火埜翔織という異物によるHEROACADEMYだ 作:完全怠惰宣言
「神野の惨劇」と呼ばれる事件から1日明け、AFOをタルタロスに一時的に収監し世界中のマスコミやヒーローが日本に押し寄せてきた。
切欠は
「領空侵犯?そんなモノ知るか!!」
と一言言い放つと恋人を連れて日本にいち早く駆けつけ、目の前で事件の終焉を見届けた
「MASTER、ご無事で!!」
「うん、心配かけたねキャシー」
オールマイトとしての全盛期を思わせる巨体と目を合わせながら八木は意識的に一部から目を離していた。
「“個性”に関しては仕方がないにしても、今のMASTERなら現役続行できるんじゃないか」
嬉しそうに笑うUSAが誇るNo.1ヒーローを眩しく思いながらジェットエンジン代わりにされた恋人ブルーフレアが彼女が抱え込んで離さない豪腕をなんとかこじ開けようとしている姿を認めるしかないと意識を向ける八木。
そこにはスターアンドストライプの胸部に抱え込まれ窒息しそうで出来ない微妙な加減で抱え込まれた今回の救出対象が酸素を求めて顔を出そうと必死になっていた。
また、それを助けようとブルーフレアが若干必死になって恋人の腕をこじ開けようとしているシュールな姿があった。
「それに、My.Brotherもこんなに心配かけて!!」
片腕で抱えていた火埜を全力でハグ体勢に移行するスターアンドストライプ。
火埜の背骨から何やら聞こえてはならない音が聞こえてきているのだが、感情が振り切れた姉貴分は愛情が上乗せされた全力ハグに意識が向いていて気が付いていなかった。
そして、その後ろで合掌するブルーフレアは弟分の打たれ強さに全てを託し諦めることにしたのであった。
なお、何らかのイベントがあるたびに死にかける火埜であったが女性らしい豊かな胸部のその奥にあるたしかな筋肉で今回は酸欠になりかけたそうな。
『それぐらいで満足していただけないかなレディ?』
混沌とする場を覆うように巨影が現われ声を発した。
猛禽類を彷彿とさせつつ暖かな眼差しのその鳥は火埜が呼び出した存在だった。
「ん?アンタは確か」
『我が主、火埜翔織によりこの世界に生まれ落ちました“この焔”を糧にするモノ「NEXT」・「PHOENIX」を掛け合わせた「ニックス」の名を賜っております』
巨大な猛禽類を思わせる焔を纏った鳥、ニックスが紳士のように振る舞い場を収めにかかる。
『我が主も些か疲れが見えるようで、いかに公安の手の者の手引きがあったとは言え、現存最高峰の敵との戦いは肉体以上に精神にきたのでしょう。事実今、我が主は意識を失っておりますし』
ニックスがそう言うとスターアンドストライプに抱えられていた火埜に全員の視線が向く。
そこには確かに意識を失い気絶した火埜の姿があった。
「ん?ニックスと言ったか、お前今“公安の手の者”と言っていたがそれは」
『無論、あちらにて大人しくされている志村姉弟に渡我嬢のことにございます』
ニックスの発言を受け場の空気が固まる。
ヘリで到着した現公安委員長にもその発言が聞こえていたようで公安委員長も固まっていた。
『彼らは自身の生い立ちを調べた結果、自分達を引きずり込むためにAFOが仕掛けた様々な仕掛けを解明し、公安委員長殿に秘密裏に接触し彼らのスパイとなることを了承することにされたそうです』
ニックスの発言、それは全て今この場で作られたデマである。
これは、ニックスの中にいる“日野透吏”の残渣のワガママ、デマを真実として認知させることで公安に志村姉弟と渡我被身子を保護させるための布石。
『しかし、いくらスパイとはいえ彼らの罪は清算されればならないと彼らも望んでいるのでしばらくは公安直轄の刑務場に服すことになるでしょうが、彼らの今回の活躍は公安部でも把握されていることでしょう』
ー ねぇ? ー
猛禽類が獲物を狙うかのような視線を公安委員長にぶつけるニックス。
ニックスの言わんとしていることを理解してしまった公安委員長は3人へと向きを変え歩き始める。
『(まぁ、これで多少は良い結果になるでしょう)』
そんなことがあり更に数日経った。
元々罹っていた精神的な負荷に加えて“個性”とはまた別の異能“死ぬ気の焔”の全力使用、さらに追い打ちのスターアンドストライプにより深い眠りについた火埜であったが、彼が眠っている間に様々なことがあった。
まず、オールマイトのヒーロー完全引退宣言。
これは、彼が“個性”を完全に消失したことだけでなく、未知のエネルギーである“死ぬ気の焔”の数少ないユーザーであることから根津校長主導の下様々な検査を行い今後覚醒するかもしれない者に備えるためにあった。
それに伴い、オールマイトのヒーロービルボードチャート殿堂入りが確定し、世界ヒーロー連盟からも名誉会員への入会が打診されたが八木は後進の育成のために会員になることだけは断った。
次に、雄英高校の全寮制化が正式に発表された。
今回の事件を受けて、生徒のより良い環境の提供とより濃度が上げられた教育環境を整えることで今後起きうる敵や自然災害などに対応出来るヒーローや技術を少しでも多く排出するための処置として決定された。
一部心ない者から今回の件も絡めて雄英バッシングとも取れる発言が一時的に上がったのだが、公安委員会も手を回し、秘密裏に消火された。
そして、協力者に仕立て上げられた志村姉弟に渡我被身子に関しては公安委員会が本気で火消しを行い、過去の事件に関してもAFOになすりつけたことで数ヶ月間の経過観察と一般常識と一般教養の習得のため特別に作られた未成年院に収監されることになった。
3人とも腫物のように扱われるよりもさっさと世間的に認められることを選んだらしい。
最後に、原作でも行われた全校生徒に対する教師達の家庭訪問が行われた。
これに関して言えば極々一部の過保護な存在達(最近出来た孫的存在が可愛すぎて会えなくなるのにだだこねた某最高齢ヒーローとか最近やっと息子に挨拶を返して貰えるようになった元No.2ヒーローとか)により説得が困難を極めたが、大凡原作と同じ通りに進んだ。
なお、火埜に関してはベッドから起き上がれないでいたが意思の疎通は取れたので、入寮は確約されたが漢母さんモードのイワさんと火埜に過保護な所員の説得のためにかなりの労力を割いたとだけ言っておこう。
そして、来る新学期前日、全生徒一斉入寮日。
「まず一言、お前達よく耐えた」
1A生徒達を前に相澤が入寮のガイダンスを行っていた。
「ヘタしたらクラス全員除籍覚悟で現場に行かれるとは思っていたが、踏みとどまってくれた事で今日を迎えられることを嬉しく思う」
何人かが目をそらす、その可能性があったことが否定できないからである。
「取り敢えず、事前に文書で説明したが見た方が早いだろうからな、さっさと入るぞ」
「先生!!大変恐縮ですが質問よろしいでしょうか!!」
早速寮の案内をしようとした相澤に飯田が委員長全開で質問する。
「飯田、お前まさか
相澤がもの凄く面倒くさそうに顔をしかめる。
周囲にいる何人かの生徒もそちらをチラチラと見ているが、敢えて無視していた。
「ですが、流石にあの状態では動けないのではないでしょうか、火埜君が」
飯田がてを向けた方には杖をついて立つ火埜にこれでもかとくっ付く女子と爆豪に轟。
「うごけねえ」
「黙れ!!心配かけやがって!!このアホが!!」
「これは、自分の招いたことだろ?せめてラインの返事くらい送ってくれ」
「昨日まで真面に動けなかったんだよ、スマホも壊れちまってたから昨日新しくなったから連絡先が真っ白なの」
男3人A組顔面ヒエラルキートップ3が並んだ光景は大変眼福ではあったが、それ以上に火埜の周囲が混迷と混沌を極めていた。
「聞いてくださいダーリン、非道いです。私はダーリン専属のサポーターなのに部屋が違うどころか寮が違うんですよ。これは学校側の怠慢です、そうに決まってます」
絶妙なバランス感覚で火埜の頭に抱きつき寮の割り振りに文句を言い続ける発目
「別に連絡が欲しくなかったって言えば嘘になるけどさぁ、一言くらいあっても良くない。ねぇウチってそんなに信頼ない」
耳たぶのイヤホンジャックを左手薬指に絡みつけて絶妙に腕を伸ばせば触れられる位置で延々と文句を言い続ける耳郎。
「んんんんんんんんんんんんん」
背中に顔を思い切り擦りつけつつ匂いを堪能し、男子にしては細めの腰に両腕を回して拘束している麗日。
「んはぁ、きまるわぁ」
正面から堂々と抱きつき火埜の匂いを思いきり吸って年頃の女の子がけしてしてはいけないだろう顔をしている葉隠。
「こ、これで、あーイケませんわイケませんわ!!どちらかというと私が飼われたい!!」
右手に大型犬用の首輪、左手に工業用の頑丈な鎖を創造し、これまたコイツ大丈夫かな発言をかましている八百万。
「んへへへへ、火埜暖かい、気持ちいい」
右手を両手で握りしめ腕を両腕でからめ捕った目が若干病んでる芦戸。
「うん、仕方ないよね。あんな無茶しちゃったんだから」
火埜の右足首に取り付けられた足輪から伸びる大型犬用のリードを握りしめ、朗らかに笑う緑谷。
「まったく、みんな落ち着きましょ。それじゃ火埜ちゃんが動けないわ」
その状態を慣れたもんだとばかりにほどいていき、全員を舌でひっぱたいて狂化を解いて回る蛙吹。
「梅雨ちゃん、ありがとう」
「本当に“こういうところ”よ、火埜ちゃんの悪いところは」
回復しきってない身体に色々と病んでる波動を受け続けた火埜はそこから助けてくれた蛙吹に抱きつく。
退院以降女子との身体的な距離感がバグったのか、特に姉身を感じる女の子には感謝の表しかたがグッと上がっているように思える。
蛙吹は多少頬を赤らめているが、みんなの前で抱きつかれていることに照れているのは明白であった。
なお、弟で慣れているのか火埜の背中を撫でる仕草は峰田をもってしても汚すのをためらう光景だったそうな。
「学生寮は1棟1クラス。右側が女子で左側が男子の棟になっている」
寮に入り設備の説明を始める相澤。
なお、発目は自分の荷ほどきが終わり次第、日課の発明にいくように火埜に説得(色々と約束を取り付けた様子)されて渋々パワーローダーに引き摺られながら帰って行った。
「1階は担任用の個室以外は共同スペースになっていて食堂に風呂、洗濯用のランドリーなどが揃っている。中庭もあるから在寮中は好きに使って構わない」
生徒一同寮の豪華さにワクワクしていると、相澤の説明に峰田がビクッと反応する。
「き、ききまちがいかなぁ?“風呂”・“ランドリー”が“共同”スペー「当然男女別だ、お前いい加減にしとけよ本当に」
峰田のリトル峰田が万歳峰田しかけた瞬間、結構本格的な殺意が混じった視線で相澤が峰田を見つめ言葉で釘を刺す。
「はい、とうぜんっすよね」
ちょっと内股になる峰田、制服のズボンが少しだけ色が濃くなっていたが全員で観なかったことにした。
「個室は2階からで男女それぞれ4部屋が準備されていて5階建てだ。屋上もあるが出るときはオレに一声かけるように」
「屋上かぁ、週末にみんなでパーティとかイイかもな」
そして、個室の見学にうつる
「個室にはエアコン・トイレ・クローゼットに簡易キッチンと揃った贅沢空間だ。ベッドも収納つきのモノを基本として、ロフトベッドなども準備してある。事前に要望を聞いているが今日中なら交換可能だ」
「ひーちゃん、ひーちゃん」
相澤の説明にみんながワイワイと興奮している中、八百万が火埜の制服の裾をチョンチョンと摘まむ。
「どしたのモモちゃん?」
「私のクローゼットよりも若干狭いくらいですわ」
「「「豪邸やないかい!!いや豪邸だったな!!」」」
そして、共同スペースのリビングに戻ってきた一同。
「それじゃ、各自今日は引っ越しの荷解しとけ。明日また、今後の動きを説明する。以上解散」
「「「ありがとうございました」」」
そして、全員が割り振られた個室へと向かっていく。
「障子、正座」
一足早く荷解きが終わった障子は言っても病み上がりの火埜を心配し手伝いを申し出た。
そのあまりの早さを疑問に思った火埜により、障子君のお部屋見学ツアーのノリで障子の個室に案内されたわけだが、きっちり20秒笑顔のまま固まった火埜第一声がそれだった。
「いや、聞いてたし知ってたけどこれはヒドイ!!ミニマリストにも喧嘩を売ってるレベルでヒドイ!!」
「物があると落ち着かんからなぁ」
「プリさんの監獄だってもっと物に溢れてるわ!!」
「解せん」
障子目蔵、1年Aクラスに所属するその生徒はとある事情からあまり所持品を持っていなかった。
その理由は既にクラス内でも本人から周知されており、彼の話を聞いた多感な良い子達は涙を流して障子を抱き締めた。
まぁ、そんな障子の部屋は自分の体躯に合わせた机に椅子、布団しかなく火埜の発言からも分かる通り作者も初見ではミニマリストにすら喧嘩売るレベルで物無さすぎと思ったほどである。
「知ったけど、知ったけどさぁ!!峰田じゃないけど年頃の男の子の部屋じゃない!!」
「しかし、感性というのは早々変えられないぞ」
「シャラップ!!決めた、オレの荷解きなんて後だ!!障子の部屋の大改造劇的ビフォーアフター結構!!」
「解せん」
そんなやり取りをしてると障子の部屋のドアがノックされる。
「ひのぉ」
そこには末っ子モードの轟が困った顔で立っていた。
「部屋が和室じゃないぃ」
「・・・、轟ルームもビフォーアフターか」
「「解せん」」
そして、そこから始まる火埜の人脈ネットワーク。
知り合いにメッセージを一斉配信した結果、真っ先に返ってきたのは孫扱いで目に物理的にいれても絶対いたくないと豪語しているおばあちゃんことリカバリーガールであった。
【茶室の改装して古い畳がリサイクル場にあるはずだから持ってきな】
少し遅れて生徒第一、うちのカワイイ生徒への喧嘩はまとめて買ってあげるのさな絶対守護獣の根津校長。
【和風の衝立が余ってるから良かったら取りに来ればいいさ】
次にベイビー開発中だった発目からも連絡がきた。
【現状復帰が可能なら部屋を弄って良いと先生たちから許可をいただきましたので、クラスメートといまから向かいます!!】
その結果、なんということでしょう。
障子君のお部屋はこうなりました。
無機質なフローリング張りだった床は趣のある畳がひかれ、机も掘りごたつ風になり椅子は座椅子に。
寝にくいからと撤去されたベッドは普段は和風ソファーとして、寝る時はキングサイズのベッドとして変化するベッドに(サポート科生徒の自作、後にデサインが学校経由で家具屋に買い取られる)。
轟部屋は原作と変わらずですが。
そして、火埜の部屋も轟部屋とそっくりな和室に改装されたがベッドは和風のロフトベッドとなった。
「「「やりすぎたか?」」」
流石に困惑する3人だったが、手が空いたのでいい時間だからとおやつの準備を始めた。