火埜翔織という異物によるHEROACADEMYだ   作:完全怠惰宣言

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5月30日発売のジャンプでの常闇君の発言にクルモノがあった。
やっぱりジロちゃんはそっちだよね。(アホな作者でごめんなさい)
今回は駆け足です。


45th

何故かニコニコな麗日に車イスを押されながらA組控え室に戻った火埜の目の前では爆豪と轟によるよく解らない何かの押し付けあいが起きていた。

 

「あんなのオレの理想の“勝ち方”じゃねぇ!つう訳でお前が優勝だ轟!!」

「ルール上でも場外に出たオレが“敗けだろう”!いい加減に認めろ爆豪!」

「「お前が優勝だろがぁ!!」」

 

控え室中央で金色に輝くメダルを片手に挟み込む形で組み合い、優勝した事実を押し付けあうその姿にクラスの誰もが呆れた顔をしていた。

 

「で、何であの二人は争ってんのさ」

「あははははは、実はなぁ」

 

そこから、麗日による解説が始まった。

決勝戦は半ば燃え尽きた2人による消化試合状態で始まった。

準決勝でほぼほぼクライマックスになってしまった爆豪と轟は互いに様子を見ながら闘いを組み立てていた。

 

“憤怒の焔”を使ったがために掌に無視は出来ないレベルのダメージか残り満足に爆発できない爆豪。

緑谷との戦いで本来の自分に目覚めたが、その為にヤル気を根こそぎ燃やし尽くしてしまい精神と肉体のバランスが悪すぎる轟。

万全のコンディションでない上に、どちらも先の試合で半ば終わった感覚が残っているため精細に欠ける動きしか出来ずにいた。

そんな状態に精神も引っ張られ互いに注意が疎かになっていた時だった。

轟によって冷やされた空気が爆豪の渾身の爆発と轟の制御ガン無視の炎熱により尋常でない爆破が起きた。

咄嗟に爆発の逆噴射でフィールドに残った爆豪だったが、轟は氷を出すことも出来ず場外に落ちてしまった。

そして、ミッドナイトが勝利宣言をしていた最中だった。

爆発によりフィールドに残っていた特大の氷が空に舞い上がっていた。

最高到達点に届いた氷は重力に引かれ下へと落ちていく。

その氷は加速していき、状況をのみ込めていない少年つまり爆豪へと引かれるように落ちていき。

 

「ぉう君のしょう「アガァ!!」

 

勝利宣言の最中に爆豪の頭へと見事に落ちたのだった。

そして、体力も気力もギリギリだった爆豪は見事に気絶したのだった。

なお、爆豪がさんざんに駄々をこねたがルール上も誰がどう見ても不幸な事故ということでなんとも締まらない優勝となったのだった。

 

「・・・・、阿保か。勝己、どう考えても君が優勝だから諦めろ」

 

そう言うと車イスのタイヤを回そうとして腕に力が入らないことに気が付くと火埜は麗日を見上げる。

そんな麗日の精神は今、某柱の男のようにワッショイワッショイと祭り囃子が駆け巡っていた。

普段は自分が見上げる形になる師と慕う男の子が無警戒に自分を見上げてくる。

しかも、自分の中で起きた変化により美形フィルターがかかったのか、それとも見上げてくる角度の問題なのか、いつもより幼く見える火埜に少しムラッとしていた。

 

「(あかん!あかんでぇお茶子!!火埜君は今弱っとるから手出すならもう少し回復してから)て私は何を考えてんのよ!?」

「ど、どうした麗日!?」

 

突如、自分の頬を(結構強めに)叩いた麗日の奇行に驚く火埜。

そんな2人に視線が注がれていた。

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁ、麗日まで堕ちたか」

「いや、あれはまだ崖の上で足踏みしてるね」

「後ろから押して差し上げましょうか?」

「介錯的な?」

「あははは、とーくんモテモテだ」

「けろっ、火埜ちゃんは女難の相が出てるのね」

 

天井を仰ぎ「ガッデム!!」という雰囲気の芦戸。

やや冷静にそれでいてジトッと視線を送る耳郎。

笑顔なのに何故かその笑顔から恐ろしさを感じる八百万。

同じく笑顔なのに明らかに怖い葉隠。

3位のメダルを持ちながらポエポエ微笑む緑谷。

一人の少年の未来に待ち受ける女難にいち早く察した蛙吹。

そんなカオス溢れる空間に全速力で近寄ってくる影があった。

その影は、控室のドアの前を通り過ぎたことに気付かずに走り抜け、会場整備で疲労困憊になりながらもエナジードリンクを飲むセメントスに衝突して周りが見えてなかったことに気が付き心からの謝罪をセメントスにし、再び走り出したのだった。

なお、セメントスに関しては衰弱が激しかったのもあり強制休眠させられることになった。

場面はまた爆走する影に戻る。

控室を見付けて勢い良くドアを開け放つ。

 

「な、何で此処にいんだよ!さっさと出てけ!!」

 

影は誤ってB組の控室に突撃してしまい、不運にもそこで着替えていた女子の着替えシーンを覗いてしまい、土下座のまま器用に謝りつつ走り出した。

影の聡明な脳にはB組女子の肌色率高めの光景が焼き付けられ1週間ほど煩悩に悩まされることになるのだが。

そして、遂に目的のA組控室に辿り着くと勢い良くドアを蹴り開けたのだった。

 

「すまないが火埜くんはいるか!!」

 

ドアを蹴り飛ばして登場したのは、決勝戦の間に教員に呼び出され今までこの場にいなかったA組委員長飯田天哉だった。

飯田の声にその場にいた火埜以外の全員が飯田の反対側の壁を指さしたのだった。

 

「ん?なぜ火埜くんは壁に張り付いてるんだい?」

「お前が蹴飛ばしたからだよ(×18)」

 

本来、廊下側に開ける扉を勢い付けて蹴飛ばして無理矢理開けたこともあってダメージはそれ程でもなさそうだが、確りと怨みの念が籠められた視線が火埜から飯田に突き刺さっていた。

 

「落ち着きなさいな飯田ボーイ」

「イワさんさん、しかし!!」

「お前、今自分でトドメさしかけた人間に頼みごとしようとしてんじゃねえぞ。それに関しては大人が何とかするからお前は何もするなと言った筈だぞ」

「相澤先生!ですがボクは、兄が!兄が!!」

「エンポリオーーーリラックス&鎮静&睡眠ホルモン!インジェクトラァッッッッッッシュ!!」

「んっはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

何やら怪しげな奇声を挙げて倒れる飯田。

 

「ほら、お前らいい加減に帰れ!!火埜は保護者と着いてこい」

「それじゃ、行くわよトーリボーイ。おマグ、飯田ボーイの回収お願いね」

「はぁい、イワさん。ヨッコイショ、あらやだ結構好みの筋肉質」

 

何やらとんでもない自体になり爆豪と轟の優勝押し付けあいもナアナアで幕を閉じたのだった。

 

翌日

 

火埜は疲れが取りきれておらず、見る人が見たら敵認定されそうな顔をしながらキャマバッカ事務所所有の病院の前にオールマイトと保護者兼共同治療役のイワンクフと立っていた。

 

「はぁ、インゲニウムが両脚腱断裂に両腕切断?それの治療をオレが?」

 

前日、校長室に根津から聞かされた驚愕の話。

そして、インゲニウムこと飯田天晴が敵により両腕を切断され両足のアキレス腱も断裂してしまい、瀕死の重症であること。

本人の僅かな意識の中、ヒーローを続けたい意思を確認し、根津経由でイワさんに治療の依頼がきたのだった。

 

「ネヅッチ、ヴァターシから言わせてもらうっちゃぶるけどそれ本気なの?」

「あぁ、飯田天晴本人からの依頼でもあるのさ」

「だとしたら、甘々スイーツな考えちゃぶるね」

「ボクもそう思うのさ」

 

オールマイトという成功例があるため受けると思われたが、オールマイトには治療当時ONE FOR ALLがあった。

ONE FOR ALLが彼のいきる意思に呼応したかのようにオールマイトの生命力を高め、本来では不可能だった再生治療が行えた。

麻酔薬による影響がどこまで出るか解らなかったのでニューキャマー事務所専属医とリカバリーガールが医療コンサルタントを行い、術中もオールマイトのバイタルチェックなど万全の体制で実行したのだ。

それでも、約2カ月当人が地獄を見続けた事実があるのだが。

 

「今回はまず、ダメになった細胞を“分解”するとこから始めるんすよね。しかも、飯田があの調子なら呻き声聞こえたら術室に駆け込んできますよ。秘密になんて出来る訳ないっすよね」

 

最大のネックは火埜の個性に依存しきったこの治療を外部に漏らされる危険性である。

大雑把に言えば「脳と心臓が無事なら五体満足に再生可能」な訳で、世間に知られた場合のことを考えるとその場にいる全員が断る判断をするべきだと考えていた。

 

「なんで、なんでそこで絆されるかなぁ?え、ひつじさん?」

「私はヤギ(八木)だよ火埜少年?」

「嫌みに決まってんだろ」

「トッシー、解ってるでしょうね」

「はい!手術室のドアは必ず死守します!!」

 

なんと、オールマイトが仲立ちを勝手にしてしまい、飯田一族に条件を飲ませてきてしまったのだ。

その為、引くに引けなくなった状況が出来てしまったのだった。

 

「んじゃ、地獄の時間の始まりですよ」

 

生気もなにも感じられない目をした火埜が手術室へと入っていった。

 

「納得いきません!!」

「あぁん、飯田お前なめてるのか」

 

家族待機室では飯田両親が落ち着き無さそうに椅子に座り、相澤の捕縛布で雁字搦めにされた飯田が床に転がされていた。

 

「オールマイトが先方に確認を取らなかったとは言え、あちらの出す条件は全て飲むと誓約書にサインしたのはお前のご両親だ。未成年のお前が、しかも当事者でもないお前がどうこう言うんじゃない」

 

「天哉、落ち着きなさい」

「父さん、しかしこれでは兄さんがどのような扱いを受けてるか、我々家族には知る権利があるはず」

「手術を担当される方が自分の個性を知られることを嫌がっている上に体調も万全でないにも関わらず、無理を言って引き受けてくださったんだ。我儘を言うんじゃない」

「そうですよ天哉、母さんも心配ですがこちらの我儘で治療していただけるのですから私達は信じて待っているべきです」

「母さんまで」

 

両親から説得され多少落ち着きを取り戻した飯田。

その頃、室内では。

 

「ーーーーーーーーーーーーー!!」

「はいはい、麻酔無し鎮痛無しで焼き切ってるんですからしょうがないでしょ」

「治癒ホルモン追加よ!!」

「ーーーーーーーーーーーーー」

「セレ姉が非番で良かったなっと、はい両足の治療終了」

「バイタル乱れまくりだけど許容範囲だね」

「そろそろテンションホルモンいっとく?」

「いや、一旦休憩しよ。セレ姉の喉が心配だし、これから3時間は走り抜けなきゃ出し、患者が痛みで気絶してる間に準備とかあるし」

「ーーー、ゲホッ。(本当に勘弁してちょうだい:手話)」

 

音階ヒーロー セイレーン

キャマバッカ事務所にて事務員として働く妙齢の女性。

個性は歌うことで様々な効果を声に乗せられること。

今回は2時間ぶっ続けでオペラを歌ったことで部屋内部の音、しかも特定の人間の声のみを消していた。

 

「それじゃ、オレご飯行ってくる」

 

ふらふらと術室を出て行く火埜。

地獄は始まったばかりであった。

 

月曜日。

兄の手術が無事に終わり、両手足も完全にくっ付いたこともあり落ち着きを取り戻した飯田は無理を言おうとして怪我をさせてしまった火埜に謝るために朝一番に教室に来てから現在、火埜が現れるのを今か今かとまっていた。

しかし、朝礼を知らせるチャイムが鳴ったが火埜が姿を見せることはなかった。

 

「お前ら席に着け」

 

そうこうしているうちに相澤が気怠そうに現れた。

 

「先生!火埜くんが来てませんが」

「あいつは休み中にプロがらみの厄介ごとに巻き込まれて今入院中だ」

 

その言葉に騒然となる教室。

 

「だが、疲労が抜け切れていないだけだ。明後日には登校できるだろうから心配するな」

 

相澤の発した言葉にそれでも心配そうにするクラスメート。

 

「あいつの心配よりも、まずは自分たちの心配をしろ」

 

そう言って相澤が電子黒板を叩くと左側にA組生徒の名前が、右側に棒グラフが現れた。

 

「お前達にのんきにしている時間はないぞ」

 

そう言うとそれはそれはサディスティックに相澤は笑ったのだった。

 

 




まあ今回は蛇足というか、体育会の残りを詰め込んだ感じです。
ここまで長くする予定じゃなかったのになぁ。
次回から職場体験編です。

音階ヒーロー セイレーン
キャマバッカ事務所にて事務員として働く女性の相棒。
結婚し、子供を引き取ってからは子供中心の生活をするため事務員に転職するが何かあった時のために免許は返納していない。
結婚相手はイギリス圏で活躍していた身体を叩くことでビスケットを生み出すことが出来る個性を持った女性(こちらも現在はキャマバッカ事務所厨房にて働いている)。

個性:歌声
歌ったジャンルによって様々な音に関する効果をもたらす個性。
使用後は大抵喉が逝ってしまうので喉のケアとのど飴は必需品。
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