火埜翔織という異物によるHEROACADEMYだ   作:完全怠惰宣言

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名前をつけるという行為がこんなにしんどいとは。
今回、作者の都合だったりアレだったりでヒーロー名が変わっている子もいますがご容赦ください。


46th

「ご心配お掛けしました、飯田はタンスの角に小指強連打しろ」

 

水曜日、顔色は多少悪いが火埜が登校してきた。

 

「まぁ!ヒーちゃん、御体もう大丈夫ですの?」

「お!翔織復活か!それじゃ、ウチは今週いつもの頼もうかな」

「トーリ君大丈夫?んぎゅっして良い」

「葉隠に続き、三奈ちゃんもんぎゅってしたげるね」

「おぅふ、うちの師匠取らんといてぇ」

 

扉開けて早々に女の子達に捕まり中に入れないがどことなく役得的な顔をして満更でもない火埜。

 

「ひ、火埜君!?僕が悪かったからそんなこと言わないでくれ!」

「口惜しいぃ、怨めしいぃ、妬ましいぃ!!オイラだって今回頑張ったのになんだよこの差は!!」

「普段の行いじゃね?それよか火埜、退院早々ちょつと助けてくれ女性関連で」

「上鳴がまさか女子のことで誰かに相談する日が来るなんてな」

 

騒がしいいつもの日常、そこに帰ってきたことに少しだけ精神が回復した火埜。

なお、教室の奥で緑谷の後で威嚇しあう爆豪と轟を見たのだが、疲れるからスルーした。

ついでにニマニマしながらスマホ眺めてる緑谷が見ているのが心操からの互いに頑張ろうというエールのラインだと知っているが、それを指摘した瞬間に面倒事に発展する未来が見えていたので黙ることにした。

 

「お前ら、さっさと席に着け」

 

いつもの調子で天井にくっついた寝袋から顔を出し寝袋ごと教卓に移動する相澤。

 

「先生、発目の作品(オクタコス)勝手に使って良いんですか?」

 

そう、相澤は体育祭で脚光を浴びた多機能多腕自動制御型サポートアイテム“オクタコス”を装備していたのであった。

気が付けば寝袋は畳まれ、ヘアセットとお握りとお茶が準備されていた。

 

「アイテムに使われているシステムのデバッグに付き合ってやってんだ。オレが楽をしたいために生徒の商品化確定アイテムを勝手に使っているわけではない!!」

 

死んだ魚のような目をカッと見開き言い分けをするその姿にかつての威厳が少なからず失われていた。

 

「まぁ、そんなことより火埜も良い時に登校してくれたな。来月行われる職場体験についてだ」

 

ザワザワ、と浮き足立ちそこらかしこから話声が聞こえてくる

 

「静かにしろ!というのも、以前から話している“プロからの指名”に関係してくることだ。指名が本格化するのは経験を積み即戦力として判断される2、3年になってからだ。つまり、今回来た指名はあくまでお前達の将来性に対する“興味”と言った方がいいものだ。もし、卒業までに興味を削がれた場合、残念ながら一方的にキャンセル、ということもある」

「大人は勝手だっ!!」

 

相澤の説明に峰田が涙を流しながら机を叩いて悔しさを表す。

 

「けろ、ということは今来ている指名がそのまま自分へのハードル、てことになるのね」

「蛙吹の言うとおりだ。そして、今回のドラフト指名の結果はこうなった」

 

相澤が電子黒板を叩く。

そこにクラス全員の名前が縦に表示され、その横に棒グラフと数字が表示されていた。

 

 

A組指名件数

 

爆豪 :524(6,542)

轟 :501(6,429)

緑谷 :404(4,201)

火埜 :402(4,200)

麗日 : 99(3,254)

八百万: 98(3,000)

切島 : 85( 560)

飯田 : 74( 460)

上鳴 : 62(男:500 女:1,500)

瀬呂 : 61( 428)

蛙吹 : 54( 329)

葉隠 : 40( 217)

芦戸 : 40( 216)

障子 : 39( 345)

耳郎 : 36( 215)

常闇 : 34( 154)

尾白 : 32( 130)

口田 : 21( 129)

砂藤 : 21( 119)

峰田 : 11(  86)

 

「あれ?なんか今年指名少ないっすね、てか後ろの数字なんなんすか?」

「お前達が不作というわけではないぞ。あまりに指名が来てしまったものでな」

「先方には悪いが勝手に篩いかけさせて貰った。後ろの数字は本来お前達に来ていた指名数だ」

「上鳴、お前」

「知りたくない、見たくない、知りたくない、見たくない、知りたくない、見たくない」

「そして、職場体験に行く前にお前らにはやるべきことがある」

 

相澤が全員に睨みを利かせるとクラス全員の背筋が伸びる。

 

「ヒーロー名をつける、本日のヒーロー情報学は『コードネーム』の考案だ!」

「「「「「胸膨らむやつキターーーーーー!!」」」」」

「うるさ」

「バカばっかりだな」

 

クラスでテンションが上がっているのに対して、本日不機嫌に精神メーターが傾いている火埜と爆豪は不機嫌そうにしていた。

 

「プロの活動を実際に経験して、より実りのある訓練をしようということだ」

「なるほど、そのためのヒーロー名っスか!」

「ヤバい、ウチちょっとワクワクしてきた」

 

浮き足立つ生徒達、そんな彼らに相澤はため息を吐くと。

 

「ただし!適当なもの付けたら地獄を見ちゃうよ!!!」

 

カツカツとヒールの音が教室に響く。

 

「「「ミッドナイト先生!!」」」

「この時につけたヒーロー名が、そのまま世に認知され、プロ名になっている人多いからね!!」

「そんなわけで、そういったセンスがオレにはないから手伝ってもらうことになった」

「アンタのヒーロー名考えたの山田だもんね」

 

その頃、職員室

 

「Off Course!!メチャCOOLだろ!!」

「マイク先輩、奇行は程ほどにしてください」

「13号シビーーー!!」

 

と言う訳(どう言う訳?)でAクラスは現在5分間のシンキングタイムとなった。

 

「こういうのはヒラメキも重要よ」

 

というミッドナイトの有り難いお言葉で書いては消して書いては消してを繰り返していた。

 

「それじゃ、5分たったから発表していきましょう。それじゃ、最初は出席番号順で芦戸さんから」

「はい!」

 

指名された芦戸はムフフと笑いながら元気よく教卓へと歩いて行く。

その顔は自信と悪戯心が垣間見えるようであった。

 

「いくよ、私のコードネームは・・・・」

 

勢いよくフリップを前に出す芦戸、そこには。

 

「エイリアヒーロー“リリアン・クイーン”!!」

 

フリップの余白には無駄に上手い元ネタがシャギャーと吠える絵が描かれていた。

 

「(そっちできたかーーーー!)」

「2!?血が強酸性の彼女を目指してるの!?いろんな意味で危険だから却下、作り直し!」

「ちぇー」

 

なんともいえない空気を作り出して残念そうに帰って行く芦戸。

 

「オイラ、次はオイラがちゃんとしたの出す」

 

はいはいと空気を読まずに手を上げる峰田、ミッドナイトに指名されると一目散に教卓へと走って行った。

 

「芦戸もちゃんとしたの考えろよ、やっぱ名前見てすぐこのヒーローだと解るのにしないと」

 

自信満々にフリップを見せた峰田、峰田のフリップに書かれたヒーロー名は。

 

「グレープヒーロー・“竜弦”!!」

「アウト、全然君っぽくないし、まったく違うヒーロー思い浮かべるから却下!!」

 

爆豪が視線を後ろの席に向ける。

そこには頭を抱えた火埜がいた。

 

「あれ、やっぱお前のせいか」

「旧時代の特撮ヒーローって今でも需要があるんだよ。良いじゃん好きなんだから」

「おもくそ引っ張られてるじゃねえか、どうにかしろこの大喜利雰囲気」

 

撃沈した峰田が寂しそうに席に着くと今度はクラスのお姉ちゃんが手を上げていた。

 

「子供の頃からずっと考えてたのよ」

 

うれしそうにフリップを裏返しその名前を見せる。

 

「梅雨入りヒーロー・FROPPY(フロッピー)

「カワイイわ!それに、親しみやすくて実に良いわ!!皆から愛されるお手本のようなネーミングね!!」

 

余白にケロっと鳴く可愛いカエルのイラスト付きで展開されたフリップ。

そのヒーロー名を見たクラスの反応は。

 

「フロッピー、良いじゃん梅雨ちゃんぽい!」

「どんなヒーローかすぐに連想出来るところも良いですわね」

「なにより大喜利じゃねえ」

 

そこからクラスあげてのフロッピーコールが起こる。

普段あまり感情が表に出ない蛙吹だが大勢に褒められて少し照れていた。

 

「よっしゃ!!梅雨ちゃんに続くぜ!!」

 

やまないフロッピーコール中、次に立ち上がった切島は胸を張ってフリップを出した。

 

「最硬ヒーロー・“烈怒頼雄斗(レッドライオット)”!!」

赤き狂騒(レッドライオット)!?これは『漢気ヒーロー“紅頼雄斗(クリムゾンライオット)”』のリスペクトね!」

「ウッス! 俺の目指すヒーロー像どんなことがあっても砕けねえ“(クリム)”そのものっス!!」

「いいわよ、いいわよ!!でも、憧れの名を背負うからには、それ相応の重圧がついてまわるわよ?」

「覚悟の上ッス!!」

 

切島の熱い一言に影響されたのか、次々とヒーローネームを発表していく。

 

「ヒアヒーロー・“イヤホン=ジャック”」

「個性を前面に出した良い名前ね」

「触腕ヒーロー・“テンタコル”」

「タコって海外だと毛嫌いされる傾向にあるけど上手く避けて自分を表してるわね!!」

「テーピンヒーロー・“セロファン”」

「言いやすいし解りやすい、子供に人気でそうな名前ね」

猿武(えんぶ)ヒーロー・“テイルマン”」

「地味に聞こえそうだけど大人に人気浸透しそうな名前でGOOD!!」

「甘味ヒーロー・“シュガーマン”」

「ヒーローらしく○○マンで締めたところに旧時代の浪漫を感じるわ」

「リドリーヒーロー・“Pinky(ピンキー)”」

「梅雨ちゃんをお手本にしたのかしら?さっきよりも断然に可愛いわ」

「ステルスヒーロー・“レディ・インビジブル”」

「あえてレディにしたところセンスを感じるわ」

 

次々と披露される力作にミッドナイトも興奮が抑えられない様子で身体をクネクネさせて悶えている。

 

「良い、良いわよ、最高よ!さぁ、どんどん行きましょ!!」

「先輩テンション高」

 

すっと立ち上がり教卓に出てきたのは。

 

「万物ヒーロー・“クリエティ”」

「解りやすさとヒロイックさがベストマッチしてるわ」

「漆黒ヒーロー・“ツクヨミ”」

「刺さる層にはたまらないヒーロー名、嫌いじゃないわ!!」

「雷光ヒーロー・“サンダチャジャー”」

「此れでもかと推す“カミナリ”がいいわ!!」

「もぎたてヒーロー・“GRAPEJUICE(グレープジュース)”」

「そう、こういうので良いのよ。自分らしさ全開で良いわよ」

「ふれあいヒーロー“アニマ”」

「心に寄り添ってくれそうな名前で良!!」

 

アオハルと言う謎の栄養素を摂取してビクビクと痙攣していてヤバそうなミッドナイトを尻目に発表は続いていく。

 

無重力(ゼログラ)ヒーロー・“ウラビティ”」

「自分の名前と重力を意味するグラビティの掛け合わせね。良いわよ大好き」

凍焔(とうえん)ヒーロー・“冰火(ひょうか)”」

「敢えて漢字なところが良いわね!!」

「快速ヒーロー・スピィディア」

「誰にでも解りやすいし覚えやすい!!」

 

クラス内のテンションは(一部を除き)最高潮、するっと教卓に着くのは不機嫌そうな顔をしていた。

 

「火乃鳥ヒーロー・“セブンス”」

「自分の特徴を落とし込んでいて良いわね!!でも、お姉ちゃん相談ほしかったな」

「漏れてる、本音漏れてるからネムねぇ!!」

 

そして、緊張して笑顔が引きつっているし手足もギクシャクしながら壇上に登るのは。

 

「パワーヒーロー・“ラビィアピース”」

「Love&Peaceを自分なりに略したのね!!語音がとっても可愛い!!」

 

そして大トリとして本当にイヤイヤなことが態度から現れている男が登場。

 

「爆心ヒーロー・“EX-FLOW(エクスフロウ)”」

「“EXCEED=範囲などを超える”と“FLOW=絶え間なく流れる”を合わせた造語ね!!一番のヒーローになるって言う気構えを感じるわ」

 

こうして、“ヒーロー情報学”の授業は終わりを迎えるのだった。

不機嫌そうだった者も本日は誰が見てもウキウキしていたのは秘密だ。




一様、こんな感じに落ち着きました。
英単語表記組は基本カタカナ表記なりますが、正式には英単語です。

芦戸:リドリーヒーロー・Pinky
蛙吹:梅雨入りヒーロー・FROPPY
飯田:快速ヒーロー・スピィディア
麗日:無重力ヒーロー・ウラビティ
尾白:猿武ヒーロー・テイルマン
上鳴:雷光ヒーロー・サンダチャジャー
切島:最硬ヒーロー・烈怒頼雄斗
口田:ふれあいヒーローアニマ
砂藤:甘味ヒーロー・シュガーマン
障子:触腕ヒーロー・テンタコル
耳郎:ヒアヒーロー・イヤホン=ジャック
瀬呂:テーピンヒーロー・セロファン
常闇:漆黒ヒーロー・ツクヨミ
轟 :凍焔ヒーロー・冰火
葉隠:ステルスヒーロー・レディ・インビジブル
爆豪:爆心ヒーロー・EX-FLOW
火埜:火乃鳥ヒーロー・セブンス
緑谷:パワーヒーロー・ラビィアピース
峰田:もぎたてヒーロー・GRAPEJUICE
八百万:万物ヒーロー・クリエティ
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