火埜翔織という異物によるHEROACADEMYだ 作:完全怠惰宣言
「死にさらせぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
「日本の恥だから掛け声もう少し考えようね勝己」
スタート地点のやや後、ピッチャーサイズのジンジャエールをゴキュゴキュと飲み干した火埜が物騒な掛け声を放つ幼馴染みに注意を促す。
火埜の嘗めプ上等な結果を受けて闘争心に火が着いたのか、はたまた夏らしい真っ白なワンピースの可愛いカワイイ緑谷の声援を受けてテンションが振り切れたのか、開始早々フィールドを盛大に巻き込んだ爆発で全ての標的を焼き付けした爆豪。
『ちょっと、この歳のジャパニーズボーイはみんなこうなの?さっきの火の鳥ボーイもスゴかったけどもっとスゴい記録が出たわよ!!今年最速記録8.9秒よぉ!!でも、フィールド大丈夫?』
「しゃあ!!どうだ翔織!!」
「うん、爆発の範囲を絞れるようになったのはスゴいけど」
「なんだぁ、負け惜しみかおい」
呆れたような表情で爆豪を見上げる火埜に対して久し振りに上からな態度を取る爆豪であったが。
『ちょっとちょっと、今日は本当にどうなってるのよ!?またまた最速タイム更新、タイムは・・・・8.2秒!?フィールド全面凍結とかそんなのあり??』
「あ、爆豪と火埜だ」
悠々と戻ってきたのは別のスタート地点から競技を開始し、開始早々に凍らせターゲットの動きを止めたことでアタック終了の判定を受けた轟だった。
夏休みに入って以来、会えてなかったクラスメートに会えて嬉しそうに微笑む轟。
「うぃっす、おつかれ轟。凍結範囲ある程度絞れるようになったね」
「まだまだだけどな」
「お、ま、え、な、あ、へ?」
「ほら、足元掬われた」
「?(誉められると思って頭をさしだしている轟)」
再稼働待ちの爆豪を引き摺りながら緑谷とメリッサのもとへと歩く火埜と轟。
発目が夏休み前に開発したヒーロースーツ圧縮及び瞬間装着機能付きバックにより私服になった轟はことの経緯を説明していた。
「確かに、お前のサポートアイテム、オリジナルはシールド博士の作品だし、それならシールド博士と知古のオールマイトが引率するのは納得だな」
「まぁ、そこは両親様々って感じかな。轟はお兄さんからだっけ?」
「あぁ、アメリカ修行中の兄貴から変わりに行ってくれってエアメールで届いて親父の分はクラスの奴らに渡した」
「あぁ、あの日の決死のじゃんけん大会は轟が原因かぁ」
「そうなんよ。でも結局、轟君の分のチケットはうちら勝ち取れんかったけどな」
男二人の低い声以外に女子の高めの可愛らしい声が後から聴こえてきた。
後を振り返るとそこにいたのは。
「しかし、爆豪君もナイス伏線回収!!ねぇ、今どんな気持ち?教えて教えて」
「麗日てめぇ~」
布の上に座らされて無理矢理引き摺られていた爆豪を枝でツンツンつついて煽っている麗日。
「火埜も残念だったね。でも格好良かったよ」
「耳郞、来てたんだ」
象徴となっているイヤホンジャックを弄びながら顔を真っ赤にして見ているほうが照れてきそうな雰囲気の耳郞。
「轟さんのチケットは私が勝ち取りました!!なんで呼んでくれなかったんですかダーリン!!」
「だーりん?」
「気にするな轟」
整備用のツナギをちゃんと着て小型化したオクタコスを背負い、火埜に突撃しようとしたところをオクタコスに付けられたリードで待て状態にされている発目。
「発目さん、もう少し落ち着いてくださいまし。麗日さんと耳郞さんは我が家の招待枠ですわひーちゃん」
「あぁ、八百万家はアジア圏きってのスポンサーだもんなぁ」
発目に繋がったリードを持った少しプリプリと拗ねた雰囲気の痴女に間違えられそうなヒロコスを惜しげもなく晒す八百万。
先程、火埜のヴィランアタックをありとあらゆる角度から激写していた4人だった。
「あ、みんな此方だよぉ」
クラスメートと久しぶりの再会に加え、大好きな幼馴染みの活躍を見て興奮MAXな緑谷。
子供のように飛び跳ねるものだからバルンバルン揺れる2つの果実に周囲の視線が集まるが。
「なに見てんだコラァ!!」
「見物んじゃねぇぞ、ウセロ!」
「轟君、スゴかったね!!凍結速度がまた上がったんじゃない」
興奮のあまり轟の目の前でぴょんぴょん跳ねて腕を振るモノだから轟の目の前でブルンブルン揺れる緑谷の果実。
一般的な男性ならその果実に目がいきそうモノなのに轟は緑谷のあふれんばかりの笑顔に釘付けになっていた。
「あぁ、癪だがオヤジの指導のおかげだろう」
「おい、轟コラァ!!オレを見ながらオヤジとか言うんじゃねぇ!!」
「でも、爆豪の方がオヤジって感じがして落ち着く」
「こんなガキ丸出しの同い年の子供いるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
夏休み前、うっかり爆豪をオヤジ呼びして以降、クラス内で定着しつつある爆豪オトーサン化。
実際、口は悪いが面倒見も良いし教える際は丁寧だしでクラス内でも違和感が薄れ始めていた。
「ダーリン!!ダーリン!!スゴいですスゴ過ぎです!!ベイビーのアイデアが湯水の如くあふれてきた早く開発したくてたまりません!!」
「うん、言ってることは開発者として正しいけど内股でもじもじしながらハァハァ色っぽく息漏らして言うと危ないから少し落ち着こうね明」
「火埜君、なんで私だけ誘ってくれへんかったの?あれ、もしかして私嫌われてる?」
「嫌ってないから涙目上目遣いは止めて。あと、腕を胸に抱き込まないで、オレも男の子なんだから」
「火埜の匂いがする、落ち着く」
「人の背中に顔押しつけて思い切り深呼吸しないでくれる。そんなキャラだったっけ響香」
「ひーちゃん、いちゃいちゃしてわたしをおわすれですか?おわすれですわね?」
「ももちゃんももちゃん、俺の手を何処に導こうとしてるのかな?少し落ち着け、エキスポ終わったらちゃんと会いに行くから、おじさん達にもそう言ってあるから!!」
「相変わらず面白いわね3人の近くって、すいません注文追加でお願いします」
「「はい、ただいま!!」」
「あれ、聞き覚えのある声だな」
女子率の高い机へと猛ダッシュで近づいてくるボーイ2人。
その姿を見た時、何故か猛烈な安心感に襲われた。
「お、峰田と上鳴じゃん。元気?」
「うるせぇぇぇぇぇ、なんでお前はいつもハーレムってるんだよ火埜ぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「わかぁぁぁぁぁぁ。良いアルバイト紹介していただきありがとうございます(スライディング土下座)」
そこには火埜の存在に気が付き血涙を流し悔しがる峰田と夏休み人生初の彼女のために奮発しまくった結果、軍資金がマジで0になり火埜に泣きついた上鳴がいた。
「取り敢えず、皆の分はオレが奢るから注文しちゃいな」
「蕎麦!!」
「飲み物だバカ。轟は冷茶ね」
「玉露、ホットでお願いします」
「わたし、ホットミルク」
「ウチ、ジンジャエール」
「茶葉のリストはありますか?あら、和紅茶なんて珍しい。私は“清廉”をお願いいたしますわ」
無駄話をしている
「何を油を売っているんだ峰田くん上鳴くん!!バイトを引き受けた以上労働に励みたまえ!!!」
「うぃ、飯田も代理出席?」
「ん、おぉ緑谷くんに爆豪くん、それに火埜くんも。うむ、リハビリ中の兄に変わってチケットを使わせてもらった」
ナチュラルに緑谷に意識が先いくようになっている飯田。
社会経験と言うことでアルバイトをしているらしい。
「悪い、遅くなった」
「切島も来てたの!?てか伝手ないのによく来れたな」
「オレの優勝賞品のチケットやった」
「爆豪に感謝だぜ」
何故かA組の主力が集まっているI・アイランド。
ヒリつくような嫌な予感に襲われながら、時間は過ぎていった。
「はぁ、疲れるぜ」
「まっていたよ、よろしく頼むよ」
「あぁ、金さえもらえればなんだってやってやるよ。それで“あれ”の準備は出来ているんだよな」
「うむ、あと少しで充電も終わる。そうしたら使用できる」
「くくくくく、良い気分だぜ。今日という日、歴史が動くぜ」
まだ見ぬ悪意を潜ませつつ。