オレが目指した最強のゴンさん   作:pin

12 / 116

WARNING!

前書きで失礼します。作者です。
今話にはこの小説最大のご都合主義、独自解釈が含まれております。
ここまで読んでくださっている読者なら大丈夫だと思いますが、ご注意ください。


第10話 4次試験開始とヒソカの誤算

 

 

 皆さんこんにちは、いよいよスタートする4次試験にわくわくドキドキが止まらないゴン・フリークスです。

 

 

 4次試験は無人島で行われる受験者同士のナンバープレート争奪戦。この試験内容が発表された瞬間、ここまで残った精鋭の受験者達が一斉にある人物から距離を取った。

 空白地帯の中心で、自らの体を強く掻き抱くヒソカ。その表情には歓喜とも悲哀とも取れるほど複雑な感情が渦巻き、溢れ出るオーラは他者に恐怖と絶望を与える禍々しさを孕んでいた。

 皆がヒソカを警戒しながらもルールの説明は続き、自分とターゲットのプレートが3点それ以外が1点で計6点分のプレートを集め一週間守り抜けばクリアだと述べられる。

 

「では3次試験のクリア順にこの箱からターゲットの番号が書かれたクジを引いてもらう。島へ入る順番も同様だ、余計な手間をかけず迅速に動け」

 

 受験者がクジを引いていく中、多数決の道のため5人同時にクリアしたゴン達は囚人との5連戦の順番で引くことに決める。話し合いの間も互いに視線を向けないゴンとヒソカだが、試験官達とギタラクルの目には互いに押し潰し合うような両者のオーラがありありと映っていた。

 そしていよいよゴンの順番となり、一呼吸置いたあと残り少なくなった箱から一枚のクジを引き抜く。クジに書かれた44番を確認したゴンは、その数字を誰でも見えるように掲げるとヒソカに向かって言い放つ。

 

「島に入ったらプレート貰いに行くから、良さそうな場所確保して待っててね」

 

「〜ッ♥あぁ、待ってるよゴン♥一秒でも早く会いに来てね♥」

 

 もはや隠すこともないオーラに周りが威圧される中、見かねたネテロが失格をちらつかせることでやっとクジの続きが再開するのだった。

 

 

「ごめん皆!ちょっとテンション上がりすぎちゃった」

 

 島へ到着するまでの僅かな時間、盛大にオーラを溢れさせていたゴンはキルア達に平謝りしていた。ヒソカと互いにオーラを向けあっていたため、直接向けられるよりは余程マシだが気分の良いものでは決してない。

 

「まぁ何が起こってるかわかってた分他の奴らよりはマシだったしもういい。それよか本当に大丈夫なのかよ、相手はあのヒソカだぞ?」

 

 代表して口を開いたキルアが、先の宣戦布告について苦言を呈す。サバイバルなのだからわざわざバカ正直に戦う理由もない上、何なら他の受験者から3枚プレートを集めてもクリアは出来るのだ。

 クラピカやレオリオも、トリックタワーで垣間見たヒソカの実力に安全策を取ることを提案してくる。

 

「確実に勝利できるというならまだしも、ゴンやヒソカの反応から見るに実力は拮抗しているのだろう?今更遅いのかもしれないが、あえて危険に身を晒す理由はない」

 

「そうだぜゴン、トリックタワーじゃ世話になったがヒソカは元々碌な奴じゃなさそうだ。試験に合格するために回避しても誰も文句は言わねえよ」

 

 3人からの心配に申し訳ない気持ちになりながらも、ゴン自身この勝負を降りる気はさらさらない。自分が目指す最強(ゴンさん)は、こんな所で足踏みしていて到達できる次元には存在しないのだ。

 

「大丈夫!いざとなったらギンに助けてもらうから、最悪でも死ぬことはないよ。それにオレ自身ヒソカとの勝負が楽しみなんだ!絶対勝って気兼ねなく修行できるようにするから、皆もできるだけ早くプレート集めてね」

 

 短い付き合いながら、こうなるともう聞く耳を持たないとわかるためこれ以上は余計なお節介かと苦笑いする3人。ならば少しでも長く修行しようと、言われたように早くプレートを集めるために打ち合わせを行う。

 

「オレは一人のがやりやすいから勝手にやるわ。何ならゴンが負けたとき用で多めに集めてきてやるよ」

 

「ならば私とレオリオはペアで動こう、一人より効率が良いだろう」

 

「よっしゃ!頼むぜクラピカ」

 

 やる気を漲らせるキルア達に目を細めながら、心のなかで改めて感謝を告げる。ゴンが最強を目指す以上、どれだけ言い繕っても修羅の道を進むことになる。ひょんなことから堕ちそうになったとしても、必ず手を差し伸べ引き上げてくれるのだろう。

 

「こっちが一段落したらギンに道案内に行ってもらうから、プレートがまだだったら手伝ってもらってね」

 

 それから程なくして4次試験会場ゼビル島に到着し、受験者32名によるプレート争奪戦がスタートするのだった。

 

 

 

 ヒソカがゴンとの逢瀬の場に選んだのは、島の中央にほど近い拓けた広場だった。そこそこの広さがあるため第三者の介入にも対応しやすく、小細工なしにやり合うには絶好の場所といえた。

 広場の中心で座りもせずにゴンを待つヒソカは、特に罠を仕掛けるようなこともなくただオーラを滾らせ佇んでいる。

 ヒソカはゴンと出会った際に100点と評価しているが、それはあくまで将来性も鑑みての点数であり戦闘力だけで見れば80点程度と予測していた。加えてヒソカには己の強さへの絶対的自信と、過程を楽しみたくなるという悪癖がある。

 一言で言えば、ヒソカはゴンに負けるとは欠片も考えていないのだ。考えるのはどれだけゴンの実力を発揮させた上で自分が楽しむかということであり、今回はただの味見のつもりですらいた。本来許されない驕りや油断も、ヒソカにとっては楽しむためのスパイスでしかない上に負けたことが無い以上改められることは無い。

 ヒソカはこの日、驕りや油断がもたらす不本意な敗北を身に沁みて理解する。

 

 

 ヒソカの佇む広場にギンを引き連れたゴンが到着する。ギンはくじら島を出て以来続けていた圧縮を解いており、ゴンより倍はでかいその体躯から威圧感を発していた。

 

「じゃあギンは周りの警戒をお願い、邪魔してくる人がいたらよろしくね」

 

 今までとはまるで違うギンの姿に目を丸くするヒソカだったが、ゴンが一人自分に向かって歩いてくるのを見て意識の隅に追いやる。

 ほんの2メートルほどで止まったゴンはいつもの快活さが鳴りを潜め、迸る闘気とひどく好戦的な笑みを浮かべている。

 

「まだ出会ってから数日のはずなのに、まるで何年もこの時を待ったような気分だよ♥お願いだから直ぐに壊れないでよゴン♦一緒に最高の時間を過ごそう♠」

 

 ゴンの表情を見たことでより禍々しさを増すヒソカのオーラに、まるで重力が増したかの様な重々しい威圧を放つゴンのオーラ。

 離れて監視している二人のプロハンターですら、オーラの余波を受けて戦慄を隠せない。それどころかギンが放つ余計なことをするなという威嚇から、この場での弱者は自分達だと無理矢理にも理解させられてしまっていた。

 

「何かしら準備してるかもって思ってたけど、見た感じ何にもしてないみたいだね」

 

「当たり前だよ、二人の初めてなんだから♥先ずは真っ向からぶつからないともったいないじゃないか♠」

 

 ヒソカの態度から、ゴンは己が侮られていることを改めて理解した。今までも言動の節々から感じていたが、こうして目の当たりにすると多少の不快感はある。罠の心配がなくなったことでやりやすくはなったが、この怒りは報いとして受けとってもらうことにした。

 

「先手は譲ってあげる♣ゴンの力をボクに見せておくれ♥」

 

 この一言が、ゴンから遠慮の一切を切り捨てた。

 

「…貯筋解約(筋肉こそパワー)、からの追加出筋(さらなるパワー)

 

 溢れるオーラとともにゴンの姿が変わる。身長はヒソカに届かない程度まで伸び、筋肉の厚みは明らかに上回っている。

 激増した身体能力に比例してオーラすら底上げされ、先程までのゴンが子供にしか見えない有様である。

 

「殴るのは腹だから、全力で守ってね」

 

 練により更に膨れ上がったオーラがゴンの足に集まる。

 踏み込んだ足から捻った腰へ、パンプアップした広背筋を経て肩から握りしめられた右拳へ。力の伝導を流で強化し、衝突の間際凝によってさらなる威力を実現する。

 

 極限まで引き伸ばされた時の中、ヒソカは全力で死に抗った。

 ゴンの言葉を信じ腹部にありったけの硬を施し伸縮自在の愛(バンジーガム)に変化させ、ゴムの弾性のみを重点的に強化する。

 間に腕を差し込むのは間に合わなかった、油断傲慢がここに来て初めてヒソカの足を引っ張った。

 

 監視していたプロハンター達が思わず目を逸らすほどの衝撃。だが響いた音の割に、ヒソカは靴の跡を残して数メートル後退しただけですんだ。

 これだけで済んだ理由は二つある。一つはゴンが凝でヒソカが硬だったため攻防力に差があったこと、二つ目はヒソカのバンジーガムが物理攻撃にめっぽう強かったことだ。

 

「正直死ぬかと思ったよ♠こんな隠し玉があるのを知ってたら先手は譲らなかったのに♣」

 

 口から血を流しながらも余裕を見せようとしたヒソカだが、予想を超えて体内に残ったダメージに思わず膝を突く。

 

(変だな、確かに見事な一撃だったけどここまでダメージを受けるのはおかしい♦)

 

 念能力者同士の近接戦闘において、オーラの攻防力は非常に重要な役割を果たす。今のゴンの一撃はオーラの攻防力的には決して高いものではなく、硬で防いでここまでのダメージを受けるには別の要素が必要と考えられる。

 

「恐ろしいほどなめらかな流にも驚いたけど、それ以外にも何か能力を隠してるね♣いくらなんでも攻防力を無視しすぎてる♦」

 

 ダメージ回復の時間稼ぎも兼ねて、追撃してこないゴンに問いかける。ボディに食らった一撃は、時間を追うごとにヒソカから体力と気力を削っていた。

 

「時間稼ぎ?まあいいけど、ヒソカもいい能力持ってるね。殴った感触的にゴムか何かかな?」

 

「クク、どっちも正解♥ボクの能力伸縮自在の愛(バンジーガム)はガムとゴム両方の性質を持つ♣時間稼ぎにゴンの能力も教えてくれると嬉しいんだけど♠」

 

 顔以外面影の無いマッシブなゴンに見下されながらも、ふてぶてしさを失わないのはヒソカのプライド故か生来の気質なのか。

 

「オレの能力は見ての通り身体能力の強化だよ。流の方も補助する能力を作ってある」

 

 確かに見てわかるとはいえ、平然と能力を告げるゴンに違和感が拭えることはない。

 

「それだけじゃないだろう♣その二つじゃ攻防力に差がある理由にならない♦」

 

 ようやく立ち上がれるほどにダメージが抜け、なんとか見下される屈辱から解放されながらも質問はやめない。戦闘を再開するほど回復するには、まだ暫くの時間が必要だった。

 

「ヒソカさ、勿体ないと思ったことない?」

 

「…?」

 

「ヒソカのバンジーガムは変化系中心の能力だよね、補助も含めて6系統全部編み込んでる?」

 

「…そう言われると強化と放出だけであとは使ってないね♣けど6系統全て使えば強い能力になる訳じゃないと思うよ♦」

 

 ヒソカは逆にゴンからされた質問に自分の考えを述べる。念は自分の得意系統を頂点に満遍なく鍛えるのが良いとされるが、だからといって器用貧乏になっては意味がない。仮に6系統全て盛り込んだ能力を作れたとしても、ヒソカの考えでは苦手系統が足を引っ張り碌な能力は作れないとみている。

 

「つまりヒソカは特質は例外としても、操作と具現化二つの習得率を無駄にしてるってことだよね」

 

「ゴンは何が言いたいんだい?」

 

「使わない系統の習得率を割り振れたら勿体なくないと思わない?」

 

「…ゴン、まさか君の能力は」

 

 初めは要領を得なかったが、問答が続くに連れて一つの答えが浮かび上がった。

 

貯筋解約(筋肉こそパワー)筋肉対話(マッスルコントロール)もあくまで補助的能力でしかなく、真の能力を活かすためにある」

 

 ゴンから迸る重厚なオーラ、強化系だと仮定しても明らかに高い強化率。使わない習得率を割り振れたら勿体なくないという言葉。

 

「能力の名前は脳筋万歳(力こそパワー)!放出変化具現化の3系統を二度と習得出来ない代わりに、浮いた習得率を全部強化系へ加算する」

 

 それはどう考えても、念の定説に喧嘩を売っている能力。応用力を投げ捨てる代わりに、究極の一を目指す蛮行。

 

「オレは元々操作系だから、計算上240%で強化系を習得出来る。今はまだ140%くらいが限界だけどね」

 

 ヒソカは信じられないと思いながらも、実現している以上とんでもなく厄介な能力だということにも気づいてしまった。倍率の低い今はまだ付け入る隙があるとはいえ、これが200%を超えてしまえば手が付けられなくなる。

 

「時間稼ぎはもういいかな?オレも試験に合格したいからね、恨むなら先手を譲った自分を恨んで」

 

 筋肉とオーラを滾らせてゴンが距離を詰めてくる。ヒソカもかなり回復できたが、戦闘中無視できるほどまでは無理だった。

 

「これから音を上げるまで殴り続けるけど、何か言い残すことはある?」

 

 今更ながらゴンを過小評価していたことを悔やむが、少なくとも殺されないことに感謝しながらリベンジを誓う。

 

「次やる時は借りを返すから、首を洗って待ってるんだね♥」

 

 必死の抵抗も虚しく、攻防力のギャップにすり潰されたヒソカは恍惚の表情でゼビル島に沈んだ。

 

 





能力名:脳筋万歳(力こそパワー)

系統:操作系中心に若干の強化と特質

効果:強化系の習得率を強化する

制約と誓約:
もう二度と放出系、変化系、具現化系を習得できない。

補足:
クラピカは習得率増やしてるからリスクも大きいけど、移すだけならどうにかなるんじゃねという考えから生まれた能力。
合計習得率は変わらないためMAX240%までいけるが今はまだ140%が最大倍率。
パーとチーを捨てて脳死グーを強いられた。
完成形はゴンさんの身体能力(強化可能)が原作の2.4倍の強化率ですべてをなぎ払いながら突っ込んでくる。

オマケ

能力名:筋肉対話(マッスルコントロール)

系統:操作系

効果:筋肉を操作してより微細なコントロールができる。

制約と誓約:無し

補足:
筋肉を操作するだけの能力だが、念能力なのでオーラを使ってる。つまり筋肉を操作すると同時に流を行うことになるため、より早く細かい攻防力移動が出来る。今はまだ硬ではできない。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。