【うたわれるもの】 Re:マシロ様は過去のトゥスクルに飛ばされた様です   作:黒鉄ナオト

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03 〜 マシロ様の無双劇 〜

男は振り向きながらそう言った。

 

テオロ含む、ヤマユラの住人は困惑した。 それは、目の前の男が、ハクオロと似ている。本人ではないのかと疑いたくなるが、男はハクオロが身につけていた変な仮面やトゥスクルさんから受け継いだ鉄扇も持っていないようだった。

 

「……アンちゃん、じゃないのか?」

 

テオロは再度確認する。 本当にアンちゃんではないのか、本当に赤の他人なのかを。

 

「ハクオロの事言っているなら違うな、 自分は…… ……そうだな、マシロって呼んでくれ。」

 

「マシロ……?」

 

「訳あって本当の名前は言えないんだ。 それに、目の前にいる敵を倒さなきゃいけないんでな。」

 

ハク改めてマシロはテオロ達を守るように、親友の愛刀を手に立ち塞がる。

 

「こんな場面、見ちまったら助けるしかないだろ? 目の前で死なれるのは中々に堪えるからな。」

 

マシロは少し、哀しそうな目をしながらそう言う。 まるで、一度経験したことがあるかのように。

 

「さて、ここは自分が引き受けるから、早く行きな。ここにいる奴は全員自分が足止めをしておく。」

 

マシロの雰囲気は、安心させてくれた。 この男は何がなんでも約束を守ってくれる人だということを。

 

「……すまねぇ、必ずアンちゃん達を連れて戻ってくるからな!」

 

テオロはそう言い残すと、ヤマユラの生き残りを連れて、その場を離脱した。 マシロは思った。 ここで数時間自分が持たせれば良いと。 ここから先誰も通さなければ、自分の勝ちだと。確信していた。

 

「……ハッ、たかが一人で俺たち、クッチャ・ケッチャの精鋭兵士を止められると思っているのか! 行け!野郎ども! (ウォプタル)で轢き殺せ!」

 

「待て! ジェフル! 兵士を今すぐ戻せッ!」

 

「ケャアルラ! テメェはビビリ過ぎなんだよ! あんなヒトもどき、オレ達束になって掛かれば……」

 

「違う! 貴様はあいつの何を見ていた!? あいつは、ただのヒトじゃない! 今すぐ戻せ! 今ならまだ助かる!」

 

ケャアルラが焦っている理由をこの時のジェフルは知らなかった。そう、この場で、マシロの…… ハクの本当の戦闘力を見抜いたのは、この場でケャアルラのみである。

 

「まだ助かるだと!? この腰抜けめ! たかが一人のヒトだ! 」

 

「違う! そこを勘違いしているんだ! お前は!」

 

「言ってる意味がわからねぇよ!」

 

「あれは……ただ人間じゃない! 化け物だ……!」

 

ジェルフとケャアルラが揉め事をしている間、二人の目の前に何かが飛んできた。 それは、ジェルフが(ウォプタル)で轢き殺せと命じた兵士の首だった。

 

「……は?」

 

「遅かったか……!」

 

ジェルフは正面を見る。 本来、そこには、(ウォプタル)で轢き殺されたマシロの死体があるはずだった。 だが、現実は違った。 死体になったのは、ジェルフの部下だった。 更に、マシロは返り血すら浴びていなかった。

 

返り血すら浴びていないということは、かなりの素早さも持ち合わせている。 まるで、義を持つ種族、エヴェンクルガのような剣筋だった。

 

「な、……なにぃぃい!?」

 

「ジェルフ! もう一度言う! 兵士を下げさせろ! 益々殺させたくないだろう!?」

 

ケャアルラの必死の訴え。 ケャアルラは完全なる善意で言っている。 このまま挑むことをやめなければ、我々はここで死ぬと、分かっているみたいに。

 

「…… ……け…… ……るな、」

 

「ジェルフ……?」

 

「ふざけるなぁぁぁぁぁ!!!?」

 

「俺の、俺の兵士を、よくも、よくもぁおおおお!! 許せねぇ! こうなったら絶対殺してやる! うらぁ!」

 

ジェルフは自身の(ウォプタル)と共に突進する。 この一撃で仕留めてやると。そう言う意気込みで。

 

「……やれやれ、これではまだヴライの方が品があるぞ。」

 

マシロは腰に刀を納めた。

 

「へっ、やっと諦めたか! とっとと死ねば良いんだよ!」

 

「……諦めた? それこそあり得ない。 某は約束したのだ。 ……ここから先は誰でも通さないとな。」

 

マシロに迫る僅かな時間。 ジェルフの(ウォプタル)の到達が早いか、マシロの攻撃が先に届くかの勝負になった。

 

しかし、これは決着が見えている。

 

何故って?

 

それは。

 

一瞬のうちに納めた刀の持ち手に手をかけ、(ウォプタル)を一閃。

 

(ウォプタル)は横に切れて絶命した。 搭乗者であったジェルフは……

 

「ぐうっっ……! ぐあ、あああ!!! 俺の片目と、足がぁぁあ!!」

 

ジェルフは辛うじて生き残ったが、左目と右足を斬られた。 斬られた場所から滝のように流れる血。 これでジェルフは戦闘不能。 もう武士(もののふ)として、活動は出来ないだろう。

 

「……某の刀は、友より受け継いだ刀。 ……そこらの雑兵に止められる訳ないだろう?」

 

マシロは、刀についた血を地面に打ちつけ、 刀を鞘に戻した。

 

「某はもうこれ以上抵抗する気はない。 其方らの敵将の一人を無力化した。 これ以上は、そちらが損するだけだ。」

 

マシロはこれ以上抵抗する気はない、という、それはもう此方が攻める戦力がいないことを指していた。 マシロはこう言いたいのであろう。 戦っても無駄だから引けと。 命を無駄にするなと。

 

「ふ、ふざけるな! ジェルフ大将の仇討ちだ! ケャアルラ将軍、指示を、今一度、我らクッチャ・ケッチャの力を——」

 

「——総員撤退だ!」

 

「……は!?」

 

「総員撤退だ。 これ以上、戦力を減らす必要は無いだろう。 それに、我らはここへ戦として、来ているわけではない。 なら、相手は見逃してくれると言っているのだ。 それを利用する以外無かろう。 繰り返す! 総員撤退だ!」

 

「(……どうやら、あちらさんの将軍はかなり頭が良いらしい。 ライコウ程凄くはないだろうが…… それでも、かなりの戦力眼を持っている。 ……戦場では絶対に当たりたくない人物だ。)」

 

「……其方、名前は?」

 

「……マシロだ。」

 

「マシロよ。 この恨み、 今度、戦場で相見えるその時まで、取っておこう。 我が友を負傷させた事ら私は許さん。」

 

ケャアルラはそう言うと、 重傷のジェルフを死んだ事で空いた(ウォプタル)の背中に括り付けられ、その場から撤退していった。

キャラのセリフは台本式か名前なしどっちがいい?

  • 台本式
  • 名前なし
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