バカと理性が蒸発中っ!   作:あん

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 まさかまさかの須川が二回のタイトル入り。

 Dクラス戦は飛ばします。書いてはみたんですけど面白くなかったので。


静かに涙する者、その者の名は須g ②

 

 

 埃が積もったFクラスの教室で、ボクは明久とお・は・な・しをしていた。

 

「ありがと、明久。須川から全部聞いたよ」

 

「うううっ……!えぐっ……!」

 

 涙を流しながらボクに頭を下げる明久に、そっと優しい声で慰める。

 

「ボク達のために犠牲になろうとしてくれたんでしょ?」

 

「ア、アストルフォ……」

 

 頑なに顔を上げようとしない。鼻声だったからきっと鼻水もダラダラ流してるんだろう。もう、本当に気にしてないのに。変なところで真面目なんだからな明久は。こういうので島田さんとか姫路さんは惚れたんだろうなぁ。

 

「泣かないでよ明久、男でしょ?」

 

「だって……!アストルフォ……僕を庇って……!」

 

 ようやく、明久が顔を上げる。涙と鼻水でせっかく整った顔も台無しだ。懐からハンカチ(優子のスカートのポケットに入ってた)を取り出して拭ってあげる。

 

「うぐっ……、ブエックション!」

 

「あべし」

 

 鼻水が顔にもろに掛かったけど気にしない気にしない。ボクの心は琵琶湖のように広いのさ。ずびーっと鼻をかみ、明久が口を開く。

 

「だって……!」

 

「うん」

 

 

「アストルフォの……貞操が!!!」

 

 

「ははは。安いものだよ、ボクの貞操ぐらい……明久の貞操が無事でよかった」

 

 例え下駄箱の中に『校舎裏で待ってます』と書かれたラブレターを見つけて、実際に行ってみたら結婚適齢期を過ぎたにも関わらす独身であることに焦り生徒にも手を出す変態女先生に襲われることになって、命からがら逃げだしたらラブレターを書いたのが明久であったことを知ったとしてもボクは気にしないさ。

 

「アストルフォ……」

 

「明久……」

 

 腕を明久の背中に回し、ゆっくりと抱き寄せる。ああ、そうだね。言葉を交わせずとも君の言いたいことは手に取るように分かるさ。焦躁、罪悪感、そして……喜び。

 

 ふふ、まさかこんなことになるとは露ほど思っていなかったよ。想像の斜め上を飛んでくるね明久は。

 

「……ア、アストルフォさん?ちょっと力が入りすぎてるように気が……!」

 

「明久……ボクの気持ち受け取ってくれるかい……?」

 

「ちょ……!締まってる、締まってるからぁぁぁ!」

 

 もう、暴れないでよ、気持ちは分かるけどさ。ボクもついさっきまで味わっていたからね、キミにもスグに実感させてあげるよ。ただし、方法はボクが受けたモノとは少々異なるけどね。

 

 

「いつまでもキミを抱き締めるよ――――――――楽に死ねると思ったか?

 

「ぎゃあああああああああああああああああ!」

 

 

 旧校舎に明久の叫び声が響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~お☆様が通ります~

 

 

 

「ふう……さっぱりした」

 

「お、仇討ちはできたか」

 

 明久の死体を引き摺って教室から出ると秀吉と雄二とムッツリーニがボクのことを待っていてくれたのか廊下に立っていた。

 

 雄二の問いに、親指を立てて応える。といっても命までは流石に獲ってないけどね、これぐらいなら一時間後には歩けるようにはなるだろう。ギャグ世界だし。

 

 鞄を背負い欠伸をしている雄二に一応例のことを確認する。

 

「雄二、そっちは上手くやったの?」

 

「そっちと言われても分からん」

 

「Dクラス戦についてだよ」

 

「ああ、それか。アストルフォの点数が0点なんていう不測事態もあったが無事姫路がDクラスの代表をワンパンして勝利だ」

 

 うぐ、雄二結構根に持ってるな……。ボクだってまさか0点だとは思わなかったさ。西村先生にも確認を取ったけど名前欄に『超絶美少女アストルフォ見参☆』と書かれていたため無得点扱いらしい。なんてバカなことをしてくれたんだボクゥ……。

 

 召喚しようとしても一向に召喚獣が現れないから皆から可哀そうな子を見る目を向けられていたのは勘違いだと思いたい。時間稼ぎにはなったかもしれないが。無得点だと召喚もされないんだね、まあ召喚した時点で死亡扱いだから当然だけども。

 

 雄二のセリフ(一部分)は聞き取れなかったフリをしとくか。

 

「へ、へー。それじゃあ一応作戦通りに行ったってことじゃん。凄いじゃないか、流石元神童。人を見た目で判断してはいけなかったんだね!」

 

「そうか?俺としては及第点といったところだがな」

 

 素直に褒めてあげると、嬉しくなさそうにそっぽを向いてしまった。これはデレてるのかな、よく分からない。経験値不足なんだよぉ。それにしてもストイックすぎないか雄二。やはり他が認めても自分が認められなければダメなのかな。

 

 とりあえず、作戦通りに行ったということは、FクラスがDクラスに勝利したということだ。よしよし原作通りだな。ここで変な路線に変わったらファンとして悲しかったので一安心だ。明久への執行中もそれが気になってしょうがなかった。

 

 

 

 そもそも何故こんな悲劇が起きたかというと、発端はとある校内放送である。ボクは生憎聞こえなかったが――須川くんの声だったらしいけども―――その放送の内容はとある婚期を逃した女性教師に対してのメッセージで、校舎裏に明久が待ってるから早く来てくれというもの。

 

 そのとき偶然にも校庭の隅で秀吉の写真をムッツリーニから買い取っていたボクは明久の身代わりにされたということである。あの人明久とボクの区別も出来ないらしい。必死に「ボク明久じゃないです!アストルフォです!」と誤解を解こうにも「既成事実作ってやるんだからぁ!」と叫んで聞く耳を持たない。気分は青鬼に追いかけられるひろしでした。

 

 一階から二階まで一気にジャンプして逃げたので船越先生も流石に諦めたっぽいけど。

 

 そして、先程教室にてボクを身代わりにしたにも関わらず「いやーモテる男の娘は辛いねーアストルフォー」と白々しく声を掛けてきた明久に正義執行していたわけである。まあ『校舎裏に来てください』なんていうラブレターにつられて暢気に告白の返事を考えながら校舎裏で待機してたボクもバカなんだが。もちろんラブレターの主は明久でした。文字も女の子風にしてたから気づけなかったよ。

 

 よし、試召戦争は無事終わったし明久のことは雄二に任せて先に家に帰るとしますか……ってアレ?

 

 

「そういえば秀吉。島田さんと姫路さんはドコにいるの?」

 

「姫路の行方は知らぬが……島田なら須川に用事があると言い残したっきり帰って来てないぞい」

 

「さらば須川くん……安らかに眠れ」

 

 とりあえず、合掌。地獄で反省してきてらっしゃい。

 

「ん……ここはどこだ……?」

 

「む、起きたか明久よ」

 

 早くも明久の意識が覚醒したようだ。

 

 結構力込めて絞めたのに目覚めるにには早すぎないかと思うけど、日頃から島田さんの肉体への物理攻撃を喰らってる明久ならボクの抱き締め攻撃なんて屁でもないのかもしれない。

 

「確かDクラスの代表を姫路さんが倒してそれから……」

 

 頭を押さえながら明久が立ち上がる。少しよろめいてるからダメージは残っているんだろう。でもこんなにも早く起きられると被害者であるボクからしたら不満である。流石にこれ以上はやらないけど。

 

「……そうだ!アストルフォに抱き締められて気を失ったんだってアストルフォ!?」

 

 ボクと視線が合った途端、恐怖に駆られた子供のように顔を青ざめ窓に向かって走り出す。だが傍にいた秀吉に襟を掴まれ転倒してしまった。頭から壁に突っ込んだけど大丈夫かな。ボクのお仕置き以上のダメージが入ったと思うんだけど。

 

「落ち着くのじゃ明久よ」

 

「離して秀吉!今日が僕の命日になってもいいの!?」

 

「友人を殺すような真似はしないじゃろ普通。まあ明久がアストルフォにした行為を考えれば当然の報いかもしれんが」

 

「う、まあそうなんだけど」

 

 秀吉の言葉に若干申し訳なさそうに瞳を伏せる。そりゃそうだ、ボクが長年に渡って守ってきた純潔が奪われるところだったんだから。無くなったモノは取り返しがつかないんだぞ。

 

 どことなく秀吉も口調に怒気が籠っていたような気がした。そうだよね、友人が逆レ◯プされることになったら怒るに決まってるよね。やはり秀吉しか勝たん。

 

「でも本当に悪いのは雄二だよっ!」

 

 まだ罪を受け入れられてないのか最終弁論の容疑者のように必死に雄二を指さす。まだ言い訳をするつもりなのだろうか。

 

「む?どういうことじゃ?」

 

「………気になる」

 

「実は須川くんに命令したのは雄ジャジャンっ!?」

 

「おっと、手が滑った」

 

 明久の顔に雄二のボディーブローが炸裂する。今何か言いかけてたけど何を言いたかったんだろう。明久は残念なことに気絶してしまったようなのでもう聞くことは出来ない。死人に口なしだ。本当に内容が気になるけど。

 

 雄二が何かしたのかな、でも放送したのは須川で身代わりにしたのが明久だったから………あ、思い出した。校内放送の内容を考えたの雄二だったじゃないか。原作でそうだったし何で見落としてたんだろう。

 

「ねえ雄二」

 

 埃を落とすように手を払っている雄二の腕を掴む。

 

「ん?なんだアストルフォ。俺の腕なんか掴んで」

 

「突然なんだけどさ」

 

「おう」

 

「地獄って見たことある?」

 

「そんなことあるわけ――――ぎゃぁぁ!俺の腕があらぬ方向に曲がってうあああ!?」

 

 雄二が何か叫んでるけど、きっとボクの柔肌に興奮してしまったんだろう。ボクアストルフォだから。

 

 とりあえず

 

「悔い改めよ」

 

「うがああああ!?あ、改めた!超悔い改めた!だから腕を離せ!」

 

 誰が離すか。

 

「懺悔なさい」

 

「俺が悪かった!須川に命令したのは俺なんだぁぁ!!」

 

 何を今更。

 

「心の底から?」

 

ごめんなさい(アーメン)

 

 ……まあこれくらいにしといてやるか。別に今殺らなくてもいつか殺られるだろうし。

 

「ま、執行猶予付きで許してあげるよ」

 

「ふ、ふぅ……危なかったぜ。血走った目の女が視界の端で近づいてきたときには死んだかと思った……」

 

 腕を離すと雄二はほっとしたように肩を落とす。

 そんなにボクの肌が恋しいのなら「いや、遠慮しておく」……まだ何も言っていないのだが。

 

「秀吉、霧島さんのメアド持ってる?」

 

「心の底からごめんなさい(アーメン)

 

「む、すまぬの。ワシの携帯には入っておらんようじゃ」

 

「心の底からありがとう(アァーメェン)!」

 

 携帯を確認した秀吉が申し訳なさそうにする。それは残念だ。もし入ってたら今すぐにで霧島さんを召喚して雄二に突貫させるつもりだったのに。

 

「ていうかお前何で翔子が俺にとってアレなこと知ってるんだ」

 

 どことなく疲れたような顔をした雄二がボクに問いかけてきた。

 

「アレ?ああ恋人関係にあるってやつ?」

 

「……………(ビリビリ)」

 

「ははは、発言には気をつけろよアストルフォ。ムッツリーニがスタンガンの調整を始めたからな」

 

 本当だ、しかも両手に二個持ってる。二個も受けられるなんてお得じゃないか雄二。

 

「ははは、ゴメンよ雄二。そうだね、二人はもう結婚してたんだよね」

 

「ははは、アストルフォは冗談が上手いなぁ。お前もそう思うだろムッツ――――」

 

 バタッ(雄二が泡を吹いて倒れる音)

 

「…………FFF団の血の掟に従い、裏切り者を粛清した(シュシュッ)」

 

 倒れた雄二の背後にはスタンガンをポケットに仕舞うムッツリーニの姿があった。

 さすがは学年の女子の胸のサイズを網羅した男。流れるような暗殺術である。出来ることならその手腕を身をもって理解することのない内に天国に行きたいものだ。その可能性は無に等しいけど。

 

「…………ッ!…………アストルフォ(ぐいぐい)」

 

「ん、どしたの」

 

 友人である雄二を気絶させた張本人であるムッツリーニにシャツの裾を引っ張られる。

 

「あ、もしかして秀吉の写真の代金足りなかった?」

 

「…………(ブンブン)」

 

 頭を横に振り否定の意を表す。秀吉の写真じゃないとするとなんだろう、もしかして昔買った商品の代金を返してなくて催促しにきたのかな。でも前買った秀吉のグッズなんて覚えてないよ、困ったな。

 

「今ワシとしては聞き逃せないことが聞こえた気がしたのじゃが」

 

 訝しげな顔をする秀吉は可愛いね。

 

「…………あれ(ピッ)」

 

 ムッツリーニは新校舎に繋がる廊下の先を指さす。何かボクに見せたいものでもあるのかな、こういうとき無口だと少しめんどくさい。そこが魅力でもあるんだけどね。ムッツリーニのことだからスカートが捲れていることに気付いていない女の子がとかじゃないの――――――

 

ズダダダダダダダダダダダ(血走った目で廊下を全力疾走してくる船越先生)

 

「戦略撤退っ!」

 

 まさかまだ諦めていなかったとは!恐るべし女性教諭!

 

 足に力を込め全力で廊下を疾駆する。もちろん船越先生とは反対方向に。捕まったらナニをされるかたまったもんじゃない。ボクの初めては秀吉か優子って決まってるんだ!だからこんなところで好きでもない女性に奪われたくなんかない!

 

「明久くーん、逃げないでくださぁーい」

 

 くっ、文字だけ見れば微笑ましく感じるけど音声になると背筋が凍る程気持ち悪いな!出来ることなら優子にそういうことはやって欲しかった。メンヘラ優子とか最高すぎて爆死してしまうわ。本望だがな!ていうかまだ名前間違えてるし!

 

 廊下の角を急ブレーキで駆け抜ける。コーナーで差をつけるのだ。流し目で後ろを確認すると船越先生との距離はかなり開いていた。まだ追ってきてはいるが。何が彼女を突き動かすのだろうか。知りたくもない。

 

「須川どこいったのかしら……見つけたらタダじゃおかないんだから」

 

「このままなら逃げ切れ―――――」

 

「「きゃあっ!」」

 

 ズデーン

 

 頭に強い衝撃が走ったと思ったら、可愛い女の子の声が二つ――――といってもその内の一つはボクなのだが―――聞こえてきた。ま、まさかアニメでよくある「いっけなぁ~い、遅刻遅刻ぅ~ってきゃあ!」が起きてしまったのだろうか。……こんな危機的状況で!?空から美少女が降ってくる可能性と等しいあの美味しい状況が!?一番来て欲しくなかったよ、くそぅ。

 

 これでとびっきり可愛いい女の子じゃなかったらボクは血の涙を出すね。今この瞬間にも変態(船越先生)は刻々と近づいてきているのだ。ボクの貞操消失カウントダウンが早まったのだ。その代償として割に合った女の子をボクは要求する!まあ、そんな奇跡起こるわけがないか……。(こうしておけば美少女の確率UP!フラグの正しい活用方法だ!)

 

 

「あ、貴方どこ見て歩いてんのよ!……ってアストルフォじゃない」

 

 

 ああ、胸なしか。

 

 

「ああ、胸なしか」

 

「何か言ったかしら?」

 

「ああ、胸なしか」

 

「聞こえてるわよ!」

 

 昭和のまな板(笑)が何か言っていますが気にも留めずに逃走を再開します。雑音は無視するのが一番です。特に島田さんの雑音は無視しないと止まらないので注意しましょう。

 

 とりあえず近くにあった教室に飛び込み扉をすぐに閉める。廊下の角のおかげでボクのことは船越先生には見えていないはずだ。死角というのかなコレは、まあどちらでもいいが。

 

 すーはー、と大きく深呼吸して息を整える。どんな状況においても冷静であるのが重要である。ボクの場合さっきまな板の妖怪と遭遇して萎えたので元々冷静であったが。賢者タイムともいう。

 

「お、アストルフォもここに隠れ―――――――」

 

「うわあああああああああああ!?」

 

「バカ!大声出したらバレるだろーが!」

 

 突然耳元で気持ち悪い男の声がして、思わず悲鳴を上げてしまう。なんだ!?変態か!?

 

 声の方を向くとすぐその全貌が明らかになった。胡散臭そうな顔、ねっとりした顔、土砂崩れのような顔、こんな特徴的な顔を持つ男をボクは一人しか知らない。

 

「……何か用かな須川くん」

 

「いや、誰かから逃げるようにこの部屋に入ってきたから俺と同じなのかと思って」

 

 内心で罵倒されてるのも露知らず、思わず吐き気が催してくる狂気の笑顔を見せつけてくる(本人はイケメンスマイルとでも思っているのだろうか)。確かにこれはアニメや小説ではお届け出来ない現場の味だぜ……!

 

「俺と同じって、須川くんも誰かから逃げてきたの?」

 

 吐き気を誤魔化すように話題を振ると、返してくれるとは思わなかったのか街中で誰もが二度見するぐらい整っていない顔を更に歪ませる(本人は喜んでいるつもりなのだろうか)。

 

「ああ、島田が急に襲い掛かって来てな」

 

「あーなるへそ」

 

 校内放送についてだな。明久に好意を寄せている島田さんからすればあの放送は大変迷惑だったのだろう。だからといって擁護するつもりはないが。

 

「まったく、俺のことを好きすぎるからって人前で襲うとは非常識な奴だ」

 

 なんてお前はおめでたい奴なんだ。コイツ霧島さんとかとは違う方向で天才なんじゃないだろうか。自分についての本を売り出したらベストセラーになりそうだ。

 

「で、お前は?」

 

 正月の福笑いのように顔のパーツがぐちゃぐちゃな須川は図々しくもボクの肩に手をかけてきた。シャツ越しでも感じるこの疼き、間違いなくボクは生理的拒否反応は起こしている。

 

 ……まさかコイツボクのこと襲おうなんて考えたりしてないよな。

 

 いや、有り得る。密閉した空間、中にいるのは二人だけ、しかも美少女(外見は)と男子生徒(中身は)という如何にも≪アーッ!≫な展開になりそうな要素が詰まってる。事件の香りしかしない。嫌だぞ、初のテレビデビューが性的侵害の被害者としてだなんて!

 

 島田さんでもいい。だ、誰か助けて!

 

 バタッ

 

「それでね、そのとき秀吉が――って何で貴方がここにいるのよ!?」

 

 ゆ、優子じゃないか!ディア マイ ガールフレレレレェンド!

 

 目を凝らせば扉を開けた優子の後ろには何人もの女子がいるじゃないか!これで≪アー!≫な展開になる可能性は限りなく減った!ありがとう、名も知らぬ少女達!

 

「「「きゃあああああああ!先生、女子更衣室に変態がいますぅぅ!」」」

 

 後ろにいた少女たちも状況のヤバさに気付いたのか悲鳴を上げて先生を呼ぶ。

 

 素晴らしい判断だ少女よ、今度ボクの握手券を献上しようじゃないか!………ちょっと待って、女子更衣室(・・・・・)……?

 

「ほらキミ、早くこっちに!」

 

「え、ああゴメン」

 

 少女に手を引かれ須川と離れ離れになる。その須川というと凄い脂汗を流しながら「いやこれは違うんだ、わざと入ったわけじゃなくて」と手をわちゃわちゃさせていた。何が起こってるのか理解できてないのだろう。実際、ボクもそうだ。

 

「さっさと出てってなさいこのクソ変態!」

 

 ガシッ(汚いモノを触るかのように須川の襟を指先で掴み)

 

 バシュッ(廊下に放り捨て)

 

 バタンッ(扉を勢いよく閉め)

 

 ガチャッ(鍵を掛ける音)

 

「お、Oh……」

 

 変態にクソが追加した!なんてボケることも出来ずその流れるような作業に圧倒される。

 

「ちょっと待ってくれ!これは誤解なんだぁぁぁ!」

 

「大丈夫?酷いことされなかった?」

 

「ほんっと許せないわね。被害者の会に連絡しないと」

 

 

 どんどんと扉を叩く音がするが少女達は気にもせずボクに近寄って慰めるような声を掛けてくれた。なんだろう、本当にアストルフォで良かったと思えた。もしかしたら今頃ボクは須川みたいになっていたかもしれない。

 

「……アストルフォ」

 

 さっきまで黙ってた優子が近くに寄ってきた。優子はボクの性別のこと知ってるし、外に連れ出す気なのかもしれない。一応、窓への逃走ルートは確保しておく。

 

「何か、されなかった?」

 

「う、ううん。何もされなかったよ」

 

 さあ来るなら来い!アストルフォの敏捷Bを舐めるなよっ。

 

「…………そ。何もないならいいわ」

 

「………………」

 

 ちょっと待って、何もされないんだが。逆にこれはこれで怖いんですけど!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「見つけたわよ須川ァァァ!」

 

「し、島田!?まだ諦めてなかったのか!」

 

「明久ちゅわぁ~ん!置いてかないでぇ~」

 

「うおおおお!?船越先生まで!?俺は吉井じゃないぞ!?」

 

「「逃がさないんだから!」」

 

「アストルフォ、頼む!ここを開けてくれ!そうじゃないと俺は、俺はあああああああ!!」

 

 

 

 

 





 序盤のネタ分かってくれた方いるでしょうか。どうでもいいですが今回は約8000文字です。

 バカテストは次回からにします。

バカテストは必要か?

  • やっておしまいなさい、ザーボンさん。
  • 早まるなベジータァァァァ!
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