【うたわれるもの】 Re:マシロ様は過去のトゥスクルに飛ばされた様です 作:黒鉄ナオト
翌朝……
トゥスクルの玉座の間にはトゥスクルの主力ともいえる人物が勢揃いしていた。 皆、聖上に呼ばれたことで、余程の事だと察したようだ。
ハクオロはまだ玉座に居ない。その事で更に兵達の内面をざわつかせる
「……兄者のやつ、遅いんじゃないか?」
オボロがそう言う。 その言葉にクロウが反応する。
「まぁ、総大将なんで、色々考えているんじゃねえのか? 俺達をここに集めたんだ、 余程の事だろうな。」
「それに、早朝に呼び出すのですから、 何かあるのは確実でしょう。」
ベナウィもそういう。
皆、一体どの要件で呼び出されたのかが一番気になっている。 先日あったヤマユラの村襲撃に対する報復なのか、 それともクッチャ・ケッチャと戦をするのか、 それとも、守りに徹するのか。
各々が様々なことを考え、思っている。 それの答え合わせをしたいのもあり、 我らが帝、 ハクオロの到着を待っているのだった。
ガラガラ——
玉座の間の扉が開かれる。
「ようやく来たか…… 遅いぞ、兄者! 何をして……」
「……お邪魔しました」
「「「いやいや待て待て!!」」」
そこに現れたのはハクオロではなく、 先日、賓客として迎え入れたマシロだった。
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マシロは今、物凄く、ここの扉を開けたことを後悔している。 何故って? ハクオロと誤解された挙句に、玉座の間で正座をさせられている。 理不尽だ……
「……それで、なんで、あんたがここに来たんだ? 兄者に呼ばれたのか?」
「いいや、 自分は呼ばれていない。」
「では、尚のこと、城内を歩いていておられたのですか? マシロ殿?」
「(うわぁ、怒っている。すごく怒っている! え? これ自分が悪いのか? 朝起きたら誰も居なくて、 朝飯を求めて彷徨っていて、丁度でかい扉があったからここが食堂かと思ったら、まさかの玉座の間という…… いや、 自分も扉をノックせず、 入ったのも悪いけど!)」
「何もやましい事はない。 ただ…… ……朝飯を探していたんだ。 今朝起きたら誰も居なかったもんでな……」
「「「………」」」
全員、此処にいるメンバーは一気に固まる。 マシロがここに居るのは自分達のせいだと。
「……誰か、マシロ殿の飯を作ってたからいけよ……」
「いや、俺も誰か作ってくれてるとばっか思ってて……」
「というか、賓客殿にそんな扱いした俺達ってかなりまずいんじゃないのか?」
兵達がざわめき始める。
……まぁ、そうだろうな。 主人の客人なのに、丁重に扱わなかったのだから、客人にかなり無礼を働いていることになる。 兵士が客人に無礼を働く事は主人の顔に泥を塗ることになるので、 主人の世間体を落とすことに繋がるのだ。
ちなみに自分はオシュトルを演じている時にネコネから教わった。 だが、自分達の頃は賓客という賓客はあまり来なかったので、そういう事態は起こらなかったが……
「……それで、これは一体どういう集まりなんだ……?」
「……部外者のお前には関係ない!」
「オボロ、口を慎みなさい。 」
「ベナウィ!」
「彼は聖上のお客人です。 雑に扱うことは聖上の失礼にあたります。 どうか、お納めを。」
ベナウィがオボロに対して注意をする。 オボロは納得はしていないみたいだが、 自分の口を閉じた。
「……早朝に聖上から呼び出されたのですよ、我々は。」
「早朝に? ……ここは朝一に起きなきゃいけないとかあるのか?」
「そんなの聞いた事ありませんわ。」
今まで口を開いていなかったギリヤギナの女性、カルラが口を開いた。
「少なくとも私があのお方にお仕えを始めてからはそんな事はなかったわよ。 私は最初から居たわけではないので、 私の想像が正しいかは証明できないので。」
「成る程…… ……こんな朝早くにトゥスクルの兵士やオボロ達を集める…… ……まるで、戦に行くみたいだな。」
「……お前もそう思うのか?」
マシロの答えに対して、オボロが説明をする。
「自分もかつては総大将を任されていた時期もあったのでな、 こういう張り付いた空気の意味は分かるつもりだ。」
「……総大将ですか。」
「(嘘は言ってないぞ! ただ言えないだけで!)」
ならダメだろうってツッコミが飛んできそうだが、 それは知らないとマシロはシラを切る方向に行くことにした。
ぎいぃ…
玉座の方の扉が開く、 その出方をトゥスクルの陣営は知っていたみたいで、 大急ぎで、整列を始めだした。
「……皆、揃っているな?」
マシロの正面には、出会った時とは違う目をしたハクオロが目の前に居た。 まるで、何かを覚悟をした顔を……
**
ハクオロが玉座に座ると、話を始めた。
「これより、我々はクッチャ・ケッチャに戦をしに行く。 仕掛けてきたのは彼方だ。 つまり、我々は報復の侵攻を始めるということだ。」
兵士がざわめき始める。
「皆、何故クッチャ・ケッチャと戦をするのかと、理由は簡単だ。 ——アイツらは私の逆鱗に触れた。 それだけだ。」
「今回は未然に防げたから良かっただけに過ぎない。 今後侵攻がされないとも限らない。 ならば」
「やられるより先にやるってか?」
黙って聞いていたマシロが口を開いた。
「……報復というのはそういうものだ。」
「また手が出されたからでは遅いのだ。 」
ハクオロがそう吐露する。
そう、失ってからでは遅いのだ。 だから——
「なら、守りを固めれば良いだろ? 今回は不意打ちだった。 なら、
今度は責められないように守りを固めればいい。 そっちの戦力の一人や二人をテオロ殿達の村に配属すれば良いだろう? そうすれば、 今回の事態は避けられると思うぞ。」
「……」
「それに、戦なんて。あまり軽々しくするもんじゃないぞ。 賓客の自分がいうのはなんだがな?」
「戦をすれば人が死ぬ。 戦の準備をすれば、準備の度に民の飯が減る。 確かに、懲りずに何回も責めてくる奴もいるだろうな。 」
「けど、……守ってやれば良いんじゃないのか? そんなに急いで戦の準備しなくても良いだろうに。」
「……」
押し黙るハクオロ。
マシロが言っていることも確かな事である。
戦をすればした分、皆が損をする事に。
しかし、だがしかし、 また、自分の目が届かない範囲で仲間が、大切な人が、知人が、殺されたとなると、自分を許せない。許せなくなってしまう。
だから……
「その守ってやるというのにも限界がある。 ある日突然先日のような出来事が起こるかもしれない。 なら、悪意あるものを……」
「だから、その悪意からお前らで守ってやれば良い話だろうが! 争いはまたその争いを生むだけだ。 報復したものが、次に報復される側になる、 お前は、敵国の兵士一人一人に構っていられるのか。 土台無理な話だろう? なら、争わずに守る事に徹した方が」
「それこそ、侵略者の思う壺だ。 守りのみに準じた國が長く残った事はない! どんな聖人君子でも、一度は戦わなければいけないのだ……!」
この言い合いは平行線。 どちらも譲らない事だと、周りはすぐに分かった。 お互いにそれぞれの信念を持って、この場で話しているのだと。
マシロは、國のダメージや民の事、周りをよく見ている。
ハクオロは、身内を、内部のみの人間を護ろうという気質がある、 無論、本人はそんな気はないのだろうが、 いかんせん、行動がそれを表しているのだ……
しかし、ハクオロも、それは信念を持って言っている言葉だとわかる、故に誰も止められない。 止めるべき場所を見失っているのだ。
そんな口論が続くのかと思いきゃ、
バン!!
扉から大きな音が放たれて開閉した。 そこには、長い髪を束ねた女性剣士がその場に居た。
「と、突然の無礼、しつ、れいする。 某は、クッチャ・ケッチャに雇われて、かの者にお使えしていたエヴェンクルガです、名を、《トウカ》、と申します。 ……ハクオロ殿、とお見受け……」
トウカ、と名乗った女性は、何かを言いかける前に倒れてしまった……
キャラのセリフは台本式か名前なしどっちがいい?
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台本式
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名前なし