オレが目指した最強のゴンさん   作:pin

15 / 116
第13話 新たな力と最終試験へ向けて

 

 

 皆さんこんにちは、瞑想とぶつかり稽古をエンドレスしてるゴン・フリークスと仲間たちです。

 キルアの体捌きマジ暗殺者、参考になります。

 

 

 

 4次試験も折り返しを過ぎた4日目の朝、もはや習慣となった朝食後の瞑想タイムでゴンとヒソカの二人が離れてコソコソと言葉を交わしていた。

 

「相談があるって言ってたけど何?皆と離れたってことはオレの能力について?」

 

 ゴンとしては念に対する知識はむしろヒソカの方があると見ているため、特に聞きたいことといえば自分の能力についてしか思いつかない。

 能力的には他人にバレてもなんの支障も無いが、今のタイミングで聞いてくる意図がわからなかった。

 

「教えてくれるなら聞くけど違うよ♦ボクの新しい能力についてアドバイスが欲しいんだ♥」

 

 ヒソカの相談は、同じ念能力者としてゴンには信じられないものだった。

 そもそも他人に能力がバレるのは、それが前提の能力でない限り得をすることが一切無い。

 ましてや新しく作る能力にアドバイスなど、よっぽど信頼関係がなければまず求めない。

 

「んー、いいアドバイスができるかってことより何でオレに聞くのか聞いてもいいかな」

 

「ゴンの脳筋万歳(力こそパワー)、正直目からウロコだったよ♥あの発想を借りればいい能力になると思ってね♣」

 

 いつの間にかそこまで評価が高くなっていたことに驚きながらも、もう一つ疑問が浮かんだため質問を続ける。

 

「ヒソカの能力がいくつあるか知らないけど、急に増やすのはどうして?伸縮自在の愛(バンジーガム)はすごく良い能力だと思うけど」

 

「ボクは元々もう一つ戦闘向きじゃない能力があって、これまではそれで十分だったんだ♦だけどゴンの能力を知っちゃったからね、このまま何もしないと間違いなく負けるだろ♠」

 

 今は戦闘技術や肉弾戦に相性の良いバンジーガムのおかげで優位に立っているが、脳筋万歳の強化率が上がっていけばおのずと立場は逆転する。

 そうなる前に手札を増やしておきたいのと、ゴンから言われた勿体ないという言葉が身に沁みたと締めくくった。

 

「ボクのバンジーガムもそうだけど、新しい能力もバレて問題無い様にするつもりだから知られてもいいしね♥昨日大体形になったからこのタイミングで聞いちゃおって♣」

 

「まあそこまで言うならアドバイスくらいするけど、良い案なくてもガッカリしないでよ」

 

 そしてヒソカから説明された能力は、

 

能力名:未定

 

系統:具現化系

 

効果:数字と絵柄に対応した効果を持つトランプを具現化する

 

制約:

   ①エースが最も強く最弱の2は素人の纏に対してもダメージを与えられない

   ②絵柄に対応した使い方をしないと効果が減る

   ③一枚は一回使うと消滅し、一セット53枚使い切らないと補充出来ない(オーラ量的に戦闘中は二セットの具現化が限界)

   ④何を引けるかは完全にランダム

   ⑤ジョーカーは好きな絵柄のエースとして扱う

 

 

「…どこをアドバイスすればいいの?もう作っちゃって良くない?」

 

 予想以上に細かく設定された能力に口出しできるところが見当たらず、そもそも何が気に入らないのかを質問する。

 

「絵柄の効果とジョーカーの扱いがしっくりこなくてね♣スペードは切断、ダイヤは投擲までは決まってるんだけど♠」

 

 その補足に自分だったら何が嫌かを考え、ついでに運用方法についても提案する。

 

「前提条件としてカモフラージュで普通のトランプと一緒に使うよね?だったら隠がしやすいのとオーラを込めやすいのがあれば良いんじゃない?」

 

「…なるほど♦隠をしやすいってのは凄くいいね、オーラを込めやすいのもバランスが取れるからこっちも悪くない♣」

 

 なかなかの好感触に、ジョーカーの扱いについても考えを述べる。

 

「ジョーカーはハイリスクハイリターンの方がヒソカの好みじゃない?一枚目に引いちゃったら後のトランプは全部2になって、最後に引けたら全部の絵柄の効果があるエースになって何回でも使えるとか」

 

「それ採用♥」

 

 ウキウキと新たな設定を反芻し漏れがないか、追加したいことはないかを考えるヒソカ。

 ゴンとしてはなかなかに厄介で対策もしづらい能力のため、完成したらまた差が開くと悔しい思いをしていた。

 初めての共同作業で出来た能力(子供)だとテンションが上がる変態と、差が開くことにテンションが下がるゴン。

 気持ちを切り替えるために食休みをしていたギンと相撲を取るも、中々身が入らないゴンだった。

 

 

 

 ゴンが相談を受けた日の夕方、キルア達の中で最初に纏に到達する者が現れた。

 

「ちょっと予想外だったけど、おめでとうレオリオ!念のスタート地点へようこそ!」

 

「オレ自身驚いてるから別にいいんだけどよ、ゴンってちょくちょく失礼じゃね?」

 

 なんとキルアやクラピカを差し置き、拙いながらもレオリオが纏を習得することに成功した。

 

「いやー、ごめんねキルアくん。プレートだけじゃなく一番まで譲ってもらっちゃって。お礼に今度お菓子でも「ウラァ!!」ひでぶ!?」

 

 悔しがるキルアに対し、ウザいことこの上ない顔で煽り散らすレオリオ。

 あまりのウザさに割と強めの一撃が入るが、食らった本人は驚いた顔で殴られた頬を触っていた。

 

「あー、なるほど念能力者に勝てないってのも納得だわ。どう考えても受けた衝撃に対してダメージが少なすぎる」

 

 身を以って念の有用性を実感したことで、修行意欲に拍車がかかるレオリオ。

 次の修行内容はなんだとゴンに詰め寄るが、引き続き瞑想しながら纏の精度向上を言い付けられ急にしんなりとする。

 

「早く念能力を作りたいって気持ちもわかるけど急いでも良いことないよ。先ず基礎をしっかりすることで思った通りの能力になるから明日からもがんばろ?」

 

 ちなみに明日から頑張ろうとしたレオリオは、徹夜したキルアとクラピカが纏を修得どころか精度でも上回ったことで盛大に煽り返されることになる。

 

 

 

 そして4次試験が始まってから一週間後、試験開始位置の浜辺には原作通り9人の受験者が集合していた。

 通過者の顔ぶれを見た試験官達は、念に目覚めた3人を驚愕の眼差しで見つめている。

 たしかに一週間ほどで目覚めてしまう天才は極稀にだが存在する。しかし一度に3人、しかも全員が全くの素人だったことを考えると間違いなく異常事態である。

 

「ホッホッホ、3人の才能が素晴らしいのはもちろんじゃろうが、405番は指導面でも優れとるのかもしれんの」

 

 ネテロは楽しそうに4次試験通過者を見ながら、最終試験内容について思いを巡らせていた。

 

 

 

 受験者達が最終試験会場に向かう飛行船で各々体を休めていると、ハンター協会会長ネテロから個別面接を行う旨がアナウンスされ受験番号がもっとも若いヒソカが一人目としてネテロのもとを訪れていた。

 

「質問することは3つ、この問答で合否は決まらんが試験に影響はあるぞい。志望理由、最も注目する受験者、最も戦いたくない受験者を教えとくれ」

 

「志望理由は大してないなぁ、持ってたら便利そうだなってくらい♦注目するのは99、403、404番も捨て難いけどダントツで405番♥戦いたくないのは53番と191番だね、微塵も唆られないよ♠」

 

「なるほどのぅ、何か他に言いたいこと聞きたいことがなければ下がって良いぞ」

 

 ヒソカの答えをメモしながら何かを考えているふうなネテロ、その姿は隙だらけにしか見えずヒソカをして毒気を抜かれるほどの覇気のなさだった。

 

「ボクとしてはあんたとも戦ってみたいんだけど♠どうやったらその気になってくれるかな♦」 

 

「そうじゃのぅ、お前さんが100歳になったら考えてやるぞい」

 

 ヒソカがあえて殺気をぶつけてみてもネテロの態度は全く変わらず、そのオーラにはゆらぎ一つ起こらない。

 見込みなしと早々に諦めたヒソカは部屋を出ようと扉に手をかけるが、そのタイミングでネテロから質問がとぶ。 

 

「これは試験に一切関係ないワシ個人の好奇心じゃ。405番は強かったかの?」

 

 ドアノブを握ったままのヒソカは数秒ほど動きを止め、やがて振り返ると憑き物が落ちたかのような笑顔でネテロに告げた。

 

「化け物だよ♥」

 

 

 

 ヒソカの後の面接はほぼ原作通りに消化され、最後に受験番号405番ゴンの順番がやってきた。

 他の受験者と同じ質問をされ、ゴンは淀みなく答えていく。

 

「志望理由は最強を目指してるから、注目してるのは301番で戦いたくないのは403番と404番かな」

 

「フム、注目してる理由と戦いたくない理由を聞いてもよいかの」

 

「301番はたまに殺気が漏れてくるから注目してないとなんか不安だから。403番と404番は二人の志望理由を知っててハンターになって欲しいから戦いたくない」

 

「なるほどのぅ、ちなみに99番も含めた3人に念を教えたのはお主じゃな。お主自身は誰に習った?」

 

「念については幻獣ハンターのカイトに教えてもらった。親父の弟子でたまたま会ったんだ」

 

「聞いたことのある名じゃ、なるほどなるほど」

 

 メモを取りながら横目で確認すれば、キラキラと真っ直ぐな目で見つめ返される。他のハンターや十二支んとも違う敬意や羨望を含んだ視線に、さすがのネテロも居心地の悪さを感じていた。

 

「聞きたいことは以上じゃが、そちらから何かあるかの?」

 

 ネテロがうずうずと何か聞きたそうにするゴンに水を向ければ、少し悩んだあと口にした言葉に驚きをあらわにする。

 

「ネテロ会長の百式観音を一回受けてみたいです」

 

 ネテロは己の百式観音を知っていることもそうだが、それ以上に受けてみたいと言われたことに驚いた。

 ネテロは立場やその異名から、名を上げたい者や戦闘狂から勝負をふっかけられるのが半ば日常とかしている。

 どちらにも共通しているのは、勝負と言っているように勝ちたい負かしたいという欲望だ。

 しかしゴンは最強を目指していると口にしながらも、勝負をしたいとは言わなかった。

 つまり今は勝てるとはなから思っていないが、それでも強くなるために最強クラスの力を体感したいと願ったのだ。

 いずれネテロを超えるその時のために。

 

「ホッホッホ!!そんなことを頼まれたのは初めてじゃのう。実のところ、お前さんの扱いには苦慮しておったのじゃ」

 

 ネテロはゴンの直向きに最強を目指すその姿に、かつての自分自身を見ているようだった。

 そして手助けしたいと思わせるところは、父親に全く似てない美点だと評価した。

 

「ボール遊びで吠え面かかされた借りもあるしの、お主の試験は他の受験者と別枠で設けよう」

 

 ニヤリと笑うネテロに対し、察したゴンもまた満面の笑みで答えた。

 

「お主の最終試験は、ワシの百式観音を受け生きて立っていることじゃ」

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。