オレが目指した最強のゴンさん   作:pin

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第39話 天使の到着と堕天使の詩

 

 

 皆さんこんにちは、原作で知っていても改めてセンリツさんの耳の良さは反則だと思うゴン・フリークスです。痕跡を辿るのは勝てても、広範囲をバレずに索敵する能力だと最強では?

 

 

 

 

「かわいい〜!!何これ子犬じゃないよね!?ふわっふわで軽、…くない!なにこれ重っ!!」

 

 ゴン一行がノストラードファミリーと協力関係を結んでから2日後、オークションまで残り3日となったヨークシンシティへネオン・ノストラード及び護衛団が到着した。

 この2日間でヨークシンシティの地理や死角といったところを粗方割り出したため、未だ姿を見せない幻影旅団ではなくノストラードファミリーに恩を売る意味でネオンの護衛に手を貸すことになった。

 

「こいつはギンっていうんだけど、あんまりベタベタされるの好きじゃないからゴメンね」

 

「ぷぅ~、かわいいから抱っこしたかったのになぁ、てか頭に乗せて首大丈夫なの?」

 

「鍛えてるから」

 

「てかお姉さん気ィ抜きすぎ、少しは周りとか警戒しなよ」

 

「なんで〜?あたしを守るのがあんた達の役目でしょ、無駄口叩いてないでちゃんと仕事してよね」

 

 年の近いゴンとキルアにギンはネオンの買い物に随伴する護衛に、クラピカとレオリオはダルツォルネとこれからの打ち合わせを行うため別行動となっている。

 

「喉かわいた〜、そこの銀色チビ飲み物買ってきて〜。冷たすぎないストレートティーで自販機じゃなくてお店の買って来なさいよ」

 

「ごめんなぁ、オレってば護衛だからさぁ、お姉さんから離れられないんだわ。他の人に頼んでくんない?」

 

 早くも険悪な空気を醸し出すネオンとキルアに侍女達と護衛が冷や汗をかくが、周囲を伺っていたゴンがあっけらかんと告げる。

 

「ネオンさん、あっちのカフェにいつも飲んでる紅茶と同じのがあるみたいだから行ってみよう。これから行くモールの中にあるし丁度いいよ」

 

「そうなの?てか君なんであたしの飲んでる紅茶知ってるの?しかもなんでそのカフェにあるってわかるわけ?」

 

 極自然にネオンの手を取り歩き出したゴンに周りが慌てて付いていく中、小さい弟に先導される姉のような構図に侍女達の表情が心なし緩む。

 

「そっちの侍女さんからするのと同じ匂いがカフェからするんだ、銘柄はわからないけど多分間違いないよ」

 

「…え、君が嗅ぎ分けてるの?」

 

「そうだよ。あとオレはゴンでこっちはキルアだからよろしく、オークションが終わるまでの臨時だけどね」

 

「オレはよろしくするつもりないから馴れ馴れしく呼ばないでね」

 

「かっち〜ん、ちょっとありえないんですけどぉ、ダルツォルネさんに給料減らすように言っとくからね」

 

「お好きにどうぞぉ〜、金には困ってないんだよねぇ〜」

 

「むかち〜ん」

 

 ぎゃーぎゃーと言い争いをする二人だったが、ネオンを挟むようにゴンの反対側を陣取ったキルアに同行する護衛団のメンバーは感心したように頷いた。

 

 

 

 

 ネオンが買い物に出かけた後のホテルでは、ダルツォルネと護衛団の一部がクラピカと協力関係の詳細を話し合っていた。

 

「お前達に協力することをビッグボスから正式に許可された。十老頭にもそれとなく報告したそうだが、案の定様子見という答えだったそうだ」

 

「想定内だな、私達も下手に動いてマフィアに目を付けられたくはない、動くのは事が起きてからだ」

 

 そして改めてセンリツとスクワラの協力を得る代わりに、ネオンの護衛の手伝いと幻影旅団を捕らえた場合ノストラードファミリーにも手柄を渡すように取り決める。

 

「ノストラードに賞金はいらん、だが間違いなく我々の協力があったことと感謝を正式に行え」

 

「約束しよう。ただし重ねて言うが戦おうなどと思わないでほしい、奴等の実力はそちらの想像する数段上だと理解してくれ」

 

「ふっ、俺もまだ死にたくはないんでな、あれだけわかりやすく格の違いを見せられては逆らおうと思えんよ」

 

 両手を上げて苦笑するダルツォルネとは違い、この場に残る護衛団は皆一様に顔を青くしている。

 この日の朝ゴン一行と護衛団が揃った時、指示系統をはっきりさせるためにゴンが割と本気で威圧したのだ。

 

「世界は広いな、オークションが終わり次第俺含めて護衛団の鍛え直しが必要だ。ことが無事に済んだら指導を依頼出来ないか?」

 

「私達も修行中の身でな、金に糸目をつけないのであれば心源流に依頼をするのも手だぞ」

 

 その後は時折話が脱線するもノストラードが監視カメラのチェック等の雑事を全面的に受け、クラピカ達はマフィアに扮して行動することで合意する。

 

「さて、大凡決まったところでこちらから最後の提案だ」

 

 短くない時間打ち合わせを行い、互いに契約書へサインした後のダルツォルネからの言葉にクラピカは目を細める。

 

「警戒しないでくれ、ビッグボスも懸念していたが、君達がノストラードのことを知っていて接触した可能性があったものでな。その疑いが完全に晴れるまでは提示出来ない案件があったのだ」

 

「心外だな、何度も言うが接触してきたのはそちらだ。マフィア故に仕方ないのかもしれんが、強すぎる疑心暗鬼は身を滅ぼすぞ」

 

 顔を顰めて忠告するクラピカに苦笑するダルツォルネは、何杯目かわからないコーヒーを手に取り弁明する。

 

「その通りだと言いたいが、こちらにも事情があるのさ。それだけ神経質になる案件ということだ」

 

 ぬるくなったコーヒーを一息に飲み干し、殊更声を小さくしてクラピカに告げる。

 

「ボスのネオン・ノストラード様は先天性の特質系能力者だ。顔を知る相手の名前と生年月日に血液型がわかりさえすれば、その者の未来を一ヶ月先まで予言する」

 

「っ!?」

 

 驚愕を顕にするクラピカが疑心暗鬼になるわけだと納得する中、ダルツォルネは静かに予言の詳細を説明する。

 

「予言の内容は少々わかりにくい詩という形で記されるが、的中率は100%を誇る。しかも予言の内容と逸脱した行動を取れば、未来を変えることすら可能だ」

 

「…なるほど、十老頭にファンができるわけだ。的中率100%というのも恐ろしいが、それ以上に行動次第で予言を回避出来るのが反則だ」

 

 クラピカもセンリツ達と接触した後ノストラードファミリーについて簡単にだが調べており、近年急速に勢力を拡大しているマフィアだということは知っていた。しかしネオンの能力を知った今では、よくこの程度の勢力に抑えていると感心してしまった。

 

(やろうと思えばそれこそ裏どころか表の権力者も全て手中に収めることが可能、余計な敵を作らないために抑えているのかそこまで頭が回らないだけか)

 

 いずれにせよ、このタイミングで打ち明けたということはさらなる対価を求めていると予測した。

 

「それで?その予言を受ける上での条件とはなんだ」

 

「なにもないが?あえて言うなら将来有望なハンター達に貸しを作っておきたいといったところか」

 

「その程度で切っていい札ではないと思うが、なにもないなら甘えさせてもらおう」

 

 クラピカとしては想定内ながら無欲に思う回答だったが、ゴンやヒソカに毒されていたために自分達の商品価値に対する認識が抜け落ちていた。

 

 内々ながら暗殺一家ゾルディックの次代当主と目されるキルア。

 

 かけられた念を外す除念師と並んで希少価値の高い医療系能力者のレオリオ。

 

 探索や人物判定はおろか記憶に作用する能力を持ち頭も切れるクラピカ。

 

 3人の内1人でも手元に引き込めればとんでもない利益をもたらすことは間違いなく、強さが際立つゴンとギンも含めて恩を売れるとなれば資産の大半を差し出してもお釣りが来るのだ。

 

(やはりボスの予言は偉大だ、これだけの奴等と元手無しで縁を結べるのだからな)

 

 この場での取り決めは全て終わり、新たに淹れてもらったコーヒーを啜るダルツォルネは得られたものの大きさに一息ついた。

 

 

 

 

 

「ダルツォルネ!ゴンとギンが欲しいからお金頂戴!!最悪オークション行けなくなってもいいから絶対買って!!」

 

 一日中ショッピングに明け暮れて帰ってきたネオンの第一声は、長く護衛を務めてきたダルツォルネをして驚愕するものだった。

 

「お、お嬢様、今オークションに行かなくてもいいとおっしゃいましたか?」

 

「行くに決まってんでしょ!最悪はって言ったじゃん!それよりゴンとギン買ってよ〜チビとかゴリラは要らないからさ〜」

 

 そのまましばらく駄々をこねていたが、長旅からのショッピングで疲れも溜まっていたのか程なくして電池が切れて眠りにつく。侍女のエリザを一人残して詳しく事情を聞けば、まだ10代前半ながら見事なエスコートを見せて今までで最も楽なショッピングだったと報告される。

 

「時にはわがままを聞いて甘やかし、時には注意してたしなめるという飴と鞭のバランスが実に見事でした。たとえば店の服を買い占めようとした時は、お嬢様の好みを聞いた後に3セット程試着させて購入するなどかなりのやり手です」

 

 ゴンとしては原作通り女漁師等で慣れていたのもあるが、基本的に空気や心情を読んだ上で本心からまっすぐあれこれ口を出すため言われる方は不快に思うことが少ない。

 

「加えてキルアくんが良いガス抜きになっていたのも大きいですね、お嬢様はああ言いましたけど傍目にはかなり心を許していらっしゃいました」

 

 キルアもまた慣れない護衛ということもあり、年相応の反応を返していたことが功を奏していた。

 ネオンは自分より年下ながらも、本能から強いとわかる甘やかして叱ってくれる人(ゴンとギン)からかい合える人(キルア)に自然と心をひらいていた。

 

「…予想以上に良い組み合わせだったのだな、しかしまさかそこまで気に入られるとは」

 

「私達侍女としましては、是非にでも護衛団に加えていただきたいです。しかしまだ知り合って一日ですが、ゴンくん達が一つの場所に留まるタイプではないとなんとなくわかります」

 

 エリザの予測はダルツォルネも感じたことであり、クラピカやレオリオ含めてあの手の人種は金でも栄誉でも縛れないと相場が決まっている。

 

「一応打診はしてみるが、希望は薄いだろうな」

 

 ダルツォルネは次から次にやってくる難題に頭を痛めながらも、これならゴン達の占いは問題なく行ってくれるとそこだけは安堵した。

 

 

 

 次の日の朝、ゴン達を雇う手札の一つになると言えばネオンは喜んで能力天使の自動筆記(ラブリーゴーストライター)を発動させた。

 

 

 ゴン

 

 力を抜かずに備えなさい

 死神の一刺しは全てを闇へと誘うのだから

 あなたはあなたじゃない故に

 未到の頂は未到のままで終わるだろう

 

 

 キルア

 

 あなたを囲う歪んだ愛の籠の中

 雁字搦めで見ることしか許されない

 己を殺すか己で死に向かうのか

 殻を破るのはいつだって命懸けなのだから

 

 

 レオリオ

 

 永遠の別れが近付いてあなたは自死を迫られる

 守られる者に出来るのは信じることと選ぶこと

 選択を誤ったあなたは未来にいるだろう

 女神の口付けは出会いと別れによく似ている

 

 何も届かぬ井戸の底

 何もかも奪われ闇の中

 何もわからない

 何かわかることもない

 

 同じ詞が2つ続く

 

 

 クラピカ

 

 過去と今に挟まれ深みに嵌り動けない

 あなたの取捨はあなた以外がつけるだろう

 全てを巻き込み業火へ進み

 燃え尽き残るは醜い自己愛

 

 

 レオリオ以外一週間分しか出てこない予言にダルツォルネは顔を真っ青に染め、今からでも協力関係を破棄できないか考えたところにゴン達がやって来て告げる。

 

 幻影旅団がヨークシンシティへと到着した。

 

 

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