火埜翔織という異物によるHEROACADEMYだ   作:完全怠惰宣言

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八百万 百(やおよろず もも)
1A副委員長、「発育の暴力」、「ピュアセレブ」等の異名を持つ。
将来悪い男に引っ掛かりそうなくらいにピュア、たぶん両親の教育が良かったんだろうな。
初期はキャラクター内でもトップクラスの発育を誇っていたが、最近は画風か神の趣味か皆さん肉付きが大変よろしくなってきてそこら辺でも陰りが見えている。
火埜君とは実は過去に出会っており、そこで既に射止められている子(なお、射止めた本人は覚えていない)。
いつか百の桃を手にする男がいると思うと若干腹立つ。


16th

「(先輩、明らかにオーバーペースだ。自分のスタイルじゃ無いにしても今回は生徒の安全優先。そして、先輩ほどのヒーローが警戒する何かがある)」

「すっげーーーー!!相澤先生余裕じゃん」

「なるほど、“ヒーローは一芸だけじゃ務まらん”と仰られていたがこう言うことだったのか」

 

上鳴、飯田の洩らした言葉に何も言えなかった13号。

それだけ、目の前で戦うイレイザー・ヘッドに注視してしまっていた、周りが見えていなかった証拠であった。

 

「お喋りは後にして皆で周囲の警戒。目標は出入口まで後退だよ」

 

とにかく、イレイザー・ヘッドに少しでも余裕を持たせるためには足枷である生徒達の無事の確保が最優先である。

周囲を警戒しつつ、13号は指示を出していった。

 

「おやおや、困りますね。ゲスト(生徒)に退場していただくにはまだ速いのですが」

 

あと少しで出入口にたどり着く。

その時、出入口を塞ぐように広大な黒い霧が発生し、中から黒霧と呼ばれていた存在が姿を現した。

 

「(いつの間に!?)」

 

以前の会議で転移系の個性であるとされた黒霧。

しかし、その転移速度は予想の遥か上をいっていた。

13号も冷静に分析するが、とにかく生徒たちを少しでも敵から遠ざけるべきだと判断し、生徒達に指示を出そうとした時だった。

 

ーズブッンー

 

13号と生徒全員の両足が沈んだ(・・・)

踏ん張ろうとした足は空を踏み抜き、体勢が完全に崩れる。 

 

「まぁまぁ、そう焦らず。どうか、ゆっくりとなさってください」「そして、これから始まるショーを、皆さんで楽しんでいってください」

 

それは、13号にとって致命的なミスだった。

踏ん張りがきかず、崩されたバランス。

底無し沼に填まったかのように完全に沈んだ両足。

そして、相澤の視線から隠れる障害物のように扱われる自身。

その後ろから舞台上に役者が登場するかのように、黒霧は足元からスモークの如く黒い霧を吹き出して登場した。

 

「遅ればせながら名乗りを、我ら『ヴィラン連合』」

「我らは。現代社会に異を唱える者共」

「そんな我らがこの度催すショーの演目、それは」

 

「ー平和の象徴(オールマイト)の最期─という最高のコメディでございます」

 

一流のエンターテイナーがそうするように、黒霧は胸の前に片手を置き深々とお辞儀をするのだった。

 

「「!?」」

 

その行動を察知できたのはどれ程の人数だったのだろうか。

13号はガンマンの早撃ちの如く、瞬時に黒霧へブラックホールを発生させた人差し指を向けてしまった。

 

「13号先生、“罠”だ!!」

 

火埜の静止する声が木霊する。

僅かに声に反応する13号、しかし声に反応できたのは個性を発動させてしまった後だった。

黒霧を殺すために向けられたその絶対の矛は、自身の背後に現れた黒い霧へと塵になって吸い込まれていった。

 

「・・・な、なん、で!?」

 

気が付けば囚われていた足は解放され、重力に引かれるように前のめりに倒れていく13号。

 

「おっと、危ない危ない。どんな物質でも塵にして吸い込んでしまう個性“ブラックホール”。一見強力な個性に見えますが、“スーツの指先を開いて発動させる”。なんてわかりやすい挙動なんでしょう、それさえ解っていれば対処はさほど難しくないのですよ。どうやら私の個性の方が幾分か強かったようですね」

 

スーツが開いた瞬間、指先に転移空間を作り、そして本人の背後に出口を作る。

黒霧はたったそれだけでブラックホール封じたのだ。

13号も咄嗟に個性の発動を止めたようだが、コスチュームの背面は消失し、そこから皮膚と肉が広範囲に削られた背中が覗く。

けして、致命傷とまではいかないだろう。

しかし、出血量からして放置していては重症化することは確かだ。

 

「さて、次は」

 

黒霧の靄がかかった頭部が生徒に向けられる。

恐らく、初めてだろう“自身”に向けられる害意と殺意に多数が息を呑み込み、身を固く構える。

その時、黒霧へ飛び掛かろうと動く影があった。

 

「上等だ!!舐められっぱなしじゃ漢じゃねぇ!!」

「13号先生から離れろ!」

 

全身を硬化させた切島が体当たりを、それに続くように尾白が尾を地面に叩きつけた反動を利用した跳び蹴りをそれぞれ黒靄に叩き込む。

 

「うお!?」

「なんだこれ!?」

 

一切二人に向くこと無く攻撃を躱す素振りすら見せない黒霧。

 

「おや?」

「切島、尾白!!」

 

しかし、二人の攻撃は当たるどころか、黒霧を通り過ぎ黒霧の周りに展開された霧の中にズプズプと沼に落ちたかのように沈んでいった。

 

「ふふ、危ない危ない。流石は名門ヒーロー校、一年生とはいえ、優秀な人材がいるようですね」

 

表情の窺えない顔から、子供を誉める教師のような声色で切島と尾白の行動に称賛を示す黒霧。

 

「といっても、所詮は羽化すらしてない卵。丁度イレイザー・ヘッドへの牽制材料が欲しかったところでしたので。イレイザー・ヘッド、今私の個性を消したら、この二人の体は真っ二つになってしまいますがよろしいですかな?」

 

「「っ!?」」

 

その言葉で、自分たちが(人質)になってしまったことを察した二人は抜け出そうと足掻くが黒い霧はその体を離すことはない。

寧ろ、足掻いた分余計に沈んでいってるように見えた。

黒霧は僅か、ほんの一瞬だけイレイザー・ヘッドに注意を向けた。

その時、黒霧の体には無数の手錠が拘束具のように取り付いていた。

 

「お久し振りです、黒霧さん」

 

そこには、手錠の鎖を顔面蒼白になりながら握り締め、訓練では見せたことの無い程に紫に煌めく焔を鎖を握り締めた右手に灯した火埜が立っていた。

 

「貴方は確か、あの時お会いした生徒さんですか」

「どうも、中々面白いジョークを言うもんですから体に力が入りませんよ」

 

拘束されながらも余裕を見せる黒霧。

拘束しながらも余裕が見れない火埜。

対照的な二人に周囲が見守っている。

徐々に火埜の息が明らかに荒くなっていく。

事情を知る13号は体を動かそうとするが思った以上に重症らしく体を動かすことが出来ないでいる。

 

「動かないでくださいよ、今の僕は加減が下手ですから」

 

黒霧から視線を外すこと無く、13号の元に辿り着く火埜。

 

「勝己、13号先生の外傷は」

 

名を呼ばれ油断無く動き火埜の側まで寄ってきた爆豪は13号の傷の状態を確認する。

 

「ヤベェな、骨見えてる箇所あるぞ。単純に活性させたら動くのに支障が出るぜ」

「麗日、13号先生の意識確認。一度傷口を綺麗にする」

「は、はい。大丈夫意識あるよ」

「轟、周囲警戒。僕が怒られるから何かあったらブッ放せ」

「任せろ」

「オレと耳郎も周囲警戒にまわるぞ」

「あんがと、障子。耳郎もよろしく」

「任せな」

「瀬呂と峰田と口田は二人の回収、多少強引でいいから引っこ抜け」

「おう、ご指名とあらば」

「はっはは、クラス内ヒエラルキーの変化だぜ」

「(頑張るよというジェスチャー)」

 

火埜の指示に動きまわる生徒達。

 

「貴方がリーダーですかな」

 

その光景を興味深そうに見ながら黒霧が声をかける。

 

「いや、リーダーはそこでお前を見張ってくれてる騎士っぽい奴だよ」

「と言うことは参謀ですかな?指示も的確ですし、良ければ我々の仲間になりませんか?」

「お褒めに預かり光栄ですな、先生だいぶ熱いし痛いよ」

 

13号の背中に手を向ける火埜。

黒霧からは見えないが何かをしようとしているのは解った。

 

「う、ぐぅ。あああああああ!!」

 

突如上がる13号の悲鳴。

 

「おや、いたぶる御趣味があるので?」

「いいからお前は黙ってろ」

 

手錠の上から自身の個性であるテープを巻いて拘束を強めている瀬呂。

近くには息が荒い尾白と切島が座っていた。

13号の悲鳴が消えると八百万が状態の確認を行っていた。

 

「OKですわ、後はリカバリーガールにお任せできそうですわ」

 

見える範囲を創造したガーゼで覆い、創造した軟膏を塗ることで雑菌の侵入を防ぎ僅かに残った熱傷を保護する八百万。

 

「やべぇ、火埜。やっぱ外と連絡取れねぇ」

「!?なるほど、それを確かめるのが本来の目的ですか」

 

上鳴が個性の性質を利用して外と連絡を取ろうとしたが一向に通じない。

恐らく電波妨害もしくは阻害系の個性持ちがチンピラの中に居るのだろう。

 

「飯田!!迷うな!!」

 

瞬間、爆豪の怒声が響く。

 

「すまん、皆」

 

黒霧の視界に写らない所でギアを上げていた飯田が助けを呼びに自身の最速で走り抜けていった。

 

「本当に素晴らしい、一部の生徒は既に半端なヒーローを越えていますね」

「嘗めんなや怪人クロモヤー。卵であってもこちとら将来有望な有精卵なんだよ」

「あれ、なんか火埜キャラちがくない?」

「“あれ”見てると吐き気スゴくて猫被ってる余裕がないんだよ。こっちが素だよ。文句は受け付けねぇぞコラ」

「いや、ワイルドな火埜もウチは好きだぞ」

 

取り繕う余裕を失くし、精神をゴリゴリと削られている火埜は普段被っているネコが何匹も逃げ出していた。

 

「おや、お辛そうですね。でしたら少々楽にしてさしあげましょう」

 

気が抜けていた、そうとも取れる状況で敵がアクションを起こさないはずはなかった。

手錠の拘束具のほんの僅かな隙間を利用した部品転移をさせることで黒霧は拘束具から脱出していた。

瀬呂の拘束も無論意味を成さず、瀬呂のテープは隠し持っていたナイフで切り裂かれていた。

 

「お茶子ちゃん、13号先生と一緒に浮かんで!!」

「近くにいる奴互いに掴め!!」

「本当に将来有望な有精卵達ですね」

 

緑谷が麗日に叫ぶ。

それとほぼ同時に轟が全員に聞こえるように叫ぶ。

状況把握能力ですら今まで標的にしてきたヒーローを越えていく。

その姿に既に脅威対象と認識を改めた黒霧は自身の出せる最高速度で霧を拡げると範囲に捕らえた生徒達を飛ばしたのだった。

 

「おや、こんなに取り零してしまうとは」

「皆は何処!!」

 

黒霧の漏らした言葉に反応をした芦戸。

13号と共に浮かんで退避した麗日と範囲の外にいた障子と砂藤も油断無く黒霧を見据える。

その言葉に、確認できないはずの顔を愉快そうに歪めているような雰囲気が黒霧からした。

 

「皆様ならこの場の様々な場所に散らして貰いました」

「無論、其所にも敵はいるんですがね」

「まぁ、火埜君だけは“あちら”に跳ばすよう指示がありましたので」

 

黒霧がそう言って手を差し出す。

するとイレイザー・ヘッドが今戦っている広場の天井部分に黒い霧が現れ、其所から人が落ちてくる光景が見えた。

 

 

「ふざけんなよあのクソモヤ!!殺す気満々じゃねぇか!!」

 

霧を抜けた其所はUSJで一番高い天井部分、火埜は重力に引かれ地面へと落ちていった。

 

「嘗めんなや!!」

 

落ち始めて数秒、文字通り“火の鳥”へと転化し羽ばたくことで地面への激突を免れた火埜。

目も前にはゴーグル越しでも解る不機嫌なイレイザー・ヘッド。

周囲には突然の事態で動きを止めたチンピラ。

その奥には死柄木と全身黒く染まった筋肉質な何か。

 

「弁明は後で聞こう」

「いや、オレ悪くねぇし!!」

 

ネコを被ることを放棄し人の姿に戻った火埜に対して、危険地帯に来たことにお怒りのイレイザー・ヘッド。

 

「なんだなんだ、ガキが追加かよ」

 

チンピラの誰かの言葉に頭が冷えていく感覚を覚える火埜。

 

「死ねよガキ」

 

両手から硬質化した剣のような物質を生やしたチンピラが火埜に攻撃を仕掛ける。

所詮はガキだという考えが占められた思考。

そんなチンピラの目の前にはいつの間にか銃口が向けられていた。

 

「五月蝿いんだよこのドサンピン野郎が」

 

その言葉と共にトリガーを握り薄らと赤いオーラを発射させる火埜。

オーラの圧力で吹き飛ぶチンピラ。

周囲のチンピラも突然の出来事に驚いていた。

 

「“OPERATION ARCO BALENO”」

 

火埜が呟く。

 

『YES、MY MASTER』

 

突如、女性の声が響く。

すると、火埜の腰の周りに小型の匤型のサポートアイテムが展開され、かけていた眼鏡のレンズがオレンジ色に染まると耳にかかっていたフレームがヘッドホンのような形状に変化した。

 

「『SISTEMA C.A.I.起動』」

 

火埜翔織、始めての命を懸けた戦闘が始まる。




SISTEMA C.A.I.(スィステーマ シー・エー・アイ)
元ネタ:『家庭教師ヒットマンREBORN!』 ・『獄寺隼人』
厨二の心を擽る素敵装備。
「C.A.I.」とは「Cambio Arma Istantaneo(=瞬時武装換装システム)」の略。
戦況に応じて臨機応変に使い分ける。
オリジナルは腕固定型火炎放射器が起点となるのだがこの世界線では銃型アイテムを使用する。
複数のオーラと道具を組み合わせる事で、凡ゆる状況に対応できる優れた汎用性の高さを持つ反面、匤単体ではその性能を発揮出来ず、変化する状況に応じて匤の中から最適な組み合わせを選択しなければならない。
若き日の「デヴィッド・シールド」が後に妻となる女性と作成したサポートアイテムが原形であり、その二つは火埜の両親であるビーストアーツとカラフルパレットが使用していた。
今作品は2人の遺品を「デヴィッド・シールド」が娘である「メリッサ・シールド」と共に再作成した一品。
娘との合作でテンションが上がった博士により学生が持つには、というかプロであっても易々と手に入れられないサポートアイテムとなっている。
派生アイテムを爆豪と緑谷が所持している。
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