火埜翔織という異物によるHEROACADEMYだ 作:完全怠惰宣言
まぁ、言い訳なんですがね。
今回も短いです。
ご容赦ください。
炎に包まれる保須の姿、そこを逃げ惑う市民。
そんな市民を襲おうとする怪人脳無。
しかし、脳無の行く手を遮るように分厚い氷の壁が立ち塞がる。
「
冰火による分厚い氷のトンネルにより市民の避難経路を確保し。
「
セブンスの無数に枝分かれしていく弾丸による威嚇攻撃により脳無は思うように動けずにいた。
「セブンス、こいつら」
「あぁ、USJに出た奴の上位個体だろうな、リューキュウ!!」
セブンスとしてリューキュウの名を呼ぶ。
それが意味することを直ぐさまに感じ取ったリューキュウの行動は早かった。
「チームリューキュウは住民の避難を優先!!セブンスは私とアレラの相手をするわよ」
「チームエンデヴァーもリューキュウに続け!!オレと冰火が取りこぼした奴らも任せる!!」
そう指示を出した後で、2人は脳無へと駆け出した。
そして、セブンスと冰火のもまた2人に続く。
「
6本腕の脳無の軌道の読めない連続パンチを身軽に避け、更にお返しにと逆立ちをするかのように両脚で顎に蹴りを入れるニャーゴ。
「影縛り・黒茨」
腹部にガトリング砲を生やした脳無が自身の影から生えてきた黒い茨に絡め取られ捕縛されていく。
その後にはナイフを投合したカゲォニが妖艶に微笑んでいた。
「
上半身が異常発達したような脳無の超重量級パンチを両手から生み出したピンクの羊毛のような物で受け止め、そのまま脳無をその羊毛のような何かに沈めていくフワフワシープ。
「すごいな、リューキュウ事務所のサイドキック」
「姐さんたちは可愛くて美人なだけじゃないよ。なんせ皆イワさんの教え子でもあるんだから」
「忘れがちだけどあの人もバトル特化のヒーローだったな」
避難誘導をしながらもプロヒーロー達の活躍に驚嘆してしまう冰火。
一方、こうなるまでの地獄を知っているセブンスからすれば当たり前の事であった。
「冰火・セブンス避難誘導は終わったか?」
「おねえさまにシュート君大丈夫?」
「はい、バーニン。あと焦凍です」
「うっす、バニさん。ネジレチャン今はヒーローネームで呼んでね」
「なら、よっし!!」
「はーい」
避難誘導を終え戻ってきた2人の肩を組むように声を掛けてきたのはエンデヴァー事務所若手筆頭のバーニン。
初めて会った瞬間から波長が合ったのかセブンスは“バニさん”呼びになっていた。
そして、ふんわりした雰囲気を発しながら自然体でセブンスに抱きつくネジレチャンは何故か冰火の本名を間違えて覚えてしまっていた。
「にしてもなんなんだこのキショい奴ら。報告書見た以上じゃないか」
「恐らく死体やらなんやらをベースに複数の“個性”を無理矢理入れているんでしょうマジで気持ち悪い色だらけだ」
他者のオーラが見えるセブンスは脳無の発する混ざりきらない混沌としたオーラの色に当てられて顔色を悪くしていた。
「おねえさま大丈夫?ぎゅする?」
ネジレチャンがペアで行動しているのもオーラの色が綺麗で尚且つ、セブンスの“個性”に影響を受け始めていたからである。
顔色が悪く明らかに無理しているとわかるセブンス、そんなセブンスの顔を間近で見たネジレチャン。
「もう、おねえさま虐めちゃダメ!!」
そう言って近くに来た脳無に対してオーラを飛ばすネジレチャン。
普段であればねじれてしまいスピードがあまりないはずの彼女の個性“波動”はまるで鉄砲水のように勢いよく発射された。
職場体験中に一緒に行動し続けた結果、何故か“鎮静”の効果を持つ雨のオーラに目覚め、セブンスのオーラ測定器で測ったところセブンスの放つオーラの波動に似た波動へと変化していたのであった。
「・・・・、波動先輩スゴいな」
「この前、オレの雨属性ボックス開けてたからアレ完全に目覚めてるんじゃないかな」
「なななななな、コレ終わったらアタシにも“天候の焔”教えてくれ」
周囲の脳無を完全に無効化し終わった一同は集合地点としてしていたされた座標へと周囲の警戒をしながら歩いていた。
あらかたの脳無を倒し、実力はあっても学生であることを考慮された冰火とセブンスは逃げ遅れた人の有無の確認を行うため割り振られた担当区域を歩いていた。
そんな時だった。
2人のスマートホンに連絡が入る。
そこには緑谷からの地図と座標のみが記された画像が送られてきていた。
「飯田だな」
「まぁ、仕方ないか。寧ろよく間に合ったなシズは」
2人はそれぞれ、リューキュウとエンデヴァーに連絡を取ろうとした時だった。
「ギュエエエエエエエエエエエエエエエ!!」
上空から両腕がコウモリのような翼となった脳無が襲いかかってきた。
咄嗟に避ける冰火とセブンス。
明らかに狙ってこの場に現われた脳無。
「行け!
セブンスがヒーローではなく友達として、仲間を助けるために取った選択。
それは自分1人が残り轟を先行させることだった。
「!?何を言ってるんだ
「シズが端的に送ってきたってことは相当追い込まれているって証拠だ!それにココがどこだか忘れたわけじゃねえだろ!!」
「あっ、クソ飯田の野郎暴走しやがったか」
「先に行け、必ず後を追うから」
そう言うと腰に下げられたホルスターから拳銃型サポートアイテムを引き抜き2つの匣を開口する火埜。
そこには赤い焔を灯した巨大なリング状のサポートアイテムが浮遊していた。
「クソ、負けんじゃねえぞ」
その姿を見て、轟は走り出した。
確かに脳無という強敵に対して2人で当たれば倒すことは可能かもしれない。
だが、それで助けるのが遅れてしまったら。
生粋の末っ子気質は自分を受け入れてくれた仲間達を見捨てるような選択を取ることが出来なかった。
一方で火埜が残った理由に轟のような友を思う気持ちの他にもう一つ別の思惑があった。
「その火傷痕。あぁ、今日の“僕”は本当に運が良いな」
「ギュエエエエエエエエエエエエエエエ!!」
火埜の脳裏には幼き日の記憶が蘇ってくる。
執拗に自分をつけ回し、取材と称して幾度となく両親を侮辱した記者がいた。
その男は火埜の個性暴走に巻き込まれ重度の火傷を負ってしまった。
脳無の起こした風によって俯いていたせいで垂れ下がった前髪が巻き上がる。
「殺したかった奴が向こうから来てくれたんだから」
火埜の瞳は純粋な殺意が宿る黒く底が見えない程に黒い憎悪に染まっていた。
目の前の脳無の体にはその時火埜の個性暴走に巻き込まれた記者が負った凍傷のような火傷の痕がクッキリと残っていた。