ということで、ご期待に添えるがどうかはやってみないとわからないですが、第2話をお楽しみください。
樹海化が解け、一足先に部室に帰還していた銀、須美、蓮華と着いてきた夕海子は、仲良く談笑していた巫女達に事を話す。
「……というわけで、かくかくしかじかなんですよ!」
「なるほど……まるまるうまうま……大変なことになってしまいましたね。とりあえずお茶でも飲んで落ち着きましょう……」
「ひなたさん、それサイダーっス……」
「ごふっ!?」
銀から話を聞いた上里ひなたも相当動揺しているようで、湯のみの緑茶と何故かそこにあった炭酸飲料を間違えて飲んでしまう。予期せぬシュワシュワ感に、思わず吹き出してしまったひなたに藤森水都が慌ててハンカチを手渡す。
「ふ、ふぅ……水都さん、ありがとうございます」
「い、いえいえ! それより、これからどうするかを考えましょう!」
「一度話し合った方が良さそうですわね……」
「事は重大……大赦の協力も仰ぐべきね。まぁ弥勒が居るのだから、解決は間違い無しよ」
「さすがご先祖様ですわ! もしや既に原因が何かわかって……?」
夕海子の言葉に、蓮華はフッと笑うと髪をなびかせて一言……。
「いえ、さっぱり」
「ズコーッ! 帰ってきた途端これだよ! 蓮華さんは相変わらずだね!?」
後を追って帰還してきた雀が、部室の扉の前でコケる。
「わからないものはわからないわ。でも予測は可能。敵による攻撃が原因と見ていいと思うわ」
「……楠、今日は被弾してない」
「…………と、言われることも予測済み。きっと樹海に実った果実を食べて……」
「ご飯食べた後だったから、それもない」
「……友奈、弥勒の頭を撫でる権利をあげるわ」
「おー、よしよし……こんな日もあるよレンち〜」
蓮華の“予測”は、芽吹をよく見ていたしずくの証言により潰えた。雀と同じく帰還した赤嶺になだめられる蓮華に、夕海子はどうすればいいのかわからず、あわあわとする。
「んー、やっぱり私達だけで考えても仕方ないよ。みんなが戻ってくるまで待ちましょ」
少し考え、真鈴はそう提案する。
「安芸先輩……上級生っぽいことも言えるんですね」
「もー花本ちゃん! 上級生っぽいじゃなくて上級生っ! アタシ歳上!」
真鈴にそう言われた花本美佳は、一言。
「初耳です」
「ええっ!?」
「そんなことより、どうやら皆さん帰ってきたようですよ。まずは芽吹さんの状態を見て……」
「そんなことって、上里ちゃんまで!? うぅ……国土ちゃ〜ん!」
巫女2人に適当な扱いを受け、最後の希望である国土亜耶に泣きつく。
(あぁ……さっきの私もこんな感じったのかぁ……)
その光景を見て、先程同じようなことをしていた雀はそう思い、恥ずかしさから手で顔を覆い隠す。
「な、なんですの雀さん。芽吹さんのことですからその程度のあやし方では満足していただけないかと」
「ちっがうよ!!! 過去の自分を恥じていたんだよ!!!」
雀が思わずそう叫んだ瞬間、部室の扉が開かれる。残りの勇者達が帰ってきたようだ。
「すずめ、だまりなさい」
「おお! メブ戻ってぇ……ないッ! まだちっこい!」
「次は“小さくないもん、まだ成長期だもん”って言うんよ〜」
「なっははは!!! なんやソノの差し金かいな! それにしてもホンマにちっこくなってもうて……あぁ、あかん……これが母性っちゅーやつかぁ」
園子(中)の耳打ちに、静は大笑いしたあと幼女となってしまった芽吹の頭を撫でる。
「ちいさくないもん、まだせいちゅうきだもん」
「“ちゅう”やなくて、“ちょう”やで。それともお姉さんとちゅうするか? あ、ごめん今のは無しや。無しやから、そんな険しい顔せんといて!」
「演技派女優の名残……もしかしてこれはチャンス……」
杏はじっと芽吹を見つめ、笑みを浮かべる。
「杏さん? チャンス……ではありませんよ?」
「あ"っっ、な、なんでもないです! ハイ……」
ひなたの圧に負け、杏は球子の後ろに身を隠した。全然隠れていないが。
「コラー! 全員静粛に! この《楠芽吹幼児化事件》についてみんなで話し合うわよー! 東郷、記録!」
「はい、任されました」
風に指示され、東郷はパソコンの前に座る。他も風に注目し、緊迫した空気が生まれる。
「のあぁぁ!? こら、芽吹! 髪を引っ張らない!」
緊迫した空気は何処へやら。雰囲気をぶち壊し、夏凜の声が静かになっていた部室に響く。
「かりん、にぼしくさい……」
「く、臭くないわよ!! ……え、臭くないわよね友奈?!」
「だ、大丈夫だよ夏凜ちゃん! いい匂いだよ! にぼしとか……サプリとかの!」
「サプリのニオイって何よ!? いや、というかどうして芽吹は私の膝の上に座って──」
「……いや……ですか?」
「んぐ……っ、い……良いわよ……! 別に……減るものじゃないし」
ここぞとばかりに瞳をうるうるとさせた芽吹に、夏凜は頬を紅くさせて顔を逸らしながら言った。
(相変わらずチョロいわねー)
(チョロいです夏凜さん……)
「あ、あんた達ね……口に出さなくても何思ってるのかその顔見ればわかるのよ……!」
「はいはい、あんまり騒ぐとハゲるハゲる」
「だからハゲないわよ!! ──はぁ……もう、さっさと始めなさい!」
息を切らしながらツッコミを入れた夏凜は、膝に座る芽吹が落ちないよう両手でガードしながら一息ついて言う。
「んじゃまぁ、何故か夏凜に一番懐いてる芽吹の状態と、今後どうするか話し合っていくわ。まずは第一発見者の雀、前へ」
「は、はいっ!」
勢いよく立ち上がり、雀は黒板の前に立つ。
「え、えーっと……もうバーテックスも倒し終えて、さぁ帰るぞーって思ってメブの後に着いていこうとしたら、もう小さくなってました!」
「私は戦闘中、芽吹見てないんだけど……まだその時は幼児化、幼体化にはなっていなかったのよね?」
「ですです。今日だっていつも通りでした! 小雀の証言は以上でっす!!」
そう言うと雀は卒業式でもやっているかのように綺麗に着席した。
「うぅーむ……確か夜の樹海には果実が実ってるけど、芽吹はそれ食べてないのよね?」
「うん。お昼ご飯の後だったし」
全員がうーんと唸り、その後もいくつか意見が出たが……原因不明、というのが話し合いの結果だ。今回、敵から攻撃を受けておらず、幼体化する原因となりそうなものにも触れてすらいない。戦闘前、戦闘中はいつも通りだったそれぞれの証言が出ている。完全に迷宮入りだ。
「一先ず、この状態の楠さんを一人にさせるわけにはいかないでしょう? 誰が面倒を見るの?」
「そうだよね、やっぱり防人のみんなに預けた方が安心なのかな?」
千景がそう言うと、高嶋は防人組に視線を移して言った。
確かに、芽吹をよく知る防人組なら任せられ……
「えっ、メブのお世話とか絶対無理。ムリムリ。うん、小雀に子守りはさせない方がいいようん」
「ならばわたくしにお任せあれ! 紅茶を用意して差し上げますわ! それにアルフレッドも居ますので問題はありません!」
「自信ない……」
「わ、わたしが芽吹さんのお世話なんて……いいのでしょうか?」
ここで恩を売っておこうと言うのかと思っていた雀は拒否。これは幼女に怒られそうだからというのが本音だ。しずくと亜耶も自信なさげで、そんな状態で押し付けるのは如何なものかと風は考える。夕海子は自信ありげだか……言ってはなんだが、正直一番不安なので風の中で論外となった。
「……うん。そうね。そういえば夏凜も芽吹と長い付き合いよね」
ということで、風はニッコリと笑いかけて夏凜に言う。その言葉に察した夏凜はカチンと硬直し、冷や汗をかいて風の目を見る。冗談では無さそうだ。
「え……えっと、確かに付き合いは長いけど……」
「それに夏凜、一人暮らしよね。部屋も広かったし」
風は笑顔のまま、夏凜にずいっと顔を近付ける。
「そ、それはそうだけど……」
「あとなんか夏凜に懐いてるみたいだし、はい賛成の人は挙手! うんうん、満場一致ね!」
「私が賛成してないんだけど!?」
「いやほら、芽吹本人が手を挙げてるしさ? ここはお願い出来ない? 別に全部任せるわけじゃないし、私達も定期的に様子見に来るからさ」
「……あーもう! 仕方ないわね……わかったわよ! やればいいんでしょ!? 完成型勇者・三好夏凜……何がなんでもやってやるわ!」
「チョr……良かったわ」
「──ん? 今チョロいって」
「イッテナイデスヨー。じゃあこれで終了! みんな解散っ!」
少し早口でそう言った風は、1人先に部室を出ていった。
「な、なんか……してやられた気がする」
「……? かりんといっしょにすむの?」
「……えぇそうよ。まぁ小さい子のお世話っていっても幼稚園の手伝いと似たようなものだろうし、きっと大丈夫よね……あんたはあんたで元に戻る方法探しなさいよ?」
「うん、どりょくする」
「今も昔もあんまり変わらないものね……」
芽吹を見てそう言った夏凜は、今後の生活を想像して大きなため息を吐いた。芽吹が元に戻るその日まで、夏凜の奮闘は続く。
そろそろ尊み展開入れたいですね( ◜ ཫ ◝ )
ちなみにサブタイトルは適当でs(((((勇者パンチ