火埜翔織という異物によるHEROACADEMYだ 作:完全怠惰宣言
紫色っぽいピンクの肌と髪に白目部分が黒で虹彩がオレンジ色の目をしており、触角を生やした宇宙人感のあるちょっぴりお馬鹿な美少女(文句あるか)。1-Aムードメーカーの一人で、文化祭で活躍した1人とも言える。見た目や言動に注目しがちだが、本当に心の底から優しい子。
切島君とは中学の頃からの知り合いで、彼の高校生デビューを知る数少ない子。
恋に恋する愛らしいティーンエイジャー。
「おい、火埜」
スピーチの内容を考える時間とし10分間与えられた。
葉隠に人数分の白紙の確保を任せると相澤に呼ばれた火埜は一番後ろに立っていた。
「どうやら、無事に猫被れたようだな」
「お陰さまで、ご迷惑をおかけしました」
極少数のスピーチをする気の無い者は兎も角、やる気が満ちてる者は必死に内容をまとめようとしていた。
「あのルール、態と解釈違いを起こさせることが目的だな。賢い奴からはそろそろ連絡が来るんじゃないか?」
「流石は先生、まさか一番手が八百万さんだというのも驚きでしたけどね」
そう言って八百万から届いたメッセージを相澤に見せる。
『本文
スピーチを最後にしてくださいませんか?
対価:お2人のお好きな飲み物5日間』
相澤に本文を見せると直ぐ様返信をする火埜。
『本文
了、ただしより好条件の提案があった場合は其方を優遇』
返信された内容を見て少し膨れた顔になる八百万。
その顔があまりにも可愛かったのか火埜も少し遊んでみることにした。
『本文
週末、デートしてくれるなら確約するよ』
「やってることが峰田と変わらんな」
「流石に八百万さんもからかわれてるって解りますよ」
そんな会話をされてるとも知らず、後から見てても丸解りなほど耳まで真っ赤になった八百万から返信がきたのは2人とも意外だった。
『本文
わかりましたわ、よろしくおねがいいたします』
目を点にする火埜と相澤。
八百万を見ると嬉しそうに手を振ってきた。
「はっ、おまえが嵌められる姿なんて何年ぶりに見たかな」
「あれぇ?なんで、なんでぇ?」
そんな2人の雑談は、次の授業を受持つオールマイトが登場しても続いた。
今回の選挙が、オールマイトの授業ヒーロー学に関係する内容と判断されてしまい、スピーチは白熱していった。
「絶対オレに入れんじゃねぇ。自分の事情を優先したいからな」
爆豪のように辞退を仄めかす者。
「オレは障子を推す、クラス内でも状況判断が正確で、何より人の話を聴こうとする姿勢に好感を持った」
轟のように戦闘訓練でペアになった相手を推す者。
「おいらは「峰田くんしゅ~りょ~」
「なんで!!」
「女子のスカート膝上7cmなんて言うのは迷惑だからだよ」
「せめて全部言わせてやれ葉隠」
「ちぇ、相澤先生が言うなら仕方がない、それじゃどうぞ」
「く、おいらのマニュフェストは女子のスカート膝下30cm」
ルールを上手く使われスピーチが真面に出来ない者。
多種多様だった。
特に火埜に印象を与えたのは飯田と八百万だった。
「正直、オレに何が出来るかは皆に理解してもらうには時間が足らない。だから、オレが委員長になったら皆が困った時に誰よりも速く駆け付けれる委員長になりたい」
「それがオレが目指すヒーローの在り方であり、オレが進みたい道の果てにある理想だから」
理想の体現、飯田はルールの穴を理解した上で愚直に真っすぐに皆に訴えかける道を選んだ。
「
「望まれるなら、環境は必ず私が整え致しますわ。皆様が最高のヒーローになれるようご助力いたします」
最後のスピーチで自分の今まで蓄えてきたありとあらゆるモノを総動員することを確約する八百万は、ルールの抜け道を利用する道を選んだ。
愚直に真っすぐ、理想のヒーローを体現した飯田。
ルールを理解し、自分の利点をアピールすることに成功した八百万。
対局の2人の姿勢はクラスの皆にどう映ったのか。
「さて、皆の投票用紙が手元に来たということで今一度ルールを確認しておこう」
1A学級委員長投票ルール
①今回に限り、クラス全員が候補者且つ投票者である
②スピーチの順番はランダム(やるかどうかは自己判断)
管理人どちらかが終了宣言をするまでスピーチを行える
誰にも迷惑にならなければ何をしても良い
※迷惑の判定は相澤先生及び管理人に一任される
※判定の最高決定権は相澤先生にある
③希望者全員のスピーチの後に投票用紙に以下を明記する
1)投票人の名前
2)学級委員長に推薦したい者の名前
※同じ用紙に同名が記入された用紙は無効とする
④選考中、管理人に話し掛けてはならない
⑤管理人は全員が投票用紙を管理人に渡し終えた時点で終了
⑥管理人には投票権は無い
「教師として一言言わせてもらうが、ちゃんと授業が生きていることが分かっただけでも今回の選挙は行った甲斐があった」
「そうだね、火埜少年はこの穴だらけのルールで皆がどう動くのか我々に見せてくれたしね」
極々少数が何を言っているのか理解できていなさそうだが、という相澤の小言は隣にいたオールマイトのみ聞こえていた。
「さて、投票集計が終わったので、電子黒板に一気に表示しよう」
『1位)八百万百(投票者:芦戸、常闇、轟、障子、緑谷)
2位)飯田天哉(投票者:蛙吹、切島、砂藤、爆豪)
同率 緑谷静空(投票者:飯田、麗日、耳郎、瀬呂)
4位)火埜翔織(投票者:尾白、口田、八百万)
5位)上鳴電気(投票者:峰田)
同率 峰田実 (投票者:上鳴)』
「「はぁ!?オレお前に入れてねえぞ」」
「互いに考えることが一緒だったんだろう、自分で自分に投票することはルール③に抵触するから投票者を違う人間にしたんだろ。それが重なっただけじゃないのか馬鹿どもが」
相澤の突っ込みが綺麗に決まった。
「ま、ルール②と④を上手く利用した子もいたようだね」
オールマイトも教師らしく物事を多角的に見れるようになってきたようで、準備時間中に火埜と葉隠に引っ切り無しに着ていたメッセージを黙認していた。
「でも、同率2位が出ちまったんだから2位は再投票でもするのか」
切島の疑問は確かにそうであった。
非合理を嫌う相澤が何も言わないのは正直可笑しかった。
「問題ない」
相澤がそう言うと電子黒板の情報に変化が起きた。
『1位)飯田天哉(投票者:蛙吹、切島、砂藤、葉隠、爆豪、火埜)
2位)八百万百(投票者:芦戸、常闇、轟、障子、緑谷)
3位)緑谷静空(投票者:飯田、麗日、耳郎、瀬呂)
4位)火埜翔織(投票者:尾白、口田、八百万)
5位)上鳴電気(投票者:峰田)
同率 峰田実 (投票者:上鳴)』
つい先ほどまで選挙管理人をしていた葉隠と火埜の名前が飯田の投票者に追加され、順位が変動。
結果が変わったのである。
「すでに結果は出ている」
「おいおいおいおい、可笑しいだろ。なんで葉隠と火埜の名前が追加されてんだよルール違反だろ」
上鳴の発言に何名かが騒ぎそうになる。
「いや、上鳴。2人ともルール違反はしてねえぞ」
そこには某ちっこい名探偵の閃いた時の様な顔をした峰田が立っていた。
「どういうことだ?」
「いいか、ルール⑥の効果で管理人の2人には投票権はない。だからオイラは2人の名前を使うことを諦めた」
「だけど、2人が管理人の立場にいるのはルール⑤で明記されている通りオイラ達の投票用紙が全部集まるまでだ。集まった段階で2人は選挙管理人から外れていたんだ」
「だからなんだよ?」
「ルール⑤の適用で管理人から外れた2人は当然、ルール⑥の効果が無くなり、逆にルール①が適用れることになるんだよ」
「峰田、正解だ」
峰田の説明を聞き、相澤も同意する。
「火埜少年も葉隠少女もルールにのっとり、投票を行った。ヒーローは敵と対峙した際にとれる手段は無効化のみ!!それ以外はいかなる状況であってもバッシングの材料になり、心が折れたヒーローたちを我々は何人も見てきた」
「だからとは言わんが、君たちにはどんな状況下であれ自分の特技を相手に押し付けれるヒーローになってもらいたい」
「三度言おう、この3年間でお前たちに伝えるべきモノは情報・技術何であれ望む限り全て詰め込んでやる」
「オレ達が与えられるモノをどう捉えどう吸収するかはお前たち次第だ」
「皆、頑張るんだぞ!!私も頑張るぞ!!」
オールマイトの熱量に当てられ何やら珍しく熱血化した相澤の鼓舞と元々熱い漢オールマイトの鼓舞に1A生徒の魂に火が灯ったような光景だった。
「というわけで、飯田君が委員長。八百万さんが副委員長ということで拍手」
「なんか冷静だな火埜」
「いや障子君と違って、なんか周りが凄すぎて一周回って冷静になっちゃった感じ?」
昼休み
「火埜君、君はなぜオレに票を入れてくれたんだ?」
食堂のカフェテラススペースで1-A全員が揃ってお昼を食べていた。
そんな中、一人机を占領して丼ものリレーを行っていた火埜に飯田が話しかけていた。
「え、何で?どしたの急に?」
ソースカツ丼(約3人前)を食べ終わり、炒飯唐揚げトッピング(約5人前)を制覇している最中だったこともあり、頬に米粒が付いていたが何故か普段見せない子供っぽさに見慣れた緑谷以外の女子がキュンキュンしていた。そして、なぜか雰囲気も幼く感じた。
「正直言って君はオレに対して苦手意識を持っているように思えていた。他のクラスメートとは積極的に話しているがオレとは、そのあまり話してくれていないように思えて」
「(あ、バレてた)うーん、そんなことないはずなんだけどね。まぁ、しいて言えばその“在り方”にかな?」
「“在り方”とは一体?」
気が付いたら周囲も注目している。
頬についた米粒は耳郎が周囲に気付かれないよう回収され食べられていた。
「フォラ、フィフィファフンッフェファフィフォイ」
「飲み込んでからで結構」
「(ンゴックン)ほら、飯田君って今回“抜け道”に気が付いていてもやらなかったじゃん」
「自分が正しいと思ったことを貫くって大変じゃん、それでも貫こうとする姿勢に投票した」
「ひ、火埜君」
感動している飯田とクラスメート。
しかし、爆豪は解っていた。
「(こいつ、得票数が高い奴が委員長になる様に心理操作しやがった)」
今回設定したルールで【選考中、管理人に話し掛けてはならない】というルールを作った。
そして、全員がスピーチをどうするか考えていた時、火埜と葉隠のスマホが同時になった。
2人は確認するとクラスメートを見て頷く仕草をした。
実はこの時、連絡を取ったのは火埜から葉隠にであり、内容もクラス全員を見て頷くというものだった。
しかし、これにより皆が【話し掛けてはならない】とはされたが【連絡を取ってはならない】とはされていないことに気が付き各々が独自に連絡を問いに行ったのであった。
その中においても飯田は一切ぶれずにスピーチの内容を考えていた、その姿勢から真面目な人間を推すだろう人間が多いと当たりを付けていたのであった。
「(ま、こいつにとって委員長になるメリットの方が少ないしな)」
「食べ終わったしトレー返しに行こう」
「だったらじゃんけんして勝った奴は免除されようぜ」
「ふむ、それも良いな、よし皆「さいしょはグー」でいくぞ」
「「「「「さいしょはグー、じゃんけん」」」」」
「「「「「ポン」」」」」
「火埜は良く食べるね」
「“個性”がらね、芦戸さんもしっかり食べるんだね」
「えへへ、昔から食べる時はしっかり食べるように言われてたから。火埜はいっぱい食べる子嫌い?」
「え、全然。むしろ一杯食べる君が好きってね」
「んもー、火埜ったら。なに、口説いてんの?」
食堂から教室まで食休みがてら遠回りをしながら喋る火埜と芦戸。
なんやかんや面倒見の良い芦戸とオカン気質の火埜は気が合うようで、これに蛙吹と爆豪が加わると「1A謎の世話焼き同盟」が結成される。
他愛もない雑談をしながら歩く2人。
曲がり角を曲がった時、芦戸の前に掌が見えた。
次の瞬間、芦戸を抱き抱え、後ろに逃げようとする火埜。
そんな火埜の喉を掌が掴みかけた。
「ゲホッ」
ただそれだけのはずなのに、火埜の首は無惨に崩れかけていた。
「お、ナイス反応。学生と言っても流石はヒーローの卵」
そこには、顔に手を張り付けた青年が愉快そうな声を出して立っていた。
「“
その後から、体のいたるところが靄のような存在が出てきた。
「あぁ、“
死柄木と呼ばれた青年が壁に手を振れると、振れた箇所からみるみる壁が崩れていった。
その光景に、もしかしたら自分が触れられていたのではと考えてしまった芦戸。何より、クラスでも上位に位置する火埜が初見殺しだったとは言え重症を負わされたことに恐怖のあまり動けなくなり、火埜の制服を握りしめてしまっていた。
「芦戸さん」
そんな芦戸の耳に火埜の声が聞こえた。
「芦戸さん、安心して。必ずオレが君を守るから」
“晴の焔”を掌に集中させ、喉を瞬時に治療した火埜。
目の前の2人の脅威度が計り知れないならと、呼吸できる程度まで行った治療を途中で止めてしまた。
「あれ、反撃するのかな。かっくいいねぇ」
「死柄木弔、目的は達しました。至急立ち去りましょう」
「まあ待てよ、目の前には瀕死の生徒がいるんだ。いつまでも苦しませるのは可哀想だろ?」
「まさか」
黒霧と呼ばれた存在は、死柄木と呼ばれた存在が何をしようとしているのか見当がついてしまった。
「さっさと殺してあげよおぜえ」
今度は火埜の顔を掴むべく手を拡げ、走り込む死柄木。
すると、火埜は死柄木の突き出した手首を掴むと合気道の要領で黒霧へと投げ飛ばした。
そして、ふらつく体を必死に動かし、芦戸を背に庇いながら校舎の壁に手をつける。
「ぶっ壊すのは、おまえの専売特許じゃねえんだよ」
潰れた喉を庇いながら、校舎の壁に捕まるように置いた火埜の手から、ルビーを思わせる真紅の“嵐の焔”が放出された。
すると、先程まで何もなかったはずの校舎の壁は真紅のオーラに包まれ瞬時に砂粒のように崩れてしまった。
「行きますよ、死柄木弔。この騒ぎは不味いです」
「くっそ、ふざけやがって餓鬼が、クソ餓鬼が!!」
黒霧と呼ばれた存在に手を引かれその姿を消す死柄木と呼ばれた存在。
2人がいなくなるのを確認する前に、気力が途切れたのか火埜は気絶してしまった。
「え、火埜?起きて、ねぇ起きてよ!!」
異常を関知したパワーローダーとセメントスが駆け付けた時には、制服を真っ赤に染め、気絶した火埜とそんな火埜に抱きついて離れようとしない芦戸しかいなかった。
蛙吹 梅雨(あすい つゆ)
どんぐり眼の蛙のような風貌の美少女。
家族総出でカエルっぽいケロケロ家族の長女。
1-Aで最も成熟した精神を持っていると思われるみんなのお姉ちゃん。
峰田のセクハラに対するツッコミが容赦ない。
火埜とは会って早々、何故か波長があってしまい、家事雑談などをするオカン仲間である。
火埜曰く初めての異性の親友。
作者のお気に入りCPの片割れなのでハーレム要りはさせないが、絶対に幸せにしたいキャラ。