火埜翔織という異物によるHEROACADEMYだ 作:完全怠惰宣言
見てのとおり見えない透明少女。
公然とフルヌードをやり遂げる字面だけ見ると少年誌の登場人物にあるまじき存在であり、本小説最初の被害者。
色々と言われてるけど作者は美人だと勝手に思っている。
戦闘訓練以降、自分が置かれた環境の変化に戸惑いつつも原因である火埜をお猪口って学生生活を楽しんでいる。
今までは必要なかったあれやこれやに目移りしてお小遣いの減るスピードが格段に上がっている。
環境変化の原因である火埜の紳士ぷりにときめいているのは秘密である。
訓練開始のブザーがグラウンド・β。
爆豪たちは緑谷たちの個性を分析し、時間切れを待たずに寧ろ積極的に自分たちを行動不能にしていくスタンスで来ると読んでいた。
「準備は出来てるか飯田?」
「ああ、任せてくれたまえ爆豪君」
そんな2人は入り口に目を向けず、ビルの壁面を見ていた。
そして、飯田が全速力でビルから遠ざかっていくと、爆豪は自身の爆発を利用して屋上を目指し飛んで行った。
飯田も、徐々にギアを上げていき、現在自分があげれる一番上のギアまで持っていくと今度はビルめがけて走っていき、その速力を生かし壁面を走り抜け屋上へと駆け上がっていった。
「おぉ、屋上からの奇襲ってことか」
「すっごい爆豪くん飛んでるよ」
「飯田は垂直ダッシュとかマジかよ」
「飯田ちゃんの性格から考えて、立案したのは爆豪ちゃんね」
「これは流石に、緑谷達も読んでなかっただろうな」
モニターに映る現在の状況を見つめる生徒たち。
各々に評価を述べながらも観戦している中、壁際で敵側を写しているモニターを注視している生徒がいた。
「火埜さん、どうかされましたの?」
「顔が悪だくみしてるみたいな顔してるぜ」
そんな火埜に気が付いた八百万と、八百万のボディに目を向けていたことで違和感に気が付いた峰田は火埜に声をかける。
「ん?いやさ、シズが面白い事してるから」
「え、マジで!?」
「確かに麗日さんもせっせと何か運ばれているような」
火埜は笑み深めるとネクタイを少しだけ弛める。
「皆、勘違いしているけど僕と勝己がシズのことで一番怖いのはあの“個性”じゃないんだ」
ビルの屋上の映像がモニターに映し出される。
爆弾はなく、ビルへの侵入口となる扉も死角になって見えない。
「シズの一番の怖さは、観察力と思考の瞬発力だよ」
するとその死角から、緑谷と麗日が悠然と歩いてきた。
「シズはああ見えて、詰将棋みたいに相手の勝ち筋をある程度潰してから動くから、下手したら勝己たち負けるかもね」
火埜は4人が映し出されているモニターに視線を向ける。
それはまるでこれからの訓練を楽しみにしているような視線だった。
「かっちゃん、飯田君。爆弾は1階の一番奥の部屋にあるよ」
「ヒーローらしく、私たちを無力化して爆弾を捕獲にいってみんしゃい」
「2人とも、そんなこと言ってイイのかい!?」
「飯田お前馬鹿か、コイツら今のでこの現場に野次馬が来ている想定を追加しやがったんだぞ。これでオレらは時間内に2人を捕まえるって選択肢しかなくされたんだぞ」
緑谷と麗日の爆弾発言に驚く飯田を余所に、爆豪は冷静に現状を分析し始めた。
「麗日の後ろにドアがあると仮定して、あそこを突破するためには敵2人を無力化しなきゃなんねえ」
「それこそ、この屋上なら僕らにもアドバンテージはあると君も言ってたじゃないか」
視線を緑谷と麗日から一切離そうとしない爆豪。
反対に、爆豪の発言があまりに衝撃的だったのか2人から視線を外し、爆豪を凝視してしまっている飯田。
「屋上と言っても、色々とモノが落ちてる上に、落ちたギアを一気に上げるための助走距離が稼げるほど余裕はねえ」
「仮にあったとしても、あの2人が妨害してくる。そして、今回オレらが取れる手段は“無力化”しか選択肢がねえ」
「そう、今かっちゃんが言った通り、いくら敵を捕らえるためとはいえ、ヒーローが敵をボコボコにしたら問題だよ」
「それに、自滅型の敵なら寧ろ自分達も巻き込んで爆発でヒーローの評価を下げにいくんやない?」
「クソがーーーー!!」
「なーんか爆豪の奴“爆発”してね?」
「本当だ、シズクちゃん達と話し始めたら何かスゴイ顔になってきたね」
「HAHAHAHA、これは面白いことになったね」
「先生どう言うことですか?」
「詳しいことは割愛するが、緑谷少女達は“想定の押し付け”を行ってきたのさ」
インカムをして、音が一人だけ聞こえるオールマイト。
その言葉に複数の生徒は頭にハテナを浮かべている。
「今回、私があえて穴だらけで説明したルールに、自分達の解釈を足すことで緑谷少女達はヒーロー側が完全に不利に成るように心理的な圧力をかけたのさ」
「(グラ爺報告案件発生、と)」
「つまり、爆豪さん達は目に見えない枷をつけられてしまっているということですわね」
「そう言うことだね、ソコについては彼らが戻り次第説明しよう」
屋上では大方の予想通り、爆豪対緑谷・飯田対麗日の構図で訓練が進んでいた。
「チッ、相変わらず厄介だな」
「ボクはかっちやんより弱いんだから、訓練のルールを盾にしないと対等に渡り合えないの」
敵の無力化のためのルール。
『事前に渡された捕獲テープを“巻き付ける”ことで無力化されたこととする』緑谷と麗日はこの“巻き付ける”という部分に着目した。
爆豪は自身の個性“爆発”による加速を利用するためには、両手が空いてなければならない。
その為、相手にテープを巻き付けるという行為に常時意識を割くことが難しいのである。
訓練中の4人の中で純粋にフィジカル面でトップに立っていることは、個性把握試験において確認済みだ。
だが、緑谷のような自身の身体能力を底上げする個性持ちに対して爆豪は個性抜きではまだ勝てないことは自身も認めている内容であった。
麗日は緑谷の助言により、浮かせた瓦礫の中心に立っていた。
麗日個性“無重力”の最たる弱点は許容範囲があることである。
範囲を越える“重量”を対象にしてしまうと酷い酔いに襲われてしまう。
緑谷は許容範囲の判定が重量であることに着目した。
コスチュームを纏っていれば現在麗日が浮かせている瓦礫程度であれば突破することは可能であろう。
しかし、相手が飯田となると話が違ってかる。
4人の中で最も速く動ける飯田が個性を使用して走ったなら、3人にはその姿を追いきることはできない。
しかし、緑谷が爆豪の相手になる状況を作り、麗日が飯田の相手をする状況に持っていけたなら、麗日の個性が光る。
野球ボールと同じくらいの大きさの瓦礫を、麗日が酔わない程度の重量で屋上に配置。
それらを浮かせることで、防御するのではなく、飯田の行動を読むためのレーダーがわりに使用したのだ。
「今回は、普段からお喋りしてる静空ちゃんとお茶子ちゃんに軍配が上がりそうね。それに、お茶子ちゃんの周りに浮いてる瓦礫で飯田ちゃんの個性の強みが消されてるわ」
蛙吹が結果の予想を呟くと、それに重なるように周囲も勝負の決着が付いたような空気が漂っていた。
「梅雨ちゃんもまだまだだね」
壁際で自分の腰周りに付いている匣を弄りながら、モニターを見る火埜の声が室内に響いた。
「あら、でもこの状況じゃ爆豪ちゃん達に勝ち目は薄いわよ」
「そうだぜ火埜、いちゃもんなんて漢らしくねぇぞ」
火埜の発言に首をかしげ自分の意見の正当性を解く蛙吹と火埜の発言を反論をかける切島。
「何と言われようと、皆まだまだだよ。爆豪勝己の本質はそんな簡単じゃないよ」
火埜が反論を繰り出したのとほぼ当時だった。
「あれ、爆豪の奴緑谷からスゴい勢いで離れたぞ」
「両手地面につけて何か凶悪な顔で笑ってるよ」
「まさか、爆豪ちゃん」
「ふふふ、やったれ
緑谷・麗日ペアの狙い、それは単純に時間切れだった。
同年代という括りであってもフィジカルが鬼の爆豪。
思考がガチガチに固いが、個性と噛み合ってしまった時の爆発力が怖い飯田。
この二人を相手にして、尚且つ戦闘不能狙いなんてとんだ無理ゲーだ。
ということで、
実際、今しがたまでその戦法はガッチリとハマっていた。
だからこそ、緑谷は自分から距離をとり屋上に両手を置いた爆豪から嫌な予感敷かしなかった。
「飯田、プランB!!」
その声と共に両手から爆発を発生させ大量の土煙を上げた。
全体を写すカメラすら人影を写し出すことしかできない。
土煙が晴れた時、そこには。
緑谷の全身に捕獲テープを巻き付け疲弊しきった“飯田”、瓦礫を吹き飛ばされ右手に捕獲テープを巻かれた麗日を前に座り込んでしまっている爆豪がいた。
「ヒーローーチーーームWin!!」
怒涛の勢いで行われた初戦の終了は以外にあっさりしたものだった。
「え、ナニナニ!?どうして!?」
「勝己はこうなることも想定していたんだよ、シズの間合いで戦い続ければ確実にタイムアップで負ける」
「だから、シズを見ながら周囲の状況を確認してた。麗日さんの個性で浮かせていた瓦礫、屋上から空いている隙間があったからあの作戦は明らかに飯田を限定して考えてしまっていた」
「プランBなんて無かったんだろうな、大声出して飯田の視線を自分に向けさせたうえで土煙を上げる爆発を起こした。そうすれば飯田が自分の所に来てくれるし短い時間だけど会話が出来る」
「そうか、そこで互いの相手を交換する話をして飯田君のスピードで緑谷さんを翻弄して、自分は麗日さんが浮かせた瓦礫を吹き飛ばして障害物を無くし、無防備になったところを捕獲したのか」
突然の展開に驚く葉隠、火埜は自分の考えを告げどこか誇らしそうに幼馴染2人を見ていた。
尾白が火埜の発言から答えを導き出した時にはモニター無いでは捕獲テープが解かれた緑谷と麗日、爆豪と飯田が握手を交わしていた。
「HAHAHA、今回のMVPはズバリ誰かな?わかる子は挙手」
訓練を終えた4人がモニタールームに戻ってきたので総評が始まった。
「はい、勿論爆豪さんですわ。事前の作戦立案から次につなげるための観察など4名の中で誰よりも常に考えて行動されてました。その結果“敵の無力化”という理想的な結末を迎えましたわ」
「八百万少女の言う通りだね。しかし爆豪少年は当初はペースを握られっぱなしで疲労困憊だし、飯田少年は終始爆豪少年に任せきりに見えたね」
「うっせ、解ってんだよ」
「はい、これを糧に精進いたします」
「麗日少女も序盤までは良かったけど、最終的に爆豪少年の閃きにやられた感じだったね」
「はぅ、確かにその通りです」
「緑谷少女も発案は良かったけど、次の手を考えるようにしないとだね」
「おっしゃる通りです、ボクがもっとしっかり考えられたら」
「HAHAHA、反省は後にして次のグループいってみよう!!」
こうして、第一試合は幕を閉じたのだった。
耳郎響香(じろうきょうか)
作者の性癖に色々刺さったロッキンガール。
1-Aにおいて一番女の子な感性をしているんじゃないかと思っている。
戦闘訓練後の火埜の個性の説明を受け、とある野望を計画し実行。
↓
自分で言っといて施術後の火埜に(恥ずかしくて)ビンタかました。
↓
笑顔で許してくれた火埜、良い奴じゃんまた頼もう。
↓
やっぱり(恥ずかしくて)またビンタ
のループの末、野望を叶える。(予定)
作者のお気に入りなので賢明な読者の方は彼女の行く末に関しては既に解っていることでしょう。