ガッシュペアの暗殺教室   作:シキガミ

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 今回は何と、ガッシュサイドのあのキャラが離島に遊びに来てます。


LEVEL.34 休息の時間

 渚が鷹岡を倒した少し後に、E組一同は殺し屋3人及び玄宗と屋上にて対峙する。しかし彼等には戦う意志はなく、改めて今回使われた毒物についての説明がなされた。彼等はカタギの中学生を大量に殺した実行犯になるのを避けるために、命に別状のない毒物を使用したのだ。そしてスモッグは患者に飲ませるための栄養剤を渡してくれた。

 

「俺は殺しには興味ねーからコイツ等の好きにさせたんだが、お互いの命を懸けた戦いってのも悪くねーかもな!」

 

元から今回の一件にそれほど興味はなく、ただ強い者との戦いを求めていた玄宗だが、彼は今回の経験を経て命を懸ける事のスリルの味を占めた様子だ。

 

「まあ何だ、ガキ共!本気で殺して欲しかったら偉くなれ‼」

 

ガストロが生徒達を激励した後、殺し屋達と玄宗は防衛省のヘリコプターに乗って去って行った。彼等はしばらく拘束される。そしてホテルに潜入したE組一同は宿泊用のホテルに戻り、患者達に大丈夫な事を伝えて、それぞれが泥のように眠った。

 

 

 

 

 次の日の朝、清麿は目覚めた。彼はガッシュと同じ部屋なのだが、ガッシュは見当たらない。

 

「ガッシュの奴、どこに行ったんだ?」

 

ひとまず清麿はジャージに着替えた後に朝の支度を終わらせて、朝食のバイキングに向かう。そしてそこには、ブリの料理ばかり食べているガッシュがいた。

 

「ほほ!ひひょはほ、ほひはは⁉(おお!清麿、起きたか⁉)」

 

「こらガッシュ!口に物を入れて喋るんじゃない!……ったく」

 

ガッシュの口には大量の食べ物が入っており、何を言っているのかは聞き取れない。そんなガッシュを叱りつけた清麿が、彼の前の席に座る。

 

「ウヌ、ここのご飯は美味しいのだ!お腹が空いて目が覚めたのだが、皆寝てたからの。食べ物の匂いに釣られてここまで来たら、烏間先生がここで朝ご飯を食べて良いと言ってくれたのだ!」

 

「烏間先生も起きてたのか」

 

「私よりも早起きだったのだ!何だか忙しそうだったの……」

 

「あれだけの戦いの後に早起きして、しかも仕事って……あの人は凄いな」

 

烏間先生は感染していたにも関わらずE組の誰よりも早起きして、今現在も仕事中である。烏間先生の底知れぬスタミナに清麿は凄いと思う反面、呆れる気持ちもあった。そんな時、ビッチ先生が彼等の近くを通りかかる。

 

「いや、今起きてるアンタ等も大概でしょ。他のガキ共は皆寝てるわよ?」

 

「ビッチ先生、おはようなのだ!」

 

「おはよう、先生も起きてたのか?」

 

確かに烏間先生の体力は人間離れしていると言えるが、感染していたのにも関わらず朝から動けているのは清麿も同じだ。そしてガッシュにいたっては昨日の疲れがほぼ残っていない。ビッチ先生の言う通り、ガッシュペアの体力もかなりの物だ。

 

「ま、私はただ普通にしてただけだからね。アンタ等程疲れちゃないわよ」

 

ビッチ先生は平気そうな顔でそう言うが、長時間複数の敵を惹きつける事は容易には出来ない。それを平然とやってのけて、かつ次の日に疲労が残っていない彼女もまた一流の仕事人である。

 

「で、アンタ達は今日どうするの?寝てる連中を起こすわけにはいかないでしょ」

 

「そうだな。朝食後はまず、烏間先生に挨拶に行こうと思う。それで何か手伝える事があれば手伝うし、無ければ術の特訓でもしようと考えてた」

 

「烏間先生、忙しそうだったからの」

 

「ちょっと真面目過ぎない?もっと楽しんでも良いと思うけどね。どうせ他のガキ共は皆寝てるんだし」

 

ビッチ先生は呆れた表情でガッシュペアを見て、その後ため息をついた。

 

「まあ好きにすると良いわ。さて、私はこの島の観光でもしてようかしらね。折角の離島なんだからアンタ達も少しは羽を伸ばしなさい、休息は大事よ」

 

そう言い残してビッチ先生は外に出て行く。こんな時まで暗殺や特訓の事を考えているガッシュペアに対しての、彼女なりの最大限の気遣いだ。

 

「……確かにビッチ先生の言う通りかもしれんな」

 

「まずは朝ご飯を食べようぞ!」

 

「相変わらずよく食うな(……そういやガッシュもウェルカムドリンク飲んでたんだよな。なのに発症しなかったのは、ガッシュが魔物で体が丈夫だからか?)」

 

清麿はそんな事を考えながら朝食を済ませる。ここでも魔物の丈夫さが発揮されていた。

 

 

 

 

 朝食を食べ終わったガッシュペアは、烏間先生が浜辺で何やら防衛省の人達に指揮していた様子を見かけた。

 

「烏間先生、おはようございます」

 

「おはよう、高嶺君も起きてたとは。体は大丈夫なのか?」

 

「はい、今は何とも」

 

烏間先生は清麿の事を心配してくれた。そして清麿は烏間先生達の仕事の様子が気になったが、その答えが頭に浮かんだ。

 

「(この感覚、今でも【答えを出す者】(アンサートーカー)が使えている!)……あの中に殺せんせーを閉じ込めるんですね」

 

「ああ、その通りだ」

 

「これで成功すれば良いがの……」

 

「例え殺せなくても、君達がここまで奴を追い込んでくれたんだ。我々大人が何もしない訳にはいかない」

 

この方法では恐らく成功しない。烏間先生は薄々そう感じていた。そして清麿もまた【答えを出す者】(アンサートーカー)でこの方法が失敗する答えを導き出したが、言い出せずにいた。それどころか今の殺せんせー相手にダメージを与える方法は、【答えを出す者】(アンサートーカー)をもってしても分からない。

 

「烏間先生、私達にも何か手伝える事はあるかの?」

 

「いや、今回は我々に任せてくれ。恐らく他の生徒達も夕方くらいまで目を覚まさない。それまでは君達も自由時間だ、休息には丁度良かろう……いや、君達の場合は特訓でもするつもりか?」

 

烏間先生はガッシュペアに対して自由に過ごすよう言ってくれた。しかし、彼等が特訓をしようとしていた事はお見通しだ。

 

「ウヌ、どうして分かったのだ?」

 

「今の君達の目はやる気に満ち溢れているからな。昨日の疲れもあるだろうから、特訓の方は程々にな」

 

「……分かりました」

 

「行ってくるのだ‼」

 

こうしてガッシュペアは烏間先生と別れた後に特訓が出来る場所を目指し、彼等の特訓は昼頃まで行われた。ちなみに今回のホテルでの戦いを経て、清麿は特訓中でも【答えを出す者】(アンサートーカー)を自由に使えるようになっていた。

 

 

 

 

 昼食時、離島のとあるレストランの近くを2人組の少女が訪れていた。

 

「私、お腹空いちゃった。ここでお昼にしない?」

 

「……分かったわ。ここで食べましょうか、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ティオ」

 

何と離島にはティオペアも来ていた。そして彼女達は店に入り、空いた席に着く。

 

「今まで特訓続きだったから、こういうのも楽しいね!恵」

 

「そうね。デュフォーさんがたまには休むよう言ってくれたから思い切って遠くに来ちゃったけど、綺麗な所で良かった」

 

ティオペアは特訓に励んでいた最中に、デュフォーに休息をとるよう言われてこの離島に遊びに来たのだ。恵はアイドルの仕事でお金を稼いでいた為、遠くに出かけられる分の旅費は持ち合わせている。

 

「そう言えばガッシュ達も、学校で出かけているって言ってたわね」

 

「ふふ、実は同じ所に来てたりして……」

 

「まさかぁ!」

 

彼女達はそんな他愛の無い会話をする。その後、2人組の少年が店に入ってきた。

 

「清麿、ここにブリの料理はあるかの?」

 

「さあ、どうだろうな?」

 

相変わらずブリを食べたがっているガッシュと共にどの席に座ろうか考えていた清麿だが、そこに見知った2人組の少女が座っているのを彼等は見かけた。

 

「おおっ、ティオ達ではないか‼」

 

「え、嘘⁉ガッシュ達なの?」

 

「恵さん達まで来てたなんて!」

 

「あら、偶然ね!」

 

まさかの出会いにガッシュペアとティオは驚きを隠せなかったが、事前に予測していた恵だけは平常心だ。そして4人は相席することになる。

 

「何だかティオと恵には、久し振りに会った気がするのだ!」

 

「久し振りって、この前一緒に特訓したばっかりじゃない」

 

夏休みに入ってからもガッシュペアとティオペアはデュフォー指導の下、共に特訓を行う日はあった。しかし昨日の離島での1日が非常に濃い物となり、ティオペアとの特訓が昔に感じてしまったガッシュだ。

 

「まさか、こんな所で会えるとは思わなかったよ」

 

「そうね、特訓以外でこうやって皆と話せるのはいつ以来かしら……」

 

確かにガッシュペアとティオペアは、特訓の為に顔を合わせる機会は多い。しかし、それ以外で会う事は激減した。クリア打倒及び殺せんせーの暗殺の為、ガッシュペアはかなり多忙な日々を送っている。ティオペアもまた、日々の生活に余裕が無くなりつつある。

 

「こうやって清麿君達と話してると、やっぱり落ち着くわね」

 

恵は戦いが始まる以前から、アイドルとして忙しい毎日を過ごしていた。ガッシュペアや他の仲間たちとの談笑は、そんな彼女がリラックス出来る数少ない機会である。

 

「仕方ない事とは言え、最近は戦いの事ばっかり考えてるからやっぱり疲れちゃう。でも、弱音を吐いてはいられない。恵、ガッシュ、清麿。絶対クリアに勝つわよ!」

 

「分かっているわ」

 

「ウヌ、その通りなのだ!」

 

「当然だ!」

 

クリアノート打倒の使命の重圧はかなり大きい。しかし魔界の滅亡を防ぐためにも、彼等はそれを乗り越えなくてはならない。そして打倒クリアの決意表明を終えた時、恵が別の話題を話し始めた。

 

「そうだ……私ね、少しの間実家に帰る事になったの。それで2人とも、その期間はティオの事を頼めるかしら?ちょっとバタバタしそうだから、ティオは残った方が良いと思って……」

 

恵は家の用事で帰省する事になっていた。その間ティオを清麿宅に泊めて欲しいとのお願いだ。

 

「そうだったのか。お袋に聞いてみるよ!」

 

ティオは前にも一度、恵が仕事で一緒にいられない時に清麿宅に泊まった時がある。これまで清麿宅には多くの戦いの関係者が出入りしていたが、華は詮索をせずに快く皆を受け入れてくれた。

 

 

 

 

 そして昼食を終えた一行は、離島の服屋を訪れた。そこにはいかにも夏っぽい服が多く売られている。そんな服達を恵が試着する。

 

「清麿君、この服はどうかな?」

 

初めに着たのは白のワンピースだ。肩が半分くらい見えておりスカートも膝が露出する程度には短めだったが、清楚な雰囲気が出ていた。

 

「うん。とても似合ってるよ、恵さん!」

 

「そう?良かった」

 

清麿に褒められて嬉しそうな表情を浮かべて顔を赤くした恵が、次の服の試着を始める。そんな2人の様子は、側から見ればデートに来たカップルにしか見えない。

 

 

 

 

 その頃ガッシュとティオは別のエリアにいた。そこには帽子やサングラスなどが置いてある。

 

「じゃーん、どうガッシュ。この変装用の眼鏡良いでしょ⁉」

 

「おおっ、恵とお揃いではないか!」

 

恵は変装用に伊達メガネを身に付けて外に出る事が多い。そんな恵を見て、ティオも伊達メガネを付けたがっていた。そしてたまたま同じ物を彼女は見つけたのだ。

 

「ウヌ、ならば私はこれでどうかの?」

 

「きゃはは、何それ~」

 

ガッシュはティオの伊達メガネに対抗してサングラスを試着した。しかしガッシュとサングラスはミスマッチであり、ティオに笑われる。

 

「ヌオオオ、笑うでない……」

 

「だって、全然似合ってないんだもん!」

 

ガッシュもティオも、魔物である以前にまだまだ子供だ。戦いのとき以外は、こうして遊んでいる時がとても好きなのだ。このような時間のみ、戦いの重圧を忘れられる。時には休息を挟んでいかなければ、彼等の精神力はすぐに擦り減ってしまうだろう。そしてはしゃいでいる2人の元に、清麿と恵が向かってきた。

 

「ガッシュ、ティオ。そろそろ他の所へ行こう!」

 

「ウヌ、分かったのだ!」

 

「ねぇ恵、この眼鏡買ってよ~」

 

「もう、仕方無いわね……」

 

ティオは先程の伊達メガネを恵に買ってもらえる事になった。そして恵も、先程の白のワンピースを購入した。

 

 

 

 

 一行は離島での観光を楽しんだ後、浜辺で海を眺めていた。海は鮮やかなコバルトブルーで、見る者を魅了するのには十分な美しさだ。

 

「やっぱりここの海は綺麗なのだ!今から泳ごうぞ!」

 

「泳ぐってもな、今は水着を持って無いぞ」

 

「私も持って無いわよ、ガッシュ」

 

「部屋に置いて来ちゃったからね」

 

ガッシュが海で泳ぎたがっていたが、残念ながら4人とも水着を持ち合わせていない。

 

「ならば、裸で泳げば良いではないか!」

 

ガッシュは皆の前で裸になる恥ずかしさが分かっていない。それを聞いたティオの顔はみるみる赤くなる。

 

「裸って、アンタ何言ってんのよ‼」

 

「ヌオオオオォ、やめるのだー‼」

 

ティオは怒りの形相で思いっきりガッシュの首を絞める。その際にガッシュの首が伸びてしまった。ガッシュは苦しそうで、今にも目が飛び出そうだ。

 

「ティオ、落ち着きなさい……」

 

「やれやれ……」

 

そんな光景を恵と清麿は呆れながら眺める。そしてガッシュは解放されたが、しばらくは首が伸びたままだった。

 

「今日は清麿君達に会えて良かったわ。とても楽しかった!」

 

「俺達もだよ、恵さん。またこうやって、皆で出掛けたいな」

 

彼等にとって今日の観光は、とても良い思い出となった。この日常がいつまでも続けば良いと4人は考える。

 

「必ずクリアを倒して、皆で出掛けようぞ!そしてウマゴンやキャンチョメ達ともまた遊びたいのだ‼」

 

「私もそうしたい!その為にも戦いを皆で勝ち残らなくっちゃ!」

 

今日のような日をまた過ごせるように、2人がクリアに勝つことを改めて宣言した。

 

「ああ、向こうに戻ったらまた特訓の日々だ!」

 

「帰省中でもやれる事はある。私も頑張るわ!」

 

清麿と恵もまた気合を入れ直す。そんな4人を見ている人影がある事に、彼等は気付いてなかった。

 

 

 

 

「高嶺君とガッシュ君だ。一緒にいる女の人達は……」

 

「うっ!あの人、中々の巨乳」

 

「はは、確かに。でも、どっかで見た事あるような」

 

「あと、あの赤い髪の女の子は魔物だったりして……」

 

 その人影達は渚・茅野・カルマだ。彼等も残りの生徒達が目を覚ますまでの間、離島の観光をしていた。そして偶然にも、清麿達が浜辺にいる所を目撃したのだ。

 

「……と言うか、隠れる必要あるのかな?」

 

「いや、高嶺君とガッシュ君のダブルデートだからね。もう少し様子を見てたいかな」

 

「相変わらずだね……」

 

カルマはガッシュペアの決定的瞬間を撮影し、彼等をイジろうとしていた。そんな彼を渚は呆れ混じりの視線を向ける。

 

「あ、思い出した!あの女の人って、アイドルの“大海恵”だ!」

 

茅野が気付く。恵は国民的アイドル故に、正体がバレないように伊達メガネをかけて行動している。しかし彼女はそれでも正体を見破った。

 

 

 

 

 その頃、相変わらず清麿達は海を眺めながら雑談をする。しかし、ガッシュの嗅覚が茂みに隠れている3人に気付いた。

 

「ウヌ、あの植物に隠れている者がおるのだ!」

 

「何だって⁉」

 

ガッシュに気付かれてしまったので、渚達は苦笑いをしながらも素直に出てきた。

 

「……ガッシュ達の知り合いかしら?」

 

「清麿君と同じジャージ着てるし、そうだと思う」

 

「2人共、その通りだ。コイツ等は俺のクラスメイトだよ」

 

清麿は渚達に呆れ混じりの視線を送りながら、ティオペアに彼等を紹介した。

 

「と言うか、お前等何してんだ……」

 

「高嶺君がアイドルとデートしてるんだから、ついね」

 

「デートって……」

 

カルマが意地の悪い笑みを清麿に向けるが、清麿は顔を赤くしながら目を逸らす。それを聞いた恵の顔も、少し赤くなっていた。

 

「お前等、恵さん達だって困ってるだろうに……」

 

清麿にとってはやや気まずい状況になったが、それを断ち切るように恵が口を開く。

 

「まあまあ、清麿君。皆も悪気がある訳じゃなさそうだし……」

 

「恵さんがそう言うなら……」

 

カルマ達に物申したかった清麿だったが、恵になだめられた。そして改めて渚達とティオペアはそれぞれ挨拶を交わした。

 




 読んでいただき、ありがとうございました。ガッシュペアとティオペアのダブルデート回でした。離島編は次回で終了となります。
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