火埜翔織という異物によるHEROACADEMYだ   作:完全怠惰宣言

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いや、まじで暑いよ夏。
皆さんは大丈夫ですか?
まずは健康第一で。


58th

「お前ら整列、今回お世話になる、“プッシーキャッツ”の皆さんだ」

 

洸汰君事変から数分後、峰田も無事ダムの放流が終わり賢者タイムな顔をして整列している。

 

「姐さんたちは連名事務所を構える4名1チームのヒーロー集団。

 でもって山岳救助等を得意とするベテランでよ、キャリアは確か今年で12年に「心は18!!」

 

改めて自分の尊敬するヒーローであるプッシーキャッツの来歴を説明する爆豪であったが金髪の女性、ピクシーボブの猫を模したグローブによる掌打を顔面に受け、言葉が遮られる。

 

「(18でデビューしてキャリア12年だから、現在の年齢は)」

「そこ!!計算しない!!」

 

驚異的な直感を発揮した彼女に睨まれ、すぐさま心操は脳内の数字を捨てた。

美人が怒ると迫力が凄い。

 

「まぁ、鉄板ネタは置いといて「置いとかないでよマンダレイ」お・い・と・い・て!!」

 

コホンと解りやすく咳払いをするマンダレイ。

ちらっと視線を上げるとニコニコと笑う火埜と目が合う。

瞬間、顔を真っ赤にほてらせて俯きかけるがプロ意識がそれを押しとどめた。

 

「ここら一帯は私らの所有地で、みんなの宿泊施設はあの山の麓ね」

「遠っ!」

 

そう言って、マンダレイが指し示舌先には全景が見えるほどの距離にある山の麓、そこにギリギリ視認できそうな建物があった。

瀬呂が反応した通り、かなりの距離がある。

 

「あれ?じゃあ何でこんな半端な所に」

「いやいや、いくらなんでも」

「そ、そうだな。バス、戻ろうか?な、早く」

 

葉隠から漏れた疑問、それにより何かを悟った芦戸、同じく嫌な予感がしているのか笑いながら全員にバスに戻るように提案する切島。

そんな切島に同調するようにA組全員の顔には強ばった笑みが浮かんでいる。

しかし、悲しいかな僅か数ヶ月ながら、存分に雄英のやり方を体感してきた彼らにとって、その嫌な予感はほぼ当たる。

 

「今は9時30分、早ければぁ、12時前後くらいかしらん」

 

薄っすらと笑みの形に変わるマンダレイの口元に、その予感が間違っていないことを悟る生徒たちの行動は、充分に迅速と言えるものだ。

 

「戻れ!」

「バスに戻れ! 早く!」

 

誰が発したか、もしかしたら全員が発したのかもしれない行動指示に素早く動くA組一同。

しかし、プロヒーローの行動は更に早く、軽やかな身のこなしでピクシーボブが生徒たちの前に現れ妨害する。

 

「12時半までに辿り着けなかったキティは、お昼ごはん抜きね」

 

先程爆豪を黙らせた手が、大地に添えられる。途端に、地面が波打ち盛り上がっていく。

 

「悪いね諸君。合宿はもう、始まっている」

 

いつもの笑みを浮かべて楽しそうに告げる相澤、その隣には相澤の捕縛布で横に移動させられた発目が展開について行けず笑顔のまま固まっていた。

生徒たちの悲鳴を飲み込んで、土の津波が彼らの身体を崖下へと押し流してしまった。

 

「私有地につき、個性の使用は自由だよ! 今から3時間、自分の足で施設までおいでませ! この──"魔獣の森"を抜けて!」

「「「ふざけんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」」

 

マンダレイの声が、崖下へと届けられる。

全てを察した生徒達からの叫びと共に。

 

「んで、やっぱお前らはそうするよな」

「すいません」

「つい、反射的に」

 

相澤の隣、発目の反対側には天候の焔の噴射で逃げおおせた火埜と両手の爆破で飛んできた爆豪が申し訳なさそうにしていた。

空が飛べる個性の2人なら、と相澤も考えていたので不思議そうにはしていない。

 

「まぁ、あれだ。取り敢えずお前らも行ってこい」

「うぃっす」

「へーい、明はどうするんすか?」

「あぁ、こいつはt「ダーリンについていきます!!」

 

火埜の質問に相澤が答える前に食い気味に答える発目。

気がつくと捕縛布は解かれ、発目の傑作オクタコスを背負って火埜に抱きつく発目がいた。

 

「ふーん、まぁ怪我しないように気をつけてね」

「翔織、お前マジで後ろから刺されるぞ」

「ぬふぅ、ダーリン独り占め良くないですよお姉さん」

「ゲセヌ!!」

「とっとと落ちろこのバカ共が!!」

 

相澤の一喝に「いってきます」と暢気に返す火埜と発目。

マンダレイを意味ありげに見ながらため息をついて続く爆豪。

 

「マンダレイ、“そういったこと”はあまり表に出さない方が」

「煩いわよイレイザー!!」

「ん、何々?なんで信乃がオコなの?」

 

だから結婚できないんだよ、という心の声が重なった瞬間だった。

 

「うぇえい、みんな無事?」

「まぁ、見りゃわかるがな」

 

叫び疲れたのか少し休憩中のA組に合流した爆豪と火埜の漏らした感想に数人が殺気だった顔を向ける。

 

「お前らだけなにしれっと安全に降りてきてんだよ!!」

「えぇ~、でも轟スライダーで降りてきたんでしょ?」

 

火埜のが指差す方向には氷で出来た巨大なスライダーが鎮座していた。

轟が作り出したスライダーで降りてきたため、原作よりは疲れていないがいきなり落とされるという精神的疲労は軽減できなかったようだ。

 

「てか、火埜!!お前の腰!!」

「ん?あぁ、ほら明離れて」

「はい!!」

 

元気良く返事をした発目が火埜の腰から離れる。

そして、火埜と爆豪の視線の先にはとんでもない衝撃を受けて崩壊したような土塊が存在していた。

 

「あれ絶対、流子ねぇやの個性だよ」

「だな、土流で形作ってサポートアイテムで動かしてる感じか」

「はいはいはいはい!!爆豪さんのおっしゃる通り!!この土塊中に入ってるこの機械が簡単な操作補助を行っているようですね!!」

 

後から来た余裕ある3人の考察に怒りという燃料をガンガンぶちこまれていく先落ち組。

特に全員から離れたところで微妙な内股の峰田なんか血涙流している。

 

「あれ、峰田は間に合ったんじゃないの?」

「それが、第二弾が来たらしくそっちは間に合わなかったんだよ」

「「あぁ、可哀想に」」

「絶対に許さんぞ!!謝罪としてあの絶妙にたれ「お前、それ以上はマジで流子さんに埋められるから止めろ!!」

 

爆豪が必死の形相で叫ぶ。

Aクラス+心操が同時にすっと自分たちが落ちてきた上を向いた。

そこにはニコニコととても良い笑顔でこちらを見つめているピクシーボブの姿があった。

ただし、額に青筋を浮かべグッドサインをした右手で首を掻くジェスチャーの後、そのグッドサインを下に向けるまでは。

 

「はい、峰田のせいでレベルがインフェルノになりました」

「オイラが悪いのかよ!!こんな事しでかす大人が悪いだろ!!」

「言うても流子さん均整のとれたスタイルしてるし、普通に美人なんだけどな」

「うんうん、流子さん家事全般得意だし、一緒に遊んでくれるお姉ちゃんて感じだし」

 

そこでため息をつく幼馴染みズ(爆豪・緑谷・火埜)

 

「「「(((なぁんで“結婚”出来ないかなぁ)))」」」

 

考えることは一緒だった。

 

数分後

 

「さて、これあからさまな挑発なんだけどさ皆気分はどうよ」

 

一通り落ち着いたクラスメートと心操と発目に不適な笑みを浮かべ尋ねてくる火埜。

 

「相澤先生からの挑戦状か、はたまたプロヒーロー(プッシーキャッツ)がオレらを低く見積もっているのか、そこら辺はどうでも良いんだけどよ」

 

火埜が悪い笑みを浮かべている。

それを認識したのか長年の相棒を辞任する男がこれまたあくどい笑みを浮かべて森から視線をきり、首だけ振り返る。

 

「こん中に“この程度”のことでビビってる奴なんていねえよなぁ?」

 

爆豪の言葉に、その真意に全員が悪い笑みを浮かべる。

 

「さて、今は9時45分なんだけどせっかくのおやつはバスごと行っちゃったし、どうしようか“委員長”」

 

普段は浮かべない小悪魔的な蠱惑的な笑みを浮かべまっすぐに視線を向けて問いかける緑谷。

この時、その場にいた全員の心は一つとなっていた。

 

「僕らも甘く見られたものだ。この程度の問題が困難だと?僕も失笑してしまうよ」

 

全員の目に光りが灯る。

 

「目標は12時、いやそれよりも速く駆け抜けるぞ皆!!」

 

 

プッシーキャッツが所有するロッジのような事務所前。

 

「何と言うか、想像以上ではないか」

「え、今お昼ちょうどだよ!?なんでもう着いてるの?」

「流子手加減した、訳はなさそうね」

「寧ろ、レベルジェノサイドだったんですけど」

「シズクねえちゃん達スゲー!!」

「(うむ、流石は“オレ”の生徒)まぁ、落第点だな」

 

そこにはいくらか汚れが目立つ制服となったがお昼ちょうどに全員揃って到着したA組と心操と発目の姿があった。

 

「だから言ったじゃん。お昼準備しようよって」

「いや、勝己達が混ざってるからと甘く見たわけじゃねえけど凄いなおい」

 

ロッジから顔を出し当然の結果にこの後の惨劇を思い浮かべ少し腰が引けてる男性が2人いるのだが。

 

「ハラヘッタ」

「あ、翔織が限界きてる」

「ほらぁ、若の目が野獣化してるよ。おにぎりだけでも作れば良かったのに」

「おい、消太どうにかして止めるぞ」

「いや、作らせた方が速いだろ。というわけだ翔織、飯が食いたきゃ自分で作ってこい。ついでに勝己と静空はそこの暴走コックの手綱しっかり握っとけ」

 

相澤がオフの日状態で指示を出した瞬間、火埜は両手に幼馴染みを握りダッシュで使い慣れた厨房へと走って行った。

 

「さて、ほかの奴らにはもう一度紹介しておこう。今回我々がお世話になるプッシーキャッツの皆さんとお手伝いに来てくれたフワフワシープとクラウディーホープだ」

 

『煌めく眼でロックオン!!』

『猫の手 手助けやって来る!!』

『どこからともなくやって来る・・・・』

『キュートにキャットにスティンガー!!』

『ワイルド・ワイルド』

『プッシーキャッツ!!!(フルver.)』

「どうもぉ、リューキュウ事務所所属サイドキック『モコモコヒーロー・フワフワシープ』で~す」

「おう、『白雲(はくうん)ヒーロー・クラウディーホープ』だ、お前らの担任のイレイザーとは同級生だったんだぜ。昔話が聞きたい奴はこの合宿を頑張れ」

 

「宜しくお願いしまっす!!」

 

生徒一同が会釈する中、2人のヒーローがはたと気がついたような演技で語りかける。

 

「そういえば、今年はそこそこ青春のリビドーに正直な奴がいるってきいたけど」

 

先ほどまで美少女かと見間違うばかりのフワフワシープが突如、ヤ〇ザも顔負けのパンチの効いた顔に変化する。

 

「僕の柔さんの裸体を見たらその目マジで潰すから」

 

そして腹の底から冷え冷えとする漢らしい声で威嚇する。

 

「無論、オレの嫁ちゃんの知子ちゃんもだぞ。もし見たら・・・・・・・・」

 

クラウディーホープもまた、殺意マシマシの目を向ける。

2人の視線は完全にエロ葡萄をロックオンしていた。

 

「お待たせ、お昼出来たよ!!」

 

「「「「「「やったぁぁ!!若のご飯、久しぶり!!」」」」」」

 

「いや、あんたらがくいつくんかい」

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