火埜翔織という異物によるHEROACADEMYだ 作:完全怠惰宣言
「あん?」
最初に違和感に気が付いたのは爆豪であった。
それはメリッサの好意でバイト組もゲストとしてパーティに参加出来ることのになったその時まで遡る。
「ん?ん~。んーーーーーーーー。火埜」
「はいはい、轟はこっち向いて。あぁ、この結び方だと野暮ったくなっちゃうからトリニティノットにしとこうか。飯田もそれじゃおじさん臭くなるからカフスボタンはこっちの少し派手目の遊んでる系の物に変えるように、でもメガネに合わせるならゴールドじゃなくてシルバー系にして」
男子全員は火埜と爆豪の部屋に集められ火埜によるドレスチェックを受けていた。
なお、クラスメートが集まったせいか轟の精神年齢が若干下がっているがA組としては馴れた物である。
「勝己は上着は着ない方が自然かな、それでベストはその無地のじゃなくて脇に柄の入った奴があったはずだけどぉ。あ、この薔薇を遇ったの良いなコレにして」
男子全員が火埜のペースに巻き込まれ反論できない状態になっていた。
飯田が一度、何か言おうとしたところガチの殺意をぶつけられ大人しくなった。
「火埜の奴スゲえな」
「まあ、義親がイワさんという段階でな」
「元全米No.1ドラァグクィーンのお洒落道の弟子は伊達じゃないってことか」
テキパキと指示を出し、時には自分の持ち込んだ小物を付けさせてアレじゃないコレじゃないとスタイリスト顔負けの手際の良さで全員のドレスコードを整えていく。
「上鳴と峰田はエプロン外して、ベストはそのままで良いからネクタイをコレとコレにして。上鳴は色々付けすぎだし似合ってないから全部外して着けるならこっちの薔薇と茨を象ったブレスレットにしろ、峰田はいっそのことタイピンとカフスボタンを抑えめのこっちに変えて」
しかも、他人のスタイリングをしながら自分も着替え続けており、いつもは垂らしている髪をオールバックにしてメガネも少し色が入った物に変えている。
「ヒロコス自体がお洒落だもんな、てか火埜の奴もしかしてあれヒロコスか」
「ちげえな、アレは自前のスーツだな。まぁ、あれをヒロコスのデザインに落とし込んでいるからアレがオリジナルになるんだが」
そして、男子全員のコーディネートを終えやりきった達成感が顔に出まくった火埜を先頭に待ち合わせのラウンジへと出て行った。
イワさんの調教により、待ち合わせにの5分前には集合場所にいる様になった火埜と爆豪により男子全員がラウンジのソファーに思い思い座りながら女子陣を待っていた。
「おまたせぇ!!」
メリッサの声で全員がそちらに振り向くとそこには青いドレスを見事に着こなすメリッサを先頭に女子陣がスタスタと向かってきていた。
「うん、時間ぴったり。メリッサさんに任せて正解だったな」
「モモちゃんも手伝ってくれたからよ。それにしても皆きまってるわね」
天然物のハニーブロンド美人に褒められ悪い気はしない男子ズ、峰田にいたっては全ての神々に感謝を述べ始めている。
そして、ここでも事件は起きる。
「おい!!しっかりしろ爆豪!!ダメだ清らかな笑み浮かべて気絶してやがる!!」
「轟もだ!!スマホのカメラで連写してるけど表情が1mmも動いてねえ!!」
「ん?おぉぉぉぉい、飯田も目ガン開きで気絶してるぞ!!」
3人の視線の先には勿論緑谷がいた。
長いくせ毛を綺麗に纏めて、胸元はラメ糸の総レースで透け感のあるレースによるデザインが上品さを演出。
履き慣れないヒールは低めにされていることで転倒を防止しながら緑谷の快活さが見て取れる。
全体的に可愛らしい仕上がりになっていた。
「(こりゃ3人には目の毒だったかな)これはシズが選んだの?可愛いじゃん」
「メリッサさんがコーディネートしてくれたの。トーくんも似合ってるね。パーティだからアクセサリーは少なめなのな」
「ありがとう。メリッサさんもシズのコーディネート有り難う」
「ヒノくんは相変わらずね、イワンクフの教育のタマノモって言うのかしら」
「?あ、賜物すね。皆も似合ってるね」
そう言いながらメリッサの後にいるメンバーに目線を移す。
「ふふふ、みんな綺麗だね」
素で相手を褒められるのは火埜のある種の技能ではないかと思うA組男子。
元々、心を許した相手には素直になる火埜だからこそ、その言葉に嘘偽りがないことが感じ取られる。
「お茶子はピンクのドレスなんだ、肩だしが大人びてて全体的に可愛い印象を与えそうなのにそれと同じくらい色気があるね」
「モモちゃんは元々大人びてるからかな、大人びて見えるね。でも背中は開けすぎかな?オレ以外の男共に見せるのは癪だな」
「響香も少しゴスパンみたいだけど、ヘアアクセサリーが全体の雰囲気を上手く纏めてて、少しドキドキしちゃうな」
「明は黒のカクテルドレスか、いつものゴーグルが無くて髪も遊んでるからかな。女性特有の色香がするみたいでクラクラするよ」
すらすらと出てくる褒め言葉。
いつの間にか復活した3人も含めて全員が妙に感心している。
そして、褒められた女子ズは頬を赤らめ恥ずかしそうに、しかし嬉しそうにしていた。
「さて、皆揃った事だしパーティ会場に向かいましょ」
メリッサの先導で会場を目指す一行。
それは本当に偶然だった、爆豪はパーティ会場に向かう警備の集団を見かけた。
I・アイランドという場所の関係上、警備に使用される装備は殺傷能力がそこそこ高いモノが支給されている。
しかし、爆豪が見た彼らの装備はそのどれよりも凶悪だった。
「なぁ、メリッサ」
「ん?どうしたのバクゴウくん」
「銃火器が配備されてることは知ってたけどよ」
先程まで恋した少女の尊さで死にかけていた少年は既にいなかった。
「サブマシンガンなんていつ配備されたんだ」
そこには、危機を感じとり戦闘に備えるヒーローがいた。
メリッサが何かを感じ取ったのと同時だった、周囲に警報が木霊したのは。
「携帯は・・・圏外だ。うわぁ、USJを思い出すなぁ」
「おい、疫病鶏!!お前何した!?」
「エレベーターも反応無しか。峰田、ウチの旦那にケチつけるな!!」
「マジかよ!てかお前等いつの間にそんな爛れた関係に!?」
「あらあら、耳郎さんその件につきましては後程にしてくださいな。それよりも、メリッサさん」
「えぇ、いくら爆発物が主要各所に設置されただけで警備システムが限界になるなんて考えづらいわ」
緑谷たちは一度状況確認のためバラけ、再度ロビーの死角にて状況交換と把握を始めた。
携帯を試したが使えず、エレベーターも動かない。
メリッサ曰く、この程度で警備システムがエラーを起こすとは考えづらいとのことだった。
「つまりこれはエキスポに対してのテロ、それも相当大規模なものだと考えられる」
「やね。多分I・アイランド全体に混乱が広がっている、それか既に混乱が起きているって考えた方が良さそうだね」
サポートアイテムが無いため、思うように情報が集まらず知らず知らすのうちに彼らにも混乱が押し寄せ始めた時だった。
「確かパーティ会場にはオールマイトがいるはず」
「でも、何ら反応がないてことは」
「ウチの出番だな」
アジア圏No.1ヒーローであるオールマイトが反応しない、そんな異常事態の原因を調べるために、A組索敵探査班の耳郎が名乗りを上げる。
耳郎響香の個性は『イヤホンジャック』。
プラグになった耳たぶを挿すことで自身の心音を衝撃波として放つことができる。
また、壁などに挿す事で微細な音を探知することもできるため索敵などにも使え、分厚い壁があろうと彼女には筒抜けである。
実は夏休み前、彼女の個性は索敵探査方面で進化とも呼べる変化があった。
それは左右のプラグで衝撃波の放出と音の探知を別々に出来るようになったことである。
これにより、彼女の索敵探査能力はひとつ上の段階に駆け上がった。
エコーロケーションをご存じだろうか。
反響定位とも呼ばれ、動物が音や超音波を発し、その反響によって物体の距離・方向・大きさなどを知る方法である。
耳郎は自身にしか感知できないレベルまで弱めた衝撃波を放ち、それをもうひとつのイヤホンジャックで感知することでエコーロケーションを可能にしたのだ。
なお、特訓に付き合っていた火埜と嬉しさのあまり
「・・・・金属パイプかなにかで拘束されてる。パーティ会場の客を人質に取られたっぽい。会場にも銃を構えたテロリストがかなりいる」
そして、彼らは
「ダーリンダーリン」
「明、もしかして」
「ぬふふふふ、この台詞を言える日がくるなんて。そう、こんなこともあろうかと!!」
「私と発目さんで小型の通信機の開発に成功しておりますわ。そして、すでにオールマイトのヒーローコスチュームに組み込んでありますわ」
「ナイス、モモちゃん!!」
「そしてこれが」
「その“通信機”です」
会場内で一人頭を垂れ拘束から抜け出せないでいるオールマイト。
「(Shit!!私としたことが!!)」
親友との再会で生まれたて僅かな心の緩み、I・アイランドという地理的要因と警備の厳重さから生まれたて驕り、自分ならなんとかなるという慢心。
それら全てがいま、オールマイトが身動きが取れない現状を作っていた、
「(どうにか、どうにかせねば!!)」
『俊典、聴こえとるか』
突如耳元で聴こえてくる
「はいっ!!」
それに脊髄反射で大声で答えてしまい、場内のテロリスト達の注目を集めてしまうオールマイト。
「ンズのケチャップは最高だよねぇ♪」
『・・・、あんたバカでしょ』
「ひ、火埜少年」
『咳で答える、YES1回NO2回』
「ゴホ」
『状況はヤバいですね』
「ゴホ」
『タワー占拠されてて人質多数、ヒーロー全員捕縛状態ですね』
「ゴホ」
『・・・・博士は』
「・・・・おい、君たちデイヴをどうしようと言うんだ」
すると突然意識を取り戻したような大根演技で敵に話しかけるオールマイト。
「あぁん、オレらが知るかよ。タワーの天辺にある機械の発動に必要らしいから連れてかれたけどその後のことなんか知るか」
「くっ」
『なるほど、理解しました。一端連絡を切ります』
ロビーの影にて全員でオールマイトと火埜の会話を聞いていたため、メリッサの顔色が悪くなっているのは解った。
「うそ、パパがなんでいまさら」
「タワーの頂上っていったら“アレ”か」
「あぁ、“アレ”だよね」
「でも今更“アレ”稼働させる意味なんてあるの」
メリッサと
「もしや、博士の未発表作品である“個性増強装置”がまだ残っていたのですか」
そのニュアンスから日頃からテレビ電話をしている発目は見当が付いたようだ。
「はい、解ってる組説明」
「あっと、オールマイトと博士が個人的な話題で距離を取っていた時期があったんだけど、博士は加齢によって個性因子が十全に働かなくなっているオールマイトのために個性因子を活性化させる装置を作っていたんだよ」
「結局、旦那とオールマイトは元の状態に戻って装置は最終プログラミングと一部装置の取り付けを前にして破棄されたって聞いたんだけどな」
そういって火埜と爆豪はメリッサに視線を向ける。
「多分、サミュエルさんだと思う。パパの助手だった人なんだけどパパが装置の開発を止めて残りの人生をオールマイトのヒーロー活動に費やす話になってからずっと微妙な感じになってたから」
「憧れは理解から最も離れた感情である、誰かがいってたけど博士の研究に携わる姿は研究者たちにとって理想だったんだろうな」
「なのに、その憧れの人が自分の研究を捨ててまでヒーローの裏方になろうとする姿に何かが切れたんだろうね」
お通夜モードになる中、突如すくっと立ち上がると徐に自身のドレスを切り裂きスリットを入れる発目。
「なんなんですかその人、私一寸文句言ってきます」
「はい明、スティスティ」
即断即行動の発目を後ろから抱きしめる形で押さえる火埜だったが、それでも発目は止まろうとしなかった。
「なんなんですかその人。自分たちは自分たちのベイビーたちがヒーローと共に活躍するのが喜びなんじゃないですか。そんなの自分の思想の押しつけです」
「はいスティスティ、さてとどうする?」
火埜が全員の顔を見渡す、それは全員の意思確認だった。
「正直、後数時間もすればスターアンドストライプが到着するだろうけどそれまでに何人か殺されるだろうね」
「お前、さらっと怖いこと言うな」
「事実だし、今動けるのオレらだけだし、誰かが逃げ出してもタルタロス並みのセキュリティが作動しているなら再突入できない。もし、動くなら法律違反覚悟でやるしかない」
「翔織、オレはやるぜ」
「私も、やる」
火埜の行動指針に最初に動くと反応したのは爆豪と緑谷だった。
「姐御まってる時間=人質の安全じゃないなら動けるオレらがやれることやった方がいいだろ」
「うん、それに動かないで後悔するなら、動いて後悔したい」
真っ直ぐな瞳で火埜を見つめてくる2人。
「いいな、熱いぜお前ら!!オレもいかせてもらう!!」
「当然、私も着いていくわよ!!私ならシステムを元に戻すことも出来るわ!」
「はいはいはいはい、そういうことでしたら私も行かせていただきますよ」
「たく、脳筋ばっかりが、索敵要因のウチを置いて行く気?」
「私も勿論着いていきますわ。道中のサポートはお任せください」
「たく、ここで1抜けたはだせえな。オレもいくぜ機械相手ならオレはクソ強い!!」
「オイラも行ってやるよ!!ここで目立てば世界中の美女がオイラのトリコに!!」
「級長として皆の勝手な行動を容認できない、オレも着いていって皆を纏める!!」
『というわけで、オールマイトには後で個性使用許可を出した生け贄になってもらいます』
「ゴホ(全く、相澤君の苦労がしれるよ)」
「ただし、これだけは約束してくれ」
オールマイトは自分の出せて相手に聞こえないギリギリの声で子供たちに願う。
「誰も、欠けないで必ず帰ってきてくれ。明日はBBQなんだから」
脱獄ヒーロー プリプリプリズナー
本名:脱出 宣語(ぬけだ のりご)
個性:カミングアウト
自分をさらけ出せばさらけ出すだけ、それが周知されればされるだけ基本スペックが上がっていく。 そのため、他者に認知されれば認知されるほど自動的に強くなっていきその思いが強ければ強いほど強くなっていく。 本人の強烈なキャラクターによって忘れたくても忘れられないため、本気となる全裸戦闘状態(自称:エンジェルスタイル)時の基本スペックは全盛期のオールマイトに匹敵すると思われる。 なお、本人は愛の力で強くなっていると思い込んでいるため自身の個性を正しく把握していない。