余談ではあるが、清麿達の乗るジェット機のパイロットは【マジョスティック12】の司令塔のテレパシス・レーダーとビッグ・ボインが務める。一行はロッキー山脈を目指すが、飛行機内の空気が重い。
「作戦の事は聞いてたけど、私達っておとりなのよね……」
特にティオの顔色が明らかに優れない。先日の件で吹っ切れたように思われたが、完全に不安を払拭するには至らなかった。そんな彼女の前にガッシュが歩み寄り、その両手を自分の手で握る。
「ティオ、そんな顔をするでない‼この場面はお主の盾が鍵になるのだ‼それに皆もついておるぞ‼」
いきなりガッシュに手を握られたティオは困惑する。自分を励ましてくれているのは分かるが、彼女は顔を真っ赤にして狼狽する。
「え……ちょっと……いきなり……」
「ウヌ、どうかしたかの?」
しかしガッシュには、ティオが何故このような反応を見せるのかが分かっていない。そんな光景を清麿と恵が暖かい目で見ている。そしてガッシュの言動に対してついにティオが限界に達して、彼の手を振りほどいた。
「急に手を握らないでよ‼ビックリするじゃない‼……分かってるわよ、やれば良いんでしょ⁉」
「そんな、怒らずとも……」
ティオの心から不安が消えた瞬間だ。彼女は顔を赤くしながら言い放ったが、ガッシュにはそれが怒っている様にしか見えない。仲の良い2人だ。清麿と恵も相変わらずそんな彼等を見守る。
それから少しした後、ガッシュが何かを感知した。
「来る、クリアの術が来るのだ‼だがこれは……キャンチョメ達を襲った術ではない‼飛んでいるそのものに“意志”を感じるのだ‼」
ガッシュの魔力を感じたクリアが術を発動させた。その名は“シン・クリア・セウノウス・バードレルゴ”。牙の生えたくちばしと大きな腕を持つ巨大な鳥の骨のような姿をした術であり、術自体が意志を持つ。残り4~50分程で飛行機と接触してしまう為、清麿は
その頃、アメリカ合衆国の某州には数日前から烏間先生が出張で訪れている。先生は出張先に向かう為に徒歩で街を歩いていたが、上空を何かが超スピードで通り抜けていく感覚に襲われた。
(今のは何だ?まさかあのタコが抜け出して……いや、それにしては嫌な感じがする。そういえば今日まで高嶺君とガッシュ君が休みを取っていたな、魔界を滅ぼす魔物との戦いの為に。それと関係があるのか……)
烏間先生が感じた物こそバードレルゴである。彼もまたE組にて非日常的な体験をしており、超スピードで飛び回るクリアの術からにじみ出る何かを感じ取れた。
(胸騒ぎがする。2人共、無事に帰ってきてくれよ‼)
他のE組の面々と同様に、烏間先生もまたガッシュペアの身を案じる。
バードレルゴ発進より48分後、ガッシュペアは術が間もなく飛行機に衝突する事を感じ取る。ガッシュは魔力感知で、清麿は
「今だ‼」
「チャージル・セシルドン‼」
巨大な盾が飛行機の前に出現し、バードレルゴと衝突した。ティオの盾もシン級の術を受け止められる程に強くなっているがクリアの術はまだ生きている。その術が体制を立て直すと盾を自らの両腕で掴み、飛行機を落とそうとする。いきなり絶体絶命かと思われたその時、何者かがバードレルゴを弾き飛ばした。
「何が起こったの⁉」
「この魔力は……」
「来てくれたんだ……ウマゴン‼そして、サンビームさん‼」
バードレルゴを弾き飛ばしたのは新たな術の“シン・シュドルク”によって体が通常の何倍にも大きくなり、巨大な角とブースターの付いた強力な鎧によって空中を動けるようになったウマゴンだ。サンビームはウマゴンに乗りながら指示を出していたが、彼は空中にも関わらずウマゴンから飛び跳ねる。
「え、サンビームさん大丈夫なの⁉」
「ウマゴンと心が通じ合っているから問題ない‼完璧なコンビネーションだ‼」
これ程リスクの高い行動が出来るのは、ウマゴンペアがお互いを信用しきっている為だ。飛行機の中で見ていた恵は驚いたが、清麿はこのペアなら大丈夫だという答えを出す。
「グル‼グル‼グル‼グル‼」
一方空中ではサンビームの掛け声に合わせてウマゴンは超スピードでバードレルゴに攻撃を仕掛ける。ウマゴンは小回りを利かせて動き回る事で、バードレルゴの反撃を許さない。日本でこの術を使った時は満足に使いこなせていなかったが、今はクリアの最大級の術相手に優位に立ち回れる程にウマゴンペアは成長していた。
「グルーービーー‼」
ウマゴンの強力な一撃は、バードレルゴを海の水面に突き落とす。それでもウマゴンは攻撃を辞めようとせず、バードレルゴの尾に嚙みついて持ち上げる。
「AAAA‼RO‼CKUU‼NNN‼ROOOOLL‼」
サンビームの叫びに合わせて、ウマゴンはバードレルゴを岩石海岸に叩き付けた。彼のシン級の術により、スピードだけでなくパワーも強大な物になっている。そしてウマゴンは完璧なコンビネーションによって空から降りるサンビームを自分の背中に乗せた後、飛行機に乗る清麿達と目を合わせる。
「バアアアア‼」
しかしバードレルゴはまだ動きを止めない。クリアの意志を感じ取って本気で敵を消しにかかろうとしている。ウマゴンペアはそれに立ち向かおうとしたが、ガッシュペアは冷や汗を掻く。
「清麿、あれは⁉」
「いかん!今の奴は消滅の力を纏っている、それもウマゴンのシン級の鎧をも消してしまう程に強力だ‼」
清麿達は飛行機の中でウマゴンペアを見守りながら、彼等がその事に気付くのを祈る。この距離では直接伝える事も出来ない。しかし、そんな彼等の思いを感じ取ったかのようにウマゴンはバードレルゴと接触する寸前で避ける。しかし完全にかわし切る事は出来ない。ウマゴンの角と鎧の一部は消滅する。その後も彼等はクリアの術から逃げ続けるが、ティオペアがウマゴンの異変に気付いた。
「今は何とか逃げれてるけど、これってマズいんじゃ……」
「ウマゴンの体がボロボロになってるわ」
シン・シュドルクは強力な術だが、術者にかかる負担が非常に大きい。このままではウマゴンの命にも関わってしまう。それに比べてバードレルゴは強大な消滅の力を纏う事で自らの体が朽ちてきているが、体が失われる程にその速度は増す。このままウマゴンペアが逃げ切れればバードレルゴは消えてなくなるが、それは容易な事では無い。
「ウマゴンとサンビーム殿、頑張るのだ‼」
「ガッシュ‼何時でもウマゴン達を助けられるように、絶対に目を離すなよ‼」
「ウヌ‼」
ガッシュ達がウマゴンペアを応援する中、清麿は彼等を援護出来る最善のタイミングを見計らう。そんな中で術の副作用に苦しめられるウマゴンペアは絶体絶命と言っても差し支えない状況だが、ここで彼等の特訓の成果が活かされる。それは、アフリカで野生を経験した事によって手に入れた“生”への執念。そのお陰でウマゴンは限界を超えたエネルギーが体中にめぐらされる。そして見事にバードレルゴから逃げ切ったと思われた。しかし、
「清麿‼」
「……ガッシュ、外に出るぞ‼」
首だけになったバードレルゴが最大限の速度でウマゴンペアに食らいつこうとする。このままでは彼等に逃げ道は無い。しかし清麿はそんな彼等に道を作る為の答えを出し、ガッシュのマントに乗って飛行機の外に出る。
「ウマゴン‼」
「ジオウ・レンズ・ザケルガ‼」
ガッシュペアが電撃の鱗を持つ蛇を召喚する。そしてバードレルゴの首に穴をあける為にそれをぶつける。術を発動させた場所はウマゴンペアから離れていたが、ガッシュの声にウマゴンは気付く。そしてウマゴンはガッシュの術の巻き添えを喰らわないように鎧を自分達を包む流線形に変形させる。その後にガッシュペアの作った道に一直線に出て、無事にクリアの術から生き延びた。
バードレルゴ消滅後にウマゴンペアもまた飛行機に乗り込み、ウマゴンはティオのサイフォジオのよって元気を取り戻す事が出来た。しかし先程の戦いで飛行機のエンジンが一機止まってしまう。よって次の攻撃に耐えられる保証が無くなった為、ウマゴンがシン・シュドルクを使用し、清麿達を乗せてロッキー山脈に向かう事となる。
「皆‼これよりクリアの砲撃空域に入る‼ウマゴンの速さとティオの盾、持てる力を全て出して突破するぞ‼」
清麿の掛け声と共に、全員が気合を入れ直す。彼等とクリアの距離が縮まった為、クリアは超長距離砲で清麿達を狙う事が可能となる。この術“シン・クリア・セウノウス・ザレフェドーラ”もまた意思のある術で、クリアが消滅波を放出する砲台とその砲撃手及びクリアが狙いを定める為のヘッドギアを召喚する。その精度は正確無比で、狙った獲物は逃さずに確実に消滅波で滅ぼす。
「ウマゴン‼鎧を変形させて、皆の体をホールドするんだ‼」
「メル‼」
サンビームが指示を出すと、ウマゴンの鎧が清麿達の足に絡みつき、そのまま彼等を固定させた。その後清麿が術を出すタイミングをティオペアに指示しようとしたが、恵は砲撃の弾数と方向の大まかな指示のみで大丈夫だと断言した。彼女達も特訓を積み重ねており、完璧なコンビネーションでクリアの攻撃を防ごうとする。そして、
「来るぞ、前方正面の斜め上から1発‼」
清麿の言う通りにクリアの砲撃が近付いてきたが、ティオペアはそれを恐れない。彼女達は共に特訓を乗り越えた事で、お互いの息はピッタリだ。
「「チャージル・セシルドン‼」」
ティオペアはそれぞれ盾の名前を叫ぶ。術を出すタイミング、盾の角度、砲撃の勢いの殺し方及び消し方、全てが完璧だ。その後もクリアの砲撃は何発も彼等を襲うが、ティオペアは見事にそれを防いで見せる。
(私の力で、皆を守るんだ‼)
しかしクリアの砲撃も苛烈になる。弾数が増えてきているのだ。いかにチャージル・セシルドンが強くても、盾1つで防げる攻撃には限界がある。ところが、
「リマ・チャージル・セシルドン‼」
恵が新たな呪文を唱えた。この術は2つのチャージル・セシルドンを出現させて、ティオがそれぞれ片手で盾を操る。これならより多くの攻撃を同時に防ぐ事が出来る。しかし片手で相手の攻撃を受け止める事になる為、ティオの負担もかなり大きい。実際に彼女の両腕にはダメージが蓄積されている。
「ティオ、大丈夫かの⁉」
ティオの腕の怪我にガッシュが気付く。彼女のダメージが大きくなってもクリアの砲撃が止む事は無い。しかしティオは強気な態度は崩さない。
「大丈夫よ‼それより恵、砲撃は私達で全てはね返す‼良いわね⁉」
「はい‼」
「クリアに辿り着くまでガッシュには傷1つ負わせない‼ガッシュには、私達の明日を作ってもらうんだから‼」
ティオはキャンチョメの本が燃やされた事で不安と恐怖に飲まれかかっていたが、ガッシュのお陰で明日への希望を取り戻す事が出来た。ガッシュなら魔界を救ってくれる、彼女はそう確信している。そして彼等は陸に辿り着く。
その頃E組では通常通り授業が行われていたが、生徒一同どこか上の空で、あまり集中出来ていない。
「皆さん、心配なのは分かりますが今は授業に集中して下さい」
彼等はガッシュペアの身を案じており、更に放課後には渚の3者面談が控えている。広海が渚をE組から抜けさせる為に3者面談を希望したのだ。ガッシュペアが無事に帰ってきてくれるのかという心配及び渚がE組を抜けてしまうのではという不安で、内心授業どころではない。しかし、
「殺せんせー、そこの板書間違ってますよ」
「にゅやっ⁉」
「先生こそ、間違い多くない?」
「かたじけない……」
磯貝が殺せんせーのミスを指摘する。しかも倉橋が言うように1度や2度ではない。心配事で授業に専念出来ていないのは、殺せんせーも同じだ。
(高嶺君とガッシュ君、大丈夫かな?それに、僕の親の事も……)
渚もまた今後の事を考えて顔を暗くする。今日のE組の空気はいつもより重い。
場面は清麿達に戻る。彼等は無事に陸まで到着出来たが、何とザレフェドーラの砲身がそのまま射出された。至近距離からの射出による消滅波の威力は計り知れず、ガッシュペアがバオウ・ザケルガを発動させようとしたが、ティオがそれを止める。
「バオウだと砕かれた消滅波が下にいる人達に行くかも知れない、それは絶対にダメ‼」
清麿達が陸に辿り着いてからは、クリアは一般人も巻き添えにしかねないような砲撃を放つ。しかし魔物の戦いで無関係な人々が傷付く事は、彼等にとっては許されない。また、ティオが自分で攻撃を受け止めようとした理由はもう1つある。
「ガッシュと清麿には、万全の状態でクリアの元に行って欲しいの」
クリア程の強敵が相手なら、完璧なコンディションで戦いに向かわなければ勝負にならない。ティオはそれが分かっており、ガッシュペアを万全な状態で辿り着かせたかった。
「恵‼」
「はい‼チャージル・セシルドン」
ティオペアは盾を発動させたが、この規模の術をまともに受け止めればティオ自身もただでは済まない。清麿達もそれを理解しており、全員が苦虫を嚙み潰したような顔をする。そしてクリアの砲身がティオの盾に接触し、超強力かつ超広範囲な消滅波が放たれた。
(恵、清麿、ガッシュ、ウマゴン……皆と楽しく過ごせる明日をガッシュが作ってくれたから‼だから私も……)
クリアの攻撃と最強の盾とのせめぎ合いは壮絶だ。衝撃まで完全に抑える事は叶わない。しかしティオの守りたい心が最大限に発揮されたチャージル・セシルドンは、見事にクリアの攻撃を防ぎ切る。その後、彼女の意識は途切れた。
ティオが目を覚ますと体は地上についており、涙を流す清麿達に自分が取り囲まれていた。また恵が大声で彼女の名前を泣き叫んでいるのを聞いて、自分の本が燃えた事を察した。
「(皆、無事だ……)恵……あり、がと……」
「ティオ‼ティオ‼」
「そんなに泣かなくても大丈夫よ……後はガッシュ達に任せれば……」
顔が崩れる程に泣きわめく恵とは対照的に、自らの本が燃えたのにも関わらずティオは落ち着気を見せる。それどころか皆を守りきれた事やパートナーにお礼を言えた事で、安堵の表情をする。
(皆と別れるのは確かに寂しい……でも……)
そんなティオも寂しいと思う気持ちはあった。しかしそれ以上に彼女は安心していた。ここで自分が倒れてもガッシュが戦いに勝って新しい明日を作ってくれるのだからと、彼女は確信している。だからティオは別れる寂しさはあっても不安の感情は持ち合わせていない。
「ガッシュ、今までありがとう……後はお願いね……」
「分かっておる‼クリアは必ず倒すのだ‼」
ティオの意志はガッシュに引き継がれる。ガッシュは涙を流しながらも宣言する、魔界は自分が守ると。
「ガッシュ、じゃあね……また、明日」
「ウヌ‼また明日なのだ‼」
“また明日”、ティオは再びその言葉を口にする事が出来た。仲間たちは大粒の涙を流しているが彼女には不安の気持ちは無く、安らかな顔で魔界へ帰って行った。
ティオが魔界へ帰って少しした後、ガッシュがザレフェドーラの力が消失した事に気付く。術の本体が清麿達目掛けて発射されようとしたが、ブラゴのシン級の術がそれを阻止したのだ。
「急ぐぞ、清麿‼」
「ああ‼」
ガッシュペアは前に進もうとした。ティオは魔界へ帰り、ウマゴンは術の反動で体がボロボロ。もう自分達しかブラゴペアと共にクリアと戦う事が出来ないのだから。しかし、
「メル、メルメルメ~~~‼」
「2人共ウマゴンに乗ってくれ‼私の心の力では“ゴウ・シュドルク”が限界だが、それでもガッシュが清麿を背負うよりも何倍も速く走れる‼今は少しでも早くブラゴ達の下に駆け付けなければならない‼違うか⁉」
サンビームは呪文を唱える。今ブラゴ達と共にクリアを倒せなくては、魔界を救うチャンスは2度と訪れない。ウマゴンが満身創痍であっても、彼に乗せてもらう方がブラゴペアと共にクリアを倒せる確率は上がる。ガッシュペアには迷う時間すらない。そして2人はウマゴンの背中に乗り、クリアの元に向かう。
彼等はブラゴペアの応援に向かうが、ウマゴンの体が崩れ始めた。“シン”の術の反動が非常に大きく、本来は動ける状態ですら無かったのだ。
「ウマゴン……お主とは魔界の王の座をかけて、正々堂々と戦いたかった……」
ガッシュの願い、共に魔界の王を目指す為に死力を尽くしてせめぎ合う。しかしその願望は、クリアの手によって潰された。彼はそれが非常に悔しかったが、その思いを察したウマゴンは笑みを見せる。そして一層出力を上げて、クリアの元へと走る。
「メルメルメ~~‼」
ウマゴンはガッシュとの過去を思い出す。彼はかつて、自分の上に他の魔物が乗る事が気に食わなかった。そんな彼の事などお構いなくガッシュはウマゴンと友達になろうとするが、当然それは拒絶される。ある日、ウマゴンの父親が毒蛇にかまれた。薬を買う必要があるが、ウマゴンは言葉を話せない。しかし偶々近くにいたガッシュが事情をウマゴンの父親から聞いて、共に薬を買いに行ってくれる事になった。自分が散々拒絶してきたガッシュは迷う事なく手を貸してくれた。それを機にウマゴンはガッシュと仲良くなり、誰かを背中に乗せる喜びを感じる事が出来た。
ガッシュペアとウマゴンがクリアの元に駆け付ける一方で、サンビームは本からウマゴンの体が限界まで来ている事を感じ取る。そして彼は恵に頼んでウマゴンの本を燃やしてもらう。
「スマン、ウマゴン……よく頑張った……」
サンビームも恵も涙を流しながらの決断だ。しかしサンビームは悲しい気持ち以上に、ウマゴンがここまでやり遂げた事を誇らしく感じていた。
ウマゴンは体が透けながらもガッシュペアを乗せて走り続ける、自分の母親の言葉を思い出しながら。“もし魔界の王様になれなくても、本当に助けたいと思える人を助けられたら、それは王様になるよりも幸せな事だ”と。今の彼はそれを実現出来ている。だから体中が激痛を襲おうとも、ウマゴンが笑みを絶やす事は無い。
「ウマゴン……ウマゴーーン‼」
ガッシュの叫びと共にウマゴンは魔界へ帰って行く。2人は涙を流すが、足を止める時間は無い。ティオとウマゴンがここまで頑張ってくれたお陰で、ガッシュペアは万全な状態でクリアの元に辿り着ける。彼等の為にも、進むしかないのだ。
「乗るのだ、清麿‼」
ガッシュがマントを広げる。それに清麿が乗ろうとしたその時、彼等の隣を風が走る。そこには、本来いるはずのない者がいた。
「「な……どうして……」」
その存在を見たガッシュペアは言葉を失う。嬉しいとかそのような気持ちよりも、驚きの感情が彼等を襲った。そして目の前にいるその者は口を開く。
「来るのが遅くなったのは申し訳ありません。ここからは私も力を貸します。
“マッハ20”の速度ですぐに君達を目的地に連れて行きます、乗りなさい」
「「殺せんせー‼」」
彼等の元には、今も校舎で授業を行っているはずの暗殺対象が現れた。
読んでいただき、ありがとうございました。ティオとウマゴンが還る前に殺せんせーが助太刀に入る構想も考えましたが、あんまりしっくり来なかったので、クリアとの直接対決の直前に先生が来てくれる流れにしました。