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そしてワクチン接種の際はしっかり薬を飲みましょう。作者は飲んでも苦しみました(笑)
皆さんこんにちは、全身ボロボロだけど間違いなく強くなれたんで収支プラスなゴン・フリークスです。ズシが
「ま、今日の所はこんなもんかの。ワシはこのまま帰るからウイングとしっかり反省会するんじゃぞ」
『押忍…』
ゴンとの組手が楽しすぎたせいか、当初の予定を大幅に超えたネテロの修行がついに終わりを迎えた。後半はズシも含めてとりあえずネテロに特攻するという組手ではない何かになっていたが、疲労困憊ながらも皆充足した表情で横たわっていた。
「最後にワシからの個別指導じゃ。ズシはしっかり念の四大行の鍛錬を続けなさい、基礎無く真の強者になる道はないと心得よ」
「押忍!」
あまり修行に参加出来なかった自分もアドバイスを貰えたことで元気に返事をしたズシだが、体力面では最も劣ることもあり再び大地に還っていった。
「レオリオは能力の制約で攻守の切替に難があるの、可能なら今の発とは別に直接攻撃が可能な能力を作ったほうが安定するぞい」
「んー、了解。何か考えてみますわ」
「キルアは気付いておるようじゃから言っちまうが、打ち込まれてるオーラをなんとかせい。それがある限りお主が殻を破ることはない」
「わかってんよチクショー、すぐどうにかして吠え面かかせるから見てろジジィ」
憮然としながらも非常に有意義な修行だったことを認めるキルアは、悪態をつきながらもネテロに対して小さく頭を下げた。
「クラピカ、お主に関しては正直練度を上げろくらいしか言えんの。まぁ過ぎた力はその分反動も大きいということを肝に銘じておくんじゃな」
「承知した。今日は得るものがとても多かった、心から感謝を」
クラピカは礼儀良く素直に感謝を伝えたが、ネテロが言いにくそうな顔をしながら質問する。
「お主の目的が幻影旅団だというのは覚えとる、ぶっちゃけた話ワシやウイングに頼ろうとは思わんのか?お主らの成長率は凄まじいものがある、しかし奴らも間違いなく強いぞ」
それは全てが自己責任たるハンター、それもトップのネテロが言うにはいささか過保護な質問である。依頼してきた訳でもない少々手解きした程度の相手にここまで気を回していられる程、ハンターはもちろんのこと協会会長のネテロは暇でもなければ安くもない。クラピカはそこまで理解した上で、それでも助け舟を出したネテロに対し若干の申し訳無さを感じつつも毅然とした態度で告げる。
「それが賢い選択だというのは重々承知しています。しかしこれはあくまでも私の、クルタ族最後の一人である私自身が決着を付けなくてはいけないこと」
しかしそこで一旦苦笑しながらゴン達を見やると、打って変わって楽天的な空気を出しながらも疑いの無い眼をネテロに向ける。
「しかし新たに得た宝が馬鹿みたいに強引でお節介でしてね、このメンバー以上は過分です。…ご安心を、試験の時とは違い未来を生きるための手段ですので、失敗しても生き残るために足掻きます」
ネテロはゴン一行の中で最も変わったであろうクラピカに目を丸くした後、仲良く笑い合う姿を見て何とも言えぬむず痒さに苦笑する。
(復讐が済んだ時、どのように輝くか楽しみじゃわい)
長い人生の中で復讐に心を燃やす者を何人も見てきて、しかし彼等とはまるで違う結果を掴むであろう若い復讐者がネテロにはひどく眩しく見えた。
「いつまでもじゃれとるでない、最後にゴンじゃが
「んー、こればっかりは体の成長次第だから、沢山食べて沢山鍛えて早く
ゴンの見た目相応な抱負におじいちゃんに戻りかけるネテロだったが、聞き捨てならない言葉にヒヤリと冷たいものが流れる。
「ゴンや、試験の時に見せたあの姿はお主を限界まで強化した姿ではないのか?」
「え?あれはオレの身体能力が全盛期の姿だよ、今はまだ限界まで強化してもあれが精一杯なんだ」
悔しそうに告げられた言葉に戦慄しながらも、努めて穏やかに笑いゆっくりと頷く。最大値だと思っていたものが将来の平均値だったという事実は、百戦錬磨のネテロの観察眼をして見抜けなかった。
(え、なにそれ怖)
とりあえず忘れることにしたネテロは最後にウイングのことを労うと、長時間の組手の後とは思えぬ軽快な足取りでハンター協会へと帰っていった。
ところ変わって天空闘技場200階ロビーの片隅、少なくない人々で賑わう中不自然に空いたスペースがあった。そこではゴン達が来るのを期待して結局一日無駄にしたヒソカと、たまたま所用で足を運んでいたカストロが壁を背に並んで話している。二人の因縁を知るものは恐ろしげに、脳天気なものはトップクラスの実力者達に心躍らせ遠巻きに様子をうかがっていた。
「なるほどな、新米とは言えプロのハンターならば納得の強さだ。下層の者達や未熟な能力者では歯が立たないはずだ」
カストロは腕組みをしながら壁に背を預けており、未だトランプタワーを続けるヒソカに対して本人も予想外なほど友好的に接していた。
ヒソカはヒソカで退屈していたところにゴン達のことを聞いてきたカストロに対し、暇潰し以上に嬉々としてハンター試験でのことを語っていた。
「君がゴンに興味を示したのは予想外だったけど良いのかい?自惚れじゃなかったら君のターゲットはボクだと思ってたんだけど♦」
「その通りだったのだがな、…ゴードン戦を観ていたらいても立ってもいられなくなってしまった。貴様への復讐心しかないと思っていたこの心には、それでもまだ武闘家としての誇りが残っていたようだ」
念による洗礼をヒソカに受けたカストロは、その時の弄ばれた試合内容に武闘家として消える事の無い傷を刻まれた。以来ほとんど独学ながらも念を修め、現在9勝とフロアマスターに王手をかけている。全てはヒソカに勝ってフロアマスターになるため、そのためだけに鍛えてきたと思っていた。
「ゴードン氏を初心者狩りなどと蔑んでいた自分が恥ずかしいよ、彼は確固たる思想と己の武に対する誇りに満ちた気高い闘士だった。お互いフロアマスターになれたら是非にも手合わせ願いたい」
ゴンとの試合後に顔を隠す右半分の仮面を被りメディアへの出演を始めたゴードン、彼の語る天空闘技場のあるべき姿と闘士たちの心構えは綺麗事と言われている。しかし彼は臆することなく、恥じることもなく、実現できると自信を持って発言し続けていた。
ゴンとの試合で感じた感動と興奮から、逃れられる武闘家など存在しないのだと。
「彼と遊ぶのも少しは楽しめそうだけど♦ゴンの糧になってくれたしね、ボクとは相性も悪いだろうしそこまで興味はないなあ♠」
「フッ、口を開けばキングのことばかりか、随分と惚れ込んでいるのだな。リベンジを目論む私としては妬けてしまいそうだよ」
不敵に笑うカストロとゴンのことを話せてニコニコするヒソカのツーショットに周囲がざわつく中、預けていた背を離したカストロはヒソカを見据えて言う。
「キングに勝てたらフロアマスターだ、その時は諦めるがもし負けた時は私と戦って欲しい。都合のいいことを言っている自覚はあるが、私の嘘偽りない願いだ」
「クックッ、ゴンとの試合次第かな♣試合後まだ食べてもいいと思えたら遊んであげる♥」
言質を取ったカストロはマントを翻して歩いていく、その表情は一週間後の試合を思い決意と気迫に満ちていた。
対してその場に残ったヒソカは、己の中から溢れそうになる激情を必死に抑えていた。
「まだだ、まだだよ♥これでゴンはもっと強くなる、技術を食べてもっと大きくなる♥ボクの出番はまだ先さ、
震える手をなんとか抑え、トランプタワー最後の一段を完成させる。常人には何も見えないが、念能力者ならばそのトランプタワーにとてつもないオーラが込められているのが見えるだろう。
「とりあえずは完成でいいかな?よろしくね、
トランプタワーをつついて崩せば、まるで煙のように全てが消え失せる。これからヒソカと対峙する全ての者にとって厄となる新たな発は、応用性の塊ながらただ一人のために生み出されたとも言える能力。
「ボクって、好きな子はいじめたくなる派なんだよね♥」
ゴン達の成長の裏側で、一人の変態も進化を遂げていた。