オレが目指した最強のゴンさん   作:pin

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 お久しぶりです作者です。燃え尽きて灰になってましたが、またゆっくり投稿していこうと思います。ルビコニアンデス車輪は強敵でしたね。



小話3 その後の天空闘技場 ヒソカ VS キルア

 

 

 

 時は会長選挙が決着した後の、ハンター協会が少しだけ落ち着いた頃まで遡る。

 キメラアントの事後処理や暗黒大陸への対応を新体制になった首脳陣が話し合っていた頃、キルア達ゾルディック組は手持ち無沙汰となっていた。

 ゴンは代理を立てたとはいえ新会長ということで会議に引っ張られ、レオリオやクラピカは十二支んの新メンバー加入の打診により手が離せなくなり、他の知った者達は大半がキメラアントの事後処理に加わってしまった。

 アルカとナニカに世界を見せようとしていたはずが早速足止めを食らってしまい、それでも見るものすべてが新しく楽しそうな毎日を過ごす妹達に安心と申し訳無さを感じていたキルアの元にヒソカが姿を現した。

 

「ゴンの側離れるってどうした!? まさかお前クソ兄貴か!?」

 

「会議の邪魔だって追い出されちゃった♣まああのメンバーに囲まれてたら安全だし、会議が長くなるのは嫌だししょうがないかなって♦」

 

 現在会議室にはゴンとジンのフリークス親子に、副会長ズのパリストンとチードル、新たに監査委員となったテラデインとブシドラ、そして十二支ん残留を決めたボトバイとミザイストムの新首脳陣が多く揃っている。

 しかもアドバイザーとしてネテロもここに加わっており、さすがのヒソカも自分の方が戦力的に弱いと認めざるを得ない。

 ゴンを長期間の拘束はしないから大まかな方針だけでも決めさせろと言われれば、その後の輝く蜜月を想いながら我慢するしかなかった。

 

「そんなこんなで暇なんだ♣だから同じゴンを追う者同士ってことで、成長の慣らしも兼ねて一戦ヤラないか聞きに来たってわけ♠」

 

「アルカとナニカは治療もできるけどよ、あんまり派手に暴れたらレオリオがブチ切れんぞ?」

 

「その点も問題なし、前に天空闘技場が愉快なことになってるって言ったでしょ? ルールありのガチンコならいい勝負になると思うんだよね♦」

 

「…それならありだな、申し込んだらいつ試合組まれるんだ?」

 

「即日♥」

 

「マジで?」

 

 思い立ったら即行動、キメラアントとの死闘により進化したピエロと雷神は、その力を確認するべく天空闘技場へと出発した。

 

 

 

 

 

 満員の観客が見下ろすリングで向かい合うヒソカとキルア。

 

 観客の中には知らされていなかったため驚愕するウイングや、心配そうに見詰めるツボネにはしゃぐアルカとナニカもいる。

 そんな興奮冷めやらぬ人々注目の2人は、一定の間合いまで歩み寄るとどちらともなく緩やかに円を描いて足を動かし続ける。

 

「こうして対峙しているとよくわかる、本当に強くなったねキルア♥」

 

「けっ、てめぇもなヒソカ。差は縮まったけどまだ遠いか」

 

 嬉しそうに嗤うヒソカと眉をひそめるキルアの表情は、そのまま2人にどれだけ余裕があるかの表れだった。

 進化という言葉ですら陳腐になるほどの成長を遂げたキルアだが、ヒソカの地力と弛まぬ研鑽は実力の差を埋めるにはまだまだ足りていない。

 

「ここなら多少の無茶どころか結構な無茶ができる♠レオリオのいるハンター協会直通の鍵もせしめてるし、キルアも色々気にしないで本気の全力で来なよ♥」

 

 今回ヒソカがキルアとの試合で人目もある天空闘技場を選んだ理由、それは致命のダメージを軽減する能力者の存在。

 修羅となったキルアだがその戦闘スタイルの根幹にあるのが暗殺者なのは変わらないため、真の実力を発揮するにはどうしても相手を殺すつもりで戦わなくてはならない。

 実は普段の組手でもヒソカに対しては殺すつもりで挑んでいるキルアだったが、そこそこ気心の知れた相手を殺す可能性がある以上刹那に満たない極薄の躊躇くらいはあったかもしれないことは否めない。

 

 そのナノメートルに満たない極小の踏み込み、それで勝敗が変わりかねないほどの高みにキルアは到達した。

 

「おいで、期待ハズレなら食べちゃうぞ♥」

 

「きっしょ、吠え面かかせてやる」

 

 歩くキルアが突如神速(カンムル)により雷光をまとい、目にも留まらぬ速攻をしかける。

 速度は覚醒したネフェルピトーに及ばぬものの、予備動作のなさによる予見しにくさなど対人に限ればむしろ脅威度は上をいく。

 圧倒的速度と反射によるヒットアンドアウェイ、伸縮自在の愛(バンジーガム)を警戒した刃状のオーラや電撃による攻撃を繰り返す。

 

 観客は疎かウイングですらほとんど視認できない猛攻を、ヒソカは満面の()みで真っ向から迎え撃つ。

 

 キルアの繰り出すオーラの刃には完全に同量かつ同質の刃でもって迎撃し、電撃はゴムの性質を持つバンジーガムで包み込むようにして対処していく。

 共にあり得ないほど高次元のオーラコントロール、そして変化系の極致とも言える発の運用速度による演戯。

 数秒の間に数多の攻防を繰り返した二人は、弾かれたように間合いを空け息すら乱さず再び向かい合った。

 

「やっぱバンジーガムは相性最悪かよ、ゴンよりオレのがキツイとか笑えねぇ」

 

「準備運動はもういいかい? 早くキルアの全てを魅せてよ♠」

 

「焦れてんじゃねぇよ変態。余裕がないのはこっちなんだ、こっからは最初から最後までフルスロットルってな!!」

 

 準備運動の時点で声のない観客を置き去りに、キルアはポケットから4本の念電池を取り出す。

 デフォルメゴンさんが描かれた念電池を正確無比にリングの四隅に投げ放つと、互いがオーラと電気によって共鳴し合い雷による檻が形成された。

 

監獄雷廟(オリガミ・ハコ)、大人しく死んでくれや」

 

「あぁ、本当に、本当に君達は最高だ♥」

 

 雷に囲まれたリングの上、キルアは取り出した特製ヨーヨーに足を乗せ電磁浮遊により浮かび上がる。

 電気を通さない故に天敵となるバンジーガムへの対応策、自身の雷化ではなく電気を戦いのサポートに使うための能力行使。

 

 見下されるヒソカがバンジーガムの反動も含めた自身最速の動きで身を捩り、しかしそれでも躱しきれずにその頬から一筋の血が流れ落ちた。

 

「マジできしょいな、なんで躱せんだよお前」

 

 キルアはただヨーヨーを回転させただけ、ただしそのヨーヨーは電磁加速により超速で回転したうえで内蔵された合金製の針を射出していた。

 

「…クフッ、クフフフフ♥」

 

 覚醒ネフェルピトーすら速さでは届かなかったヒソカに、純粋な速度による攻撃を届かせる偉業をなしたキルア。

 

「いぃ、すごくいぃよぉキルア♥それでこそ、それでこそボクのライバルだ!!」

 

 ヒソカにとってゴンは最愛の人、恋焦がれる自身の空白を埋めてくれた最高の存在である。

 そこにはもはや勝ちたい負けたくないといった思考すら少なくなり、ただただそこに在ることへの感謝と悦びしか感じなくなって久しい。

 

 ヒソカにとってキルアは競争相手、同じ頂を目指し隣で走る唯一同列と認めた存在である。

 まだまだ成長途中で物足りなさを感じる時があるものの、だからこそ間違いなく自分の高みまで来ることを確信させる極上の青い果実。

 

 これからも強くなっていくだけのネテロやビスケでは足りない、これからも爆発的進化をしていくキルアにだからこそ与える最大級の評価。

 

奇術師のイタズラ(ナイトメアディール) ――」

 

 アルカ(ナニカ)によって念の誓約を解消させたことにより、あらためて使えるようになった奇術師の嫌がらせ(パニックカード)の任意ドロー。

 今回ヒソカが選んだのはキルアと相性抜群♡のロイヤルストレートフラッシュではなく、放出系に補正がかかる♢のロイヤルストレートフラッシュ。

 

「“線香花火”、一緒に踊り狂おう♠」

 

 ヒソカの背後に5枚のパニックカードが浮かび上がり、身体のいたるところからオーラが火花のように散る。

 放出されたオーラは完璧以上にコントロールされ、あるものはトランプを媒体に、あるものはパニックカードを媒体に周囲を緩やかに旋回していた。

 

「見下されるのは好きじゃないんだ、やっぱり同じ目線で向き合わないとね♥」

 

 旋回するトランプの一つを足場にし、電磁浮遊するキルアと同じ高さまで舞い上がるヒソカ。

 凡百の能力者では候補にすら上げられない飛行という絶技を発のおまけで成し遂げる異常者達は、発として一生をかける価値の有る空中戦を開始する。

 

 直線的ながら一瞬の加減速によるキレと、高速射出される針を使って攻めるキルア。

 

 速度はキルアに及ばないながら滑らかさと精密さに優れ、大量のトランプで縦横無尽に攻めるヒソカ。

 

 被弾自体はキルアが多いながら一瞬の雷化で誤魔化し、高速すぎ躱しきれない故にヒソカの負傷が増えていく。

 

 キルアのオリガミ・ハコ、そしてリングに致命傷軽減及び流れ弾を防ぐ結界を張る能力者が限界に達する寸前、死神の鎌と雷神の槍が決着をつけるべく振りかざされた。

 

雷天大槍(ヴィジャカムイ)!!」

 

奇術師の病愛(グリムリーパー)♠」

 

 束ねた針にオーラを変化させた雷を纏わせ、一本の槍を“具現化”させ高速で射出するキルア。

 

 パニックカードを連結させ、刃状に変化させたオーラにより形成した禍々しい大鎌を薙ぐヒソカ。

 

 音すら置き去りにされ切り払われ、嘘のような静寂に包まれたリング。

 

 いくつも針が突き刺さり、所々電撃で重度の火傷を負いながらも、急所だけは守りきったヒソカが天を仰ぐ。

 

「最高だった、今度はルール無しでヤルのも良いかもね♥」

 

 未だ空中に佇むヒソカの眼下、大きく体を切り裂かれたキルアがリングに横たわっていた。

 

『〜〜っ! 決着!! 決着です!!! エキシビジョンマッチ、キルアVSヒソカはヒソカ選手の勝利です!! オラァ治療班何やってんの!? 早くキルアきゅんを治療しなさい! 傷でも残ったらぶっ殺しますよ!!』

 

『素晴らしい、“キング”ゴンとの試合すら超える超常の試合を見せてもらった。この場にいる幸運を神に感謝する』

 

 推しの危機で真っ先にフリーズから脱した実況を皮切りに、解説が、そして観客が未だ嘗てないファンタジーな激闘に喉が張り裂けんばかりに絶叫した。

 

 所属する念能力者達が大したレベルではないと判断されハンター協会も目を瞑っていた天空闘技場だったが、念の秘匿を完全無視したこの所業に何人かが頭を抱えることになる。

 

 キルアとヒソカの組手以上死闘寸前の本気の戦い、追い縋る雷小僧は果てしなく遠いあと一寸を掴めずピエロに敗れた。

 

 

 

 

 

「こっちはクソ忙しいのに馬鹿なことしてんじゃねぇよ!? ヒソカの針はさっさと抜いといてくれ、止血はそいつが勝手にする! キルアの輸血と火傷に効く軟膏をありったけ準備してくれ!」

 

『了解ですレオリオ先生!!』

 

 以前よりさらにパワーアップした天空闘技場の治療室、主治医の貫禄を発揮するレオリオは致命傷を免れながらも十二分に重傷なキルアとヒソカを驚異的スピードで治療していく。

 

「本当に治さなくていいの?」

 

「あい?」

 

「バカ共を甘やかすんじゃねぇ、お前達のソレがなんの代償もないとは限らねえんだ。安心しな、ちゃんと完璧に治療するからよ」

 

 不安そうにズボンを掴むアルカとナニカに笑いかけたレオリオは、動きにくそうにはしながらも決して引き剥がすことなく治療を続ける。

 能力により雑菌等の心配がないとはいえ子供がいるという問題だらけの状況だが、レオリオに心酔する他のスタッフ達は口を挟むことなく驚くほど進化したその技術を記憶しようと目を血走らせていた。

 

 

 

 超進化を成し遂げた修羅達の姿を目の当たりにし、各々が多くのことを学び成長への足がかりを手にした天空闘技場。

 念の秘匿に喧嘩を売ったことでハンター協会からテコ入れが入ると思いきや、それ以上の地雷だった暗黒大陸の暴露、そして人類そのものの強化を推進する派閥によりお咎めなしとなった。

 野蛮人の聖地から武闘家の聖地と呼ばれるようになった天空闘技場、聳え立つ塔はその頂を更に高めんと群雄割拠に突入する。

 

 

 

 チームバトルとエキシビジョンマッチにより影響を受けてしまった闘士達抜粋。

 

 フュージョンを会得しさらなる力を得たカストロ。

 

 発の影響が能力だけでなく身体にも作用するようになりデカマッチョにもなれるようになったズシ。

 

 摩擦の強化を極め空気そのものを投げられるようになったゴードン。

 

 使い難い命の音(カウントダウン)を様々な爆弾を具現化するように調整した爆弾魔(ボンバーマン)ゲンスルー。

 

 ゲンスルーとタッグを組んだとき乗り物になったりしてサポートするようになったサブとバラ。

 

 独楽が火や電撃はもちろん氷や風など様々なエレメントを纏い、ローラースケートのように使って高速移動も可能になったリアルベイブレード・ギド。

 

 

 念の秘匿を一切気にしないバカ共の集まりは、人類が念を緩やかに認知していくことに多大な貢献を果たし、無意識下の能力者を結構大量に生み出した。

 

 

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