ガッシュペアの暗殺教室   作:シキガミ

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 寺坂編の後半です。どのようにして彼はクラスと和解するのでしょうか。


LEVEL.24 ビジョンの時間

 次の日の昼休み、殺せんせーは大量の鼻水を流す。しかし殺せんせーの鼻の穴は目のすぐ隣にあり、傍から見ると泣いているようにしか見えなかった。

 

「殺せんせー、大丈夫かの?」

 

「心当たりがあるとしたら、昨日寺坂がぶちまけてたスプレー缶だが……」

 

ガッシュは殺せんせーを心配する。一方で清麿はその原因を昨日のスプレーであると考えた。

 

「俺もそー思うな。寺坂の奴、何かたくらんでそうだよね。バカのくせに」

 

カルマも清麿の考えに賛成する。最近の寺坂の様子は明らかにおかしく、カルマもまた何かを予測していた。

 

「でも、寺坂君がやったって決まった訳じゃなくない?」

 

「そもそも、あいつが暗殺の作戦を考えるってのが想像出来ねー」

 

しかし渚は寺坂を疑っておらず、杉野に至っては寺坂が暗殺に関わる事自体考えられないといった様子だ。

 

「まあ、そうなんだけどね~……おっと、噂をすればってやつだ」

 

午前中は学校に来ていなかった寺坂が、昼時になって登校してきた。

 

「おお寺坂君‼今日は登校しないのかと心配しましたよ‼」

 

寺坂に殺せんせーが駆け寄り、寺坂の顔を自分から出る汁で濡らしていく。最近の寺坂の横暴さは目に余るが、こればかりは寺坂に対してクラス全員同情の目を向ける。しかし寺坂はそんな事を気にもせず、シロの言葉を思い出す。

 

『昨日、君が教室に撒いたスプレー缶はね、奴だけに効くスギ花粉みたいなものだ。触手生物の感覚を鈍らす効果がある。そうした上で誘い出しなさい』

 

清麿とカルマの予感は当たっていた。昨日の薬物は殺虫剤などではなく、殺せんせーを弱らせるための物だった。殺せんせーの液体で顔が濡れてしまった寺坂は、先生のネクタイで自分の顔を拭く。そして、

 

「おいタコ!そろそろ本気でブッ殺してやるからよ、放課後プールへ来いや。弱点なんだろ、水が。てめーらも全員手伝え‼俺がこいつを水ン中に叩き落とす‼」

 

寺坂がそう言うと、殺せんせーが教室から出ようとした。そんな殺せんせーを寺坂が睨み付ける。

 

「何だテメー、逃げようってのか?」

 

「とんでもない。君達の暗殺の作戦会議を盗み聞きする訳にはいきませんからねぇ」

 

殺せんせーはそのまま、高速で教室を出てしまった。しかし今のクラスは、これから暗殺の話し合いをしようと言う雰囲気には思えない。そんな中、前原が立ち上がった。

 

「寺坂、お前ずっと皆の暗殺には協力して来なかったよな。それをいきなり命令されて、皆がお前の言う事を聞くと思うか?」

 

前原以外の生徒達も同じ事を考える。今の彼等は、寺坂の暗殺計画に対して乗り気では無い。それは普段彼と一緒にいる村松と吉田も例外では無い。そして次に清麿が口を開いた。

 

「殺せんせーを水の中に落とすと言っても、どうやってやるんだ?相手はマッハ20の超生物、一筋縄ではいかない。何か考えがあるんだろ?お前が協力を求める以上、俺達にはそれを知る権利がある」

 

「ああ?んなもん俺に任せとけば問題ねーよ!てゆーか、お前等来たくないなら来なくてもいいんだぜ。ただし、賞金は独り占めしてやるがな!」

 

清麿は寺坂の企みを暴こうとする。しかし彼は口を割らない。そして寺坂は捨て台詞を吐いて教室を出ようとするが、今度は渚が彼を引き留めた。

 

「待ってよ寺坂君!本気で殺るつもりなら、やっぱり皆に具体的な計画話した方がいいと思うんだ。これじゃあ皆、納得出来ないよ」

 

「うるせえよ!弱くて群れるばっかの奴等が、本気で殺すビジョンも無いくせによ!」

 

渚の言葉に逆ギレするかの如く、寺坂は渚の胸ぐらを掴む。そんな寺坂に対してガッシュが止めに入った。

 

「寺坂!お主何をしておるのだ⁉」

 

「うっせーよ、チビ!」

 

ガッシュに睨まれた寺坂は若干怯みながらも、虚勢を張りながら渚から手を離す。他の生徒達の中にも寺坂を白い目で見る者達もいる。

 

「渚、大丈夫かの?」

 

「うん、ありがとうガッシュ君」

 

ガッシュに駆け寄られた渚は苦しそうにするが、再度寺坂の方を向いた。

 

「上手く言えないんだけど、寺坂君。僕には寺坂君がまるで、自分とは別の何かに期待しているようにしか思えないんだ」

 

「……はぁ?どーゆー意味だよ、渚!」

 

寺坂は渚を威圧するが、渚の発言を聞いて明らかに動揺していた。そんな寺坂の動揺を清麿は見逃さない。そして彼は寺坂のやろうとしている事に対して【答えを出す者】(アンサートーカー)で答えを導きだそうとしたが、残念ながらそれは発動しなかった。

 

「(クッ、こんな時に!仕方ない……)寺坂、お前何か危ないことをやろうとしてるんじゃないのか?最近のお前の言動は目に余る。それに嫌な予感がするんだ。寺坂、プールに何仕込んだんだよ⁉」

 

「だから、それは暗殺をする時に分かるって……」

 

「それでは俺達は納得出来ない。やむを得ん。ガッシュ、先にプールへ行って辺りを調べてくれないか?」

 

清麿は取り返しの付かない出来事が起こる前に寺坂の企みを知りたがった。しかし彼は情報を共有しようとしない。そして中々口を割らない寺坂に対して清麿は強硬手段に出た。

 

「おい、お前等何を……」

 

「ガッシュ、昼休みも時間が限られているからコイツを使う。ラウザルク!俺達も後でプールに向かう」

 

「ウヌ、行ってくるのだ!」

 

寺坂の制止を無視して清麿は術を使用する。強化されたガッシュは教室を飛び出してプールへ向かった。そんなガッシュを見た寺坂は、苛立ちながら清麿に近付く。

 

「おい高嶺、何勝手な事してんだよ⁉」

 

「やかましい!先生を殺すんだろ?だったらお前の仕込みを事前に分かってた方が成功する確率は高い!とやかく言われる筋合いはない!」

 

「……ケッ、勝手にしろ!」

 

清麿の胸ぐらを掴んだ寺坂だが、清麿が睨み返したために彼はすぐ手を放してしまった。そして寺坂は教室を出て行く。

 

 教室には気まずい雰囲気が流れたが、清麿がそれを強引に断ち切った。

 

「すまない。皆にもプールの探索を手伝ってほしいんだけど、いいか?」

 

「うん、僕は問題ないよ」

 

清麿の言葉に対して渚が賛同する。そして渚の言葉に便乗して、他の生徒達も準備に取り掛かってくれた。

 

「……しゃーねー。寺坂に賞金独り占めされんのは嫌だしな!」

 

先程まで寺坂に対して否定的だった前原も、プールの探索をすることに決めた。そして一行は水着に着替えてプールを目指す。

 

 

 

 

 プールに着いた一同だったが、プールから上がっていたガッシュが手に何かを持っていた。それが何かをガッシュは知らない。

 

「清麿~!プールの中に、こんなものがあったぞ!これは一体、何かの?」

 

しかしガッシュの持っている物を見て、クラス一同驚愕する。

 

「え……これって……」

 

「まさか、何で?」

 

クラスからは動揺の声が聞こえた。何故ならガッシュが手に持っているそれは、プラスチック爆弾だったのだ。爆弾に関しては烏間先生の授業で教わったが、実用には至らない。それ程に火薬は危険な代物だ。それを見た清麿の顔から目が飛び出そうになる。

 

「ガッシュ‼落ち着いて聞け、お前の持っているそれは爆弾だ‼」

 

清麿は大声を出す。そんな彼の発言を聞いて、今度はガッシュの目が飛び出そうになり、大粒の涙を流す。

 

「ヌオオオオォ‼清麿ォ、どーすれば良いのだァ⁉」

 

「バカ、振り回すんじゃない‼」

 

ガッシュが泣きながら爆弾を振り回していると、一瞬風が走る。気付いたらガッシュの手元から爆弾が消えていた。そしてそこには、先程の爆弾を持つ殺せんせーがいた。

 

「これはプラスチック爆弾。起爆する前に発見出来て良かった」

 

「「「「「こ、殺せんせー‼」」」」」

 

生徒一同安心したように座り込んだが、今度はそこに寺坂が現れる。

 

「おいタコ、何だよそれは……」

 

寺坂が殺せんせーの持つ爆弾を指差したが、殺せんせーはそれを食べてしまった。彼自身、まさかシロがプールに爆弾を仕込むとは思いもよらなかった。流石の彼も顔色が変わる。

 

「なるほど、寺坂君が爆弾を仕掛けるとは思えない。となるとこれは、寺坂君の協力者の仕業でしょうね。そして寺坂君、君はその協力者に何かを渡されませんでしたか?」

 

殺せんせーがそう言うと、寺坂は一丁の銃を取り出した。

 

「その銃の引き金が起爆スイッチと言ったところでしょうねぇ。いやあ、大惨事にならなくて良かった。差し詰め協力者は何も知らない寺坂君に起爆させ、爆発に巻き込まれた生徒達を私が救出している間に暗殺を仕掛けようとしたんでしょう」

 

「おい、マジかよ寺坂……」

 

「こんなの、ひどい……」

 

他の生徒達が寺坂を軽蔑と恐怖を含んだ目線で見つめる。しかし寺坂は謝罪する所か、自分は何も知らなかったの一点張りだ。彼自身、内心かなり焦っている。あと少しで殺しの片棒を担ぐハメになったのだから。

 

「な、何だよ爆弾って……俺、聞いてねーぞ。こんな事、あいつらが悪いんだ。そうだ、俺は……」

 

「テメェ、いい加減にしやがれ‼」

 

そんな寺坂の態度に、清麿は怒りの表情をあらわにして寺坂の胸ぐらを掴んだ。寺坂が直接爆弾を仕掛けていない事は分かっていても、責任転嫁を繰り返す彼の言動は清麿の逆鱗に触れた。

 

「自分が何しよーとしたか分かってんのか⁉危うくクラスの皆の中で、死人が出るかもしれなかった‼︎それをお前、自分は知らないで済ませようとしてんじゃねー‼」

 

「だって、仕方ねーだろ。俺は利用されただけなんだ。俺はただ、楽にあいつを殺せると思って……」

 

寺坂の煮え切らない言動に対して、清麿の怒りのボルテージは限界を超えて寺坂を殴ろうとしたが、突如寺坂の横から別の拳が飛んできた。とっさの事で清麿は寺坂から手を放してしまい、寺坂はそのまま倒れ込んだ。寺坂を殴り飛ばしたのはカルマだ。

 

「ねえ寺坂、高嶺君が違和感に気付いてくれて良かったね。でなきゃお前、大量殺人の実行犯になってたかもしれない。まあ、殺せんせーなら誰も死なせないと思うけど。人のせいにするヒマがあったらさ、自分の頭で何したいか考えなよ」

 

「赤羽、お前……」

 

突然のカルマの乱入により清麿の怒りは収まる。一方で殴られた寺坂は中々起き上がろうとしない。

 

 そして気を抜いた一瞬、殺せんせー目掛けて触手が飛んできた。清麿達は反応出来てなかったが、ガッシュが触手を受け止めた。

 

「ガッシュ、大丈夫か⁉」

 

「ウヌ、問題ないぞ‼」

 

清麿は真正面から触手を受けたガッシュの身を案ずる。ガッシュ自身は何ともない様子だ。そして彼が目線を向ける先には、シロとイトナが立っていた。

 

「そっか、寺坂君失敗しちゃったようだねぇ。一応見に来ておいて良かったよ」

 

シロはこれまで通りの飄々とした態度を崩していないが、自分の作戦の失敗の事実に対して苛立ちを完全には隠せていない。

 

「なるほど、あなた達の仕業でしたか。シロさん、イトナ君」

 

「今度こそ決着を付けよう、兄さん」

 

イトナの髪型が変わっている。もちろん触手も変化しており、数は減ったがその分スピードとパワーを集中させるようにシロが改造したのだ。E組一同がそれに注目していた時、倒れていた寺坂が立ち上がる。

 

「(何のビジョンもないまま生きてきた結果がこれか……)ったく、ザマぁねーな」

 

「お、寺坂君起きたね。君のせいで失敗しちゃったじゃないか。どうしてくれるんだい?」

 

シロは怒りと軽蔑の目線を寺坂に向ける。しかし寺坂も負けじとシロとイトナを睨み返した。

 

「うるせーよ、テメー等よくも俺をダマしてくれたな!おいイトナ、俺とタイマンはれや!」

 

寺坂がそう言うと、彼は制服のシャツを脱ぎ始めた。

 

「寺坂、触手持ちにそれは無茶だ……」

 

「待った高嶺君。寺坂、何か考えがあるみたいよ。バカのくせに」

 

「おいカルマ、聞こえてんだよ‼」

 

寺坂を止めに入ろうとする清麿をカルマが制止する。カルマの目には、寺坂にも勝算がある様に見えた。ちなみに寺坂は、彼が自分をバカ呼ばわりしていたことを聞き逃さなかった。

 

「そこのチビにもお前の触手を受け止めることが出来たんだ。だったら俺にも出来ねー道理はねぇ。それとも何か、俺が怖いのかよ?」

 

寺坂はガッシュを指差しながらイトナを挑発する。そしてイトナは寺坂の挑発に乗るがごとく、触手の狙いを寺坂に定める。

 

「寺坂君!やめなさい‼」

 

「うるせータコ!どうせお前は水がある場所じゃ上手く身動きとれねーだろーが‼他のテメー等も、間違っても手ェ出すんじゃねーぞ」

 

殺せんせーの制止を寺坂は効かなかった。寺坂がここまで一人で勝負を挑むのは、彼なりに責任を感じていた為だ。そんな寺坂の目には、明確な自分の意志が宿っている。

 

「はあっ、仕方ないイトナ。受けてやれ、殺さない範囲で」

 

イトナから放たれた強烈な触手の一撃を、何と寺坂はシャツ一枚で受け止めた。寺坂は今にも吐きそうになりながらも、顔に笑みを浮かべる。

 

 対してイトナは次の一撃を放つことなく、くしゃみをしていた。寺坂のシャツと接触したイトナの触手からは、体液がにじみ出ていた。

 

「そういう事ね、寺坂。あいつ昨日と同じシャツ着てやがる。それには、今日殺せんせーがおかしかった原因になった成分がたっぷり染み込んでいる。そしてイトナの一撃は、殺せんせー以外を殺すつもりはない。自分が殺されることのないが故に寺坂は、イトナの触手を受けられたわけだ」

 

「だが、余りにも無茶だろ……」

 

「高嶺君の言う通り、これは無茶だねぇ。まあ、寺坂はバカだから仕方ない」

 

「だからカルマ、聞こえてんだよ‼」

 

(寺坂、叫ぶ余裕まであるのか……)

 

大勢が決した。イトナは寺坂の機転で本来の力は出せない。対して殺せんせーは万全とまではいかないにしても、大分薬物の効果は切れかかっている。そして人数の差、いざとなればガッシュペアの呪文もある。シロサイドにはまず勝ち目はない。

 

「ここまでかな。退却だ、イトナ!」

 

「チッ!」

 

シロは悔しがるイトナを連れて退却した。多くの生徒達が安堵する中で、ガッシュペアとカルマは寺坂に駆け寄る。

 

「おい寺坂、大丈夫か⁉」

 

「寺坂、お主……」

 

「あ?問題ねーよ」

 

「どうだろうね~。いくら寺坂の服が薬物にまみれてるからって、自分から触手受けに行くとか……」

 

ガッシュペアは寺坂を心配するが、寺坂は平気そうだ。そんな寺坂をカルマは相変わらず煽る。

 

「あ、薬物?それがどーしたんだよ?」

 

しかし寺坂は、自分の服が触手生物に効く薬物にまみれていることなど考えていない。ただがむしゃらにイトナの触手を受け止める事しか頭になかったのだ。

 

「お前、マジか……」

 

「寺坂、バカ過ぎるでしょ……でも俺、そういうバカは悪くないと思う」

 

「うるせー……」

 

相変わらず寺坂はカルマにバカにされたが、最後の発言を聞いた寺坂は満更でもない様子だ。そしてこれにて一件落着であると思われたが、今度は殺せんせーの顔が真っ青だ。

 

「どうしたのだ、殺せんせー?」

 

「にゅやあ‼授業の時間が過ぎています!世間から授業を放棄する先生としてのレッテルが張られたら大変です‼皆さん、急ぎましょう‼」

 

「ここでも世間体を気にするのな……」

 

「殺せんせーの弱点だから仕方ない」

 

授業の時間が過ぎている事に気付けなかった殺せんせーが世間体を気にする。そんな殺せんせーに杉野と渚を始め、多くの生徒が呆れる。そして一行は殺せんせーに連れられて教室に戻った。

 

 

 

 

 そして放課後、クラス全員の前で寺坂が教壇に立つ。

 

「お前等、済まなかった。俺のせいで、お前等の命を危険にさらすところだった」

 

寺坂が謝罪と共に頭を下げた。そんな寺坂を見て、クラス一同はどうすれば良いか分からないような顔をする。しかしカルマはそうでは無い。

 

「まあ、寺坂は懲りてるみたいだしいいんじゃない?この辺で許してやっても」

 

「カルマ、お前……」

 

カルマからの意外なフォローに対して、寺坂は安堵の表情を浮かべる。

 

「ウヌ、これで寺坂も独りぼっちじゃなくなるのう!」

 

ガッシュが嬉しそうに寺坂の元へ駆け寄る。素直になった寺坂を見て、ガッシュも喜ばしく感じている。そして彼に続いて、村松と吉田も寺坂の方に向かった。

 

「俺等からも頼むわ。寺坂を許してやってほしい」

 

「俺達もこれからは暗殺に協力するからよ」

 

「おめえらまで……」

 

村松と吉田の言動に対して、寺坂はかなり嬉しそうだ。友が自分の為に頭を下げてくれたのだからそうなるのも無理はない。これを見たクラス一同は、寺坂のした事は水に流すことにした。

 

「これも殺意が結ぶ絆ですねぇ、ヌルフフフ」

 

その光景を殺せんせーが満面の笑みを浮かべて見つめる。

 

「まあ何だ。俺みたいな目標もビジョンも無かった奴は、頭の良い奴に操られちまうんだ……だがな、操られる相手ぐらいは選びてぇ。おいカルマ、高嶺!何か面白そーな暗殺の計画が思いついたときは、お前等が俺を操って見ろや!」

 

「……分かった。寺坂、頼りにしてるぞ!」

 

「おう、どんと来いってんだ!」

 

寺坂の言葉を聞いて、清麿は嬉しそうに同意した。寺坂は自信満々の顔を見せるが、カルマの煽りがそれを台無しにする。

 

「寺坂~。俺等に操られるのはいいけど、それって自分が指示待ち人間ですって言ってるようなもんじゃね?」

 

カルマのこの発言を聞いて、寺坂の怒りは頂点に達した。

 

「んだと、カルマテメー‼こっちが下手に出てりゃあ好き勝手言いやがって‼だいたいお前は普段サボってばっかのくせにスカしてんじゃねーよ‼ふざけんな‼」

 

「あれぇ、寺坂逆ギレ?」

 

カルマがいつも通り寺坂をさらに煽ろうとしたが、クラスの雰囲気が妙だった。そして何人かの生徒がカルマの方を向く。

 

「あー、それ私も思ってた」

 

「どっかで泥水飲ましてやりたいよねぇ」

 

片岡と中村が、寺坂に賛同するような発言をした。他の生徒達も似たようなことを考えているようだった。

 

「あれ、これ俺がいじられる流れ?」

 

珍しくカルマがクラスメイトにいじられており、そんな光景を殺せんせーは笑いながら見ている。今回の一件で寺坂がクラスに馴染んできた。彼の体力と実行力は暗殺の大きな戦力となる。クラスの皆は寺坂の変化をとても嬉しく思っていた。

 




 読んでいただき、ありがとうございました。カルマと寺坂の関係性は結構好きです。
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