『反転』が術式の高専先生   作:揚げ物・鉄火

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思ったよりも好感触だったので続きを書きました。

出来次第投稿って感じなので誤字脱字チェックが甘いです。
前回の続きです。

では、どうぞ。ごゆっくり!


第二話

「禪院 転弥…どんな女がタイプだ!」

「………なぜ?」

呪術高専京都校に着くと同時に変態に絡まれた。もう一度言おう。変態(東堂)に絡まれた。

 

呪術高専京都校に到着して歌姫さんと打ち合わせをするために敷地内を歩いているとこの男(東堂 葵)が近づいて来て女性のタイプを聞かれた。

その質問に対して思わず聞き返してしまった。

すると俺の質問に答えるように東堂が笑みを浮かべて口を開いた。

 

「古来より性癖にはそいつの全てが反映される、と相場が決まっている」

なるほど、そうだったのか。今度、悟くんにも聞いてみよう。

 

「女の趣味がつまらん奴は、そいつ自信もつまらん!俺はつまらん男が大嫌いだ!」

「さぁ答えろ禪院 転弥!男でも良いぞ?」

性癖一つでそこまで分かるなんてひょっとして東堂くんって天才なのかな?

一瞬そう思ったけど全然違うと思いたい。

 

「ちなみに俺は、身長(タッパ)(ケツ)のデカい女がタイプです!」

何故か学ランを脱いで服をビリビリに破いた東堂くんが戦闘の構えを取った。

もう2月だぞ。寒くないのか?

 

「ふ~む…困った困った」

さてと、どうしたものか?

女のタイプを答えろと言われても特別な性癖を持っている訳では無い。

極普通の性癖しか持ち合わせていない俺からすれば中々難しい質問だ。

だけど東堂くんが納得しない返答をした場合、確実に戦闘になるだろう。

 

まぁ、素直に答えるか。

「弱いながらも強くなろうと努力している生徒思いの女性教師で俺と同年代くらいの黒髪の女性がタイプ…かな?」

「そうか…随分と具体的だが」

好みのタイプである歌姫さんの事を隠しながら伝えると東堂くんが残念そうな表情を浮かべる。

 

「やはりお前もつまらん…」

「あ゛?」

その台詞に思わずドスの効いた声で返す。

 

「呪術界でも五本の指に入ると言われるほどの術式を持つお前でさえその程度か…まったく退屈だ!!」

(性癖なんて人それぞれだし簡単に否定して良いものじゃないだろう?)

なんて心の中で考えていると東堂くんが踏み込んで瞬きの合間に2丈*1の距離を詰めて来た。

 

「ックソが!」

思わず悪態を吐きながら両腕をクロスさせ呪力を流し攻撃に備える。

それと同時に手土産の饅頭の袋を投げ捨てる。

 

パンッ!

 

「がっ!?」

しかし衝撃は、腕では無く背中から来た。

気が付くと目の前に居たはずの東堂が消えて、代わりに腰に装着していた特級呪具 遊雲が落下運動を開始していた。

 

なぜ東堂の代わりに遊雲が目の前にあるのか?

なぜ攻撃が前では無く後ろから来たのか?

なぜ東堂が一瞬で背後に移動出来たのか?

 

答えは決まっている。

東堂の術式だ!

 

「シッ!」

一瞬で全てを理解し背後に居るであろう東堂に回し蹴りを喰らわせようと両脚に呪力を込めて体を捻った。

 

パンッ!

 

「ガフッ!?」

また移動した。

しかし今度は、東堂と遊雲では無く自分と東堂が入れ替わっていた。それも体勢ごとだ。

俺は蹴りを喰らわせようとする動作の真っ最中だったのに対し東堂は両腕を上げて全く無防備の状態で両腕を頭より上に上げていた。

その結果、東堂の蹴りが俺の腹部に炸裂し数メートル吹っ飛ぶ。

 

「けほっ!ゴホッ!あぁ…なるほど。互いの位置…いや、最初に遊雲と入れ替わっていたから呪力を持つ物との位置を入れ替える。それが君の術式か…ぺっ!」

口の中に溜まった血を吐き捨てて口元を拭う。

 

「その通り!俺の術式の名は、不義遊戯(ブギウギ)!術式範囲内にある『一定以上の呪力を持った2つのモノ』の位置を入れ替える術式だ!」

俺の言葉に東堂が嬉しそうに術式を開示していく。

 

「そして発動条件は…」

東堂がそこまで言うと同時に駆け出す。

 

パンッ!

 

「「手を叩く事!」」

俺と東堂の位置が入れ替わり、声が重なった。

 

東堂が高速でこちらに駆けて来る。

確かに速い。しかし所詮は、目に追える速さ!

クソじじい(禪院 直毘人)ほどの理不尽な速度では無い。

なので冷静に対応し落ちている遊雲を拾い、そのまま振りかぶる。

 

パンッ!

 

すると案の定、東堂が術式を使って、お互いの位置を入れ替える。

俺の体勢と東堂の体勢が入れ替わった結果、東堂が遊雲を俺に向かって振っている。

でも残念。既に術式を発動している。

 

「反転!」

「うおっ!?」

一定以下の呪力を持つ遊雲を『反転呪法』で撥ね帰して拳に呪力を流す。

 

本当は学生相手にやりたくないのだが仕方ない。

拳に流した呪力を術式で『反転による反射』を何度も何度も行う。

遊雲を撥ね帰された事でガードを固める事が出来なくなった東堂のがら空きの腹筋に狙いを定め、呪力の籠った一撃を入れる。

 

黒閃!!

 

黒閃。

それは、打撃との誤差0.000001秒以内に呪力が衝突した瞬間、空間は歪み呪力は黒く光る。

これは、呪力を用いた戦闘において、ごく稀に発生する現象のことであり技で無い。

黒閃は、衝突の際その名の通り、黒く光った呪力が稲妻の如く迸り、平均で通常時の2.5乗の威力という驚異的な攻撃を叩き込む事が出来る。

 

黒閃を狙って出せる術師は、存在しない。

俺も狙って出せる訳では無い。

今回は、偶々発動しただけだ。

今回みたいな打撃を百回やっても一回成功するかどうかだ。

 

黒閃が決まり東堂くんがゴロゴロ転がって気絶した。

 

 

「はぁ…なんで京都に来てまでボロボロにならないといけないんだよ?」

小さく文句を言いながら血だらけになった拳を反転術式で治す。

 

「服は…アウトだな。手土産が無事ってのが幸いか…」

東堂の初撃を受ける直前に手土産の饅頭を放り投げたお陰で饅頭は無事だった。

 

「ちょっと転弥!なんで東堂が倒れてるのよ!?」

良い笑顔で倒れた東堂くんをどうすべきか考えていると急に声をかけられた。

 

「歌姫さん?なぜ…あっ!」

なぜ歌姫さんがここに居るのかと一瞬考えたが、そう言えばここは、呪術高専京都校の敷地内だ。

歌姫さんの職場だから彼女がここに居るにのは当たり前の事だ。

そして京都校の生徒である東堂くんが倒れて東京校の教師である自分がボロボロになりながら立っている。

良く考えなくても分かるくらいマズイ状況だ。

 

「歌姫さん…」

だから俺は、

「大変申し訳ございませんでした…」

呪術界上層部や実家の奴等を相手にしても決してやらない綺麗な土下座を決めた。

 

 

 

 

 

 

「まぁ、事情は大体把握したわ…」

取り敢えず中に通されて歌姫さんに事情を説明すると溜め息を吐きながら額を抑えた。

 

「でも、いくら殴り掛かられたからと言って学生相手に教師が本気で相手するってどうなのよ?」

「ちょっと待ってくれ!一つ訂正だ。領域展開を使って無いから本気を出していない!」

「同じだよ!」

歌姫さんの質問に声を上げて訂正すると何故か湯呑を投げられた。

 

「へぶっ!熱っ!?」

湯呑が額にクリーンヒットして熱々のお茶が顔に掛かった。

 

「ごめん!大丈夫!?」

「おぉ…大丈夫です…これくらい反転術式で治せる…はず」

心配して寄って来る歌姫さんに顔を抑えながら返事を返す。

傷を治せても痛みを完全に消せないからまだじくじく痛む。

 

「あぁ…歌姫さん」

「な、何よ?」

まだ少し痛む顔を覆う指の隙間から歌姫さんの顔を覗きある提案をする。

 

「謝罪の意を込めて、って訳じゃないのですが…今夜…えと、その…」

「なによ?ハッキリ言いなさい」

俺が少し言い淀んでいると歌姫さんがハッキリ言うように催促してくる。

ならばと覚悟を決めて呼吸を整えてから再び口を開く。

 

「お、俺と…ご飯を一緒して頂けませんでしょうか?」

(言った!言ったぞ!言い切ってやったぞ!!)

覚悟を決めて食事に誘ったのだ。断られても悔いは無い!

 

「なんで無駄に敬語なのよ?食事?まぁ、今夜は特に予定や任務も無いし…良いわ」

「………本当に?」

「本当よ」

念の為に確認したが本当に誘いを了承されたようだ。

 

いいぃぃぃよっしゃああああああああああ!!!!!!

来た!見た!勝った!!第三部完!

やったぞ!俺は遂にやったぞ!!

歌姫さんをデートに誘えたぞ!!

 

顔に出さないように喜びを噛み締めて心の中だけで騒ぐ。

歌姫さんの罪悪感に漬け込んだような感じもするが気にしていたら呪術師なんてやっていられない。

 

「それで?何処に行く気なの?」

「そうですね…」

歌姫さんの質問に少しだけ考え込む。

俺が奢るって前提で進めると俺が店を決める事になる。

京都に来る前に特級案件を片付けて来たから確実に二千万くらい入るし何処へ行こうと財布にダメージは無い。

そもそも金が貯まる一方で使い道が見当たらない。

 

「お寿司と焼き肉ならどちらが良いですか?」

「…どっちの方がお酒美味しいの?」

二択を迫ると歌姫さんが突然難しい顔をしてそんな事を聞いて来た。

 

「どっちも美味しいですよ?」

「……肉の方はビール出るの?」

「注文すれば出ますよ?」

「…寿司の方はどうなの?」

「注文すれば出ますよ?」

「…どっちのが料理として美味しいの?」

「う~ん…人によるけど…焼き肉の方が近いですよ?」

「じゃあ肉ね!決定!!」

距離で決めたようだ。実に歌姫さんらしい。

 

「それはそうと」

「はい?」

焼き肉店の予約を入れようと携帯を取り出そうとした時、歌姫さんが口を開いた。

 

「東堂にちゃんと謝りなさいよ?」

「……はい」

(好きな人に怒られるってこんな感じなんだ…思ったよりも心に響く)

歌姫さんに少し怒られた。

 

「あと、真衣が探してたわよ」

「真衣が?何故?」

京都校に居る妹みたいに可愛がった双子の片割れが自分を探している事に少し疑問を覚える。

 

「さあ?久しぶりにお兄さん(・・・・)に会いたいんじゃないの?」

「ガフッ!」

歌姫さんの台詞に伏黒 甚爾と闘った時並のダメージを心に負った。

 

真衣と真希に会うのに若干の抵抗がある。

それは、呪術高専卒業と同時に実家と絶縁して二人を置いて行った事への罪悪感から来てる。

一応、実家の奴等を全員(主に直哉)をボコしたから誰も二人に手出ししていないようだが当時8歳くらいだった二人を置いて行った事に変わりは無い。

 

実家から出て行く時、必死に涙を堪える真希と泣きながら俺を止めようとする真衣に『二人を迎えに必ず戻る』と言ったにも関わらず迎えに行く事なく8年近くが経ち、二人とも呪術高専に入学してしまった。

『必ず迎えに戻る』と身勝手な約束をして置きながら高専で教師をやっていたのだ。今さらどの面下げて会えって言うんだ。

東京校では真希に体術と数学を教える時に顔を合わせるが、任務や打ち合わせで京都に来た時には真衣の方から連絡してくる。

二人にどう接したら良いのか未だに分からない。

 

「行ってやらないの?お兄さん?」

「グフッ!」

歌姫さんの不意打ちにより、また心に大ダメージを負った。

 

「……」

「う、歌姫さん?」

俺の反応を見て歌姫さんが悟くんや傑くんみたいな笑みを浮かべた。

その笑みに恐怖を感じた直後、いつもの声音で口を開いた。

「ねぇ?お兄さん?」

「ゴフッ!」

「お兄さん?」

「カハッ!」

「お・に・い・さ・ん?」

「グハッ…!」

「お兄さ~ん?」

「………」ピクピクッ

この後も散々お兄さん呼びされ弄られた。

その数分後に真衣が来て「…に、兄さん」と恥ずかしそうに呼んで来て、今まで受けた事の無いダメージを心に負った。

*1
約6メートル




禪院 転弥のQ&A

Q.どうして転弥は、兄さん呼びに弱いの?

A.妹みたいに大事にしていた双子を置いて出て行ってしまった後の罪悪感が原因だよ!

Q.真衣さんと真希さんは、転弥の事をなんて呼んでるの?

A.真希さんは「兄貴」真衣さんは「兄さん」とそれぞれ呼んでいるぞ!

Q.どうして二人を迎えに行かなかったの?

A.迎えに行こうとしたけど実家(禪院家)が全力で邪魔して引き取れないようにしたんだよ!

Q.転弥の戦闘スタイルや収入ってどのくらいなの?

A.戦闘スタイルは、基本的に拳や遊雲を使っての近接戦闘スタイルだよ!収入は、特級案件も任されるから月々億を超えるよ!

Q.彼女とかいるの?

A.庵 歌姫一筋だからいないよ!(いた事もないよ!)

以上です。
では、また次回!
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