火埜翔織という異物によるHEROACADEMYだ 作:完全怠惰宣言
作者のある意味犠牲者。
原作だとイイ感じになる子は既に射止めようとしてるのでゴメン。
放課後勉強会で最も成果が出ている褒められると頑張れる子。
個性が放電ではなく帯電なところにセンスを感じる。
容姿も個性も決して悪くないのに3枚目扱いが板についてきた子。
実は爆豪に一番褒められている設定の子。
原作同様全般的に勉強が出来ないが、頑張っている。
「さぁ、皆規則正しく迅速にクラスの席順でバスに乗り込むんだ」
ヒーロー科1-Aは本日午前中の単元全てを使い、ヒーロー基礎学を行うことになっていた。
登校後直ぐにコスチュームに着替えると校舎入口に集合していた。
無論、最初にそこに着いていたのは飯田だったことを明記しておく。
「くっ、このタイプだったか」
悔しそうな顔をする飯田。
彼の想像とは異なりバスの座席が2人がけの前向きシートと横向きのロングシートも混在したタイプだった。
「朝からフルスロットルだな飯田委員長」
「あぁ、てかやっと届いたんだなその“眼鏡”」
2人がけの席に座る爆豪と火埜。
そして、爆豪は火埜がかけている眼鏡が前回の訓練から変わっていることに目敏く気が付いた。
「まぁ、コンタクトがつけれないオレのために博士が態々メガネ型にしてくれて、激しく動く時は外れないようになる機能まで付けてくださったみたいでね」
「あぁ、確かに翔織はコンタクトつけれないんだったな。オレと違って」
「目に指を突っ込む動作ができる方が恐ろしいんだよ」
「ま、オレも今日からコンタクト使用するから馴らしてかないとな」
前方で会話する2人を他所に後方ロングシートでは雑談が盛り上がっていた。
「シズクちゃんの個性ってオールマイトに似てるわね」
きっかけは蛙吹のその一言だった。
「身体強化、て意味ならそうかもだけどボクの個性他にもできること有りそうで」
「確か、中学3年で突然発現したのでしたわね」
「うん、診てくれた先生が言うには個性に身体が耐えうる状態になっから使えるようになったんじゃないか、て」
「個性学は未だに謎多いからな、緑谷みたいな事例も出てくるんだな」
「でもよぉ」
そんな中、切島が自分の腕に個性を使い調子を確かめるように腕を回した。
「正直、オレは緑谷や轟、爆豪に火埜みたいなド派手な個性が羨ましいぜ。実力社会だっても今のヒーローにはエンタメ性も求められてるしな」
両腕を硬化させ拳同士を打ち付ける切島。
「まぁ、オレは電撃ぶっ放せば良いけどな」
「活躍が限定的な上に直ぐにアホになる奴がよく言うよ」
上鳴は自身の個性『帯電』が昔から人気の有る「雷」に属する個性だからか上機嫌だったが耳郎に弱点を思いきり抉られ悄気る。
「ちくしょー!!でもでも、オレは鬼コーチ爆豪とガチ講師火埜の放課後勉強会で一番誉められてんもんね。なぁ2人共」
立ち直りが早いのも美徳とばかり、放課後に行っている1Aツートップによる勉強会ではよく誉められることをアピールしようと前の席に座る爆豪と火埜へ声をかける上鳴。
「え?あぁ、まぁ、ねぇ」
「あぁん?そら、なぁ」
若干困った顔になる火埜と鬱陶しそうに顔を歪める爆豪。
「「同じ経験値を稼げるならレベルが低い方が伸び代ある(でしょうし)(だろうが)」」
誉められると期待して振った2人からのある種のダメ出し。
流石に涙目になってしまう上鳴。
「もっと誉めてよ、オレは誉められないと伸びないタイプなの!!」
「調子にのるな上鳴、前にも言ったがお前が成績上位で入試を通過できたのは試験と個性の相性が良かったからだ。あの試験方法以外だったら落ちてた奴何人もいるだろう。他の奴らもまずは自分の個性と向き合え」
相澤の雷が落ち、方々に飛び火する。
原因となった上鳴も流石に縮こまっていた。
「まぁ、相澤先生の言うことは最もだけど自分の成長を噛み締めるためにたまには後ろを振り返っても良いんじゃない?上鳴君だってぶっ放以外にも数秒だけど出きるようになったことも有るんだし」
暗くなった雰囲気を和らげるように火埜が話しに乗っかる。
対象になった上鳴も持ち直したように火埜を拝んでいた。
「余り甘やかすなよ火埜。あいつらの為にならん」
実は爆豪と火埜の前の席に座っていた相澤に小声で確りと釘を刺される火埜。
「まぁ、たまには良いんじゃねぇの。誉めることもよ」
実は鬼コーチと呼ばれるフィジカル総監督の爆豪が一番皆を誉めていることに誰も気が付いていないのは人柄が原因かそれとも言動が原因か。
「相澤先生、そう言えばオールマイトは?」
「そういえば、今日はヒーロー基礎学と被るとかあるから一緒に授業するとか言ってたよな?」
「あの人か」
何故かバスにいない教員の名が火埜から出る。
その名前を聞き遠くをみる相澤。
「何かあったのか」
「あぁ、有ったとも言えるな」
珍しく焦りの表情を浮かべる爆豪に対して、相澤の表情は呆れの感情一色だった。
「川で溺れてる仔犬を助けたついでに、その上の橋から落ちかけてたタンクローリーを引っ張り上げて、意識の無かった運転手を病院まで運んで、仔犬を獣医に見せに行ったら騒ぎを聞き付けたファンとマスコミに囲まれ、ファンサをしていたから遅刻してくる、と相棒のあの人から連絡があった」
「「ダメ新人か!?」」
これ師匠チクり案件だよな、という相澤の小声に首を縦に振る爆豪と火埜だった。
「すっげー!! なんだ此所!?」
授業の会場に着いて誰が最初か解らないがその一言は生徒全員の感想だった。
「水難事故、土砂災害、火事……etc.」
そして、そんな生徒達の前に特徴的な格好をした教員が現れた。
「あらゆる事故や災害を想定し僕が作った演習場、その名も
「いや、まんまかよ!!」
「権利関係、書類作るの大変だったです」
上鳴のツッコミに対して当時を思い出したのか、乾いた笑いを漏らす本日の講師。
「スペースヒーロー『13号』! 災害救助でめざましい活躍をしている紳士的なヒーロー!」
「わー! 私好きなの13号!」
緑谷のヒロオタの側面が久し振りにみれてホッコリしている爆豪と火埜。
そして、自分の好きなヒーローの登場にテンションが上がっている麗日。
「13号、オールマイトは? ここで待ち合わせる筈だが」
「先輩、それが」
「おい、まさか」
「あの後、銀行強盗に鉢合わせして、それを解決したら今度は巨大引ったくり集団逮捕の応援要請を小耳に挟んで援助に向かい、今本気ダッシュで県境まで戻ってきているところだそうです」
「不合理すぎる。仕方ないが始めるぞ」
偶然近くにいて2人の会話を聞いてしまった爆豪は、かつて見たブッ飛ばされるオールマイトを思い出し静かに達観した顔で合掌した。
「えーおほん。ではでは、始める前に少々お小言を1つ、2つ、3つ、4つ、5つくらいかな?」
丁寧に指を折りながら、話す内容を確認した13号。
生徒全員の顔を見渡し、視線が自分に向いているのを確認すると話し始めた。
「皆さんご存知のとおり、僕の個性は“ブラックホール”。どんなものでも簡単に吸い込んで塵にしてしまいます」
「その個性で、今までにいろんな人達を災害から救ってきたんですね」
13号の自身の個性の説明を聞いて、鼻息を荒く明らかに興奮している麗日が合いの手をいれる。
「はい、そうですね。でも、この
そのおっとりとした声色が一瞬冷たさを帯びたような感じが周囲に漂った。
「皆の中にも
「現在の超人社会は個性の使用を資格制にして、厳しく規制することにより、皆さんが見えているところでは成り立っているようには見えます」
そう言うと右手の人差し指のカバーを開き近くに置いてあるゴミ箱へとその先向ける13号。
ゴミ箱は瞬く間にブラックホールに引きずり込まれると、その姿を消してしまった。
「しかし、一歩間違えばこのように容易に人を殺せる“
「先輩がカリキュラム無視して独断でやってくれた個性把握テストで、自身の力が秘めている可能性を皆さんは知りました」
「おい、13号?」
「オールマイトの初めてのヒーロー基礎学の授業で行われた対人戦闘で、それを人に向ける危うさを体験したかと思います」
「おい、お前何か根に持ってないか?」
「でも、今回は今までと違います。今日の授業では人命の為に個性をどう活用するかを学んでいきましょう。君達の力は人を傷つける為にあるのではない。救たすける為にあるのだと、心得て帰ってくださいな」
「以上! ご清聴ありがとうございました」
話し終えて一礼する13号。
所々で漏れた毒から何かを察してしまいそうになるが、生徒一同はそんな13号へ拍手をおくるのだった。
それが止んだところで後で機嫌を取ろうと決めた相澤が口を開く。
「そんじゃあ、授業を始めるぞ。まずは・・・、ん?」
生徒に指示を下そうとした相澤が何かに気がついたように警戒態勢に入った。そんな相澤の背後、およそ100m程先に黒い靄もやのようなものが現れた。
「相澤先生、 “あいつ”です!」
「わかってる! 全員不用意に動くな!!」
火埜の言葉が訓練所に響き、相澤が臨戦態勢を整えた直後、全身いたるところに“手”をくっつけた怪人死柄木弔を筆頭に、どう見ても友好的には見えない連中が、姿を現した。
「何だよ! あいつら!」
「これも授業の一環か?」
「動くな! あいつらは全員本物の敵だ!」
外していたゴーグルを装着し、首に巻いた布を握り締める相澤。
「13号に、イレイザーヘッドだけですか。おかしいですね、先日頂いた教師側のカリキュラムでは、オールマイトがここにいる筈なのてすが?」
「やはり先日のは、貴様らの仕業だったか」
前回のマスコミ騒動は暗に自分達がけしかけたと言ってるような黒霧の発言に険しさが増す相澤。
「おいおい、マジかよ。せっかくこんなに大衆引き連れてきてやったのにさぁ。
首を掻きながら周囲を見回す死柄木。
周囲を見ていた視線は出入口付近にいる1-A生徒達に向けられる。
「あぁ、そうか。コドモヲコロセバクルノカナ?」
顔に張り付いた手が邪魔で見えないはずの顔に浮かんだ笑顔は、薄暗く澱んでいた。
瀬呂範太(せろはんた)
A組男子にぎやかし担当。
比較的年相応に性欲を持つ方だが、物怖じしない性格で日頃から対人関係に何かと問題がある爆豪や轟とも会話できる稀有な存在。
実力は高いが何かと地味・不運扱いされており、本人も地味なイメージを払拭しようと頑張っているのだが、中々結果が伴わない。
この世界線においても爆豪とは良くつるんでおり、彼の純情マイルドヤンキーぶりにオカン化している。
火埜から面倒見の鬼という称号を与えられている。
この子も成長させるよ。