【うたわれるもの】 Re:マシロ様は過去のトゥスクルに飛ばされた様です   作:黒鉄ナオト

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02 〜 駆けつけたら大変な場面でした 〜

泣き叫ぶ人の声、逃げ惑う人々たち、上がる悲鳴。

 

「逃すな! ラクシャインに加担した者共だ! 加担したからには女も子供同罪だ! 遠慮は要らん!殲滅せよ!」

 

うおおお!!

 

その男の声で、兵達の指揮が上がっていく。 兵達が村を一回一回駆け回る度、 人々が斬られていく。 しかし、斬られた者達に苦しみはない。 武士の情けか。 殺す時は一撃で仕留めているのだ。

 

「くそっ…… なんだって、アンちゃんが居ねぇ時に攻めて来やがったんだ……!!」

 

ちょび髭と逞しい筋肉を持った男性が民家に隠れつつ、文句を垂れる。

 

「一度は兵士としてアンちゃんと一緒に戦ったが…… あいつらは戦にに慣れていやがる…… 一度や2度しか戦ったことがない俺たちじゃあ叶わねぇ……」

 

男は悔しがる。 腕っ節には自信があったが、 周りが、目の前にある光景が、悔しがる証拠なのだから。

 

「殺せ! 殺せぇぇえ!!」

 

「ラクシャインに死を!」

 

「それに与した者共には死という名の罰を与えよ!」

 

「皆殺しにしろ!」

 

「オリカカン皇万歳!」

 

 

嬉々として人を殺していく姿。 《ラクシャイン》という聞いたこともない名前が呼ばれながら村が壊滅していく。

 

「アンタ……どうするんだい?」

 

「かあちゃん…… ……しょうがねぇ、一か八か。 アンちゃんに知らせて、助っ人に来てもらうんだ。 こればっかしはもう俺達の手どうにかできる問題じゃねぇ。 」

 

「でも、どうするんだい。あいつらは隈なく村を駆け回ってる。 あたし達がいつ斬られてもおかしくないんだよ?」

 

「それでもだ。ここで俺達が全員殺されたらアンちゃん達にも被害が出る。 ここを占拠されたら大変なことになる。 分かるだろ? 俺達でアンちゃんにこれを知らせるんだ。 最悪全滅しても、 一人。一人だけ生かせれば良いんだ。」

 

「テオロさん……」

 

年老いた男がテオロの名を呼ぶ。 なぜ、敵わないと分かっているのに、諦めないのか、と。 何故、彼の瞳はまだ絶に染まっていないのか。

 

「諦めるな。 俺達はケナシコウルペでの戦でも生き残ったんだ。 今回も生き残れる! 絶望すんじゃねぇぞ。お前ら!」

 

「……わかったよ。 テオロさん。」

 

「アンタの指示に従うよ。 ここを切り抜けて、ハクオロさんにこの事を伝えるんだ!」

 

「俺達ヤマユラ村の意地を見せるんだ!」

 

「ったく。どうして、うちの男どもは血の気が多いんだい。 ……まぁ、それがアンタを惚れさせたんだけどね。」

 

太った男。 若い男、年老いた男。彼らもテオロに勇気づけられる。ハクオロに知らせようのと、この中の誰でも良い。一人でもハクオロの居る城に辿り着けれたら——

 

テオロ達の、勝ちだ。

 

「やめッ! やめぇー!」

 

「!?」

 

ヤマユラの虐殺の指揮を指示していた人物がいきなり虐殺を止めた。

 

「どうしましたか、 ケャアルラ隊長。」

 

「もう良い、ある程度は掃討した。 我らの皇もこれで満足するだろう。」

 

その言葉を聞いていたテオロ達は驚いた。 見つかってはいないが、自分達は確かに居るのに。

 

「待ちな、大将。 我らの皇、オリカカン皇はこの村の殲滅だ。 万が一の可能性を残しちゃいけねぇ。 家屋を焼き、食料を奪う! 女は陵辱する! これが勝者に与えられた権利だろ! なぁ!お前らもそう思うだろ!?」

 

ケャアルラの言葉に意を唱えた男がそう言うと一部の兵士たちがそれに呼応する。

 

「……クズが、武士の風上にも置けぬやつよ……」

 

「どうしますか。」

 

「ジェフルの言うとおりだ。従うのは業腹だが、オリカカン皇の脅威になるかもしれないものを残しておくわけにはいかない! 全軍に告げる! 人っ子一人逃すな! 必ず探し出し、殺せ!」

 

おお!!

 

ケャアルラの号令で兵士達はまたヤマユラの村を駆け回り始めた。 今度は確実に村人達を殺す為に。

 

「……お、おかぁさんを……」

 

その時、一人、兵士に近づいていた事は誰も知らなかった。

 

**

 

「お母さんの仇を!おおおお!」

 

一人の少年が声を荒上げながら、一人の兵士に突っ込んでいく。

 

「がはっ……!?」

 

兵士は完全に油断していたこともあり、 少年の手に握られていた鋭利な物に気付けず、そのまま兵士の心臓に深く突き刺さった。 何をやってももう助けられない。 致命傷というやつだ。

 

「この、クソガキ!」

 

「五月蝿い! お前達みたいな人殺しは、俺が成敗してやる! 一人残らず殺してやる!」

 

「ふざけるなよ、クソガキが!」

 

仲間を殺された怒りで、子供に蹴りを入れる兵士。 大人の本気の蹴りを喰らえば、子供の小さな躰はぐちゃぐちゃになる。

 

「がはっ……」

 

「ふざけるなよ、ふざけるな…… こいつはなぁ、 こいつは、故郷で嫁さんが居るんだぞ……! 子供も最近出来たばっかりと言っていた! なのに、なのに……! ふざけるな! クソガキぃぃ!」

 

子供に向かって振り下ろされる凶刃の刃。

 

空中に鮮血が舞うのは時間がかからなかった。

 

ゴトッ

 

「……は?」

 

「……待たれよ。」

 

鮮血に舞ったのは子供に獲物を振り下ろそうとした男の首であった。 切られた首は行き場を失い、コロコロと転がっていき、 止まったところで赤い水溜りを作った。

 

「……子供に向けるものにしてはいささか危なすぎるのではないかね?」

 

「……アン……ちゃん?」

 

「ハクオロさん……?」

 

「ハクオロさんが来てくれたんだ!」

 

後ろ姿を見た村人は、そう思う。しかし、彼はハクオロではなかった。

 

「……自分はトゥスクル始祖皇じゃないぞ?」

 

そこに居たのは、 ハクオロと同じ髪型をした青年であった……

キャラのセリフは台本式か名前なしどっちがいい?

  • 台本式
  • 名前なし
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