火埜翔織という異物によるHEROACADEMYだ 作:完全怠惰宣言
今年は仕事が本当にヤバい上に夏場で体調崩したのかヘロヘロです。
ヒーローネームが決まったその日の放課後。
「ウッス!!火埜いるか?」
切島レベルの熱苦しさを全身から放つ男がA組に来襲した。
「鉄哲じゃん、何々どした?」
そこには、体育祭で火埜とぶつかった鉄哲徹鐵が切島級の侠気オーラを放ちながら立っていた。
「鉄哲邪魔!!倒れたって聞いたけど元気そうで安心した」
「柳さんも、いやはやご心配お掛けしました」
そんな鉄哲を個性で退かした柳レイ子が火埜の身体をペチペチ触りながら体調を確認してきた。
「お、復活してるな。火埜に、というかA組と合同でちよっと調べたいことがあってさ」
火埜から離れる気配の無い柳を押し退けて現れたのはB組委員長拳藤一佳だった。
「ん?そういうのは担任通してじゃないとダメじやない?」
「あれ?
「けろっ、今日の今日なら相澤先生だったら断るんじゃないかしら?」
「確かに(Aクラス一同)」
「えぇ!?せつかくだから皆で職場体験先のヒーロー見ようと思ったのにぃ」
B組から来た全員で残念合唱が始まりかけたその時だった。
「・・・・・、それ別に来たい奴だけで集まれば良くない?」
ちょっと浮いた柳に後ろから抱きつかれ、それに対抗するように正面から葉隠のコアラ抱きをあやしながら火埜が呟いた。
「今日は“あの日”だし、これから
「あかん!!今日は待ちに待った“あの日”なんや!!拳藤さん早くついてくる人に声かけて、そろそろ行かんと!!」
“あの日”というワードに過敏に反応したのはヤル気を漲らせた麗日だった。
なお、彼女以外のA組メンバーは全員が今か今かと走り出す準備をしていた。
「えっと、じゃあ声かけてくるから」
「5分後に校門集合!!遅れたら置いてくからね!!」
何時もよりも何故かテンション高い麗日を筆頭にA組メンバーは校門へと走り出した。
「そいじゃ、校門で待ってるね」
器用に柳を下ろして頭を撫でた後、正面から抱きついている葉隠に気にすることなく歩き始めた火埜。
拳藤たちは、結局興味が勝りほぼ全員が時間通りに校門へと来ていた。
そして、B組メンバーは本日“未知”との遭遇をはたすのであった。
「ウェルカマーーーーーー!!キャンデイーーーーーーーズ!!」
「来たよ、イワさん。店長は?」
つい最近B組のヒーロー学で特別講師として招かれたクイーンキャマバッカに対して多少の免疫があったB組メンバー。
A組も慣れたモノで良い子に挨拶をしていた。
そんな保護者と被保護者の呑気な会話が聴こえたのか、扉を勢い良く開けて一人の人物が歩み寄ってきた。
「
「お邪魔します、
「「「「お邪魔しまーーす」」」」
鍛えられた体格とスキンヘッドという出で立ちながらもバサバサのつけまつ毛を付け、やや上品なオネエ口調で喋る男となんの違和感もなく挨拶する火埜とそれに続く慣れた様子のA組メンバー。
しかし、B組メンバーは鱗と角取以外のメンバーは開いた口が塞がらないでいた。
「凰蓮・ピエール・ブ・ラボー!!」
「て、普通について来ちまったけど、此処ってニューキャマー事務所総本山じゃない!てかなんで高級菓子店の“シャルモン”のオーナーがいるんだよ!!」
「お菓子食べながらって話だったけどダメだろ!!今月始まったばっかりなのにぃ(泣)」
「ノコぉ、お皿洗いで許してくれないかな?」
「くっ、おオレの思考が黒く濁っていく」
「は、ははは。死んだ死んだよ。財布が死んじまったよぉ」
阿鼻叫喚という地獄の様相を見せるB組メンバー。
「ちょっとトーリちゃん。もしかしてあの子達何も知らずに着いてきたの?」
「えぇっと、恐らく。でも、オレ道すがら説明してたよね鱗」
「しっかりとしていたぞ。浮き足立っていて聞き流していたやもしれんがな。お久しぶりです師父、出来れば近日中に手合わせを願いたい」
「当分はダメよ。それよりも、トーリちゃんお願いね」
「はいよ、今日は昇級試験か」
「トーリちゃんの舌とお腹なら大丈夫よん。ざっと50人だから」
「いつもながら、燃費が悪くて良かったと思うことがこんなにあるなんて。皆はいつも通り大会議室行って資料を纏めておくように、それと塩崎はいい加減自重しろ」
馴れたA組以外に名指しされキョトンとした顔をする塩崎。
「私、何かいたしましたか?」
「お前なぁ、物理的に縛り上げてたら“旦那”が可哀想だろ」
“旦那”と呼ばれ指さされた上鳴、恒例なのか塩崎の蔦によって縛り上げられていた。
「あら?またやってしまいましたわ」
「いつかマジで逃げ出すぞ上鳴。そこら辺ウチの姉さん兄さん方に聞くなら体験学習はニューキャマー事務所一択だな」
「トーリクン、ケーキ!!」
塩崎の遣らかしを横目に飢えた野獣のオーラを放つヨダレが口から垂れそうな麗日。
ステイステイと頭を撫でられるとヘニャと顔を緩ませ、その手に頭を擦り付けていた。
「頑張って速めに終わらすからちゃんと纏めときな、さて行きますか」
「いってらっしゃい」
1時間後
「あぁぁぁぁぁ、流石にきっつ」
大会議室にて八百万が煎れてくれた紅茶を飲みながらお腹をさする火埜。
試食会が終わり、ハーフホール100種のケーキが育ち盛りのヒーローの卵達の目の前に運ばれてきた際の反応は、推し測るに皆さんの想像通りである。
「半月に1回はありますからね。ヒーちゃん、紅茶のおかわりいかがですか」
「いる」
「こんなこと毎月やってんの?それでその体型維持してるって火埜は女の敵だね」
「個性がらエネルギーを大量に必要とするからね。モモはともかく取陰はケーキ良いの?」
なんの取引があったのか、八百万の背中には軽量化されたオクタコスが背負われ、全てのケーキが1つずつ取り分けられていた。
「ふっ、あたしの個性嘗めんなよ」
両手と左目を切り離し、ケーキを空中から奪い取っていく取陰は椅子に揺ったりと座りながらケーキを廻って醜く争うメンツを高みの見物よろしく見ていた。
「それじゃ、10分後に食べながらやるから。ちゃんと座っておくように」
「「「「「「はーーーーーーーい」」」」」
よい子は返事も元気だった。
「さてと、全員お腹も良い感じになったことで始めようと思うけど、取りあえず自分が行きたいヒーロー一人に絞って今回はその他全員で意見の摺り合せをしていこうと思います。なお、時間の関係上司会進行を
「「ハイハイハイハイハイハイハイハイハイハイ!!」」
完全に同じタイミングで手を上げたのは個性の性質も人間としての気質も完全被った2人だった。
「じゃぁ、その心意気を汲んで切島から。鉄哲はプレゼンの仕方を見て学ぶという意味でその後ね」
「げっ!!やっぱそんな感じかよ」
「ぷれぜん?」
「切島もいい加減慣れようね。うちで纏まって何か発表する時は相手に明確に伝えることを考えてプレゼンテーション方式を取ってるんだ。プレゼンテーションが解らない子は解る子に聴く」
そこから始まる個々のプレゼンテーション。
将来を見据えた者、周囲の意見を求める者、己の欲望に正直な者。
そして、時間は有限であった。
「キャンディーーーズ!!そろそろ帰る時間よ!!ヒーーーーーーハ!!」
イワさんが勢いよく開けた会議室の扉、その向こうには死屍累々といった状態の学生達しか居なかった。
「あー、もうそんな時間かぁ。ほら、全員撤収撤収」
義親の声に無理矢理身体を起こした火埜のかけ声が会議室に響き渡る。
かなり白熱したのか、こういう時にも率先して動く飯田ですら鈍重に動いていた。
「ホラホラホラホラ、明日も学校なんだから帰宅帰宅!調子を整えておくのもヒーローの務めよ」
「そ、そうですね。ほら皆、しっかり動くよ」
「一佳、そう言うあんたも動けてないよ」
取蔭の容赦ないツッコミが炸裂するが当の本人も明らかに無理して動いている。
「仕方がないっちゃぶるね。ヴァナァータ達、今日は帰ったらさっさと寝るのよ」
イワさんの苦言に何かを感じ取ったのか義子の火埜が火の鳥化しようとしたまさにそのの時だった。
「エンポリオーーーーー“テンション”ホルモン!!
指の先に棘のような物体が出来上がるとそのかけ声と共に死屍累々といった状態の学生達にイワさんの手刀が突き刺さっていく。
「うぉ、身体が急に軽くなった」
「アドレナリンって奴よ!!ただし、帰宅後はゆっくりとお風呂につかってしっかりと寝ないと明日地獄を見るわよ」
そんな彼女の予言は、翌日8割以上の生徒が疲労困憊で集中力に欠けた状態で授業を受けていたことにより放課後、教師2人からのお説教という形で現実になるのだった。
次回から職場体験に行きます。
行き先は・・・・・・。