オレが目指した最強のゴンさん   作:pin

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第12話 全員集合とヒソカの保険

 皆さんこんにちは、原作と違い二日目で全員集合して喜ばしいゴン・フリークスです。

 ヒソカは足りない分のプレートを集めに旅立ちました。

 

 

 

 ゴンのもとにキルア達が合流したのは試験開始から2日目の朝、ちょうどゴンが朝食を準備しているタイミングだった。ギンが圧縮していたグレイトスタンプのステーキに近くの池で捕まえた魚や甲殻類に山菜のごった煮と、やや重めの朝食だったが食べ盛りの男達とギンにかかってしまえば5分と持ち堪えられなかった。

 

「じゃあキルア達はもう6点集まったんだ!?すごいや!これでほとんど丸々修行に費やせるね」

 

「オレはほとんどキルアのおかげだけどな、1枚でも自分でゲットできてホッとするぜ」

 

 イエ~イと小生意気な顔で煽るキルアに、プレートを譲ってもらったレオリオは強く返せず悔しそうに唸るだけである。これで合流する途中で手に入れた118番のプレートすらなければ、どうなっていたか考えるだけでゾッとしていた。

 

ふまりへんばはりないのはほふはへか(つまり点が足りないのはボクだけか)♥」

 

 そこであえて誰も触れていなかった、ギャグの様に顔を膨らませたヒソカが口を開くがほとんど意味が伝わらない。

 

「ギンが持ってきてくれたのがターゲットで良かったね、あと3枚集めればいいだけだからかなりマシだよ」

 

ほんほ♦ひんにははんひゃひはないひよ(ホント ギンには感謝しかないよ)♥」

 

「あー、腫れに効く軟膏があるけど使うか?」

 

ひょうはい(ちょうだい)♥」

 

「しっかしお前らってそんなに差があったのか?いくらなんでも酷くね?」

 

 無傷のゴンとは対象的で悲惨な姿のヒソカに、さすがのレオリオも薬を取り出してヒソカに手渡す。さらにあまりにも両極端な二人の様子に、勝負の内容が気になったキルアがどんな戦いだったのか質問すると苦笑いしたゴンが戦いの概要を述べる。

 

「完全にヒソカの油断だよ、先手をくれたから全力で打ち込んでそのダメージ差で押し切った」

 

「ふ〜ん、じゃあどっちが強かったかはわからなかったのか」

 

 ヒソカの油断とはいえ不意打ちに近いと言われ、どっちが強いのか気になっていたキルアとしては少し残念に思った。

 

「いや、今の段階だと多分8:2くらいでヒソカが勝つと思うよ」

 

 無傷で勝利したはずのゴンからまさかの予想に、キルア達は驚きの声を上げてヒソカに目をやる。

 腫れた顔に軟膏を塗りたくる哀れな姿だが、ゴンの予想自体は否定することもなく似たような考えだというのがわかった。

 

「勝負してわかったけど相性が悪くてさ、まだまだ修行が足りないよ」

 

 複雑そうな表情で語るゴンの胸中は、勝てたことへの喜びとまだ及ばない悔しさがうずまいている。

 そんなゴンを見てニッコリと笑ったヒソカは、薬を塗り終わって立ち上がると森の方へと歩いて行く。

 

ひゃあふれーほあふへへふるよ(じゃあプレート集めてくるよ)ひゅほょうはんはっへ(修行がんばって)♥」

 

 実に晴々とした声と足取りでゴン達から見えなくなると、我慢していたレオリオが思ったことを口にする。

 

「あいつよくあんな物理的にデカくなった顔でデカい顔できたよな」

 

 

 

 

 ゴン達から離れ一人森を歩くヒソカは、十二分に離れた所で足を止めると周囲を見渡し問い掛ける。

 

ひるんはろ?ほうへへひへひいよ(いるんだろ もう出てきていいよ)♦」

 

「とりあえず腫れだけ引かせるから動かないで」

 

 唐突に森の中から現れたのは、顔の至るところに針を生やした異常な男。おもむろに新たな針を取り出すと、ヒソカの額付近に深々と突き刺す。ヒソカの顔が何度か波打つ様に蠢いたあと、痛々しく腫れ上がっていた顔は元の顔に戻っていた。

 

「ありがとう♥結構辛かったんだよね♠」

 

「針抜いたらまた腫れるから!しばらくはそのままにしといて」

 

 今はギタラクルと名乗る針男イルミ・ゾルディックは、元に戻った顔を撫でながら機嫌良く笑うヒソカに昨日の勝負の事をたずねる。

 

「で、邪魔するなって言うから見に行かなかったけどどうだった?まあその顔見ればだいたいわかるけど」

 

「正しく想像以上だったよ♥まだまだ青いと思ってたけど、既に熟し始めてるとんでもない逸材さ♥」

 

 ヒソカにとって掛け値なしの絶賛だというのが付き合いの長いイルミにはわかった。わざわざ依頼という形で邪魔しないように言ってきた時点で、相当入れ込んでいるのは把握していたがどうやら更に上をいったらしい。

 

「あーあ、それじゃあ始末できないじゃん。キルに擦り寄るクソ虫は早めに駆除したかったのに」

 

 珍しくイルミは本気で悔しがっていた。

 ゴンのことは試験開始直後に多少確認しただけだが、オーラの質や垣間見えた人格はどれもイルミの嫌いなタイプだった。

 できればこのハンター試験中に始末したかったが、早々にヒソカの寵愛を得てしまったために損得を考えて手が出せなくなってしまっていた。

 

「ゴンはこれから加速度的に強くなっていく♦見た感じ足りなかったのは実戦経験だろうからね♠…初めての経験だよ、背後から迫られるこの恐怖は♥」

 

 恐怖と言いながら恍惚とした表情で嗤うヒソカに、そういう質と知っていても理解はできないイルミはさっさと依頼を済ませてしまうため懐からプレートを3枚取り出す。

 

「はい、これ依頼の品。金はいつもの口座に振り込んどいて」

 

「確かに♦そうだ、友達のよしみで教えてあげる♠ゴンは操作系か特質系だったよ、君の針は効かないかも♣」

 

 一部血にまみれた3枚のプレートを受け取りながら告げられた内容に、同じく操作系のイルミはシンパシーを感じることもなくただ面倒くさそうにする。

 

「なるほど、搦手じゃあ一方的にボコボコにされるのもわかるよ。強化系だったらカモにできたのになぁ」

 

「本当、殺されることもないだろうからいつもより遊んだらこれだよ♣これからはちょっと遊びは控えるつもり♦」

 

「あっそ、オレもプレート集めなきゃだからまたね」

 

 聞きたかったことも聞けたのか、イルミはヒソカに背を向けて森の中に消えていく。

 とりあえず6点集まったヒソカは針を刺したまま帰るのも何だと再び歩き始める。昨日のゴンとの勝負の余韻に浸りながら、機嫌良く鼻歌を歌って彷徨い歩いた。

 

 


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