火埜翔織という異物によるHEROACADEMYだ 作:完全怠惰宣言
この世界線における「緑谷 出久」にあたる少女。
ピ〇クシ〇さんとかで見かける長髪系女体出久。
出るとこ出ちゃったバディは八百万には劣るが1年生でも上から数えたほうが早い。
爆豪勝己という地獄の番犬系幼馴染と火埜翔織という無意識オカン系幼馴染に守られ中学時代を過ごす。
本人は気付いていないが幼馴染2人には精神的に軽度の依存傾向にある。
中学時代幼馴染2人とクラスの女子により急激に育った身体で煩わしい目に合わなかったため、地味な上に“無個性だった”自分は異性にあまり人気がないと勘違いしているが、基本的に勝己という番犬によりそういったアホ共は散らされていた。
目下の悩みは育ち続ける胸部によりお気に入りの下着が減っていく事と増え続けるオールマイトグッズの収納場所。
自分と少女は違うと思い知らされたのは、初めて自身の個性の話をした時だった。
それは、元ヒーローが晩年に呟いた一言だった。
突如始まった除籍免除を賭けた個性把握テスト。
内容こそ普通の体力テストのそれだが、背負ったモノがまるで違う。
自分の全てを出しきらなければならない。
そんな状況で行われることになった個性把握テスト。
各自其々が不安を顔に表す一方で、相澤の後ろをリラックスしているように見えてしまう雰囲気で歩いている3人は非常に不気味に思われていた。
「シズクちゃん、何か余裕そうやね」
麗日は、横を歩く笑いそうになる顔を押さえている緑谷に対して余裕があると思ったのか、話しかけた。
「え、ヨユウ?無いよ、そんなの」
「え、違うの!?」
その声に反応して集まってくる女子達。
「意外ね、シズクちゃん口の端が上がりそうになってたから私てっきり余裕あるのかと思ってたわ」
「緑谷、入試1位の爆豪と知り合いなんでしょ?仲良さそうだから鍛えて貰ってるんだと思ってた」
「ねぇねぇ、余裕じゃないならどうしてそんなに笑顔なの」
そんな会話の中、緑谷は相澤の後ろを歩く2人の幼馴染みへと視線を向けた。
爆豪は赤い逆立った髪の男子に捕まり何かを聞かれており、火埜は眼鏡をかけた委員長ぽい男子と鳥のような頭の男子と話ながら歩いていた。
「だって、やっと同じ場所に立る権利を得たから、かな?」
緑谷が女子達と話ながらもキビキビと短距離走のスタートラインへ向かってる頃、爆豪はボールを投げた右手を開いたり閉じたりして調子を確かめていた。
「お前すげぇな」
そんな時に後ろから声をかけられた。
全体的な雰囲気がどこに出しても恥ずかしくないヤンキー、と実母からも言われる爆豪を幼馴染みを介さずに声をかけてくるのは非常に珍しく、爆豪は後ろを振り返った。
「何だ、赤髪。なんのようだ、あぁん」
誰彼構わず威嚇する癖は短期間では治らなかったようで、声が聞こえた火埜は額を押さえて天を仰いでいた。
緑谷も聞こえたようで苦笑いをしていた。
「いや、1kmだぜ。ボール投げで出す記録じゃねえだろ。それに“個性”の使い方も何かこう熟練してるというか、自分を解ってるって言うか。とにかく、スゲかったぜ」
「おい、舐めんなよ赤髪コラ」
自身への称賛に対し、少し不快そうに顔を歪めると頭を軽く搔き自分の前を歩く火埜の後ろ姿を見る。
「抜き去りたい奴が目の前にいるんだ、満足なんかしてられねぇ。それに、後ろから追い抜こうとしてる奴がいるんだ、負けるわけにはいかねえんだよ」
そう言うと、赤髪の少年から少し視線をずらし、後ろにいる緑谷を見つめる。
「オレは必ず№1になるんだ」
口も態度も頗る悪く、本当に
「てか、テメエ誰だ」
「おう、オレは“
唐突に天を仰ぎ見た火埜、そんな奇行に出たクラスメートの隣を歩いていた飯田と常闇は訝し気に声をかけた。
「大丈夫かい君、何か忘れていたことでもあったのかい」
「これからオレ達は傑物となるための一つ目の試練に挑むのだぞ。万全であれとは言わないが気持ちは確りとしておけ」
これから蹴落とし合いをするはずの者に対して当然のとばかりに心配を寄せる2人のクラスメート。
そんな2人の言葉に、瞳に優しさを宿らせた火埜は顔を正面に戻した。
「ご心配をお掛けしました。なに、幼馴染ズが平常運転だったからつい、ね」
そう言うと、舌を出して悪戯がばれた子供のように無邪気な笑みを浮かべる火埜。
「緑谷君とは実技の会場が一緒だったんだ。彼女は昔からあんなに常に余裕を持っていたのかい」
「もう一人はかの阿修羅の如き男か。アイツは本当にヒーローを目指しているのか」
幼馴染2人の評価を聞いて思わず声が出て笑いそうになる火埜、そんな火埜を不思議そうに見る飯田と常闇。
「2人とも甘いな、シズのあれは余裕じゃなくてやることを決めている覚悟の現れさ」
「シズは事情があって個性の制御に難があるけど、たぶんこの中の誰よりも“ヒーロー”って存在を理解してるよ」
「勝己の態度が不遜に感じるなら、それは自分に満足してない証拠だよ」
「勝己は誰よりもストイックで、負けん気が強いから真っすぐに憧れた背中に向かって全力で走ってるだけだよ」
再び顔を手で覆う。
その手が取られた時、火埜の顔には一切の表情が消え、戦いを前にした戦士の気配が満ちていた。
「そんな2人に追いつきたいから、僕はただ必死に飛ぶんだ」
「僕がカッコイイと感じる2人に気持ちが負けてるなら、せめて2人が真っすぐ進めるように空高く飛び続けたいだけなんだ」
そう言うと再び笑みを浮かべる火埜。
そんな火埜の感情に飲まれかけた飯田と常闇は、何故か心に火が灯ったような気がした。
『2ビョウ18』
「フッ、ふぅ。ヨシ!!」
機械音で告げられるタイム。
最初の短距離走において飯田が出したタイムであった。
爆豪の本気を見せられ、火埜との会話で覚悟を決めた飯田はスタート地点を後ろにずらし、自身の個性に適した加速を得たことにより自分でも驚くタイムを叩き出していた。
これが、仮に通常のスタート地点からであればタイムをもっと遅かったであろう。
しかし、緑谷という指針を知り、爆豪という本気に当てられ、火埜の感情に当てられた彼は相澤へ進言し、自身のスタート地点を離すことで、自身の最高の形を作り出したのだった。
「(公平性を重んじるのであれば、確かにスタートラインは同一にすべきだろう。しかし、僕らの個性は千差万別。)」
「自分のフィールドでの最大実力を知ることが今は大事だ」
飯田は呟きながら、クラスメートが待っているエリアへと歩いていた。
そうすると、目の前には意識したばかりの2人が何かを相談している姿が目に入った。
それと同時に、二人の短距離走での姿勢を思い出した。
「邪魔だ、オラァ―――――!!」
スタート時点で細かい爆発を繰り返し、徐々に爆発の威力を上げることで加速した爆豪。
隣を走っていた口田には事前に話していたのであろう、2人分の間を空けてスタートした。
『4ビョウ52』
「クソが―――――!!」
加速系の個性ではないにしろ驚異のタイムを叩き出したにも関わらず、爆豪は悔しそうに地団太を踏んでいた。
「ふぅ、ボチボチいこうか」
スタート地点を少し後方にズラし、ハーフパンツに素足、長袖も脱ぎ下に着ていたTシャツを肩まで捲り上げた姿になった火埜はスタート音が鳴る前にその姿を変化させていた。
両腕と両脚がオレンジ色に発火する。
両脚は鳥類を思わせる形に変化し、両腕もまた巨大な燃え滾る翼に変化していた。
スタート音が鳴ったのとほぼ同時に加速し、気が付いたらゴール地点を過ぎた場所に立っていた。
『5ビョウ59』
「あぁ~、風圧で顔痛い」
ゴールタイムが告げられた火埜の姿は既に一般的な人型に戻っており、顔をマッサージしていた。
「(2人とも、恐らく個性の性能で言えば全く別の使い方をしているはずなのに、応用力が凄い)」
「(本当に、自分が出来ることを知っているんだ)」
そんな2人が連れ添って相澤の許に行き、少し話をすると相澤はため息をついて何かを了承したようだった。
爆豪が近くの林に消えていき、何かの蔓を持ってきて火埜に手渡すと2人はゴールからかなり離れた位置にスタンバイした。
「何をやろうとしてるんだ」
飯田だけでなく、既にタイムを計り終えた生徒たちも不思議そうにしている。
「次、緑谷お前で最後だ」
「はい!」
諸事情により緑谷が最後に走ることになっており、彼女はクラウチングスタートの姿勢を取っていた。
「なんか、女子のクラウチングってエロいよね」
己の欲望が小出しになっている者もいるが、試験の時に飯田が見た緑谷の個性は短距離に不向きに思えていた。
「-----ト、シュ----ウ」
遠くて何かを呟いたことしか解らなかったが、緑谷が何かを呟く少し前、火埜が両手に黄色い炎の様なオーラを灯すと爆豪が取ってきた蔦にオーラを流し込んだ。
そして、スタート音が鳴ったのとほぼ同時だった。
「痛ってえな、シズクオイコラ。前ぐらい見ておけ」
「勝己じゃないけど、この蔦が無かったらグラウンドの壁まで突っ込んでたでしょ」
「かっちゃん、とーくんゴメン助けて。蔦がなんか絶妙に絡まっちゃった」
太くしなやかに伸びた蔦が地面に根付き、その両端を爆豪と火埜が引っ張る形で緑谷が蔦に絡まっていた。
『6ビョウ46』
緑谷の走り抜けた跡はまるで何かに抉られたような溝が出来ていた。
タイムこそ遅く感じられたが、緑谷の個性の一端が発露した瞬間だった。
そんな3人のコントを後目に個性把握テストは続いていく。
-握力測定-
メゴシャ
「・・・・・あれぇ?」
「先生、シズクちゃんの測定器が“また”壊れました」
「・・・・緑谷“測定不能”っと」
-反復横跳び-
「ココはおいらの独断場」
プルプルと反発する何かの間をものすごい速さで行き来する峰田。
「「「嘗めんな、クソが!!」」」
「爆豪の奴、分身してね」
両手からの爆発を器用に操作し、分身しているように残像を作り出している爆豪。
-上体起こし-
「火埜、手抜くんじゃない」
「うげ、バレた」
頭の後ろに組んだ手から炎を噴出させて高速上体起こしで楽していた火埜。
しっかりと相澤に注意を受ける。
-立ち幅跳び-
「えい」
空中で停止した一瞬、空気を足場に蹴り上がり続ける緑谷。
「オラぁ!!」
両手の爆発で飛び続ける爆豪。
「ほいっと」
両腕を翼に変えて羽ばたくことで勢いをつけ続ける火埜。
「
ーハンドボール投げー
「そぉれッ」(ピピッ)
「火埜、800m」
「ハァ、ハァ」
「火埜さん、目に見えて疲れてきてますわね」
爆豪同様、炎を放出する際の勢いと遠心力を利用した投合を披露した火埜であったが、目に見えた疲労感からリリースのタイミングがずれてしまい記録は伸びなかった。
「2ーーーーーー、スマァァァッシュ」(ピピッ)
「緑谷、965m」
「イタタタタ、そろそろ限界かな?」
「シズクちゃん辛そうだけど大丈夫かしら?」
ボールを投合した瞬間、全身が痛み硬直した緑谷。
蛙吹の言葉に笑顔で手を上げて返すが、体を庇いながら歩いているのは誰の目から見ても明白であった。
ー30分持久走ー
「ハァ、ハァ、ハァ、辛い」
何とか上位に食い込んでいるが、個性を使う余力はないのか普通に走っている火埜。
「ハァ、ハァ、ハァ、痛ッ」
休み休みながらだが、時々個性を使用して上位と中位を行ったり着たりしている緑谷。
「ウラぁ、オレの前を走んじゃねえ」
両手の爆発を細かに使用して走り続ける爆豪、悪態こそ出ているが爆破の細かな制御が出来なくなってきていた。
「はいお疲れさん、これみんなの総合結果ね」
ー除籍対象者無しー
相澤の見せた紙にはそう書かれていた。
「「「「「えぇぇええええええぇえぇええええ!!」」」」」
「普通に考えたらわかりますわ・・・初日に最下位除籍なんて」
「君らの最大限を引き出すための合理的虚偽だ」
「ダウト」
相澤の対応に対して、八百万が得意気に答え、それを補足する相澤だった。しかし、その場にヘタリ込んでいた火埜がその言葉を否定した。
「最初は絶対にマジだったっすよね、てか目がマジでしたよ」
「大方オレ等が腑抜けだったら、最下位と言わず見込みのない奴は全員除籍にしてやがったな」
火埜の言葉に爆豪が補足する形で答えた。
「まぁ2人の言う通りだ。まだまだヒーローと呼んではやれねぇが、妥協点としては十分だ、気ぃ抜くなよ有精卵ども」
「「「「「はい!!!」」」」」
「それじゃ本日は解散、明日はガイダンスすっから筆記用具とカバンだけでも持ってこい」
こうして、1ーA生徒のヒーローへの道は始まったのだった。
爆豪 勝己(ばくごう かつき)
幼馴染が初恋のマイルドヤンキー才能マン。
両親には既に将来設計を伝えており、根回しは確りとしている。
中学になり、急に女の子になった静空にドギマギして原作同様イジメに走りかけるが、翔織のチクリによる両親の強制お勉強により静空専用地獄の番犬と化した。
本人もいたって純情に育ったため、未だに仲の良い幼馴染感覚で静空に抱き着かれたり上目遣いで見られると赤面してしまう。
翔織自身からあくまで幼馴染としてしか見てないという証言を貰って安心しているが、その後に続いた「高校いったらシズはモテるだろうな」という呟きを聞き逃した結果ライバルが増えることになるとは微塵も思っていなかった。
当時の自分をぶん殴っておきたい衝動に駆られる。