もしも「Fate」が大人気eスポーツだったら   作:ゼラチン@甘煮

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6話/練習試合をしよう

 

 

 聖オルテンシア学院。幼稚舎から大学までのエスカレーター式、途中入学も可能、学費も他のお嬢様学校と比べて格段に安い、ということから全国から毎年入学希望者が殺到する女子校だ。お嬢様学校にありがちな厳しい校則も若干だが緩めらしくそれも人気に一役買っているんだろう。

 特にその高等部は荒耶高校と並び全国でも知らない人はいないと言われるほどの有名校である。

 

 

 

「すごいわ涼音!メイドみたいな人いる!みんな綺麗!」

「恥ずかしいからやめてください」

 

「ねえ公人、僕たち浮いてないかい?」

「同意する。主に先輩のせい」

 

 まさかそこに来ることなんて、夢にも思わなかった。

 


 

 

「間桐高校の皆さん、わざわざありがとうございます。部長の(あずま)です。本日はよろしくお願いします」

「え、え、えーと、こちらこそよろしくお願い、します?」

「何やってるんだ結城。...顧問の緑谷(みどりや)です。そちらの顧問は?」

「恥ずかしながら顧問がいないんですよ。色々な手続きは全て部長の私がやっています」

 

 向こうの部長が出迎えてくれたのだが、めちゃくちゃ緊張しているな部長。見かねたうちの顧問が代わりに対応している。

 

「本日練習試合に参加するのはそちらの3人でよろしいでしょうか?」

 

 東さんの目線が俺たち3人に向けられる。夏はともかく俺と上野はまだ始めたばかりなんだが試合になるのだろうか。

 

「緊張しなくても大丈夫ですよ。こちらの1年生もほとんどが初心者ですし」

 

 そうは言ってくれたがやっぱり不安だ。一応あの時から2、3回練習はしたが結局能力値も上がってないし夏にはボコボコにされるしで強くなった感じがしていなかった。上野も能力値自体は俺とほぼ同じだがなぜか宝具を最初から持ってるし。

 

「ここで話すのもなんですし、部室に行きましょう。こちらへ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「...広い」

 

 俺らの部室の4倍ほどの広さの部屋に案内された。ちなみに部長は口をぽかんと開けて絶句している。

 

「恥ずかしいことにまだこの学校ではFVWを部活として認めていない人も多いです。おかげで顧問もいないし部室もこんな小さい部屋しか与えられなかったんです。...客人にする話ではありませんね」

「これで...小さい...」

 

 俺らにとっては広すぎる部屋だが、確かにこの学校の大きさからすると小さいのかもしれない。それにしても部員が多いな、ざっと見ただけでも20人以上はいるぞ。

 

「衛宮さん、本日はお願いします」

 

 その中で俺が唯一知っている部員、藤平さんがこちらに駆け寄ってきた。

 

「藤平様、この方が先日おっしゃってた」

 

 藤平さんの後ろをおずおずと一人の少女がついて来た。

 

「はい、先日大変お世話になりました。また今度別にお礼をしなければなりませんね」

「......藤宮(ふじのみや)霧子(きりこ)です。()()()()()()()()()()

 

 藤宮さんは俺と藤平さんを見比べると突然不機嫌になった。こちらを威嚇するように睨み付けてくる。何か悪いことしたか?

 

「──あら、藤宮さんって」

 

 部長が何かに気づいたように藤宮さんの方を向く。

 

「では、さっそくやりましょうか」

 

 部長は何かを呟いたが、東さんの声に遮られ聞こえなかった。

 

 


 

 

「では、最初は3対3のチーム戦から」

 

 ここの機器を使わせてもらい、FVWにログインする。チーム戦だったら夏がいるからまだなんとかなりそうだ。

 

 

 マップ選択:オルレアン街中

 

 そう表示が出た後、体が転送される。飛ばされた先はまた街中、だが前みたいな現代のビル街ではなく石やレンガでできた家が建ち並ぶ洋風の街並みだ。

 周りを見渡しても誰もいない。音も聞こえないのでどうやら別々に転送されたらしい。

 

『3人とも聞こえる?そこは広くてしかも障害物となる建造物も多いマップよ。基本は舗装された道で戦うことになるでしょうけど、場合によっては家の中や上に行くこともあり得るわ』

 

 なるほど、こういう家とかって単に障害物の役割をしてて干渉できないことが多いと思うんだがちゃんと中に入れるんだな。

 先日部長から教えてもらった通りミニマップを開く。これでマップ構造や味方の位置を理解できるとのことだ。ここにいるだけだとわからなかったがこのマップの全体は円形でそこでも俺は端の方に転送されたようだ。

 

『ミニマップを見ればわかると思うけどそのマップで一番広い場所は真ん中の広場よ。天海さんと上野さんはとりあえずそこに向かって、衛宮くんは少し離れたところで援護する形で良いと思うわ』

「了解」

 

 援護かあ...。俺は『アーチャー』というものらしく、その名の通り弓などで遠距離攻撃ができるそうだのだが、まだやったことないんだよなあ。

 マップを見ると夏と上野の2人は比較的真ん中に近い所に転送されている。部長の言う通りにすることは決定してるが問題は敵チームだ。当たり前だがステータスはわからない、実戦の中で推理するしかないか。

 

 

「ここまで近づいても気づかないなんて、本当に初心者なんですね」

 

 頭上から聞こえる声。見上げると目の前の家の屋根に藤宮さんが立っていた。

 

「...1年生だったんですね」

 

 俺の呼びかけに答えることなく、屋根を降り腰の剣を抜いた。

 

「藤平様は私の、私たちの希望です。ですが、少々世間に疎いところがあります。そのため、私たちが見張って余計な男が寄り付かないようにしなければいけない」

 

 剣先をこちらに突きつけ、濁った眼差しでじっとこちらを見つめる。

 

「俺がその余計な男だと?悪いけど勘違いだぞ、そもそもそんなつもりもない────ッ!」

 

 

 

 最後まで言い切る前に、その剣が俺の左腕を切り裂いた。

 

「黙れ、お前がそういうつもりかどうかは関係ない。藤平様がどう思うかが問題だ。嘆くべきことに藤平様はお前のことを何故か評価している。そんなことはあってはいけないんだ。藤平様はずっと私たち聖オルテンシア学院の仲間だけを見ていれば良い...」

「正気か...くそっ」

 

 先制で一発食らったのは失敗した。武器を出したがうまく握ることができない。さっき言われていた弓での援護もこの腕だったらできるかわからんぞ。

 

「...簡単には倒しませんよ。二度と藤平様に関わろうとしないよう、ゆっくりと追い詰めてやる」

 

 初めて見た笑顔は、酷く歪んだものだった。

 


 

『天海さん、上野さん。衛宮くんが交戦中、場所はそこから離れているけど...』

「行きます」

 

 公人はまだ宝具すら使えない、同じ能力値だとしてもそれで追い込まれる可能性がきっとある。

 ──それに、もし藤宮って人が1年生で敵チームにいて、交戦している人がその人だったら...。

 

「急がないと...!」

 

 公人は、きっと勝てない。

 

 

 

 

「どこに行きますの?」

 

 飛び出してくる敵チーム。なんとなくその気配はしたけど、間が悪いなあ。

 

「邪魔しないでよ...、公人がやられちゃうじゃん」

 

 仕方ない。さっさとこの人を倒しちゃおう。5分で終わらせる。

 

「舐めたものですわね......。特別ですわ、ワタクシの『宝具』をぜひお見せしますわ!」

 

 先が十字架のような形をした杖を出したと同時に、空気が重く変わる。こんな最初から宝具なんて、ただの馬鹿か規格外の魔力持ちか、どちらにせよまずいかも。

 ごめん公人、僕はすぐには行けそうにないや。

 

 


 

 ステータスNO.7

【マスターネーム】藤宮霧子

【サーヴァント】ジル・ド・レェ

【クラス】セイバー

【属性】秩序・善・人

【筋力】C【魔力】D

【耐久】E【幸運】E

【敏捷】D【宝具】C

【パッシブスキル】

・対魔力(C)

・騎乗(D)

・不明

【スキル】

・軍略(E)

・黄金律(D)

・不明

【宝具】

神聖たる旗に集いて吼えよ(セイント・ウォーオーダー)』・ランクC

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