ガッシュペアの暗殺教室   作:シキガミ

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オリジナル回です。ガッシュサイドのあの人も登場します。


LEVEL.11 日常の時間

 律がE組に加わった日の週末。ガッシュペアはデュフォーとのその日の特訓を終えて、明日の打ち合わせを行う。

 

「そうか。明日は午後からクラスメイトの交流を深める日にするんだな、清麿、ガッシュ」

 

「ああ、すまん。特訓は午前中と夕方以降で頼む」

 

「お願いするのだ」

 

ガッシュペアは明日、渚と杉野と共にこの前付き合えなかった分の穴埋めもかねて、バッティングセンター行く予定である。打倒クリアノートのために休日もフルで特訓に充てたいところだが、殺せんせーの暗殺のためにはE組とのコミュニケーションをはかることもまた重要だ。そんな中、清麿の携帯電話から少女らしき声が聞こえた。

 

「こんばんは、高嶺さんとガッシュさん。ようやくこちらの携帯電話へのダウンロードが終わりました!通称モバイル律です……お取込み中でしたか。ごめんなさい、てへっ」

 

「おおっ、律ではないか!これはどうなっておるのだ?」

 

「……は、ダウンロード?」

 

ガッシュは興味津々だったが、清麿はリアクションに困る。転校生AIが自分のスマホに侵入していたのだから無理もない。

 

「……清麿、お前達のクラスは何でもありだな。そいつもクラスメイトなのだろう」

 

デュフォーは即座に【答えを出す者】(アンサートーカー)で律の事を調べ上げた。

 

「そちらの方は、高嶺さん達のお友達ですか?」

 

「……どうだろうな。お前の能力なら、調べられるんじゃないのか?」

 

「いえ、それをやるとプライバシーの侵害になってしまいますので……」

 

律がデュフォーの事を聞こうとしたが、彼は口を割らない。と言うよりはデュフォーには律のスペックが理解出来ており、自分が話すまでも無いと考えている様だ。

 

「おい律、俺の携帯に勝手に入り込んでる時点でプライバシーも何もないんじゃないのか?」

 

「高嶺さんとガッシュさんはE組ですから!」

 

「理由になってない……デュフォーも困ってるんじゃないか?」

 

律は清麿達の生活を覗く気満々だ。プライベートも何もあったものでは無い。殺せんせーに次ぐ私生活の覗き枠の登場に清麿は頭を抱える。

 

「俺の事は気にしなくていい。さて、俺は部屋に戻ってこの休日の特訓のスケジュール調整を行ってからもう寝る。お前達も、今日は自由にしていいぞ」

 

「今日はってもう夜だけどな。お休み」

 

「ウヌ、また明日なのだ!」

 

デュフォーは高嶺家に宿泊しているのだが、寝室は清麿の部屋とは別で準備してある。彼が部屋に戻ったのち、清麿がデュフォーとの関係を律に説明した。

 

「なるほど!その方はとてもすごいのですね!私の正体もすぐ見破っていたようですし」

 

「デュフォーはとても頭が良いからの」

 

「そうだな。ところで律、携帯に入り込んじゃったものはどうにもならないが、あんまり人の私生活を覗くなよ?」

 

清麿はモバイル律に釘を刺す。クラスメイトとはいえ、プライベートが筒抜けになるのは避けたいところだ。そして2人は律と談笑したのち、次の日の特訓と渚達との約束に備えて寝る準備を始めた。

 

「明日、楽しんで下さいね、2人とも!それではおやすみなさい!」

 

「「おやすみ」なのだ」

 

 

 

 

 次の日デュフォーとの午前中の特訓を終えたガッシュペアは、渚と杉野と合流してバッティングセンターに入る。

 

「しかし昨日はビックリしたよ。いきなり律が携帯に入ってくるんだもんな」

 

「ああ、俺もビビったわ」

 

「僕もだよ」

 

「律はすごいのだ」

 

4人は顔を合わせると、まずは律の話題を出す。最新のAIのなせる技だ。これでE組は常に繋がっている事になる。

 

「はい、これから私はモバイル律として、E組の皆さんをサポートします!」

 

「「「「で、出た‼」」」」

 

律はE組の生徒全員の携帯電話に入り込んだそうだ。これでクラス間の連絡も取りやすくなり、暗殺の幅が広がるメリットはある。しかしプライベートのどこまでが律に覗かれてしまうのか、彼等はそれだけが気がかりだ。

 

「よーし、まず俺からな!」

 

まず杉野が空いているバッターボックスに入る。球の速度はそこそこ速かったが流石は経験者、空振りや見逃しは1球も無かった。そればかりか、何本かホームランクラスのヒットもあった。

 

「どんなもんよ」

 

「杉野、中々やるのう」

 

「経験者だけあってかなり上手いな(山中とどっちが上手かな?)」

 

「じゃあ、次は僕が」

 

杉野と入れ替わる形で渚が入る。杉野ほど上手なヒットは打てていない。しかし殺せんせーの速度に目が慣れているせいなのか、球はほぼ捉えられており、空振りは1~2回程度だ。ガッシュペアも立て続けにバッターボックスに入り、球を打ち続ける。

 

 そして何度かバッティングを楽しんだ後、一行はベンチで休憩する。

 

「ウヌぅ、楽しいのう!」

 

「ああ、けど大分やりつくした感あるかな……」

 

「次はどこ行こうか?」

 

「おっと、電話だ。ちょっと向こうで話してくる」

 

ガッシュ達が休憩がてら話していると、清麿の携帯電話に着信が来た。相手は岡島だ。

 

「もしもし」

 

『お、繋がった。なあ高嶺ってモチノキ町に住んでるんだよな?俺今からモチノキ町の植物園に行こうとしてるんだけど、急で悪いが付き合ってくれね?』

 

「なんだ、植物が好きなのか?」

 

『いや、植物園ならカメラの被写体が豊富だと思ってさ』

 

エロいことばかりが注目されがちな岡島だが、彼はE組に来る前は写真部に属しており、写真撮影が趣味だ。しかも腕はかなりのものである。確かに植物園なら一部を除いて写真撮影が禁止されている訳でなく、珍しい植物など良い被写体も多い。

 

「ああ、モチノキ町の植物園なら何度も行ったことがある。ただし今はモチノキ町を離れているから、今すぐに行くことは出来ん。あと、ガッシュと渚と杉野も一緒にいる。行くなら皆も誘っておくが、どうだろうか?」

 

『時間なら大丈夫だぜ!渚達にも声かけといてくれよ!』

 

「わかった、後でかけ直す」

 

清麿が通話を中断して渚達の方に向かう。そして彼等に要件を話すが、渚達は快く了承してくれた。

 

「植物園で写真撮影か……」

 

「おおっ、つくしがいる所ではないか!」

 

「つくしさん?」

 

「植物園についたら紹介するよ、植物園を管理してる人で、結構良くしてもらってたんだ。そういや最近は行ってなかったな……」

 

清麿は昔ことある事に植物園に入り浸り、つくしはそんなかれを見守ってくれた。久し振りの植物園の訪問はガッシュペアも楽しみだ。清麿が岡島に電話をかけ直し、岡島が時間を指定すると、清麿達はバッティングセンターを出て植物園に向かった。

 

 

 

 

 そして植物園の入り口の前にて、岡島が清麿達と合流した。そして植物園に入ったが、相変わらずたくさんの植物が清麿達を出迎えてくれる。

 

「急で悪いな、お前等。この植物園の事を知ったら、どうしても写真を撮りたくなってさ!」

 

「いや、俺も久し振りにここに来れて嬉しい」

 

「つくしは元気かのう?」

 

「あたしを呼んだかい?」

 

女性の声を聞いた一同が振り返る。そのには白衣を着た管理人の女性、木山つくしが立っていた。彼女は清麿を植物園で見てくれており、彼がが学校に行き始めてからはガッシュとも友達になった。

 

「久し振り!清麿、ガッシュ!」

 

「ああ。そうだな、つくし」

 

「ウヌ、久し振りなのだ」

 

「この人が、つくしさん?」

 

渚達とつくしの初顔合わせである。

 

「あれ、清麿。今日は違う友達を連れているね」

 

「ああ、実はな……」

 

清麿はつくしに転校したことを説明し、渚達の事を紹介した。それを聞いた彼女は、清麿の交友関係が広がる事を素直に嬉しく感じた。

 

「「「よろしくお願いします」」」

 

「よろしく、ゆっくりしていって!」

 

挨拶を済ませた後、各々が植物園で行きたいエリアへ向かう。渚と杉野は花のエリア、ガッシュペアと岡島は食虫植物のエリアの見学を行う。

 

「見ろよ渚、見たことない花がたくさんあるぜ!」

 

「ホントだ、これは珍しいね」

 

渚と杉野は植物園の珍しい花に夢中になる。その一方、岡島は早速カメラを取り出して植物の撮影を始める。

 

「いやー、見たことない植物だ!撮りがいがあるな!」

 

「良かったな、岡島。そしてここにまた来るきっかけを作ってくれて、ありがとう!」

 

「やっぱり植物園は楽しいのう。つくしも元気そうで良かったのだ!」

 

「礼を言うのはこっちだぜ、急だったのに付き合ってくれてサンキューな」

 

久し振りに植物園に来ることが出来たガッシュペアも、珍しい被写体をたくさん見ることが出来た岡島もとても嬉しそうだ。ガッシュは前に出てはしゃき始める。

 

「しっかし、岡島って本当に写真撮影が好きだよな。将来もそれ関係の仕事を目指すのか?」

 

「まあな!俺、フォトグラファー目指してるからよ。今のうちに色んな光景を撮影して腕を磨いときたいんだ!」

 

「やりたいことが随分はっきりしてるんだな」

 

将来のビジョンがしっかりと見えている岡島に清麿は感心する。しかし、

 

「へへっ。そしてグラビアアイドル専属のカメラマンにでもなれたら、グヘヘヘ……」

 

「お、おう……」

 

やはりというべきか、岡島とエロは切っても切れない縁である。先ほどの岡島への感心もどこかへ行ってしまった清麿だ。そんな彼をみた岡島は熱く語り始める。

 

「確かに俺はエロいぞ!だが、エロいのは殺せんせーも同じだ。高嶺、俺の言いたいことが分かるか?」

 

「いや、言葉のままの意味しか分からんのだが……」

 

岡島が何故か自信ありげに自分のエロさを誇る。しかし、清麿にはどうしてそれ程に自信を持てるのかが分からない。

 

「俺、今殺せんせーのエロの好みを研究してんだ。そして、殺せんせーの好みのエロ本を餌に奴の気を引き付け、殺す!これが今の俺の目標だ」

 

「……なるほどな。とは言えいくら殺せんせーでもそんな罠には……いや、引っ掛かりそうだな」

 

「そう思うだろ!そしてこんなエロい暗殺方法は、俺にしか出来ない!」

 

岡島が自信を持っていた理由はこれだ。エロ本をおとりにして殺せんせーを殺す。確かにこんな方法は、岡島しか思いつかないだろう。

 

「……成功するといいな」

 

「当然!」

 

岡島のエロの刃が暗殺を成功させるかもしれない。そんな岡島が殺せんせーの好みを研究し尽くした後に実行に移るのは、まだ先の話だ。そして岡島と清麿が話している時、家族連れの客と鉢合わせする。

 

「あら、ガッシュじゃない。随分久し振りね!」

 

「何だこの子、ガッシュの知り合いか?誰かに似てるような……」

 

「そうだな、確かこの子は……」

 

「お、お主は……ナオミちゃん!」

 

公園などでガッシュをいじめていたナオミちゃんが、家族で植物園に来ていた。そしていつものように、ガッシュはナオミちゃんに追い回される。

 

「カカカカカカカカカカカカ」

 

「ヌオオオオォ、やめるのだー‼」

 

「こら、植物園で走り回るんじゃない!」

 

「あ、おい!高嶺!(というかあの子、研ナ〇コに似てたな……)」

 

ガッシュとナオミちゃんを清麿が止めに向かう。それを見ていたナオミちゃんの両親も、呆れ顔でガッシュ達について行く。そして岡島は一人取り残されてしまったが、少しした後に渚と杉野の2人に合流した。

 

「あれ、岡島君。高嶺君達と一緒じゃないの?」

 

「いや、ガッシュが研ナ〇コ似の女の子に追い回されててな。高嶺もそれについて行ってしまったんだ……」

 

「な、なんだそりゃ……」

 

岡島の話を聞いても渚と杉野はしっくり来ない。そして渚達はしばらく雑談しながら植物園を見学する。そんな中、

 

「あれ、君達。清麿とガッシュは別行動?」  

 

「そうですね。そう言えばつくしさんは、高嶺君達とどんな関係なんですか?」

 

渚達は見回りをしていたつくしと再び顔を合わせる。黙っているのも気まずいので、渚が彼女とガッシュペアの事について質問した。

 

「う〜ん、そうだね……」

 

つくしは清麿が学校に行ってない時期があり、そんな時は植物園に頻繁に来ていた事、学校に行くようになるとガッシュを連れてき始めた事、植物園を荒らす輩(スギナペア)からこの場所を守ってくれた事を話した。

 

「そうだったんですね……」

 

「高嶺にそんな時期があったのは意外だな」

 

「高嶺って優秀だから、ねたまれやすいんじゃね?」

 

まさか清麿に不登校だった時期があったとは、思いもしなかった3人だ。当時の清麿は別人の様にやさぐれていたが、今はそんな事は無い。

 

「清麿、やっぱり変わったよね。多分ガッシュのおかげだと思うけど……あたしは、見守ることしか出来てなかったなぁ」

 

つくしの目に罪悪感が混じる。結果として清麿は変わることが出来、今も学校に通い続けている。しかし自分は清麿のことを見てるだけで何もしてあげられなかったことを気にしている。そんな彼女の心情を渚は見逃さない。

 

「おそらく高嶺君は、つくしさんにはすごく感謝していると思います。今日も植物園でつくしさんに会えると思って、嬉しそうにしていましたので……だからつくしさんが申し訳なく思う事は、何一つないと思います」

 

「そうかな?それなら良いけど。ありがとうね、会ったばかりなのに気にかけてくれて」

 

「い、いえ。僕も知ったようなことを言ってしまってすみません……」

 

「ハハハ、君の方こそ申し訳なく思う事は何一つないよ!」

 

渚の言葉のおかげか、つくしの目からは罪悪感は消える。渚は元々高い観察力を持ち、周りの人の気持ちを察することには長けている。だからつくしの抱えていた思いにも気付き、彼女を元気づけることが出来た。

 

「清麿が変わることが出来て良かったよ。こんないい友達にも囲まれてさ……昔だったら君達のような友人といることもなく、ガッシュとはしゃぐこともなかっただろうからね」

 

「つくしさん、随分高嶺のこと気にかけてるっすね」

 

「高嶺は良い奴だよ、怒ると怖いけど……」

 

「初めて見た時から、放っておけないって感じだったんだよ。あと、怒るとアレなのはわかる……」

 

今度は杉野と岡島がつくしに話しかける。しばらく彼等は清麿とガッシュの話を続ける。

 

「3人とも。これからも清麿とガッシュの事、見ててもらっていいかな?」

 

「「「もちろん!」」」

 

「うん、ありがとう。あと、今日話したことは清麿達には内緒ね」

 

3人の快い返事につくしは満足気な顔をする。そんな時、清麿がガッシュを連れて彼女達の方まで戻ってきた。

 

「全く!あんなに走り回って、他の人や植物を傷つけたらどうするつもりだったんだ……」

 

「私が悪いというのか!追いかけてきたのはナオミちゃんだというのに‼」

 

「はいはい、わかったよ……ってあれ、つくしも一緒か。渚達と何話してたんだ?」

 

意外な組み合わせに清麿は少し困惑する。

 

「え?ちょっとした世間話だよ……」

 

「お、戻ってきたか高嶺!」

 

「……じゃあ、あたしは見回りに戻るよ。皆、植物園を楽しんでいってね」

 

ガッシュペアが合流したと同時につくしは仕事に戻る。清麿は彼女達がが何を話していたのかが気になったが、つくしは教えてくれなかった。

 

「ウヌ、何とかナオミちゃんから逃げられることが出来たのだ……」

 

「悪いな、はぐれちまって」

 

「いや、大丈夫だよ。もう少し見て行ったら帰ろうか」

 

このような日常は、特訓で疲弊しているガッシュペアの精神を癒してくれる。そして殺せんせーの暗殺のためのチームワーク形成にもつながる。こんな時間を大切にしていきたいと改めて思う清麿だった。

 




 読んでいただき、ありがとうございました。岡島は相変わらずエロかった。そして今回はガッシュサイドから、つくしとナオミちゃんに登場してもらいました。
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