火埜翔織という異物によるHEROACADEMYだ   作:完全怠惰宣言

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美味しい定食が食べたい。


9th

轟の発言に火埜が反応すると手元に置いてあったパソコンを操作する。

すると、会議室の入り口手前の壁が割れ、中から巨大なスクリーンが姿を現した。

そして、天井からは明らかに高価そうなプロジェクターが降りてきた。

 

「さて、僕の個性について話す前に僕の両親について話をしなければならない」

「僕の両親はともにヒーローで、僕が5歳の時に殉職した」

 

日常会話の様に両親の死を告げる火埜。

それは、とても異常なことで誰しもが反応に困っていた。

 

「別に両親のことが嫌いだったわけじゃないし、今でも月命日には墓前に行ってる」

「単純に両親がちゃんと区切りを付けれる材料を残してくれていたのと、現保護者がちゃんと僕を見ていてくれるから問題ないってだけ」

「さて、両親の話に戻ろう。今から10年前、2人のヒーローがオールマイトに追従するように活躍していた」

「“激獣ヒーロー”ビーストアーツ、“色彩ヒーロー”カラフルパレットこの2人が僕の両親だ。父の個性“気力獣(ビーストオーラ)”は自身の体内で練り上げたオーラに獣の姿を与えて纏うことで強固な装甲を持った動物に変異するという個性だった」

「そして、母の個性“色彩付与(エンチャントカラー)”は母の手から現れる色を塗ることで様々な状態を相手に付与させるという個性だった」

「その2人なら存じ上げている。ぼ、オレの両親も未だに話に出すからな。けど確か殉職理由は公表されていなかったのでは?」

「まぁ、そこは今関係ないでしょ飯田。とにかく2人の個性を頭に入れた状態で僕の個性の話をしよう」

「まず、間違いなく僕の個性は“火の鳥”だと言い切れる。詳しく言うと焔の様なオーラと肉体をコンバートすることで物理的な攻撃を受け付けない焔状のオーラの鳥になるというのが詳細だ」

「だけど、正直僕からすれば不便な個性なんだよね」

「はぁ勝ち個性じゃねえか、何言ってんだよ」

 

復活を遂げた上鳴の声が会議室に響く。

確かに概要だけ聞いていれば無敵の個性といえるだろう。

 

「でも、鳥の姿の時って僕の精神状態によるけどオーラに熱量を持ってしまうんだよね。だから緊急で街中で使うと服が燃える」

「そんな中、鳥化を解くと全裸の不審者の完成になってしまうんだ」

「服に関してはここ最近だと、自分の細胞提供によるオーダーメイドをしてくれる会社が増えたしコスチュームも僕の細胞を使用して作られてるから鳥化を解いても素っ裸になることはなくなったんだ」

「ただ、鳥化すると理由は不明だけど凄くお腹が減るんだ。オーラの燃料も解ってないけど、鳥化した時の最少食事量はラーメン100㎏に炒飯50㎏、餃子700個だったな」

「それに、鳥化してる時はオーラと肉体をコンバートしてるから物体に触ることが出来ない、これだと誰かを助けることが出来ない」

「そこで、出力調整も兼ねて部分的変化を試してみたんだけど、まぁ当時は今ほど変異も下手でシズと勝己にも迷惑かけたけどね」

「まぁ、おかげで僕には複数の属性を持ったオーラが流れていることが分かった」

「複数のオーラ」

 

常闇の目がキラリと光る、何か彼に刺さるワードでもあったのだろうか。

 

「そ、色にすると(オレンジ)(レッド)(ブルー)(バイオレット)(イエロー)(グリーン)(インディゴ)(ホワイト)、の8色」

「また、8色のオーラにはそれぞれ固有の性質がある事が分かった。橙=調和・赤=分解・青=鎮静・紫=増殖・黄=活性・緑=硬化・藍=構築・白=凍結って具合にね」

「そして、意外とロマンチストだった勝己の提案で其々の色に適した天候で区別することにした」

ぷ、あの顔でロマンチスト

「言いたいことはちゃんと言えや葡萄頭、今度はちゃんと燃やしてやるよ」

 

小声でちゃちを入れた峰田であったがしっかりと聞こえていたらしく、耳元で爆豪の爆破の音が聞こたらしくまたビビっていた。

 

「橙=大空・赤=嵐・青=雨・紫=雲・黄=晴・緑=雷・藍=霧・白=雪という感じで、ヒーローならこっちのほうがいいかなってことで採用しました」

「今回の訓練で轟君は僕らを氷漬けにして動きを封じ、爆弾を確保しようとした」

「実際、オレがあの部屋に着いた時には火埜の身動きが取れなくなっていたし、爆弾も目の前にあった」

「訓練風景をカメラで見てた皆には恐らく爆弾ではなく僕に近付く轟君が映像として見られていたと思うんだけど」

「それはこの“霧の焔”を使たんだ」

 

火埜が話を振った瞬間、火埜が立っていた場所には全盛期バリバリゴリマッチョのオールマイトが立っていた。

 

「「「はぁ!?」」」

「HAHAHAHA、さっき話した通り“霧の焔”には構築する力つまり相手に幻覚を見せる力があるんだ」

「無論、焔と表現するのだから熱量はある。しかし、鳥になっている時よりは熱量の調節や切り替えがスムーズに行えるから」

 

そう言って瞬間的に火埜の姿に戻るといつの間にか握っていた箱にオーラを流し込み、箱から出てきた鎖付きの手錠を峰田に投げつけた。

 

「んん!?」

 

右手首に付いた手錠は瞬く間に峰田を拘束する手錠の拘束具となった。

 

「変装を解いた瞬間、“雲の焔”の特性を生かした増殖手錠での拘束が可能になる」

「なるほど、訓練の時に気が付いたら拘束されてたのはそう言うことか」

「んーんーんんんー」

「そう言うことか、氷を溶かしきった後に葉隠さんに照射していた黄色の“晴の焔”は活性を特性としているから、下手したら凍傷になってたかもしれないから全身の細胞を活性化させて万全の状態にしたというわけ」

いい加減にほどけー!!

 

毎度毎度オモチャのように扱われる峰田。

しかし、拘束を解かれた後「此のヒモバージョンはないか」と思わず聞いてしまい、擁護する人間を失った。

 

「とまぁ、こんな感じ。因みにこの箱は知り合いのエンジニアさんに頼んで親父のサポートアイテムを改良してもらったモノです」

「じゃ、次。私の現状についてでーす」

 

元気よく手を挙げ、その実年齢より幼い印象を与える仕草に何人かの母性本能が働きかけた。

 

「まずは、ご覧の通り透明化のon.offが出来るようになりました」

 

そう言うとスクリーン前まで移動して、一瞬で全身を透明化し見慣れた葉隠になる。そして、また直ぐに今の見えている状態に戻った。

 

「後ね、大雑把にだけと部分的に透明化させることも出来るよ」

 

そう言って今度は頭から順に下へ透明化させていく葉隠。

 

「診てくれた先生が言うには、個性因子が別の形で発達した可能性があるんだって」

 

個性学て不思議だねという空気が流れ始めた。

 

「あ、後ねおっぱい大きくなった。2サイズも」

 

葉隠の要らん一言て峰田の目が光るが、耳郎のイヤホンジャックが突き刺さり苦痛にのたうち回っていた。

そんな耳郎も何かを閃いたような顔をしていた。

 

「葉隠さん、関係ないこと言わないのってあれ?」

 

火埜が注意をしようとした時、葉隠は女子に囲まれその自慢の胸を揉まれていた。

 

「た、確かに大きく柔らかくなっとる」

「あぁ、葉隠さんも“晴の焔”との親和性が良かったんだ」

「ケロ?てことはシズクちゃんも」

「え、緑谷の“コレ”も」

「胸が大きくてもあまり良いことなんてありませんわよ?」

「富んでる者は黙ってて!!」

 

そんな女子の混沌をそとから眺めていると会議室のドアをノックする音が響いた。

 

「また茶番か?昼になったし飯いくぞ」

 

相澤が寝起きで充血した目をそれはそれは不機嫌そうに血走らせ、いつの間にか開いていたドアに寄り掛かり立っていた。

 

「おい、翔織どこ行くきだ」

「え、向かいの食堂だけど」

 

そんな幼馴染み2人の会話を聞いた一部は、レストランが良いとか、もっと良いとこ行こうよ、と騒いでいるが真後ろにいた相澤が普段からは考えられない猛ダッシュで火埜の肩を掴むと前後に揺さぶっていた。

 

「おい、まさかコイツら連れてくのか!?」

「えー、大丈夫じゃないっすか?」

「大丈夫じゃないから言ってるんだよ」

「でも、ばっちゃんが連れてこいって言ってましたし」

「あの人は自分の価値に無頓着過ぎる」

 

普段の相澤からは考えられない狼狽え方に言葉を無くし大人しく先導されてく一同。

着いたのは町の定食屋さんという雰囲気の店だった。

定食屋としか書かれていない店構えにあからさまにテンションが下がったのが数名いた。

 

「あ、開いてる」

 

驚愕に震える相澤を無視して店の戸を開ける火埜。

 

「ばっちゃん、来たよ」

「にょほほほ、どーじょ」

「あら、この声は?」

 

八百万が何やら店主の声に反応を示したが、火埜は気にせず中へと入っていった。

 

「にょほほほ、ようこそセツノ食堂へ」

「なんだい、あんた等も姉ちゃんの店に来たのかい」

 

店内には、日本酒を嗜む雄英高校にて養護教員をしているリカバリーガール、そしてそんな彼女と同年代と思われる女性がいた。

 

「も、もしや貴女は調理院(ちょうりいん) 節乃(せつの)様では?」

「おや、若いのにあたしゃのことを知っとるなんて珍しい子じゃの」

「火埜さん、いったいどんな人間関係をお持ちなんですの!?」

 

驚愕に顔を強張らせる八百万、そんな八百万の反応に興味を示さず調理を続ける女性。

 

「ねぇねぇ、ヤオモモ。このおばあちゃん誰?」

 

芦戸の質問に別種の驚愕の表情を浮かべる八百万。

 

「ご存じないのですか、女性で初めてかの五ツ星ホテル“邸刻(ていこく)ホテル”の料理全てを40年に渡り取り仕切り、メシアガレンガイドでも20年に渡り五ツ星を守り続けた伝説の料理人。料理会の人間国宝“調理院 節乃”様ですわ」

「にょほほほ、セツノンて呼んどくれ」

「相変わらず仰々しい肩書きだね姉ちゃん」

「そう言う人だから、捜索で懸賞金が懸かった時期もあってね。ここで御飯食べるためには秘密厳守契約書にサインして貰うよ」

「因みに破ったら」

「あたしゃが引っ越すだけだじょ」

「誰にも引っ越し先知らせずにね」

「解ったらさっさとサインしろ」

「先生キャラ違いすぎ」

 

そんなどたばたの末。

 

「「「「いただきまーす」」」」

「どうじょ、召し上がれ」

 

皆が思い思いにおかずや米、味噌汁を口に含む。

 

「「「「う、旨ーーーーーーーーーー!!」」」」

「なんじゃ、これ!!」

「こ、米だけで飯が進む!!」

「お味噌汁美味しい、落ち着くぅ」

「漬物がダメだ、手が止まらねぇ!!」

「おかずにたどり着けない」

 

生徒が騒がしくて気が付かれていないが、相澤も黙々と丼に盛られた白米を鮭の塩焼きと共に消費していた。

 

「ウチは御飯とお味噌汁、漬物もお代わり自由じゃよ」

「「「「おかわりーーーーーー!!」」」」

 

こうして第一回目の反省会は幕を閉じた。




調理院 節乃(ちょうりいん せつの)
火埜の食育担当兼料理の先生兼おばあちゃんポジ。
作中にある通りの経歴で、堅苦しい客にばかり料理を作るのがイヤになり自分の店を持った。
無個性だが、味・量・種類・提供速度はランチラッシュも白旗挙げる。
現在の店舗では単品・麺類を頼むと自動で定食化している。
雄英教師陣にとっても憩いの場。
リカバリーガールとは実の姉妹ではなく、近所に住んでいるお姉ちゃんという間柄。

元ネタ
作品名:トリコ
キャラ:節乃

各自注文料理
芦戸→納豆とオクラとめかぶのサラダ
   (御飯とお味噌汁、漬物サービス)
蛙吹→水餃子(御飯とお味噌汁、漬物サービス)
飯田→ビーフシチュー(御飯とお味噌汁、漬物サービス)
麗日→本日のお勧め定食(アジフライ)
尾白→肉野菜炒め定食
上鳴→目玉焼きハンバーグ定食
切島→焼肉定食
口田→きつねうどん(御飯とお味噌汁、漬物サービス)
砂藤→オムレツ定食
障子→海鮮お好み焼き(御飯とお味噌汁、漬物サービス)
耳郎→海老フライ定食
瀬呂→小魚南蛮定食(御飯は五穀米に変更)
常闇→唐揚げ定食(ダークシャードーはリンゴ4つ)
轟 →蕎麦御膳
葉隠→鮭の西京焼き定食
爆豪→麻婆豆腐定食(爆豪仕様)
火埜→チキン南蛮定食
緑谷→カツ煮定食
峰田→上刺身定食
八百万→本日のデカ盛り(完食)
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