火埜翔織という異物によるHEROACADEMYだ   作:完全怠惰宣言

34 / 79
はい、スランプを言い訳にした何だこれです。
いやね、内通者露見の件もそうだけど、12月に来て一気に仕事の処理件数が爆上がりしたのと、ちょっと肩の骨外れて通院してたの含めて運がねえなって感じです。
あと、この小説で爆豪に野次飛ばされたくないなと思ってたらこうなりました。


34th

激闘の3連戦で観客のテンションのボルテージも上がりきった中始まった4回戦。

しかし、会場には先程までの選手への応援も歓声も響いてなかった。

 

3回の戦闘を終え次も熱い戦闘が繰り広げられる、そんな期待の熱量が会場を覆っていた。

 

「火埜、お前とはサシでやりあいたかったんだ!!」

「あ、そう」

「テンション上げてけや!!」

「・・・・、うるさい」

 

片や熱気とヤル気十分、誰が見ても熱血モードの鉄哲徹鐵。

片や怠気を垂れ流し、ヤル気が欠片も見あたらない火埜翔織。

そんな対照的な二人の戦いは、開始とともに火埜の強烈な脚撃が鉄哲を捕らえ、フィールドの端まで吹き飛ばしたことから始まった。

個性で全身を鉄に変化させた鉄哲は、火埜の演武にも見える蹴りの猛襲を全て受け止める形で凌いでいた。

しかし数秒後、鉄哲の鳩尾へと向けられた蹴りを最後に火埜は空高く翔ぶと鉄哲の様子を観察し、強力な一撃を撃ち込むと空に逃げるを繰り返すようになった。

 

「火埜コラァ!!漢らしくステゴロで勝負しろや!!」

「てめぇそれでもヒーロー志望か!!」

「相手見習って正々堂々闘え!!」

 

会場中に響く火埜への罵声。

そんな声に見向きもせず、淡々と一撃を入れては空に逃げるを繰り返す火埜へ遂にはブーイングが起こっていた。

 

「かっちゃん、ダメだよ」

「は、シズクこそ落ち着けや」

 

A組の生徒が集まった観客席では両手で断続的に爆発を起こしている爆豪と全身に傷のようなパワーラインが駆け巡っている緑谷が今にも対面の観客席に乗り込もうとする互いを牽制しあっていた。

 

「にしても、ヒーローにも色々いるんだな」

「確かに、場の空気に酔いこの場がどういった場所なのか忘れている奴らが多いな」

 

瀬呂と常闇が冷めた眼で反対側のヒーロー達をみていた時だった。

罵声を浴びせられようと平然としていた火埜の顔に誰かが投げたであろう缶がぶつけられた、そしてその映像がスクリーンに映し出されてしまった。

数秒の無音が訪れたと同時に、2箇所から何かを破壊する音が会場に響いた。

 

『さっきまで“オレ”の生徒に罵声浴びせてた屑ども。てめぇ等動くな!!今からクビリに行ってやる!!缶投げた奴名前は言わないでおいてやるが温情はソコまでだ五体満足で帰れると思うな!!』

『落ち着け、イレイザーヘッド。お前こんなパワータイプだったか?司会席の強化ガラスに罅いれるパンチャーではなかっただろう』

『あぁ~あ、オレ知らねえ』

 

激怒し司会席に設置された強化ガラス全面に罅が入るパンチを放った相澤を本気で押さえ付けるヴラド。

そんな姿すら興味なさげに血走った眼で“屑”を見下すマイク。

そして、もう一つの音源はフィールドに鉄化した自身の拳を打ち付けた鉄哲だった。

 

「・・・・・が」

 

打ち付けた状態のまま何かを呟いた鉄哲。

次の瞬間、物凄い勢いで顔を上げた彼の顔は憤怒の色に染まっていた。

 

「外野がギャーギャー騒ぐなやクソがーーーー!!」

 

マイクを通さない肉声のはずなのに、その怒声は会場の外まで響いた。

 

「・・・・、火埜」

 

いつのまにやら着地し顔の傷も治していた火埜に対して鉄哲は静かに語り掛けてきた。

 

「オレは“弱い”か?」

「え?普通に“強い”と思うけど?だから、対処に困ってるんだし」

 

鉄哲の質問に何を言ってるんだこいつは、と言いたそうな顔をして首を傾ける仕草をとる火埜。

 

鉄哲(キミ)は自分の個性の強みを理解している、それは“鉄”の硬度を持ちながらに柔軟に動けることじゃないの?」

「あぁ、オレもそう思ってる」

「切島レベルで固められるんだったら、焔の最大炎圧照射で場外吹っ飛ばそうと思ったけど、最初の蹴りで膝付きかけたところ見ると、ソコまでの硬度ではないと思い到った次第で」

「だから、最高速度で蹴りつけることでスタミナ切れか場外狙いに切り替えたってことか」

 

鉄哲は再び下に顔を下げ、ブツブツと聞こえない程度に何かを呟き始めた。

火埜にしても根性論者の精神的タフネスは、切島とのスタミナ強化特訓でいやと言うほど味わってきたのでどうしようかと迷っているところだった。

 

「かぁー、クソが!火埜、オレが中途半端に“弱い”ばかりにお前を受ける必要ない罵倒に晒して悪かった」

「いや、だから十分に強いよ鉄哲は」

「しかーし、オレにも意地がある!!負けると解ったこの戦いでオレが成長するために頼みがある!!」

「聴いてねぇーし」

 

鉄哲と火埜の視線が互いに交差する。

やる気の無いと思われた火埜の雰囲気は、今察すれば身体に余分な力の無い、気負っていない脱力状態を保とうとしていた。鉄哲はその雰囲気を察したことで、自分がどれだけ余裕の無い状態でこの場に立っていたのか気がついた。

また、そんな自分に対して油断無く構え、冷静さを欠くことの無かった火埜翔織という存在の異常さに頼もしさを感じていた。

 

「火埜!次のA組の合同訓練にはオレも、いや“やる気のある奴ら”も混ぜてくれ!!」

「そこはクラス長同士で折り合いつけてくれ、責任者オレじゃ無いんで」

「そうだな!!拳藤に任せりゃいいな!!」

「まぁ、B組の面々は基礎固めからはいってるから切欠さえ掴んだら化けると思うなぁ」

「と、なれば!!」

 

その言葉と共に、鉄哲は全身を銀色に染め今まで以上に好戦的な笑顔を浮かべた。

 

「これが今のオレの全力全開、折れない鉄の盾だ!!」

「その気概に答えないのは“漢”じゃないか」

 

好戦的な笑みを浮かべた鉄哲に対して、涼しい笑顔を浮かべ眼を閉じた火埜。

両腕を鳥の翼に変化させ、露出していた脚の部分も猛禽類を彷彿とさせる脚部に姿が変わった。

翼をふるい、その姿が目視できるギリギリの上空へと舞い上がった火埜の顔には好戦的な獰猛な笑みが浮かんでいた。

 

「いくよ鉄哲、最硬の盾の硬度を見せてもらうよ」

「いっちょこいやコラァ!!」

 

両翼、両脚のオレンジ色のオーラが徐々に色が変わっていく。

 

(ほう)

 

その呟きと共に焔は緑色の雷のような焔に姿を変えていた。

 

 

(おう)

 

その声が響くのと同時に、火埜の姿は消え去った。

 

(いん)

 

その言葉と共に、鉄哲の胸部に脚撃が叩き込まれ。

 

烙雷緑(ラグナロク)

 

場外の壁まで吹き飛ばされた鉄哲を背にフィールドに着地する火埜の言葉で終わりを迎えたことに周囲は気づいた。

 

「流石だよ、鉄哲徹鐵」

 

ミッドナイトの勝者宣言が響く中、火埜は壁にめり込んだ鉄哲を尊敬の眼差しで見る。

 

「意識を失っても個性を解かない、その気高さはこの会場のどんなヒーローにも劣らないよ」

 

セメントスの個性で壁から救出され運ばれていく鉄哲を見ながら、その姿に素直に賛辞をのべる火埜。

そんな尊い光景、その後ろでは。

 

「てめえ等、ヒーロー辞めて再就職先でも探しやがれ!!」

「グルガ、ガゥガゥ!グルルルガゥガァ!!」

「ヒーローなのにこの場にいるという意味を履き違えてるド3流どもが!!随分となめくさった口きいてくれたなぁ!!」

「HAHAHAHA!取り敢えず、君達は再試験なのさ!!ボクの可愛い生徒をバカに出来るくらいの実力があるかどうかみて上げるのさ」

「やり過ぎるんじゃないよ、あたしゃだって流石に怒ってるんだからね」

「誰か止めろよ、ヒーロー以前に教師として放送コードギリギリの顔と発言だぞ」

「マァ、仕方無イダロウ。流石ニ看過出来ル範囲ヲ大キク逸脱シタ行イダッタカラナ」

 

大会実行の為に集まっていた教員によるお仕置きという名目の別の何かが行われかけていたのだが、比較的に穏健的な思考をしやすい教員たちにより何とか留められていた。




年の瀬に向けて大変な時期ですけど、だからって無理したらシャレにならないので皆さんは無理だけはしないでください。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。