火埜翔織という異物によるHEROACADEMYだ 作:完全怠惰宣言
環境がクソだとそれはもっと感じる!
悪循環で現場が地獄と化す!
後、7日仕事行けば今年は終わるけど。
死柄木姉弟は炎々と燃える街と暴れ回る暴力の象徴と化した脳無の姿を見ていた。
しかし、その顔に写る感情は違うようだった。
弔の顔、といっても"手"が張り付き表情は読み取れないが、その目は新しく玩具を貰った子供のように輝いていた。
「あっははははは、すげえな姉ちゃん。見てみなよあんなに簡単に“日常”が壊れて慌てふためいてるよ」
一方でそんな弔の後ろで手を組んでつまらなそうに、弟の起こした惨状とそんな弟を冷めた目で見つめる葬。
「そう、良かったわね」
「“ステイン”なんかもうどうでも良いや。オレが、オレ達が敵連合だ!!」
数時間前
敵連合がアジトとしているバーに男はいた。
「なるほど、貴様らが雄英襲撃犯か」
黒霧のゲートを通り抜け現れたステイン。
死柄木弔の話を聞き納得したように返答した。
「そして、このオレもお前達の一派に加われということか」
「あぁ、頼むよ悪党の大先輩。あんたもオレ達と組んだ方が動きやすいだろ?」
終始笑顔のまま死柄木弔の話を聞くステイン。
死柄木弔もまた、その声色から友好的であろうとしていることがうかがえる。
「それで、お前達の目的は何だ」
「・・・・そうだなぁ」
思考にふける死柄木弔。
そんな彼の後ろにはサマーセーター1枚でジュースを飲むトガヒミコとその会話を鋭い視線で見つめる死柄木葬がいた。
「とりあえず、気に入らないモノは全てぶっ壊したい。ヒーロー、特にオールマイトを」
その言葉に僅かに顔色を変えるステイン。
それに気が付かないのか死柄木弔は懐から数枚の写真を取り出す。
「それに、こういうクソガキなんかもな」
そういって死柄木弔がステインに見せた写真。
そこには爆豪や火埜、轟といった体育祭でも華々しい活躍をした生徒の姿があった。
そして、両手で写真を掴みその写真を跡形もなく崩壊させた。
「どうやら、貴様とは組むことはあり得ないな」
「あぁん?どういうことだ」
オールマイトの名前が出てからか、それとも学生の写真を崩してからかステインの浮かべる表情が明らかに敵意を宿す。
「貴様らに興味を持った、持ってしまったオレが浅はかだった。貴様はオレが最も嫌悪し忌避する人種だ」
そういうとステインは体の至る所に配置されたナイフを手に取る。
「子供の癇癪などにいちいち付き合ってられん、信念無き殺意などオレの流儀に反する」
その言葉と共に周囲の温度が数度下がったような感覚が死柄木弔達を襲う。
「(“
黒霧はこの会合の前に行われた“先生”との会話を思い出していた。
『いいかい、黒霧。もし死柄木弔とステインが一触即発の状態になっても君は静観するんだ』
「どういうことでしょうか?それは私に死柄木弔を見捨てろとおっしゃっているのでしょうか」
『違うよ黒霧。正解を僕が教えるのは簡単だ、でも答えを教えるだけでは意味が無いんだよ』
『自分の足りないところを自分で考えさせる。それにより成長を促す』
そう言って“先生”は深く息を吐く。
『本来、教育とはそう言うモノだ』
その言葉に宿るどす黒い何かを感じさせながら。
「何かを成し遂げるためには信念が“強き思い”が必要だ」
淡々と話すステイン。
その眼前には斬り付けられ動くことが出来ない黒霧と両腕に深々とナイフが刺さった死柄木弔。
そんな2人を表情を変えずに冷めた視線を送る死柄木葬とその腕に絡みつくトガヒミコがいた。
「くっ(動けない、これがステインの個性)」
「弱者は淘汰される、それは当然のことだ。だから、貴様らは今オレに殺されかけている」
ステインのその瞳に濁った光が灯る。
「数多のヒーローがそのあり方を見失い、“
「我欲のためだけにその
体中に装備したナイフを抜き、死柄木弔へとその刃先を向けるステイン。
「・・・・、おい“これ”に何向けてるんだよ」
顔に貼り付けた“手”にナイフを向けられ死柄木弔。
すると、彼の雰囲気が一変した。
「口数が多いなぁセンパイ。信念?強き思い?なんだそれ、強いて言えば理由を挙げるなら“オールマイト”だな」
死柄木弔から発せられる雰囲気。
先程までの子供の我儘の延長のようなそれから、確実に黒く濁って澱んで、コールタールのように周囲にへばり付くような悪意。
「あんな“ゴミ”が祭り上げられる世界、そんな世界をメチャクチャにぶっ壊してしまいたいとは思ってるよ」
そこにあったのは純粋なまでのオールマイトへの悪意であった。
それを感じ取ってしまったステイン、気が付くとバーただ一つ外に通じるドアへと背中を着けていた。
「ふっ、それが“お前”か」
「あぁん?」
何かに納得したように手に持つナイフをしまうステイン。
そんな彼から敵意が消えたことを不思議がりながらも自分が知らないところで自己完結されたことに不快感を露わにする死柄木弔。
「オレとお前の目的は対極にある」
そう言うとステインは口角を上げ微笑む。
「しかし、“今を壊す”。この目標に置いてだけオレ達は共通している」
そう言うと死柄木弔と目を合わせるようにステインは語りかける。
「真意を、試させて貰った。異質ではあるが強き思い、歪な信念の芽がお前の中にはある」
死柄木弔に何か感じる物があったのか、ステインは真っ直ぐに死柄木弔を見つめる。
「貴様らを始末するのは、貴様がどんな風になるか見届けた後にするとしよう」
「はぁ?知るか、何様のつもりだ。おい黒霧こいつがパーティメンバーなんてオレは嫌だね」
「いえ、死柄木弔。彼の加入は我々にとって大きな戦力強化に繋がります」
「そして、ステイン。その態度から我々の仲間になると考えてもよろしいですね」
「いいえ」
黒霧がそうステインに確認する。
その言葉を否定したのは後ろで傍観を決めていた死柄木葬だった。
「あくまで同盟よ。彼には彼の、私たちには私たちの目的がある。彼の言うとおり対極に位置する目的がね」
「あぁ、そうだな。話が纏まったならさっさとオレを保須へ戻せ」
ステインの目に再び黒く澱んだ光が灯る。
「あそこには、オレがまだなさねばならないことがある」
そして、保須市へとやってきた一同。
「思ったよりも栄えてますね
「
「それで、センパイがなさねばならないことってなにかしら?」
興味なさげに俯く死柄木弔以外の同伴してきたメンツの言葉に両手を広げ、世界に宣言するようにステインは語り始める。
「“ヒーロー”とは偉業を為し得た者にのみ与えられる名誉ある称号。だが」
そこからステインの憎悪が膨れるのを感じ取る4人。
「多すぎるんだよ、英雄気取りの拝金主義者が」
刀を手にし眼下を見つめるステイン。
彼の目に世界はどう写っているのだろうか。
「贋物が蔓延り続ける限り、オレという存在は現れ続ける」
そう言ってビルから飛び降りるステイン。
「たいそうなこと言っておいてやってることは草の根運動かよ。
「そうとも限りません、彼の現れた街、そしてその周辺の街では軒並み犯罪発生率が急激に減少しています」
「そういえば、どこかのお偉いさんがヒーローの意識改革に繋がったとか言ってばっしんぐされてたわね」
「ほぇ~、あのおじさん結構スゴイんですね」
ステインの消えていった方角を見ながら死柄木弔は不快そうに首を掻く。
「くだらねぇ、やっぱアイツとは合わねえわ。黒霧脳無何体か出せ」
死柄木弔の命令に反応し黒霧は自身の個性を使い何体かの脳無を連れ出した。
「ようはぶっ壊したいだけだろう。なら早い者勝ち、“ぶっ壊し”競争の始まりだ」
死柄木弔のその言葉を合図にしたように呼び出された脳無たちは一斉に街へと襲いかかったのだった。
「あんたの面子?だとか信念?だとかそういったもろもろを土足で踏みにじらせて貰うぜ、
そして、冒頭の悲劇が幕を開けるのだった。