【うたわれるもの】 Re:マシロ様は過去のトゥスクルに飛ばされた様です   作:黒鉄ナオト

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15 兵士の恨み、 敵兵処遇

 

「さぁ、トゥスクルの皇、ハクオロよ! 自分のこの判断をどう受け取るか、自分に任してくれるのかの返答を貰いたい!」

 

決定権はハクオロに投げるマシロ。

 

この場に置いて、自分は一番立場が低い事を理解している為の行動である。

 

「……」

 

マシロがハクオロの方に視線を向けると、ハクオロは目を瞑っていた。 なにやら考えているようだ。 自分が投げた選択を悩んでいるのだろう。 賓客である自分に任せるか、兵の怒りを優先し、目の前の傷だらけの女(兵士)を殺すのかを……

 

「(頼むぞ…… ハクオロ……! 血迷って、トウカを殺すとか言わないでくれよ……!!)」

 

「ハクオロさん。 ……どうするのですか?」

 

「エルルゥ。 ……そうだな、 ……いや、答えは既に決めている。 しかし、兵達が納得するか……」

 

「総大将。」

 

「クロウ?」

 

「もし、兵達が文句を言ったら、俺達が黙らせるっス。

だから、総大将は自分の考えをきちんと。あの小僧に言ってやれば良いんスよ。」

 

「クロウ…… ……分かった。」

 

「聞け! 兵士達よ!」

 

不安な表情で狼狽えていた兵士達がハクオロの声で正気を取り戻し、ハクオロの方に向く。 まだ完全に疑心が治まった訳ではないが、 自らの主人の言葉を聞かぬとなれば、武士の恥、 と理解しているようだ。

 

「この者についての処遇について話す! 心して聞くがよい! 我が祖國を侵攻し、民を傷つけ、亡き者にしたこの大罪人については」

 

ハクオロは自身の懐に入れて置いた鉄扇を抜き放ち、マシロに向ける。

 

「マシロよ! 其方に全てを一任する!!」

 

***

 

「……なん、だって……?」

 

兵士の一人が声色を震わせながら声を上げた。

 

「な、何故。 何故! その者を極刑に処さないのですか! 聖上!!」

 

「……」

 

「聖上! 貴方も知っている筈です! この者の仲間はあの村の者達を亡き者にしようとしたんですよ! あんな、暖かくて、優しい人達を! こいつらは奪ったんだ!!」

 

一兵士による怒りの叫び。 その言葉の節々には彼が本当にヤマユラの人々を愛していた事が伝わってくる。 それを無慈悲に、理不尽に奪われた事がこの兵士は許さないのだろう。

 

「勘違いするな。」

 

「へ……?」

 

「私は何も彼女を仲間にしようとは思っていない。 あくまで敵國…… 我が国に侵攻したクッチャ・ケッチャの情報を引き出す為だ。 無策で突っ込む事は出来ぬからな。」

 

「……」

 

「納得、いかないか?」

 

「……当然です。」

 

「其方、名前は?」

 

「え? ……ゼライです。」

 

怒りに声を上げていた兵士…… ゼライの瞳をしっかりと見た。

 

「ゼライよ。 其方の気持ちは分かる。 その怒りはごもっともだ。 しかし、勘違いをするな。 我らが倒すべき者はクッチャ・ケッチャの(オゥルオ)。 ただ一人だ。 その命に従った兵には何も罪はない!」

 

「ぐっ……」

 

「……しかし、これは失わなかった者発言とも言えるであろう。」

 

「え?」

 

ハクオロの言葉を聞いて疑問に思うゼライ。 一体、どういう意味なのか、失わなかった者の発言とは……?

 

「ヤマユラの住人は私を受け入れてくれた。 マシロ殿が助太刀をしてくれなかったらもっと犠牲は出ていただろう。そのせいで、おやっさん…… テオロ殿達を失っていたかもしれない。」

 

「もし、そうなった時…… 私は其方と同じ考えに至るだろう。 相手は許せない。 こんな仕打ちを許せるものかと……!」

 

「……」

 

「許せない気持ちを抑えろ、 ……とは言わない。 私とて、ヤマユラを卑劣にも襲ったクッチャ・ケッチャは許してはおけない。 この者から情報を聞き次第。 我等はクッチャ・ケッチャに攻める! ヤマユラの村で犠牲になった人達の贖罪を、この戦に賭けよ。 良いな?」

 

「……御心のままに。」

 

ゼライは納得こそしてはいなかったが、ハクオロの言葉に何かを感じた様だった。

 

***

 

「それではマシロ。 頼むぞ。」

 

「あぁ、任せられた。 きっちり敵國の情報を引き出してくるさ」

 

エヴェンクルガの女性は女官達に運ばれていき、マシロはそれに着いていく形になった。

 

「(……だが、 結局は戦になるのか…… ……しょうがない、といえばしょうがないのだろうな…… あのゼライって兵士の恨みは相当だ。 兄貴を憎んでいたウォシスと同じ感じがした。 ……しかし、この戦…… なぜだ? 胸騒ぎがする…… まるで、かつての帝都奪還の時に感じていた気配と……)」

 

女官に運んでいる道を着いていくマシロ。 当のマシロは今回の事について更に深く考え込んでいた。 自分は戦のデメリットをハクオロ達に説いたつもりだったと。

 

しかし、それだけでは納得しない者が居たのだ。 その者の恨みを晴らす為に、自分達のお膝元を狙うとどうなるのかの見せしめも兼ねているのだろうと、感じた。

 

「……殿」

 

「(しかし、そう考えると、益々、トウカの行動が謎だ。 何故昨日攻めた國に救援を求めるんだ……? 幾らなんでもそれは無謀だ。 恨みを持っている者達の場所に行くなんて、正気の沙汰じゃない。 自分なら敵國じゃなく、周辺諸国や様々な所に隠れつつ状況を測る。 何か策がないかを考えながら……)」

 

「マシロ殿!」

 

「うぉっ!? ……にょ、女官殿か、どうした?」

 

「彼の者をお運び致しました。 もうすぐでエルルゥ様がいらっしゃいますので、 それまで此方に待機をお願いしてもよろしいでしょうか?」

 

「承知した。 エルルゥ殿に宜しく頼むと、伝えて欲しい。」

 

「かしこまりました。 それでは。」

 

女官はマシロにお辞儀をするとそさくさと戻っていった。 恐らくエルルゥを呼びに行ったのであろう。

 

「……」

 

女官に通された部屋に入るマシロ。 場所的に言えば自分が自室として使っている部屋と遜色はなかった。 窓際に寝床があり、 今は陽が沈んで、夕焼けを覗かせていた。

 

「……そうか、もうすぐで一日が終わるのか。 ……そう考えるなら、丸々一日話し込んでいた事になる訳だ。 ……ふぁああ、何か眠たくなってきたな。 ……よし、どうせエルルゥ殿が来るまで、暇なんだ! ……寝るか」

 

そういうと、マシロは刀を腰から抜き、 壁に寄りかかる格好で寝に入る。 その数秒後にはいびきが響き渡ったとされている。




キャラ設定。

マシロ(ハク) cv. 利根健太郎

武器 肩身の刀

二代目大神ウィツァルネミテアにして、惚れた女にたまに会いに行く『不安定な神様』。

『偽り』『二人の白皇』で主人公を担当した。

神パワーを手に入れて同胞達に安らぎをもたらす仕事を担っていたが、 変わったタタリを浄化し、久方ぶりにクオン達が居るヤマトは向かおうとしたが、 何かしらの事故で、 クオン達が生まれる前の時代。 まだ戦乱があったトゥスクルに降り立つ事になった。

過去に来た影響か、 ハクオロから受け継ぎし、白き仮面と鉄扇は消失し、現在マシロの手元にはない。 しかし、親友より受け継いだ刀は健在で、今は此方を愛用している。

成り行きでピンチになったテオロ達を救い、 成り行きでトゥスクルに滞在する事になった。 しかし、マシロ(ハク)が目撃するのは、自分が知っている歴史とは全く違うもので……?

ウィツァルネミテアの力の喪失や、この歴史で起こる事にマシロ(ハク)は巻き込まれていく…


はい、本作のハクです。

ウィツァルネミテアとしての力は失っていますが、オシュトルとして鍛え上げられた体と、仮面(アクルカ)で上げられた身体能力は健在の為、 亜人(デコイ)と斬り合っても達人じゃなきゃ即勝てるレベルではあります!

キャラのセリフは台本式か名前なしどっちがいい?

  • 台本式
  • 名前なし
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