【うたわれるもの】 Re:マシロ様は過去のトゥスクルに飛ばされた様です   作:黒鉄ナオト

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09 エルルゥとトゥスクルさん

***

 

『「マシロか。 随分と変わった名前だな。」

 

「あんたほどじゃないさ、 ハクオロ。」

 

「ハクオロさん! オボロさんも! ここいらしたんですね……!」

 

息を切らしながらマシロ自身見覚えがある人物が家に入ってきた。

 

「なっ、エルルゥ殿……!?」

 

「え? なんで、私のこと知っているんですか……?」

 

しまった、とマシロは思った。 そう、この頃のエルルゥはマシロ、いや、ハクの事を知らない。 エルルゥがハク達と出会うのは今から数十年後だ。 だからこの頃はまだ会ってないのだ。

 

「エルルゥまで知っているのか、 相当の変わり者だな。」

 

「いや、呑気に話してる場合じゃないだろ! おい、マシロ! 何でお前はエルルゥのことを知っているんだ!?」

 

それは未来での知り合い。なんて言えるか!!

 

さて、どう誤魔化すか……

 

…… ええい、なるになれだ!

 

「……某は一時期ヤマトに居たことがあってな、 そこで、辺境の村に住んでいるのに、かなり腕が立つ薬師がいると聞いてな。 」

 

我ながら何ともまぁ苦しい言い訳だと思う。

 

この頃の自分はまだヤマトの遺跡でコールド・スリープ中。誰にもまだ発見されていないのだ。

 

「……もしかして、おばあちゃんのお話ですか?」

 

「そ、そうそう。 そうなんだよ、彼女が若い頃に……」

 

「(いや、待て。 そもそも、その頃にヤマトは有ったのか……? というか、エルルゥ殿のおばあちゃんって誰だ!? 今更だが!)」

 

マシロは自身の発言の矛盾に汗を流しながらも、話を続けた。

 

「マシロ?」

 

「若い頃に、話を聞かせて貰ったんだよ。 近々、息子に娘が生まれるって、その子の名前をエルルゥにしようって。」

 

「では、マシロ殿はトゥスクルさんの友人ということか。 成る程、ならばこの家に来るかも納得がいくな。」

 

「どういうことだ?」

 

「ここは、かつてはトゥスクルさんの家だったんだ。 私もここでご飯を食べたり、怪我を診てもらっていたんだ。」

 

「そ、そうなのか。」

 

「(初代トゥスクル皇の恩人ということなんだな、 ……でも、そうなると、 何故そのような凄い御仁が自分達の時代まで生きていないのだ? ……まぁ、歳で逝っちまったならしょうがないけどな。 ……でも、少なくとも、トゥスクルの城で暮らしてるんじゃないのか?)」

 

マシロがそう思っていると、 ハクオロは少し悩んだのち、ある言葉を発した。

 

「そして、マシロ殿。 私は貴殿に伝えなければいけない事がある。」

 

「何だよ? 改まって……」

 

「…………トゥスクルさんなのだが」

 

「おう。」

 

「……トゥスクルさんは、死んだ。」

 

「……は?」

 

告げられた言葉に、マシロは言葉を失った。 たしかに、自分達の生きている時代には既に死んでてもおかしくない。 おばあちゃんと呼ばれているのだ。 相当のご高齢なのだろうから。

 

だが、こんなに早く亡くなっているとは思っていなかった。

 

では、この手の話題は。

 

「……エルルゥ殿、これは大変失礼した。 ……心にもない事いい、申し訳ない。」

 

「え!? あ、いえいえ! 良いんです! まだ、おばあちゃんを思い出して辛い時もありますけど…… 今はアルルゥやハクオロさんが一緒に居てくれてます…… だから、大丈夫ですよ、マシロさん。」

 

「……強い女性なのだな、エルルゥ殿は。」

 

「そうでもないですよ、私は……」

 

「いや、身内の死を簡単に乗り越えられるものはいない。必ず何処かで立ち止まり、何も考えられなくなるほどに泣きたくなるだろうに、 エルルゥ殿は耐えて、 それを乗り越えた。 歩む足を止めなかった。 だから、貴女は強い女性だと思ったんだ。 ……身内が死ぬのが一番堪えるからな……」

 

兄貴を失ったあの時の喪失は……今でも忘れない。

 

「マシロさんも誰か身内が亡くなってしまったのですか…?」

 

「……兄を。」

 

「お兄さんを……」

 

「マシロ殿はそれをどう乗り越えたんだ?」

 

「ん?」

 

「マシロ殿はどう、それを乗り越えたんだ?」

 

ハクオロの急な問いに困惑したが、答えはすぐに出た。

 

「仲間が居たから、乗り越えることが出来たんだ。」

 

「……」

 

マシロは話を続ける

 

「某は兄を失った時は、それは動揺はしたが、某の周りには仲間が居た。 仲間が周りにいたから乗り越えられたんだ。 悲しんでる暇はない。 兄に託されたことを継ぐための努力をしようとしていたら、いつの間にか乗り越えてた。……そんだけさ」

 

「……私も同じです。 私の周りにはアルルゥが居て、ハクオロさんが居て、オボロさんや皆さん。沢山の人達が居たから、乗り越えれたんです。」

 

エルルゥは満面の笑みでマシロの方を向いたのだった。

キャラのセリフは台本式か名前なしどっちがいい?

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