火埜翔織という異物によるHEROACADEMYだ 作:完全怠惰宣言
申し訳ありません。
取り敢えず、作者生きてます。
「(意識、問題なし)」
ヒールに仕込んだ画鋲を踏み込むことで
自身の思考に一切のタイムラグが無いことから目の前の少年が義息子の火埜であると認識しようとした。
「(でも、それも早計よね)」
本人以外であれば誰よりも火埜翔織と言う存在の“個性”を熟知しているイワンクフは目の前の少年が
理由としては単純、火埜翔織と言う存在の思考パターンにある。
詰め将棋の如く相手の手を潰していき、自身の勝てる確率を上げられるだけ上げる、その上で負ける前提で作戦を練ろうとする。
臆病なまでの慎重さとそれを簡単に飛び越える思い切りの良さ。
相反する思考パターンを同時に行える義息子がいくら挑発のためとはいえある種のトラウマともいえる自身との戦闘に対してそこまで思いきりがよく割りきれるだろうかと。
そして、戦闘に思考を切り替えた自分の目の前に現れることはまず難しいと判断した、すなわち。
「(目の前に立っちゃブルは心操ボーイで間違いナッシブル)」
と僅かに思考がズレた、その時だった。
「あ゛っ゛っ゛っ゛!!」
イワンクフの顔に炎がぶつかった。
「か、顔が!?ヴァターシの顔が!」
所変わり、リカバリーガールとグラントリノが茶をしばきながら大福と鯛焼き片手に1年生の実技を見守るモニタールーム。
「おいおい、火埜の奴やりすぎじゃないか?」
「容赦ない奴だけど確かにこれはやりすぎでしょ!?」
そこで大画面に映し出される人の顔が焼きただれる映像に思わず声を荒げる泡瀬と回原。
「こげ、焦げて、焦げてぇぇぇぇ!」
その熱量に身体を震わせているのか未だにおぼつかない脚で崖をうろうろするイワンクフの姿が映し出されている。
「リカバリーガール、コレはどう見ても非常事態です!!試験の中止を!!」
「黙れ!!モブ共っ!!」
宍戸の言葉を制するように怒声がモニタールームに響く。
怒声の主、爆豪は誰が見ても苛立っていることが明白である態度で壁際に立っていた。
「お前らの未熟な判断で試験を止めようとしてんじゃねえ」
「しかし、爆豪氏。火埜氏の攻撃は明らかに過剰ですぞ」
「あぁ?誰が翔織のことだと言った?」
その言葉に関わりの薄いB組メンバーは頭に疑問符を浮かべていた。
「
爆豪がそう言って画面を睨み付けた瞬間。
「焦げて、焦げて、焦げてなぁぁぁぁぁぁぁい!!厚化粧だからぁぁぁぁぁぁ!!」
ガッパっという効果音が付きそうな感じでイワンクフの顔面が外れてその下から無傷のイワンクフの顔が現れたのだった。
「無事なのかよっ、ヒーーーーーハーーーーーーー!!」
「一本取られたよ、ヒーーーーーハーーーーーーー!!」
1人崖の上で自分の渾身のギャグにツッコむイワンクフ。
「でーーーもーーー、心操ボーイには効果あったようちゃぶる」
イワンクフが向ける視線の先には森から抜け出してしまった心操が写っていた。
「1人撃破、DEATH・WINK!!」
イワンクフが爆風のような風圧を放つ。
心操は避ける術もスキルも持ち合わせていない。
彼の脱落する姿が確定する。・・・・・筈だった。
スル
そんな音が聞こえてきそうになるくらいあっさりと心操を通り過ぎる殺傷能力が馬鹿高いただのウィンク。
その証拠に後の木々はへし折られていった。
「あら?(どういうこと?心操ボーイの性格ならあそこにいるのは絶対に心操ボーイの筈?)」
「ほら、言ったとおりだろ」
「お前、思考がヴィランしててマジで怖いわ」
イワンクフの後、ゲート側から突如として聞こえてきた2人分の声。
混乱する思考の中、身体が反射的に動いてしまいそちらを向いてしまうイワンクフ。
そこには。
2つの焔の盾を前面に銃を構える火埜と。
その後に控える、両腕を翼に変えて上空にいる火埜がいた。
「「オレ達の勝ちだね、イワさん」」
「はぁ?まだ試験はおわってn・・・・・・」
「あぁ、つっかれた」
前衛にいた火埜が全身の力が抜けたように地面に倒れ込む。
「お前のいう“試験だから勝てる”っていう意味が今解ったよ」
その後、霧が晴れるように火埜の姿が消えていき、所々傷だらけの心操がハンドカフスをイワンクフに付けると火埜の隣に座り込む。
「でも」
「まあな」
2人は空を見上げるとそれぞれが空に拳を突き上げる。
「「オレたちの勝ちだ」」
~数分前~
イワンクフの“銀河・WINK”による縦断爆撃の中。
「今回、コレが試験でなおかつ1年生の試験であることでイワさんに勝てる可能性が出てきた」
森林エリア、
その横では呼吸を整えながら、自身の出番を待ち続ける心操がいた。
逃げ回る中で何度かウィンクで噴き飛ばされた心操。
コレに近い威力の攻撃を受けたことのあるヒーロー科の面々に多少の尊敬を持ちつつも、自身の横で狙撃をし続ける火埜のムカつくほどに整った顔を見上げる。
思考を切り替えた火埜はそれまでがウソであるかのように冷静で勝ち筋を作るためだけに自分自身すら囮にして作戦を立てていた。
その為に、何回か心操はイワンクフのウィンク爆撃の中に突撃させられたが。
そして、何回かウィンクがカスってプロテクターが噴き飛ばされたが戦場に落ちたそれらがよりイワンクフの思考を狭めていっていた。
「ど、どういうことだよ」
「現状、間違いなくイワさんはコレが試験であることが頭にあることが解った」
「当たり前だろ、これは試験なんだから」
「そうじゃなくて、オレ達に知らされていない縛りがあるんじゃ無いかってことだ」
「?」
怪訝そうに火埜を見つめる心操。
「さっきから言ってるけどコレが試験であると言うことはオレ達であれば必ず合格できる道筋を残しておかなければならない」
「まぁ、確かに。じゃないと試験の意味が無いからな」
「でも、事前に掲示されている試験のルールと合格のラインはなんだ」
火埜に言われて改めて考える心操。
彼らが事前に掲示されていたルールは以下の通りであった。
①試験の制限時間は30分
②生徒側の勝利条件はハンドカフスを教師にかける、もしくはどちらか1人がステージから脱出する
③担当する試験官は体重の約半分の重量を装着する
大まかに言うとこの3つであった。
しかし、③に関して言えばあまり意味をなさない試験官がイワンクフ以外にも存在している。
例えばセメントス。
彼の“個性”である「セメント」は彼が触れたコンクリートを意のままに操るというものである。
つまり、周囲に彼が操れるセメントが存在していればその場から動かずに相手を拘束し続けることが可能である。
また、セメントス同様にエクトプラズムも③のハンデが機能しない相手である。
彼の“個性”「分身」は口からエクトプラズムを飛ばし、任意の位置で本人に化けさせられるというものである。
飛ばした分身はハンデとなる錘を付けていないことから彼本来の身体スペックで生徒を追い立てることが出来るのであった。
代表的な2人だけでも③のハンデが機能しない相手がいるにも関わらず敢えて③のハンデを付け加えているのか。
「そうか、オレ達にハンデという部分に意識を向けて各試験官に割り振られている勝利への道を隠すためか」
「だと、オレは思っている」
そう言うと一息ついて木にもたれ掛かる火埜。
肉体よりも精神にかかる負担がデカいのか幻の数を維持するために実は手抜きになり始めている幻がチラホラいたりする。
「そして、オレ達のハンデはおそらく」
「
体育祭後、放課後に相澤主催のガチ訓練withAB組で基礎体力などが幾分か向上してきたとはいえ、まだまだヒーロー科には遠く及ばない心操。
それは体力だけで無く、思考や知識といった面でも後れを取っている。
明らかなハンデとして設定されたと認識出来る状況。
体育祭前に同じ状況になったら恐らく無意味に悔しがって終わっていただろう。
だが、今の心操は違っていた。
「だとしたら、このまま作戦続行だな」
「んー、それも良いけど。イワさんがまだ遊んでいるウチに勝負にでたほうが良いなと思ってる」
「それはつまり」
「ヒトっさん、覚悟決めてね」
「幻に紛れてあの衝撃波の縦断爆撃の中を突き進むのか」
「それが1番の死角になるからね」
そして、2人は同時にため息をつくと顔を見合わせた。
「「よし、逝くか」」
そして、彼らは見事に演習試験の合格規定を満たしたのであった。
「まぁ、今回はイワさんというか教師陣がヒトっさんの個性を過小評価してくれたからなんとかなった感じだな」
「あと、
「明の奴張り切ってたもんな」
心操が口元からずらした金属製のマスク。
その名を「ペルソナコード」。
心操の名前をちゃんと覚えた発目が名前を付けたサポートアイテム第2子である。
正式名称は「金属製変声可変機構マスク“ペルソナコード”」。
機械を通してしまうと心操の個性である洗脳の効果が無くなる事に着目した発目が複数の様々な材質と厚さで構成された発せられた声を金属の反響で変声させる機構を考えつき、2日間の徹夜(その後、火埜の膝枕で就寝)で造り上げた心操専用サポートアイテムである。
なお、ペルソナコードの開発と同時に音階ヒーロー セイレーンによる地獄の声帯声域大改造を受けた心操は原作以上に老若男女の分け隔て無く声を出せるようになっていた。
「まぁ、これで林間合宿にはこれるんじゃない?」
「あぁ、お前となら楽しい合宿になりそうだ」
そう言って互いに拳をぶつけ合う火埜と心操。
なお、後日この映像にアオハル臭を感じたミッドナイトは放送禁止な顔で昇天していた。