのだな」
「…誰から聞いた?」
「長やタマからだ。 百竜夜行が終えてから一度帰ったのだ。 その時にな」
「なかなかにお喋りで」
恐らくイビルジョーの件とかで話たのだろう。
あちらも現状報告とか交えた上で俺のことを知ったのかもしれない。
ただし秘境の存在を知られてしまったオグリキャップからしたら不安要素だろう。
「それで秘境に戻ったのは何かの報告か?」
「まぁあ、そうだな。 現場報告と言うか、個人的に色々とだ。 それで…君は__」
「別にどうもしないよ。 俺は長と同じでウマ娘の幸せを望む。 でも俺はハンターだからやる事は狩を行う事だが百竜夜行の収束に全霊は注ぐつもり」
「そうか。 いや、なら安心した。 それに確信もした。 君なら大丈夫だろう」
そう言って、チラリと、遠くを眺める。
その視線は__行商人のカゲロウに向けられた。
何をする気で、何を告げる気だ?
「アマグモ…」
__お願いが、ある。
ウサ団子を持ち帰るのと同時に…
オグリキャップからクエストの内容を持ち帰った。
まだ詳しい話は聞いてないが、心なしか緊張感が走る。
足取りはいつも通りだが、ほんの少しだけ落ち着かない。
それは、もしかしたら、が、脳裏を駆け巡るから。
「ウサ団子屋さんの、ヨモギちゃん…か」
持ち帰ったウサ団子を揺らしながら家に帰る。
気怠さはいつしか抜け落ちていた。
つづく
《 大事なご報告》
2/1 この作品の投稿はやめました。
理由としましては、見切り発進故に始まった物語の展開の酷さ、ウマ娘やキャラクターに対する知識不足、またウマ娘公式におけるガイドラインの関係との照らし合わせなど色々と事情がありまして、投稿が大変苦しくなったからです。
焼き直しを行っての、再投稿は考えております。
その際はこの作品を消去する予定です。
ここまでのお付き合い、ありがとうございました。
単体で戦うヌシ系の中で特に辛かったのは?
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全部