ガッシュペアの暗殺教室   作:シキガミ

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 最近の投稿の頻度が下がっている事は申し訳なく思っています。


LEVEL.76 サバイバルの時間

 青チーム、赤チームともに準備が完了する。そして各々が配置に着いた事を烏間先生が確認した。

 

「では始めよう。クラス内サバイバル……開始‼」

 

烏間先生の合図と同時に2発の赤い凶弾が青チームを襲う。撃ったのは速水と千葉。標的は竹林と片岡。いきなり絶体絶命と思われたが、ギリギリの所で彼等はそれをかわした。カルマの指示で青チームのブレイン2人を開幕早々退場させる狙いだったが、それは失敗に終わる。

 

「ふぅ……間一髪だね。危なかった」

 

「高嶺君が事前にアドバイスをくれなければやられていたわ」

 

しかし清麿はそれを読んでいた。E組髄一のスナイパー2人が敵にいる。その射撃は最も警戒すべきであろう。そこで清麿は青チーム全員に狙撃が当たりにくい場所で待機するよう命じた。清麿は速水と千葉の射撃能力と周りの環境を全て計算した上で、彼等に安全地帯を教えたのだ。

 

「ナイスだ。竹林、片岡」

 

清麿は親指を上に立ててgoodの合図を2人に出す。清麿は弾が当たりにくい場所を皆に教えたが、それでも千葉と速水の射撃は侮れない。彼等ならそんな状況でも狙いを外さないかもしれない。しかし竹林と片岡は清麿の助言があったとはいえ、それを見越して自分の判断で射撃をかわす事が出来た。

 

「じゃあ、あれをやろうか」

 

竹林はペイント弾を仕込んだ筒を取り出すとそれを地面に置いた。中には爆薬が仕込まれており、それを使って赤チームの溜まり場に青のインクを降らせる手はずだ。しかし、

 

「ちょっ、何なの⁉」

 

不破が何かに気付いて指差す。その先には一機のドローンが飛んでいた。イトナが作った物であるが、それを見た清麿の顔色が変わる。

 

「皆ー‼それから離れろ‼」

 

清麿の予想通り、そこからは赤のインクが大量に発射された。青チームはそれをよけようとするが、不破と竹林に赤のインクが命中した。イトナの超高動機ドローンが猛威を振るう。

 

「うう、何てこと……」

 

「やられてしまったか」

 

死亡した2人は悔しそうな表情を見せる。ドローンは飛び回り続け、今度は清麿に狙いを定める。清麿は再び回避の体勢に入ろうとするが、突如何かがそれに命中し、ドローンは地上へと落ちる。

 

「イトナの奴、とんでもねーもん作りやがって!」

 

杉野が野球で使う軟球をぶつけたのだ。彼はそれを殺せんせー暗殺に使う為にも使っており、BB弾も仕込まれている。球を直接クラスメイトにぶつける訳にはいかないが、ドローンを落とす事くらいなら問題は無い。

 

「杉野、助かったのだ……」

 

杉野のファインプレーにガッシュ達青チームは感心する。そして清麿は竹林が作った砲台に近付く。

 

「相手の攻めが落ち着いた所で、取り合えずコイツを敵陣営にお見舞いしよう」

 

清麿が死亡した竹林の代わりに筒の下の台にあるスイッチを押すと、青いペイント弾が発射される。そして敵陣の上空からインクの雨が降り注いだ。

 

「これで敵も一網打尽なんじゃねーの?」

 

「いや、どうだろうな。何人やれる事やら」

 

前原が自信満々に言い放つが、清麿の表情が固い。そして彼の心配は的中する。青のインクが広範囲に降り注いだのにも関わらず、死亡したのは狭間と菅谷だけだった。赤チームもこの展開を読んだうえで動いていたのだろう。また清麿はこの場に青チームの1人がいない事に気付く。

 

「ガッシュ、杉野。一緒に来てくれるか?他の皆は磯貝と片岡の指示に従ってくれ!くれぐれも1人にはなるな!」

 

「お、おう……そっちは頼むぞ高嶺!」

 

清麿はガッシュと杉野を連れてその場を離れる。磯貝は清麿の意図を完全に理解する事は出来なかったが、彼の指示に従って片岡と共に陣形を組み直す事にした。

 

 

 

 

 そこから離れた場所では、岡島と千葉が青チームの女生徒にやられていた。

 

「嘘だろ……いつの間に背後に……」

 

「神崎さん、オンラインの戦争ゲームもやりこんでいたみたいだぞ」

 

2人を死亡させたのは神崎だ。彼女はゲームのお陰で狙撃手が潜みやすい場所及び守備に隙間が出来やすい地形を全て熟知している。そんな彼女は進撃を続ける。

 

 

 

 

 その頃神崎は旗を狙う為に、フィールドの外側から回り込んでいた。中央突破は難易度が高い為、彼女が走るルートで攻めるのが定石だ。しかしそれを理解しているのは神崎だけでは無い。カルマがそこに待ち伏せており、足で木にぶら下がりながら彼女を捕えようとする。その時、

 

『伏せろ、神崎』

 

神崎に通信が入ったと同時に一発のインクがカルマを襲う。カルマはつかさず体を起こしてそれを避けるが、神崎が地に伏せた事で彼女への攻撃は出来なくなる。

 

「チッ」

 

カルマは舌打ちをした後に、茂みに隠れて姿を消した。そして間もなく神崎と清麿達が合流する。

 

「神崎さん、間に合ってよかった」

 

「ゴメンね、1人で出しゃばっちゃったかな?」

 

杉野は安心した様にそう言うが、神崎は申し訳なさそうな顔を見せる。単独行動した結果、カルマに殺されかけたのだから。しかし彼女を責めようとする者は誰もいない。

 

「とんでもない、むしろよく千葉を倒してくれた」

 

「有希子、2人も倒して凄いのだ!」

 

ガッシュペアは彼女を褒める。スナイパーコンビの片割れを倒した事実は大きい。現状は青チームに分があると言える。しかし油断は大敵。彼等は今後の方針を話し合う。

 

「まずは敵の数を減らそうぜ。今のままじゃ旗は取るのは無理だろ」

 

杉野の言う通り、敵を倒して攻撃されるリスクを減らす事で初めて旗の奪取が現実的となる。赤チームの誰を初めに倒すべきか。司令塔となり得るカルマか中村、残ったスナイパーの速水、機動力トップクラスの木村・岡野コンビ、防御が得意の寺坂組、ドローン使いのイトナ。赤チームは強敵揃いだが、清麿は意外な人物の名前をあげる。

 

「……三村を倒しておきたい」

 

「三村君?」

 

清麿を除く3人は怪訝な顔を見せる。単純な戦闘能力で言えば、他の赤チームと比べて三村は高くない。しかし彼の長所はそこでは無い。清麿が話を続ける。

 

「ガッシュ、菅谷達と美術館に行った時の事を憶えているか?その時にアイツ、テレビ業界のプロデューサーなどの仕事に就きたいって言ってたんだよ」

 

「ウヌ、美術館は楽しかったのだ!」

 

「そういう事を言ってるんじゃない!」

 

清麿はガッシュにツッコミを入れつつ話を続ける。彼は将来の夢に向けて広い視野を持つよう心掛けている。三村はそれを活かして死神を欺いた事すらある。清麿はその能力が、青チームにとって脅威になると決め打った。

 

「例えばあそこで三村が青チームを監視するとどうなると思う?」

 

清麿は烏間先生の左後方に見える高台を指差す。彼の言う事にガッシュと杉野はピンと来ていない様子だが、神崎が何かを察した様に口を開いた。

 

「三村君の広い視野で、私達の場所が筒抜けになるって事?」

 

神崎の解答を聞いた清麿が頷く。赤チームの指揮をカルマが取る以上、彼は三村の長所に気付くはずだ。

 

「正解だ。そんな事になれば俺達は圧倒的不利な状況に追い込まれる。だから他の連中も最大限に警戒しつつ三村を倒す。それにフィールド全体を見渡せられるのはあの高台位だ。仮に三村がいなくても、そこを占拠出来れば悪い様にはならん」

 

彼等の目的地は決まった。4人は周りに注意を払いながら高台を目指す。

 

 

 

 

 清麿達は磯貝チームと連絡を取りながら高台を目指す。その際に片岡と、自陣の旗付近で無人トラップを仕掛けていた原が死亡した事を知る。そして彼等は目的地付近に辿り着いた。

 

「ウヌ……向こうから2人分の匂いがするのだ」

 

「三村とその護衛だろうな。赤羽の奴、用意周到なこった」

 

カルマは青チームが三村に気付く事を見越してもう1人をそこに配置していた。彼等は話し合った結果、そのもう1人はガッシュが相手取る事になった。

 

「ガッシュ、気を付けろよ。お前に施しているカモフラージュは激しく動くと簡単に落ちる。そうなれば遠距離からの射撃の的でしかない」

 

「分かったのだ」

 

助言を聞いたガッシュが高台に近付く。すると木の陰から2発の赤いインクが放たれた。しかしガッシュはそれをかわす。そして彼はインクを放った敵に戦いを挑む。その相手は木村だ。木村の機動力に加えてガッシュはカモフラージュを落とさないように動きが制限されている。魔物だからと言って一概にガッシュが有利とはいえない状況だ。

 

「頼んだぞ、ガッシュ」

 

「じゃあ、三村君は私が撃つね」

 

杉野が呟くと、神崎が前に出た。

 

「げっ、神崎さん!」

 

神崎が銃から青いインクを放つ。三村が気付いた時はすでに手遅れ。彼にそれが命中する。しかし同時に神崎には赤いインクがつけられていた。速水の遠距離射撃だ。

 

「それじゃあ、後はよろしくね」

 

「神崎、お前……」

 

「そんな、神崎さん……」

 

彼女が笑みを浮かべながら2人に託す。この時清麿と杉野は察した。何故彼女が率先して三村を倒しに行ったかを。この場の青チームの中で、単純な戦闘能力なら神崎が劣るだろう。それが分かった彼女は速水の射撃圏内にもかかわらず、自分の身と引き換えに三村を撃ちに行ったのだ。そして清麿は次の手を考える。

 

「速水の射撃は俺が食い止める。木村はガッシュに任せる。杉野、お前は新たな敵が来ないかを見張っててくれ」

 

「食い止めるってどうやって……」

 

「そんな物は決まっている」

 

指示を聞いた杉野の頭に疑問符が浮かぶが、清麿は自信ありげな表情で銃を取り出す。しかし彼が使おうとしているのはいつものハンドガンでは無く、ライフル型のそれだった。

 

「速水相手に銃撃戦かよ」

 

杉野は苦虫を嚙み潰したような顔を見せる。銃撃戦は速水の一番の得意分野。彼女の土俵に清麿は堂々と上がりこもうとしている。しかし清麿が一発インクを撃つと、速水の射撃の頻度は下がった。

 

「速水の動体視力とバランス能力……インクを当てるには至らなかったか」

 

「いや、牽制出来てるだけでもスゲーよ」

 

射撃をかわされた清麿は悔しがるが杉野は感心する。杉野は清麿も器用ではあるが、彼が銃撃戦で速水相手にここまで戦えるとは思っていなかった様子だ。清麿はもう一発放つ。

 

(これもかわすのか……それに……)

 

清麿は周りの環境を全て計算して速水に狙いを定めるが、彼女を捕えるのは容易では無い。それどころか速水はインクをかわしつつ、どのような体制でも反撃を行ってくる。不安定な木々の上でも彼女の射撃の命中率が下がる事は無い。

 

(アイツの身体能力を活かした射撃が強力すぎるな……だが……)

 

清麿は銃撃を仕掛けながら手応えを感じている。自らの射撃能力の向上を。実戦を経て清麿も成長を遂げている。

 

 

 

 

 場面は木の陰の速水に移る。清麿の射撃をかわす事自体は出来たが、その正確性には彼女も驚いていた。

 

(高嶺の射撃がここまで正確とは……呪文や【答えを出す者】(アンサートーカー)だけがアイツの強みじゃないのは分かってたけど)

 

速水は怪訝な顔を見せる。清麿は訓練時も赤い本を手放す事は無かった。それは射撃の時も同様。彼は常に片手が塞がった状態だった。しかし今は違う。呪文の使用が禁止された事で彼は本を持つ必要が無い。清麿の両手がフリーになった事に加え、本来彼が持つ計算能力と空間把握能力。これらによって清麿の射撃能力は格段に増していた。

 

(気を抜いたらやられるわね……でも千葉には及ばない)

 

速水は再び清麿の射撃をかわす。清麿の隠れた刃が露わになった瞬間だが、遠距離射撃の経験値なら速水と千葉が勝る。彼女は変幻自在に木の上を動き回り、自らも銃撃を加えていく。しかし射撃を回避出来るのは清麿も同じだ。

 

(高嶺に当てるのも簡単じゃないみたいね。長引かせるのも得策じゃない。なら……)

 

速水は清麿の射撃能力の向上に気付く。このまま勝負を続けるのは彼女にもリスクがある。そこで速水はある事を思いつく。

 

 

 

 

 場面は再び清麿に戻る。木に体を隠しながらの攻撃。彼は射撃の慣れを感じているが、油断は出来ない。少しでも気を抜けば、それは敗北に繋がる。

 

(くっ……もう少し顔を出したいが、そんな事をすればたちまち赤いインクの餌食だ。あともう一歩なのに!)

 

樹木に隠れながら清麿は悔しがる。速水の射撃は苛烈を極める。清麿も反撃して牽制はしているが、彼女を仕留めるには至らない。樹木からギリギリ顔を出さない位置での射撃が精一杯だ。その一方で杉野は周りを警戒しながら上を見渡す。すると上空では、2人の小柄な女生徒によるハイレベルなナイフ術での対決が繰り広げられていた。茅野と岡野の対決だ。

 

(茅野の奴、岡野と互角にやり合ってやがる!)

 

茅野の身体能力は触手のせいで鈍っていたが、今はその憂いも無い。岡野の足につけられたナイフの連撃も難なくかわして見せる。そして2人は清麿の存在に気付く事無くその場を去った。杉野は一瞬だけ彼女達の方に注目するが、その隙を速水は見逃さない。赤いインクが清麿では無く杉野目掛けて放たれる。

 

「わりぃ、高嶺。喰らっちまった」

 

杉野が悔し気な顔を見せる。清麿にインクを当てられない事に痺れを切らした速水は、隙を見せた杉野に狙いを変えたのだ。杉野も極力射撃が届かない場所で清麿の護衛をしていたが、一瞬だけ意識が逸れた事が致命傷となった。

 

「気にしなくて良い。速水を仕留められなかった俺が悪い(リスクを冒してでも前に出るべきだったか……)」

 

清麿は安全策を取った結果、杉野が赤いインクを受ける事となった。彼は顔をしかめる。しかし、その後からの速水の銃撃が来ない。彼女もまた清麿の射撃を警戒して、杉野を倒した後に撤退した。その時に速水が非常に悔しそうにしていた事は、本人しか知らない。

 

(1人になってしまったか……そういえば茅野と岡野はガッシュ達と同じ方に向かったな。ひとまずそこに進むか)

 

清麿はガッシュと茅野の援護に向かう。

 

 

 

 

 時は少し遡る。清麿が速水と銃撃戦を繰り広げていた一方で、ガッシュは木村を追いかけ回していた。

 

「ゲッ……!」

 

「ウヌー!また外したのだ!」

 

ガッシュと木村はハンドガンを持ちながらお互いに撃ち合う。木村は何度か樹木に隠れてガッシュを狙おうとするが、彼の嗅覚によってその場所は筒抜けだ。しかしガッシュは射撃が得意では無く、木村に攻撃を当てられない。

 

(隠れてもガッシュにはバレる!それなら……)

 

(本当はナイフを使いたいのだが、接近戦はリスクが高いのだ!)

 

木村の身体能力が高くても、まともに一対一で戦えばガッシュ相手は分が悪すぎる。ガッシュもまたナイフをもって懐に飛び込みたい所であるが、それでは彼の体が露呈してしまう。その隙を速水は見逃さない可能性が高い。彼女なら清麿の銃撃をかいくぐってガッシュに狙いをつける事すらやってのけてもおかしくない。

 

「どうしたガッシュ!ナイフは使わないのか?」

 

木村はガッシュを挑発する。まともな戦闘ならガッシュに勝ち目は無くとも、一瞬だけ隙を作らせる事なら可能だ。その隙を木村又は他の赤チームがつければ、ガッシュを退場させられるのだから。

 

「ヌゥ……清麿に言われておるからの……」

 

ガッシュは小声で呟く。清麿の助言。ガッシュは超体操着による迷彩を施せていない為、他の生徒と比べて居場所が露呈しやすい。清麿に施されたカモフラージュも激しい動きをすれば取れてしまうだろう。そうなれば遠距離からの攻撃の餌食だ。だから安易にナイフを用いた接近戦をするべきでない。そう彼は指示を受けていた。少しの沈黙の後、ガッシュと木村は決断を下す。

 

「「ならばこの一撃で!」」

 

2人は同じタイミングで体を樹木から露呈させ、お互いに銃口を向けた。その時、上から2人の女生徒が降りて来る。

 

「ウヌ、カエデ!」

 

「岡野じゃねーか!」

 

先程まで上空でナイフ対決を繰り広げていた茅野と岡野が合流する。少しの間無言でそれぞれ敵を睨み合うが、先に岡野が口を開く。

 

「ここなら速水さんの射撃の範囲外だよ、かかってきたら?」

 

彼女の発言の真偽は不明だ。ガッシュも茅野もうかつに信じる訳にはいかない。しかしいつまでも動きを止めていても仕方が無い。各々は臨戦態勢に入る。

 

「私が掩護する。ガッシュ君、ナイフ使って良いよ!」

 

茅野が銃を取り出すと同時に青いインクを放つ。それが開戦の合図となり、ガッシュはナイフを取り出して木村と岡野に突っ込む。

 

「ガッシュ!今度こそ勝たせてもらうよ!」

 

岡野もまたナイフを構えてガッシュに迫る。単純な力比べになれば当然ガッシュが勝る。そこで岡野は身軽さと木村との連携を活かしてガッシュに一撃を当てようと狙う。そしてガッシュの意識が岡野に向かった事を木村は見逃さない。

 

(今だ‼)

 

木村は銃を構える。そして彼はガッシュにハンドガンを向けたが、彼は自身に青いインクが迫った事に気付く。

 

「させない!」

 

「うわっ、あぶね!」

 

木村はギリギリで青いインクをかわすが、茅野の猛攻は止まらない。彼女は木村や岡野にも引けを取らない身体能力を隠し持っていた。茅野の連射は続く。木村がかわしながら、同じくハンドガンで赤いインクを放つ。しかし茅野はそれらを避け続ける。

 

 

 

 

 その頃岡野は木の上で、足にナイフを装備してガッシュに足技を仕掛ける。彼女の技により、十数本のナイフの蹴りがガッシュに襲い掛かるようにも見える。しかし当たらない。

 

(全部かわされてる‼このままじゃヤバい‼)

 

岡野は攻撃一辺倒で少しでもガッシュを近付かせない様にする。防御に回った瞬間に敗北は決まる。それ程に魔物の身体能力は恐ろしい。

 

「ひなた……攻撃が速くなっていくのだ!負けてられぬ!」

 

ガッシュの目の色が変わる。彼は本気を出す決断をした。体のカモフラージュに気をつかって手加減をしていれば勝負が長引く。その間に茅野が木村に負けるかもしれない。戦いではいつ不測の事態が起こるか分からない。だからガッシュはリスクを冒してでも、この一撃で岡野を倒す事を決めた。

 

「嘘!このスピードは⁉」

 

ガッシュの速度が増す。岡野の足技を全て紙一重で見切る。そして彼は距離を詰め、岡野の懐まで飛び込んだ。

 

「これで決めるのだ!」

 

ガッシュはナイフを使い、一瞬で岡野を切り裂く。それと同時に彼女は地面に尻もちをつく形で転落した。ガッシュが岡野の前に立つ。

 

「悔しい、また勝てなかった……」

 

「ひなた、強かったのだ!」

 

ガッシュはしゃがみ込む岡野に手を差し伸べる。その手を彼女は取ると、そのまま立ち上がって言い放つ。

 

「次こそ負けないから!」

 

「ウヌ!」

 

岡野はそう言い残してその場を去った。しかし彼女はガッシュに負けても、どこか清々しい顔をしていた。ライバルと全力で競う事が出来たからだろう。岡野に後悔は無い。彼女のそんな表情を見たガッシュも嬉しそうにする。そして彼は嗅覚を頼りに茅野と木村の方に向かった。

 




 読んでいただき、ありがとうございました。サバゲー編はもう1話続きます。
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