【うたわれるもの】 Re:マシロ様は過去のトゥスクルに飛ばされた様です 作:黒鉄ナオト
***
『「マシロか。 随分と変わった名前だな。」
「あんたほどじゃないさ、 ハクオロ。」
「ハクオロさん! オボロさんも! ここいらしたんですね……!」
息を切らしながらマシロ自身見覚えがある人物が家に入ってきた。
「なっ、エルルゥ殿……!?」
「え? なんで、私のこと知っているんですか……?」
しまった、とマシロは思った。 そう、この頃のエルルゥはマシロ、いや、ハクの事を知らない。 エルルゥがハク達と出会うのは今から数十年後だ。 だからこの頃はまだ会ってないのだ。
「エルルゥまで知っているのか、 相当の変わり者だな。」
「いや、呑気に話してる場合じゃないだろ! おい、マシロ! 何でお前はエルルゥのことを知っているんだ!?」
それは未来での知り合い。なんて言えるか!!
さて、どう誤魔化すか……
…… ええい、なるになれだ!
「……某は一時期ヤマトに居たことがあってな、 そこで、辺境の村に住んでいるのに、かなり腕が立つ薬師がいると聞いてな。 」
我ながら何ともまぁ苦しい言い訳だと思う。
この頃の自分はまだヤマトの遺跡でコールド・スリープ中。誰にもまだ発見されていないのだ。
「……もしかして、おばあちゃんのお話ですか?」
「そ、そうそう。 そうなんだよ、彼女が若い頃に……」
「(いや、待て。 そもそも、その頃にヤマトは有ったのか……? というか、エルルゥ殿のおばあちゃんって誰だ!? 今更だが!)」
マシロは自身の発言の矛盾に汗を流しながらも、話を続けた。
「マシロ?」
「若い頃に、話を聞かせて貰ったんだよ。 近々、息子に娘が生まれるって、その子の名前をエルルゥにしようって。」
「では、マシロ殿はトゥスクルさんの友人ということか。 成る程、ならばこの家に来るかも納得がいくな。」
「どういうことだ?」
「ここは、かつてはトゥスクルさんの家だったんだ。 私もここでご飯を食べたり、怪我を診てもらっていたんだ。」
「そ、そうなのか。」
「(初代トゥスクル皇の恩人ということなんだな、 ……でも、そうなると、 何故そのような凄い御仁が自分達の時代まで生きていないのだ? ……まぁ、歳で逝っちまったならしょうがないけどな。 ……でも、少なくとも、トゥスクルの城で暮らしてるんじゃないのか?)」
マシロがそう思っていると、 ハクオロは少し悩んだのち、ある言葉を発した。
「そして、マシロ殿。 私は貴殿に伝えなければいけない事がある。」
「何だよ? 改まって……」
「…………トゥスクルさんなのだが」
「おう。」
「……トゥスクルさんは、死んだ。」
「……は?」
告げられた言葉に、マシロは言葉を失った。 たしかに、自分達の生きている時代には既に死んでてもおかしくない。 おばあちゃんと呼ばれているのだ。 相当のご高齢なのだろうから。
だが、こんなに早く亡くなっているとは思っていなかった。
では、この手の話題は。
「……エルルゥ殿、これは大変失礼した。 ……心にもない事いい、申し訳ない。」
「え!? あ、いえいえ! 良いんです! まだ、おばあちゃんを思い出して辛い時もありますけど…… 今はアルルゥやハクオロさんが一緒に居てくれてます…… だから、大丈夫ですよ、マシロさん。」
「……強い女性なのだな、エルルゥ殿は。」
「そうでもないですよ、私は……」
「いや、身内の死を簡単に乗り越えられるものはいない。必ず何処かで立ち止まり、何も考えられなくなるほどに泣きたくなるだろうに、 エルルゥ殿は耐えて、 それを乗り越えた。 歩む足を止めなかった。 だから、貴女は強い女性だと思ったんだ。 ……身内が死ぬのが一番堪えるからな……」
兄貴を失ったあの時の喪失は……今でも忘れない。
「マシロさんも誰か身内が亡くなってしまったのですか…?」
「……兄を。」
「お兄さんを……」
「マシロ殿はそれをどう乗り越えたんだ?」
「ん?」
「マシロ殿はどう、それを乗り越えたんだ?」
ハクオロの急な問いに困惑したが、答えはすぐに出た。
「仲間が居たから、乗り越えることが出来たんだ。」
「……」
マシロは話を続ける
「某は兄を失った時は、それは動揺はしたが、某の周りには仲間が居た。 仲間が周りにいたから乗り越えられたんだ。 悲しんでる暇はない。 兄に託されたことを継ぐための努力をしようとしていたら、いつの間にか乗り越えてた。……そんだけさ」
「……私も同じです。 私の周りにはアルルゥが居て、ハクオロさんが居て、オボロさんや皆さん。沢山の人達が居たから、乗り越えれたんです。」
エルルゥは満面の笑みでマシロの方を向いたのだった。
キャラのセリフは台本式か名前なしどっちがいい?
-
台本式
-
名前なし