火埜翔織という異物によるHEROACADEMYだ   作:完全怠惰宣言

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火埜式アンチエイジング

①嵐の効果で古い細胞を分解
②晴の効果で細胞を活性化させ若い細胞を作り出す
③大空の効果で急激に活性化させた細胞を周囲の細胞と調和させる
④雨の効果で定着させた細胞を鎮静化させる

実は何度かおこづかい稼ぎと個性制御訓練の名目でやってたりする。


25th

『さてさて、障害物レース第二関門は落ちたらまっ逆さま、パワーローダーが徹夜して掘った結果、滅茶苦茶深くなっちまった渓谷擬き。命綱のロープをどう使うかはたまたタイムロスと知って外周を橋って渡るか、The.Fall!!』

『そして、なんと1位到着はB組の角取ポニーと鱗飛龍だ』

『A組がバラけてもたついたところをあの二人は組んだままて空中を滑っていたからな、当然だろう。しかし、ヴラドの教育の賜物か自分の個性制御という基礎の基礎である部分はウチの奴らと競っても負けなさそうだな』

『A組は実体験ていう経験値を1年生じゃあり得ない時期にあり得ない量獲得できたのに対してB組では基礎的なこと、つまり自身の個性に対する理解度を上げることに重きを置いてきたからな』

『ま、それが活かせてるのが推薦留学生だけというのはどうかと思うが』

『おっと、オレらが雑談してる間に後続が続続と追い付いてきたぞ、てか爆豪の奴もう追い付いたのか!?あいつのタフネスどなってんのよ?』

 

火埜と轟を置き去りに“飛ぶ”のではなく“加速”に個性を利用し猛スピードで追い上げる爆豪。

その姿は飯田の兄であるインゲニウムを彷彿させる走りだった。

その後ろでは、中位グループに追い付かれかけながらも余裕を持って走っている火埜と轟の姿があった。

先頭集団はロープを頼り渓谷を進んでいく。

角取も集中力が切れたのか、鱗と共にロープを渡っており、次の障害物を警戒して全員がスタミナ温存を目的に切り替えた。

飯田のような加速系個性持ちもその出力を利用してロープを滑るように渡る生徒もいたが、途中で失速し落ちる生徒が続発。

さすがの飯田も途中の足場になる場所で休憩すると慎重にロープを渡っていた。

さて、突然だか世間一般では個性を伸ばすためには反復使用が一番の近道といわれている。

それに関係してか、日頃から個性を使用していると身体が自身の個性に対して感覚的に出力等を覚えていくと言われている。

第一関門で大技を使用した3人は他の生徒に比べて、スタミナこそ削られたが、その反面個性因子を活性化させることに成功した。

つまり。

途中にある足場も利用して爆発大ジャンプでリアルマリオしてる爆豪。

氷の橋を足場まで掛けて器用に滑りながら疲労を押さえて順位を上げていく轟。

両腕を青く輝く翼に変え、疲労を鎮静させながら悠々と翔ぶ火埜。

3人の姿が映し出された。

 

『もう、あれだA組の奴らチートだ』

『努力の結果だ、各自が得意分野を伸ばすことで全体的な能力向上を目指すらしい』

『まぁ、B組の担任であるオレにも色々聴きに来たからな。そう言われると向上心の一言で片付けてた自分が恥ずかしい』

『おぅっと、オヤジ達があーだこーだ言ってる間に第3関門にいち速く到着した奴らがいるぞ。てか何してんだあいつら?』

 

そこには踞る耳郎に群がるA組女子の姿があった。

イヤホンジャックを地面に刺しコースの概要を図っている耳郎だったが、その個性が彼女に不運をもたらした。

切欠は追い付き、その光景を見ること無かった生徒が第3関門へ脚を踏み入れた時だった。

 

「へ?」

 

生徒が少し走った次の瞬間、とてつもない爆音と閃光が辺りを埋め尽くした。

 

『おうっと失礼!第3関門は一寸スゲェぞ。お前らの足元一面が地雷原、地雷の位置はよく見りゃ解るがだからといってスピード落とせば順位はガタ落ち。怒りのアフガンだ!!』

『そこだけ日本語なんだな』

『ん、おいなんか目を回している生徒がいるぞ』

 

ヴラドの指摘に空撮ドローンが近づくと耳を押さえ気絶した耳郎がいた。

 

『恐らく個性で仕掛けを看破しようとした時に被害にあったんだろう。あいつは個性上聴力が良いからな』

 

A組女子があたふたしているところ、先程芸術を作り上げた3人が追い付いてきた。

事情を聴かされた爆豪は自身に何かを訴えかける耳郎の視線に気がついた。

 

「おい翔織。お前まだ余裕あるだろ、こいつ運んでやれ」

「別に良いけど」

 

爆豪は確りと見えたいた。

自分にしか見えない位置で耳郎が親指を上にたてているところを。

 

「よいしょっと、響香は軽いなぁ。もっと肉つけて」

 

そしてあろうことか、なんの迷いもなく耳郎をお姫様抱っこで抱き上げる火埜。

耳郎の耳には走ってきたからかいつも以上に早く大きな火埜の心音が個性を使わずとも聞こえていた。

 

「一応言っとくが、ここで怪我しても“あんな”感じにはならないからその顔止めろ」

 

爆豪の声にドキッとした複数の女子がいた。

 

「きょーーかーー!!まだお嫁に行かないでぇーーー(悲)」

「透ちゃーーーん、パパはパァパはまだ許しませんよ(涙)」

「お茶子ーーー!!行け押し倒したれ(喜)」

「三奈、いつの間にか異性に興味を持つようになって(喜)」

「まあ、翔織君はぁウチの百の婿なんでぇ(煽)」

「「「「あぁん!!」」」」

 

親バカ全開のオヤジ達に対して。

 

「あらあら、響香ったらいつの間にぃ」

「透も以外と押し強くなったわね」

「お茶子ったらちゃんと青春してるじゃない」

「三奈も遂に初恋かしら」

「百の武器を全部使えばイチコロなのに」

「「「「ウフフフフフフフ」」」」

 

冷たい微笑みを交える母親達は静かに娘を応援していた。

 

「翔織君は相変わらずだね」

「無自覚に餌を巻いてるんだから」

「静空は大丈夫みたいね」

「まぁ、あの子が火埜君ですか」

「良い面構えした子じゃないか」

「フフン、なんたってヴァターシの義息子だからねぃ」

「是非ともその教育方針を」

「オイコラ姉貴落ち着け」

 

場外でそんな茶番劇が起きていることなど気づくこと無く、第3関門を次々に突破していく生徒達。

なお、気絶しているはずの耳郎がガッチリと抱きついていたため、そのまま戻ってきた火埜が会場に戻ると冷やかしの声援が周囲から送られてきた。

 

『さて、規定人数が戻ってきたみたいだし今年の目玉“+α”の発表といこうか』

 

マイクの声に多少グズッた耳郎をおろし息を整える火埜。

 

『こいつが最後の締めだ』

 

マイクの声に反応するかのようにグランド中央部がせり上がり、モニターにはとある文言が表示された。

 

『対象は校内の全員、その名も“スーパー借り者競争”!!』

『ルールは簡単だ、グランドの中央の台の上に置かれた超強化用紙に書かれた特徴の人間を校内から探しだして連れてくること』

『校外の人を呼びつけたり、無理矢理連れてきても失格とする』

『さぁ、枚数は限られてるぞ!最後の体力振り絞れ!』

 

その声が途切れるのと同時に走り出す面々、ヒーロー科ABクラスの面々だった。

 

『おいおい、今走ってない奴ら気抜きすぎだぜ』

『まだ誰もゴールしてないのだから今の説明中も当然競技中だ』

『スタートの合図など待っててもないぞ』

 

3人の教師の言葉にヒーロー科以外の生徒達は思い知った。

普通科の生徒達は僅か4ヵ月で開いた差を。

経営科の生徒達はヒーローを目指している者のあり方を。

サポート科の生徒達は彼等を見くびっていたことを。

次々に紙を手にしていく生徒達。

 

「さてさて、何て書かれてるのかな」

 

火埜も難なく紙を手にし、落ち着いて読める場所で紙を広げた。

数秒間紙に書かれている字を凝視していた火埜。

 

「えっと、居るんだよね?」

 

 

「よっしゃ、運が良いぜオレは」

「中々に有望そうだな君は」

 

爆豪は自身の背に乗るヒーローと共にゴールを目指していた。

爆豪のお題【昨年度ビルボードチャートトップ5以内のヒーロー】に対して憤慨していたその時、彼の目の前をたこ焼き片手にスタイリッシュに通りすぎるヒーローを見つけた。

今日もきっちり決めた髪型にジーンズ生地のヒーロースーツ。

昨年度ビルボードチャートNo.4。

日本ヒーロー界のお洒落番長。

「ベストジーニスト」が数人のサイドキックと共に歩いていた。

 

「踏ん張れ静空、お前さんなら1位になれる」

「はい、先生」

 

その声に爆豪とベストジーニストが下を見ると物凄い速さで爆走している女生徒がいた。

背中に小柄な老人を背負い、爆走する度に胸部装甲がバルンバルン揺れている。

 

「あんのバカ、なんで今日も“サラシ”だったんだよ」

「ほう、凄い速いな彼女」

 

爆走女子と化した緑谷は数分前のことを思い出していた。

紙を開いてお題を確認した緑谷、そこには【オーバー60のヒーロー(リカバリーガールを除く)】と書かれていた。

そもそもそんな高齢になっても活動しているヒーローの方が珍しく、久々にネガティブモードになりかけていた時だった。

 

「餡子とカスタード、抹茶クリームそれとハバネロクリームのやつをくれ」

 

聞きなれた声に顔を上げる。

 

「ぐ、グラン・トリノ!?」

「おやぁ、静空じゃないか。どうした?」

 

目の前には自身の師の1人であるグラン・トリノが弟子達の好物の中身が詰まったたい焼きを袋一杯に買っていた。

事情を聴いた最近孫のように可愛がる緑谷のために袋に詰め込まれたたい焼きと共に現れたのだった。

緑谷のダッシュのタイミングに合わせて自身の個性で勢いをつける爺馬鹿ぶりである。

 

「付き合っていただき申し訳ない」

「ふん、そのお題でオレが近くにいたのは偶然だ」

 

轟は出店通りの外れで1人黄昏ていた。

 

「こんなお題でOK出してくれるヒーローなんかいるかよ」

 

轟の右手に握られた紙、そこには【見た目が敵っぽいヒーロー】と書かれていた。

頭を抱え落ち込む轟に人影が被さった。

 

「おい、貴様何をしている。まだ競技中だろ」

 

轟が顔を上げると「ヴィランっぽい見た目ヒーローランキング」第3位にランクインする堅物な性格と顔の怖さから、子供によく泣かれているギャングオルカが社員を引き連れて歩いていた。

オルカは轟のお題を見ると。

 

「オレで良ければ連れていけ」

 

そして現在。

氷のスロープを二人で滑りながらゴールを目指す轟とギャングオルカ。

 

「中々に涼しいなこれ」

「本当にありがとうございます」

 

『おうっと、いち速く戻ってきたのはやっぱりA組か』

『あいつら運も良いからな』

『しかし、顔ぶれが凄いな』

 

3組が同時にコールテープを切ろうとしたその時だった。

一筋の光が3組に追い付いた。

 

『Why!?なんだ今の光は?』

『なるほど、確かにそれなら最高速度で翔んでこれるわな』

『ほう、初めて見るが中々に美しい姿だな“火の鳥”というのは』

 

ー遡ること数分前ー

 

「えっと、居るんだよね?」

 

火埜が獲得したお題、それは【同科の上級生】だった。

人数の関係上、3日に別けて行われる体育祭。

今日出番の無い上級生は余程のことがない限り自宅にいるため探すのは困難だと予想された。自身のくじ運の無さに思わず天を仰ぐ火埜。

そんな火埜は後ろからの衝撃に思わず転びそうになった。

 

「あは、やっぱり御姉様だ」

「あぁ、もうその呼び方で定着しちゃったんすね」

 

火埜の背中にはつい最近知り合った波動ねじれが私服姿で嬉しそうに抱きついていた。

 

「波動さん、そんなに急いでなにかあった?」

「もう、ねじれったらそんなに急ぐと危ないよ」

「あ、ミリオ先輩どもす。あとはじめまして1年の火埜翔織です」

 

背中に波動を引っ付けたまま(多少の役得を感じつつ)挨拶する火埜。

 

「なんだ、火埜君を見つけたのか」

「あら、後輩の子。はじめまして3年の甲矢有弓よ」

 

話を聞くと3年生の有志で私服警備をしていたところ、何かを発見した波動が全力ダッシュしてしまったのでファットガム御用達のたこ焼き屋に捕まった天喰を見捨てて追い掛けたところだったらしい。

 

「で、お題が“同科の上級生”と言うわけでここまで探しにきたと」

 

現在、火埜は出店通りを抜け校門前に来ていた。

グランドから最も離れた場所でふてくされていたと言うわけだった。

 

「はは、今年は無理っすわ。裏技使えばともかくその裏技に耐えれそうなオーラ系の個性持ちの先輩なんて早々見つかりっこないっすわ」

 

遠い目をしながら喋る火埜は完全に諦めていた。

その後ろで物凄く良い笑顔をしている波動に気が付かない程に。

 

「御姉様、私の個性オーラ系」

「マジで!?」

 

そこからの行動は速かった。

木陰に逃げ込み下半身の体操着を上半身の体操着の中にいれて袋状にして地面に置く。

そして、高校では誰にも見せたことのない完全変異し緑色の雷を纏った黄色の火の鳥となった。

 

「はど、んん。ねじれちゃんオレの体操着持ってくれた」

「大丈夫」

 

火埜の天候の焔には何個か裏技的な要素が存在している。

その一つが「オーラ系個性持ちへの効果の伝播」である。

何らかの形でオーラを操れる個性持ちの個性に自身の発現している天候の焔の効果を伝播させ天候の焔にその存在を火埜のと誤認させることができる。

これにより、火の鳥と化した火埜に触れることが出来るのである。

そして、今全長5mは有りそうな火の鳥に可憐な美少女が乗ったなんとも絵になる光景が出来上がったのである。

 

「それじゃ、ねじれちゃんをお借りします」

「いってきま~す」

「いってらっしゃい」

 

甲矢の声を合図にオーラを活性化して後ろに放出し音速を超えて上昇する火埜と火埜のオーラに守られぬくぬくとしている波動が出来上がった。

グランドを目視する火埜。

 

「ねじれちゃん、辛かったら言ってね」

「御姉様、私上級生だよ?後輩のために頑張れる先輩だよ?」

「上等!!」

 

落下とオーラによる加速の結果突き刺さるようにゴールにたどり着いたのだった。

その結果。

 

『4人同着、一位はA組の緑谷に爆豪、火埜と轟だ!!』

 

「御姉様、おめでとう」

「ねじれちゃんのお陰だよ」

 

ジャージを着た火埜と満面の笑みの波動。

そして、嬉しそうに“抱き合う”2人。

 

「「「「「ヒノクン、チャットオハナシシマショ」」」」」

 

その後ろには誰もが見惚れそうな笑顔をした極寒のブリザードを纏った5人の少女達がいた。

 

「(オレ死ぬの?)」




騎馬戦どうしよ(焦)
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