皆さんこんにちは、無事に幻影旅団討伐を成し遂げたゴン・フリークスです。想定以上の反動がありますが、硬も出来るようになって強化率も200%の大台に乗ったので大黒字です。
「次これっ! これ着てみて! あぁーもう、何でこんなに可愛いのゴンちゃん!!」
大興奮のネオンが着せ替え人形にして遊んでいる存在、それは
「しかしマジでビビった、朝起きたと思ったら縮んでんだからよ」
「借筋地獄を長く使いすぎたのか、さっさと元に戻りたいから反動を重くしたのか、どっちにしても念てのは不思議だなぁ」
決戦から一夜明けた翌日の昼、レオリオはまだ息のあった陰獣をなんとか治療し終わり徹夜の気怠さをなんとか抑えている状態だった。
10人いた陰獣の内なんとか生き残ったのは半数の5人、それも現役を続けられるのは梟と豪猪、そして病犬の3人のみだった。
「けどあの病犬だっけ? あいつよく生き残ったな、オレが見た時はもう駄目だと思ったけど」
「それな、どうも残ってた歯に込められたオレのオーラがギリギリで延命してたっぽいわ。しかも治療して意識が戻ったらオーラで吹き飛んだ顎作るし、なんかもう死にかければ皆パワーアップすんのかね?」
現在病犬はレオリオに治療された自分自身の歯を求め、下っ端に命令して飛び散った歯を回収させている。
梟は胃と腸の一部、豪猪も皮膚の一部をそれぞれ失いこそしたが、その分オーラ総量及び能力の向上が見られた。
「いい、いいわ! この際下着も女の子物を準備するのよエリザ!!」
「下着は勘弁してくれない?」
そして功労者たるゴン達は、クラピカを除いて束の間の休息をノストラードファミリーのホテルで満喫している。
「そういやだいぶ遅いけどクラピカは大丈夫なん? 戦闘終わったばっかで
キルアは幻影旅団に鎖を刺すため現在ここにいないクラピカの心配を口にし、途中まで一緒であっただろうレオリオに疑問を投げかけた。
「それは大丈夫だ。オーラは旅団から
クラピカは完全決着が付いてひとしきり泣き喚いた後、スッキリした顔で
レオリオもまだ息のある陰獣と共に同じ病院へと行き、オーラは少ないながらも普通の外科手術で5人の命を救った。
「なんかもう、めちゃくちゃ生き生きしてたわ」
尋問係として駆り出されたヴェーゼが薬物で動けないながらも途轍もないオーラの幻影旅団にビビり散らかしていたのに対し、クラピカは復讐を完遂できるということと深夜のテンションで高笑いすら上げていた。
「可愛すぎる! こんな可愛いと変質者が心配だわ! 危なくないように鳥籠に入れなきゃ!」
「変質者はまあ、う〜ん…」
幻影旅団を討ち取ったことで早速今夜から地下競売が開催されるにも関わらず、それ以上に小さくなったゴンに夢中なネオン。
一番心配な変質者は現在イルミの対応をしているらしく、自分で斬った腕の断面を最低限治療された後姿を消していた。
そしてレオリオがうたた寝をし、キルアがネオンと混じってゴンを構っているとホテルのドアが勢いよく開け放たれる。
「今戻った! 蜘蛛共に縛りを付け終わり、ハンター協会への引き渡し手続きも済んだぞ!」
若干情緒不安定で戻ってきたのは、目の下にクマを作り心なしやつれたように見えるクラピカ。
「私は頑張ったぞレオリオ、帰って休めと言ったとはいえ先にいなくなって寂しかった、よだれが垂れてるぞまったく」
それでも表情は今までにないほど輝いており、抑圧されていた感情が解放されたことと寝不足により深刻なキャラ崩壊を引き起こしていた。
「おつかれさん、その様子ならいい感じに鎖を刺せたんだな?」
「もちろんだ。これから念能力者専用の監獄に連れて行かれて、どんな余生を過ごすのか愉しみでならん」
ソファーに座るレオリオに後ろから抱きついて愉快そうに笑うクラピカを見て、部屋の中にいたノストラードの面々はもちろんゴンとキルアも目を丸くする。
「あれ? いつの間にそんな関係になったの? なんとなくわかってたけどクラピカって趣味悪いわねぇ〜」
「ふふっ、レオリオの男としての良さは私だけ知っていればいいのだ。しかしネオンは私が女だと気付いていたのか、そちらのほうが私としては驚きだ」
『えっ』
「いや普通にわかるでしょ。けどなんか綺麗になったわね、そのまま蝋で固めて人形にしたいくらい」
レオリオは自分を挟んで女子?トークを始めたクラピカとネオンにため息を吐くと、驚きの表情で固まるメンバーに視線を向ける。
「まあ、ノストラードの奴らは気付いてなかったのもわかるけどよ、ゴンとキルアは気付いてなかったのか? なんか筋肉の付き方とか歩き方や骨格で女って知ってると思ってたわ」
「殺すのに男も女も関係ねえからそんなもん意識したこともねえよ。え、マジで女なん? ゴンも気付かなかったのか」
「オレも男女の筋肉の違いなんて意識したことなかったし、その、血の匂いとかもしなかったから男だと思ってた」
考えもしなかったと驚愕するキルアと、やや気まずそうに勘違いした理由を口にするゴン。
「あぁー、なるほどゴンはそこで勘違いしたのか。最近は体への負担も少ない良い薬があるからな、そこらへんの知識の違いか」
ゴンの言葉に納得したように頷くレオリオに対し、よくわからなかったキルアは首を傾げる。
「すまないレオリオ、実はまだきてないだけなんだ。だがなんとなくもうすぐくるとわかるから私は健康だ」
「はぁ!? んー、まあまだ個人差の範囲か、精神的にもホルモンバランス崩れてそうだったしな。一応一ヶ月こなかったら検査させてくれ」
「血の匂いがどうのくるこないだの何の話だ? 男女で血の匂い違うのか?」
「んー、キルアは今度レオリオに保健の授業受けようね」
「保健ってなんだそれ、てかレオリオは何時クラピカが女って気付いたんだよ」
「天空闘技場に着く前だな。見ただけでちょっとした怪我とかわかるようになって、お前等見まくってたら気付いちまった。今更だが覗きみたいなことして悪かった」
「レオリオやゴン達なら構わん、自衛のため男のふりをしていたのは私だからな。風呂で鉢合わせたとしても笑って許したさ」
その後も賑やかに過ごしていたゴン達だったが、十老頭との話し合いに行っていたライト・ノストラードとダルツォルネが帰還してマフィア側からゴン達への対応を説明される。
1つ目、地下競売が無事開催できることに対する最大限の感謝として、一人一品最低落札価格で提供する。
2つ目、陰獣の空いた席に興味があるなら最高待遇で迎え入れるが、そうでなくとも便宜は図るので敵対はしないで欲しい。
3つ目、十老頭の影響下にあるマフィアはノストラード以外ゴン達への不干渉を誓う故、どこか一つに肩入れはしないでもらいたい。なんならノストラードの利になる動きは極力避けてもらいたい。
4つ目、出来る限り便宜を図るからお願いだから敵対しないで下さい。
5つ目、記録していた映像やら写真やらをマフィア間で取引することを許可して欲しい、そして十老頭宛にサインがあったら高値で買うのでよろしくおねがいします。
「以上の5つが十老頭及びマフィアンコミュニティから君達への通達だ。他に何か要望があれば私から十老頭へ伝える、サインはこの色紙に、ギン君も肉球スタンプを頼む」
「それでいいのか裏稼業」
「ふっ、キルア君、君達ゾルディック家と比べれば我々マフィアなどそこらのチンピラ、大人になりきれない子供の集団さ。正直な話こうして直接会話してる時点でノストラードファミリーは羨望の的なのだよ」
高値で買い取られるとあってレオリオが率先してサインを書けば、ゴン達も渋々ながら色紙にサインというか署名を書いていく。
寄せ書き形式で何故か10枚以上のサインを書いた後に、クラピカから十老頭への要望を述べる。
「一人一品も必要ない故、緋の眼だけを購入させてくれ。そして緋の眼の情報があれば教えて欲しいと」
「え〜、緋の眼取っちゃうのぉ? 一番狙ってたのになぁ」
そう言って心底残念そうにするネオンだったが、駄々を捏ねないことにダルツォルネもライトも驚愕する。
ミニゴンを構い倒して満足しているのが一番の理由だが、ネオンなりに少しは成長したことがわかる一幕だった。
「…それならばネオン、君に一ついいものを見せよう。その代わりこれからも緋の眼を集めてもらいたいのだが」
「え〜? ん〜、見せてもらうもの次第かなぁ、もちろんそのいいものはまた見せてくれるんでしょ?」
「緋の眼を買い取る時は必ず見せると誓おう。では別室で君だけに見せよう」
「なっにかな、なにかな〜♪」
そのまま侍女も付けずに寝室へと消えた二人だったが、時間を置かずそこそこの防音性を貫通してネオンの嬌声が響き渡る。
『かわいぃーー!! えっ、なにこれ滅茶苦茶綺麗で可愛い!! 嘘でしょ嘘でしょホルマリン漬けの緋の眼なんてゴミじゃん!! あぁーごめんごめん緋の眼も綺麗だよけどあたしはこっちの方が好き!!』
その後もしばらくネオンの声が響いていたが、数分ほどで嫌にツヤツヤしたネオンと更にやつれたクラピカが戻って来る。
「パパ! これからは緋の眼見つけたら絶対に買ってね! じゃないと占いしないから!!」
「わ、わかった。しかしそこまでのものを見たのか?」
「ふっふーん、いくらパパでも教えないよ。知ってるのはゴン達と私だけ、コレクターとしてここまで優越感に浸れることは中々ないわ!」
ネオンはホルマリン漬けではない生きた緋の眼に感動した後、クルタ族でも伝説となっていた紅紫の眼に心を奪われてしまった。
それこそ世界七大美色を超えると感じたのはもちろん、その濃いピンク色は女の子としての普通の感性も持つネオンのどストライクだった。
「やっぱり生よ生、映像や写真、ましてやホルマリン漬けじゃ見えない本当の輝きってのがあるのよね」
自慢気に語るネオンの姿でノストラードの面々も頭の回る者はクラピカがクルタ族だということに気付いてしまうが、しょうがないと苦笑いするクラピカを見て他には漏らさないと無言で伝える。
そしてサインを抱えて再び十老頭のもとへ向かったライトとダルツォルネに、参加を許可された地下競売に向かうために準備を始めたネオン及び護衛団。
そんなノストラードファミリーと別れて一度自分達の拠点に戻ったゴン一行を、一人のプロハンターが訪ねてくる。
「夕飯時に済まないな、幻影旅団の護送が無事終了したことを報告に来た。少し長くなるからコーヒーをもらえないか? ミルクは自分で入れる」
やってきたのは牛柄の服に角の付いた帽子、左目を黒く縁取りするという奇抜な格好をした男。
ハンター協会最高幹部"十二支ん"の一人、
コーヒーで一服した後ミザイストムは改めてゴン達の功績を称賛し、幻影旅団全員を捕らえたことでキルアを除くゴン、クラピカ、レオリオを
ただし同じく幻影旅団捕縛に貢献したヒソカは普段の素行はもちろん、ハンターになる前の殺人罪などが問題視されて今回は見送りとなった。
それに加えてウイングをダブルに認定するかの話になったがウイング自身がこれを固辞、キルア達に念の基礎を教えたゴンをダブルにするかは本人の年齢を考慮して見送りと説明する。
「キルア君がハンターになった場合は半年ほど様子を見てからシングルにする予定だ、新人とはいえ既に多くのハンターの上に立ったことを自覚してこれからも精進して欲しい」
本来プロハンターになるより困難で誰もが羨ましがる大出世なのだが、ゴン達はそれぞれの目的にあまり関係ないシングル昇格のため驚くほど平静に通達を受ける。
ミザイストム含め多くのシングル以上のハンターも好きなことをやっていたら昇格した者がほとんどのため、特に変な空気になることもなく話は続く。
「幻影旅団の護送も詳細は語れないが、念能力で既に監獄へと到着している。クラピカ君の要望を聞き入れ、他の囚人同様の生活を送ることになるだろう」
「やっぱりオレはぬるいと思うんだけどなぁ、結局クラピカは幻影旅団にどんな縛りを付けたんだ?」
暗殺者としての経歴からやや不満のあるキルアの質問に対し、クラピカは幻影旅団それぞれにかけた誓約について説明する。
No.1 ノブナガ・ハザマ
義理堅さや仲間への思いやりがあることを踏まえ、オーラに触れれば大本となる感情を失うようにされる。
No.2 フェイタン・ポートオ
既に痛みを快感に感じるようにされており、何回か行われたヴェーゼの尋問により普通のデコピンでビクンビクンするようになっている。
No.3 マチ・コマチネ
ノブナガと同じく仲間思いの面が強いため、同様に感情を失うようにされる。
No.5 フィンクス・マグカブ
仲間思いだが戦闘狂の面が強いため、高揚感を得るための脳内麻薬が分泌できなくなるようにされる。
No.6 シャルナーク・リュウセイ
オーラに触れると思考力が落ちるようにされており、何回かのヴェーゼの尋問のせいで傍目にはわからないが本人からすれば致命的なまでに考えられなくなっている模様。
No.7 フランクリン・ボルドー
精神的に非常に中立的な考えを持っており、クラピカも大いに悩んだ末感情を失うようにされる。
No.8 シズク・ムラサキ
こちらもクラピカを大いに悩ませた後、安定の感情を失うようにされる。
No.9 パクノダ
記憶が非常に重要な能力のため、オーラに触れるごとに記憶できる量が減っていくようにする。いつかは3つのことしか覚えて考えられないようになるだろう。
No.10 ボノレノフ・ンドンゴ
音楽を奏でて能力を発動するため、音感がなくなりとんでもない音痴になるようにされる。決まった舞で同じように奏でても耳が違和感を感じるようになり、最後は舞うことすら困難になる。
No.11 ウボォーギン
フィンクス同様戦闘狂のため、脳内麻薬を分泌できないようにされる。ゴンに砕かれた拳も最低限の治療しかされなかったため、二度とまともに握ることは出来ないだろう。
No.12 コルトピ・トノフメイル
物を完全にコピーする能力のため、複製できないよう器用さが減るようにされる。いずれは能力を発動しても、素人が複製したような歪な物しか具現化出来ないようになる。
No.0 クロロ・ルシルフル
ゴンの
全員その気になれば戦闘行為自体は可能なため気を抜く事はできないが、最悪円なり能力なりでオーラに触れさせれば念の要である心技体の心か技を失くすため弱体化は容易である。
「この戦闘自体は可能というのが、私なりに秀逸だと考えている。私達への復讐を考えれば弱体化は出来ない以上耐えるしかなく、奴等は今の実力を落とさないようにしながら私達が眼前に現れ、邪魔者がいないという奇跡に縋るしかないのだ」
あくどい顔で嗤いながら説明したクラピカに、本人が満足ならこれでいいのかと納得するキルア。
ミザイストムも除念師対策をしっかり施したクラピカの対応力を高く評価し、機会があれば依頼という形でルーリングチェーンを利用させて欲しいと告げる。
「さて、幻影旅団についての報告業務は以上で終了だ。ここからは俺個人の好奇心による質問故、答えたくなければ答えなくて構わない」
そう前置きした上でミザイストムは、キルアはゾルディック家として暗殺者を続けるのか、レオリオは医師免許を取ったあとはどんな活動をするつもりなのか、復讐を完遂したクラピカのこれから、そしてゴン達のこれからの予定を質問する。
「暗殺者なんてつまんない仕事はもうしないよ、これからはハンターとしてとりあえず強くなるのが最優先かな」
「オレはまだ悩んでるな、孤児院とかを併設した病院を建てたいってのと気ままに旅して病気や怪我の奴を治したいってのが半々だな」
「私は緋の眼の回収と供養をしながらレオリオの手伝いだな、これからを考えれば護衛は確実に必要だ」
キルア達がそれぞれ質問に答えた後、視線を集めたゴンは少し考えてこれからの予定を口にする。
「とりあえずグリードアイランドをプレイ出来ないか動いてみるよ。今はこんなだしちょっとした休養期間のつもりでね」
その言葉に弱体化したゴンを放ってはおけないと、キルア達全員も付いて行くと言い小さくなった体をいたわる。
仲睦まじい4人の様子に頷いたミザイストムは質問に答えてくれたことを感謝し、残ったコーヒーを飲み干すとゴン達に別れを告げてホテルを出るのだった。
ゴン達のホテルから移動したミザイストムが宿泊先に到着すると、幻影旅団相手に司法取引という名の囲い込みを行っていた優男、パリストン・ヒルがソファに座りいつもの嘘くさい笑顔を浮かべていた。
「やあ! おかえりなさいミザイストムさん、雑務を任せてしまって申し訳ありませんでした」
「俺はお前に指示されたのではなく、自分の意志で彼等に会いに行った。勝手に付いてきた分際で責任者面をするな」
パリストンは十二支んながらハンター協会副会長も兼任する立場のためミザイストムの上司とも言えるが、今回は一切関係ないにも関わらず幻影旅団へ唾を付ける目的で付いてきたのに加え単純に嫌われているので辛辣な対応を受けている。
「まさか! 僕が責任者面してるなんてそんなことないですよ。まぁ力不足ながら副会長ですからね、そういう意味ではネテロ会長の次に責任者と言えなくもないですが」
一見すればニコニコと人当たりのいい清潔感あふれる好青年だが、言葉や行動の節々に加え本人も隠す気のない腹黒さがオーラに現れているため印象通りに受け取る者のほうが少ない。
ハンター協会不動のカリスマであるネテロをして苦手と断言するパリストンは、ヒソカとはまた違った意味で壊れている破綻者なのだ。
「そういえば最近噂の彼、ゴン君でしたっけ? 最近突然現れた会長の新しいお気に入りですよね、ミザイストムさんが会った印象はどうでした?」
幻影旅団を優先したのかそれほど興味がないのか自分の目でなくミザイストムの評価を聞くパリストンに対し、特に隠すほどのことはないと正直に感じたことを話す。
「間違いなく傑物だな。かなりの代償を払ったようだが、あの年齢で幻影旅団を相手に生き残った時点で実力は申し分ない。ジンの息子とは思えないほど人格面に好感が持てたのも驚きだった」
それがミザイストムの本心からの感想であり、ネテロのお気に入りというのも将来性を期待してだと判断した。
むしろ多種多様な能力を持つ鎖を具現化するクラピカや、話に聞いただけでわかるほど効果の高い医療系能力を持つレオリオのほうが印象に残ったほどだった。
「確かにあの若さでそこまでの強さなのは驚くべきことです! 僕があれくらいの頃は"おもちゃ"に夢中でしたよ!」
パリストンとしてはやや違和感が残るものの、ミザイストムとほとんど同じ印象のためゴンの話題を打ち切る。
ぽっと出の好きじゃない奴の息子にちょっかいを出すより、最近ますます若さと強さを取り戻してきているネテロと遊ぶ方を優先したのだ。
(調べた限りただ強さに夢見る少年ですし、会長やジンさんと思う存分遊んだらかまってあげてもいいですかね)
パリストンもミザイストムも、とんでもない過小評価をしてしまう。
ネテロとジンの印象が強すぎたため、途中で思考停止したことに気付くことが出来なかった。
ゴンが幻影旅団と戦い生き残ったというのは間違いではないが、正確には肉弾戦最強のウボォーギンに対してイルミの妨害というハンデを背負った上での勝利だと正しく理解していない。
反動による弱体化が終わった時、万全の状態で戦えばもはやウボォーギンに勝ち目は皆無なほど戦力差が出来ているのにも関わらずだ。
ネテロの急激な若返りはゴンの成長が楽しみなのももちろんだが、迫りくる筋肉の圧迫感に対する焦燥感からも来ているのだ。
超回復という休息期間の明けた筋肉が、世界最強の一角に力尽くで食い込むことになるにも関わらず。
考えることを止めたインテリは、すぐそこにある脳筋という名の暴虐に気付くことはない。