火埜翔織という異物によるHEROACADEMYだ   作:完全怠惰宣言

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遂に来たぜ林間学校!!
でも話全然進まねえぜ!!


57th

夏休み真っ只中。

一般的な学生であれば青春を謳歌しているであろうこの時期。

 

「皆、準備は出来ているな!!」

 

雄英高校には大型バスが2台止まっており、その前には朝早くからキヒキビと擬音がついて回りそうな飯田が忙しなく意味もなく動いていた。

 

「飯田ちゃん、今からそれじゃ疲れちゃうわよ」

「意味なく動くなや、少し落ち着け」

 

蛙吹と爆豪の辛辣なツッコミにショックを受けたように立ち止まる飯田。

そんな彼の後ろには後光が指しているかのような雰囲気で菩薩のような穏やかな顔をした峰田が空を見上げていた。

 

「今日から3泊4日、年若い男女が同じ屋根の下で過ごす訳なんすが、間違いが起こらないはずがない」

 

そして、目をかっと見開くと後光は黒く濁り、菩薩のような穏やかな笑みは色欲にまみれた(ついでにヨダレが駄々漏れた)エロ小僧の顔へと変貌を遂げた。

 

「この林間学校でオイラは一皮剥けてやる!!」

「その言葉に含まれた意味合いが違ければ感動的なのだが」

「もう、そろそろダメだろう」

 

i・アイランド以降欲望の箍が外れたのか1学期前半のスケベ大魔王と化した峰田に冷ややかな視線を送る障子と切島。

そんな二人からの視線など意に返さず、スケベスカウンターと化した両の眼で女子のいる方向へと峰田は視線を向けた。

 

「にゅふ、これからしばらくダーリンと一緒ですぅ」

「はいはい、“明”は取りあえず腕解放してくれない?オレも一様男の子なんだから」

「むぅ、火埜君なんか冷たいよね」

「そう言いながら抱きつかないで“透”。あ、お前また緩めのスポーツブラにしたな」

「えへへ、火埜としばらく一緒。なんか嬉しい」

「“三奈”も参加できて良かったね。でもこれからはもう少し勉強頑張ろうか」

「火埜、コレ頼まれてたヤツ、一緒に聴こ?」

「首を傾げるとか、一々行動がカワイイ。“響香”、そういう所天然だよね」

「ん(※火埜君、何かつらそうだけど大丈夫?)」

「うん?あぁ、大丈夫、いつものことだから心配しないでください“小大”さん」

「火埜君、はいスポドリ。飲めるなら飲んどき」

「ありがと“お茶子”。しかし、暑いね」

「でも、無理しないで大変なら私たちクラス違うけど話は聞くから」

「“柳”さん、ご心配おかけして申し訳ありません。でも本当に大丈夫ですから」

「・・・・・・、お前まさか無自覚か?」

「あのな、“心ちゃん”。線引きは重要よ?」

「ひーちゃん、塩飴ですわ。ウチのクラスで一番そういうのに弱いのひーちゃんなんですから気をつけてくださいな」

「それ、本当に市販?おい、そっぽ向くなこっち向け“百”」

「ひーくん、ひーくん!お母さんがコレ持って行きなさいって渡してくれたよ。はい、冷凍タオル」

「はぁ、引子さんには敵わないな。“シズ”もありがとう」

「・・・・・凍らすか?」

「制御に難があるなら止めとけ“焦凍”」

「う~ん、カオスだねぇ」

「委員長ならちゃんと引率してくださいな“拳藤”さん」

「しかし、唯がこんなに懐くなんて。よ、女たらし」

「名誉毀損で訴えても良いんですよ“取陰”さん」

「Oh!?火埜君モテモテデース」

「何を目を輝かせてるんだ“角取”。お前日本に来てマジでジャパニーズカルチャーに染まりすぎだから」

「主な原因は火埜だがな」

「“鱗”、それは言わない約束でしょ?」

 

「オイラの目の前でハーレムしてんじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!(血涙大瀑布)」

 

峰田は絶叫した。

必ず目の前の色欲と性欲の権化たる火の鳥ハーレム野郎の◯◯を蹴り抜いて世界中のモテない男子に変わって人誅を下してやると意気込んで。

 

「峰田よぉ。おまえ、そういうとこだぞ」

「うるせぇ!!ハーレムフラミンゴが!!なんなんだよ、いつの間にB組の女子とも仲良くなっちまったんだよぉ(怨)」

「オレと同じマンションに角取と鱗が住んでてたまに顔会わせてたらこうなった。オレは悪くない」

「くそぉぉぉぉぉぉぉ、てか同士上鳴は?あいつは何処いっつぁ」

 

A組エロの2大巨頭、峰田と双璧をなす思春期男子“上鳴電気”を探し辺りを見回す峰田のエロスカウンター。

ある一点を凝視した峰田には信じたくない光景が写っていた。

 

「あなた様、あなた様。これから4日間、私達は同じ屋根の下で共同生活。そうこれは最早『同棲』と言っても過言ではありません」

「過言です、どう考えたって過言です!!嬉しいのは解ったからこの絡みつく蔦をなんとかしてくれ“茨”!!」

「こんの怨怨怨怨怨怨怨怨怨(おおおおおおおおお)、裏切り者がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

峰田は跳躍した。

共に誓い合った、2人で必ずモテ王になろうと誓った(捏造された記憶)親友の裏切りを断罪するため。

その◯◯を蹴り抜くため。

 

「五月蝿いです」

「あひん」

 

しかし、その行為は塩崎という上鳴専任ヤンデレ傾向セコムによりはじかれてしまった。

 

「さぁ、あなた様。Let's First play」

「まだ、昼間なんですけど!?助けて誰かぁぁぁぁぁぁ!!」

 

夏休みに入り久しぶりに会う上鳴に色々なものが天井突破したのかいつもより暴走気味の塩崎。

 

「ノコ、茨ちゃんいつもより凄いけど何かあったの?」

「小森さん、塩崎さんの左手にご注目下さい」

「ノコ!?緑谷ちゃんなにか知ってるの?で、左手に注目と言っても」

 

小森の視線の先、白魚のようなと形容されることもあった最近“生傷”が絶えないその左手“薬指”には真新しいシルバーリングが輝いていた。

 

「続きまして、縛り上げられている上鳴くんの“右手”をご覧ください」

 

上鳴の右手にしかも疑うことなく“薬指”に視線を向ける小森。

そこには塩崎と同じ、強いて言えばサイズ違いの『雷』と『薔薇』を象ったリングが輝いていた。

 

「短期アルバイトしてお金貯めたけど“ちゃんとした”のってそれなりのお値段するでしょ。そこでクラスに泣きついた上鳴くんだったんだけどとーくんが自作を提案して銀粘土で自作してプレゼントしたんだって」

「ノコ~、それは“ああ”なるのこ」

 

蔦のドームに覆われ、中から上鳴の悲痛な叫びが聞こえてきそうになる中、突如そのドームが焼き切れた。

 

「はいはいはいはいはい、塩崎ステイ。そういうのは同意の上でってイワさんに教わったでしょ」

「申し訳ありません“若”。しかし、止めどない青春のパッションがあふれ出して我慢できませんでした。後悔はありません!!」

「まぁ、次の機会にしようね。はいはいはいはい、全員しゃんとする、委員長は点呼はじめ!!ウチの相澤先生が拡声器取り出す前にシャキッとする」

 

火埜の発言に生徒全員の目がバスが止まっている地点に向く。

そこにはあからさまに不機嫌そうな相澤が拡声器の準備をしてイライラを隠そうともせず立っていた。

なお、集合時間までまだ猶予があるためか、ブラドによりたしなめられている。

 

~数秒後~

 

「合理性に欠けることしやがって。まぁ、時間内だったから今回は許してやる。さて、今回の林間学校だが既に顔合わせしてるが普通科から2名サポート科から1名同行する。」

「知らぬ者は居ないと思うが挨拶と意気込みを言って貰うか」

 

そう言うと3人の生徒が前に出てきた。

 

「普通科、心操人使。まだ、スタートラインにも立てていないがお前ら全員追い越してやる」

「ふふん、青山優雅だよ。皆、宜しくね」

「サポート科の発目明です。アイテム考察のために皆さんの個性観察しに来ました」

 

心操と発目に関して火埜と柳という共通の友人がいたため、林間学校前から既に何人か見知った存在もおり、手を振ったりアイコンタクトを送り送られたりしている。

青山に関してはテストで一緒だった物間と未だ物間に引っ張られているB組の一部からしかそういったアクションは見られなかった。

 

「心操と発目はA組のバスに、青山はB組のバスに乗れ」

 

こうして、林間学校は始まったのだった。

 

発車してしばらく、乗物に弱い火埜が眠ることで車酔いを避けていた時だった。

 

「一旦、降りるぞ。寝てるヤツは起こしてやれ」

 

その一言で一部女子が色めき立ったのだが。

 

「ケロ、火埜ちゃん起きてちょうだい」

「先生がバスから降りろだって」

 

通路を挟んで反対側に座った蛙吹と末っ子モードに陥っていた轟に起こされ眠い目をこすりながら起こされていた。

 

「ん?休憩と聞いたんだが、ここはいったい?」

「あれ、B組は?」

「と、とととととと。トイレは?」

 

“休憩”と言われA組バスから降りてきた生徒達はパーキングエリアを想像していたが、そこには何も無く眼前には森林が続く大自然の美しい景色が広がっていた。

 

「うひゃー、すげー眺め!!」

「休憩所が見当たらないということは私有地か?」

「トイレ、トイレ、トイレはどこにぃぃ?」

 

景色を眺める者、周囲の状況を確認する者、ダムが決壊間近な者、その反応は様々であった。

 

「さぁ、地獄を楽しみな」

 

生徒達から離れた場所で相澤が不吉な言葉を呟く。

それを聞き取れない生徒達にさらなるサプライズが現れる。

 

「煌めく眼でロックオン!」

「キュートにキャットにスティンガー!」

「「ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ!!」」

 

女性2人組の登場、それを何やら遠くを見るような視線を送る相澤といつの間にか相澤の隣に立っている少年。

 

「ご無沙汰しております、今回は無理を聞いていただきありがとうございます」

「よーう、イレイザー!元気そうだな」

 

2人組“ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ”と面識がある相澤が代表して挨拶するが、その隣に立っていた少年が何かに気がつくと生徒達の元へと走り寄ってきた。

 

「静空ねぇちゃん!!」

「洸汰くん!?」

 

走ってきた勢いのまま、少年「出水洸汰」は緑谷に抱きつく。

身長の関係で洸汰の顔は緑谷の立派な胸部にぶつかるがそれでも2人は嬉しそうに抱き合っていた。

 

「お、おおおおおおおおおおおおい、しぅく。そのガキはああああああああああ」

「おい!?爆豪の奴がバグってるぞ!?」

 

周囲を見ると轟は眼をかっと見開き真っ白に燃え尽きており、飯田はその場でロボットダンスのような動きで解りやすく混乱しており、心操にいたっては情報処理が追いつかず気絶して倒れていた。

 

「ケロ、その子が前静空ちゃんが言っていたウォーターホースご夫妻の息子さんね」

「出水洸汰です!!夏休みだから従姉の信乃ねえちゃんの所に来てました」

 

とんでもない阿鼻叫喚が起きてる後ろで。

 

「あ、あの、ひ、久しぶりだね。と、若」

「解りやすいくらいキョドらないでくれる。久しぶり【信乃】」

 

名前だけ心の中で呟かれ、かつてのヤラカシが鮮明に蘇るマンダレイ。

ほんの一瞬だけ『ヒーロー(マンダレイ)』でなく『1人の女(送崎信乃)』になっていた。

まぁ、目敏い一部には感づかれていたが。

なお、後に『洸汰くん事変』と呼ばれる騒ぎが収束した後、口田がプッシーキャッツの活動歴を確認がてら話したところ「心は18ィ!!」とピクシーボブに肉球グローブでアイアンクローされていた。

 

「トイレはーーーーーーーーーーーーー?」

 

峰田の悲痛な叫びは、彼らに待ち受けるその後の試練を暗示しているようであった。




なお、信乃さんの態度が気になった方は僕の書いてる別小説を探してください。
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